四章~相対する三つの、いや再会する1人一人の感情と、一りの無感情とか…~
現れし一人。と一つ。
想定外な光景。や想定内の感情とか。は無い。
その内は小波さえ立つことなく。息を整える真似事をしている。
1人は驚きと懐かしさと。憎しみと恨みと怒りがくべられ沸騰する。
息を整えながら被りを振りながら尾を激しく揺さぶっている。
三様の態勢で動きが止まる。
二人は言葉なく間を置かずに近づき離れる。
「いやまあ、なんだろうね。取り敢えず、再会。おめでとうと言っとこうか。ん、再会。て合ってるよな。だのに。」
なんで威嚇してんだろうね。という言葉を小さく漏らした。
見て尚も距離を離れていく。
「離す理由はなんだろうな。答える義務はないが。答えろと脅されたとして知らんとしか言えない。」
「くっ、なんなんだ、その姿は。知っているなら答えろ。」
「いや、さあ。俺が知るわけないだろ。押し付けて還されたらこの姿だし、色々と試した結果だろうな。あ、戻せと云われても戻せないぞ、てか戻せるのか、此を。」
「ぐっならどうして近づけない。」
「いや、さあとしか答えられないつの。」
「あぁ。我々は離れる運命なのか。それとも宿命づけられているのか。」
「いやどうでも良いからそんなの、此との宿命とか輪っかとかさ。んでどうするかね引き取ってくれるなら俺としては助かるんだけど。無理ならもう良いかな。」
「止めろ。」
静かに拒絶を示す。
「止められてもなぁ。引き取れないだろ近づけないんだから。なんもできないだろ。なら諦めろな。俺が上手く処置しとくから。」
「うるさいっ。黙れえええぇ。」
感情が高ぶり全身を力が纏わり相乗するかのように相方とされるその存在も同じように力を纏う。
纏う力は複数種類薬効を無効化し中心に打たれた隠し原液さえも消滅させた。
二つは一つ。一つは混ざりし別れて分かれ新たに混ざりて一つに混合する。
存在はかつて1人と1つの柱であった。
それは運命か宿命かと聞かれてしまえば誰かは嘲笑するだろう。だとしてもあの時を境に出会い契りを交わし一つの存在として二つの器を世界に現界させた。
長き時を共に歩み幾つもの試練と思われる苦境を全て突破して確たる地位を所有していた。
確実に在るものは隣に居なくても感じることのできる存在感。どれ程離れていようと感じられた存在は安心と自身を携え進むべき道を歩む力となっていた。
あの時までは。
召集され派遣されたあの戦場にて、与えられた仕事は超遠距離からの味方支援。
力による動作不順や攻撃による牽制等を目的とした後方からの安全な仕事のはずだった。
だが、そう。その目論みは瓦解するように、いや言葉通りに切り裂かれ標的目標からの瞬間的な巨大な刃により距離を無視した斬激はその場全てを刻み絆は裂かれた。
だからといって繋がりが切れたわけではなく、微かな手掛かりを求めて奔走し、手に入れた情報を元に訪ねたとしても最後は空回り。
時間を費やして頼みの綱として手に入れた確実な情報をもってとある競売へと向かうが、その場には瓦礫しかなく。しかし僅かであるが襲撃したものの情報を辿り、着いた、先には。
「そうだ。お前がっ。」
「居たとして、俺に対して不満を向けても無意味だよな。関係ねぇし。さて、お前が何者でアイツが何なのかは意味もない。引き取る気もないなら俺が処分しとこうと思ってたのにな。ほら。こんな感じでさ。」
大きく抉れ分解していく地面。
「外れるか。そかそか。なら仕方ない。」
手を広げ力を指に込めながら握る。
全身が警告を発して気づけば遥かな距離をとっていた。
「お、なんだよ離れるのか。くく、この本質を理解したのか。見せるに留めるだけだったんだけど、まあ、ちょうど良いかな。」
視線を外すという愚行であるが動けない。
改めて合わせる視線の先には倒れ伏すかの兵器。
歪なる変容という不名誉の名を冠された生物兵器。
視線姿勢方向を変更し向かう先は破壊した先を調べるため一時放置したが。
何をしようと無駄なことと、知っているからその身体に触れようとして掠りもせず揺らぎと共にそのものは側へと至っていた。
理解はする。理解するがその手にする力は在ってはならないし有ってもならない。人の範囲を越えるは器の崩壊という最悪へと帰結する。
だからこそ動き、して次の光景は不理解であったからこそ数歩にて止まってしまった。
足を上げると躊躇でも怯えも悲観でもなく胸部を撃ち抜くように踏み込んだ次には。
動かないはずの歪なる変容が起き上がり言葉を発していた。
その様な機能など搭載されていない筈なのにである。
遠く内容までは聞き取れないが確実に言葉を発しているのだ。
そして側に倒れている四人を肥大化させた手で掴みながら跳躍し姿を消した。
静観するしかなく、邪魔をしたならあの1つで危害が及ぶだろう。
振り返りと足下の地面からの揺らぎを察知して退くと大きな谷が現れた。
それはあり得ない、凡そ、人1人が持つにはいきすぎた力を簡単に放っていた結果である。
簡単に避けられるが巨大な力は容易く全てを飲み込み消し去っていく。
本来、世界に対しての力とは神聖領域である。
心に呼び掛ける何かの警告は即座に次の行動を起こさせた。
だが着いてくる。その歩幅は等間隔にて一定。しかし世界を無視する速度で追ってくる。
腕の一振で止めようとしたが弾かれるわけでなくくらうわけでもなく身体を透過した。
何なのかを聞く前に一蹴りで止められた。
身体が痺れる。
「知をもって治を灯せ。」
痺れは消える。
悪意が向けられ退避するとまた世界が消えた。
「お、また避けるのか。上手いねぇ。勘、かな。それとももう1つの意識か。じゃあ確かめてみようか。」
一振は世界を切り替えて同時に全てを砂粒に変異させる。
「ひっ。」
晴れた砂粒後に現れしは。
斑。
そう斑模様の仮面を着けていた。
その色は四色。丁度あの四人が着けていた仮面と同じ色で彩飾された仮面。
『いやはや、おもしほい。んん。おもしほい。ん。面白い。お、今度は言えた。』
縦だ。だが横もだ。でも左下から右上。さらには右上から捻れて縦と横を走るように縦横無尽の先、あ、間違えた戦。ん。全て、これは違う。あ、線だ。が斑の上を縁取るように走って馴染みながら仮面を構成していた。
『んほぼっ息苦しいな。削除。さてお前は何だろうな。俺としてはてか普通に不変に不幸を体現したお前やそれと他を考えて面倒すぎる。ここまでの道程が。縁としてうん。消すぞ。」
魂と聞いて何かはこころと詠むだろう。
詠んだとして影響があるかは知らん。
1人は怯えて奥へ隠れ、一柱は内に構成した武器を表出させた。
軌跡を描く。空に大地に谷に戦場だった島が消えていく。
島は一部を残して削り消え分解されたその部分は認識すらできない虚構に虚無を重ね虚数を混ぜて後に聖域とされる海域。
が、現在は1人と1柱が海域の海面に浮かぶ岩に立っている。
海面は揺れ動き波が立ち時間経過を知らせているがその海域の縁に当たると分解されるように消えていく。
「さてとかて。だ。お前はこの状況でまだ、執行するのか。舞台たる島が大部分止めよう。時間の無駄だし。」
「>ぐぐらるるるらるるるぎゅるるるりるるる。<」
「おいおいそれを表出させるか。くく。暴挙は何れ自身を穿つことを知るだろうな。何ということは愚かかね。さて。名もあるモノは俺に対して何を表出させる。〈哀しみ〉〈怒り〉〈喜び〉〈楽しさ〉《望み》他にもあるかな。さて何を体現する。その器で。な。」
言語という体形や体系などない音としてか音にすらない何かで返答とされたよ。
でもそれすら彼にしてみれば掠りもしない出来事。
世界にこの場にある存在は器的に見るなら1人と1つ。
内を見て合わせるなら合計三つ。
先ほどの軌跡はないが変移のように海域が変えられる。
その速度は目に見えない速さで認識すら改竄するほどに。
「そんな先なんて望んでのぞまないよなっ。」
嘘だろ。クソガ。
さて逃げたモノは放っておいて進めようか。
その交差は本当に一瞬より速く決着した。
頭を抑え四肢を土で拘束して尻尾を貫いた。
だが甘かったのか拘束は一部が剥がれ一撃をお見舞いして一振り。しかし軽く受け流し距離をとる。
見える範囲内にその力は海域を支配していき燃えて拡がり陸を形成していく。
「ふはっ。創造力の応用か。面白い。でどうするよ。その先は何を見る。逃げに撤する作業か。破滅を選んだ作戦か。それとも想像外の行動か。」
唸ることはせず尾を下げながら悲観の表情を向けてくる。
直後に吐いてしまった。
「気持ち悪いなぁ。本当に。げぼろろ。」
<≧いひゃらららららら。≦>
「お、ふうぅ。笑と来たか。うん。で。どうする。」
≦>貴様ガ何者であろうト僕の目的は一ツだけだ 。≧<
「ふむふむ。そうなのね。なら俺のは簡単だな。選択もない。複数ある道筋の一つを正解不正解関係なく選ぶだけ。先延ばしと誰かは非難するかな。知らんけど。」
行動は速かった。その距離は一振で削り消され背後に位置していた。振り返りと同時に見えたのは二振りが彼の後方へ出現していて穿ってきたが避けて距離を詰める。
「ほほ、詰めてくるか。が予測している内の一つな。」
彼の更なる後方に兵器が鎮座し。
「放て。」
腹部を貫き距離を離される。
更に先程より巨大な楔が尾を貫き原型を留めない程に潰して四肢を多量の大小様々な鎖で地面へと縫い止める。
「でだ、一応は距離を取らせてもらうぞ。<咆哮>まで封じてないからな。質問だ。壊す力と造る力は何をもって是。とするのか。知っているか。」
唐突な質問は混乱する。
「それと大祭を知っているなら教えてもらおうか。」
不理解な質問は混乱を混迷させる。
「返答なしか。なら。」
全身を見えなくもない布が覆っていくが半身を現世へと解き放つと完全に全身を覆い尽くして鎖を回した岩を落として地面へと更に縫い止めた。
弾き出される様に半身は回転と捻りを加えながら綺麗に着地しながら一蹴りで地面を抉って土塊を飛ばした。
離れた所に落ちてしまったが土塊は飛び散ることはなく周囲の地面を食べるように大きくなり人形を形作った。
が直ぐに崩れ形を保てず地面へと帰っていった。
何がしたかったのか判らず近くへと此方は小石を蹴り飛ばしていく。
不意の笑みをどちらがしたのかは判らないが事態は動いたら止まることなく終結へと向かう。
ただ、その過程を飛ばすように立つものと全身をこれ惨く虫の息より尚も最悪であり生存していることが奇跡とさえ見える。
さらに追撃の一撃を加えて遠方へと遠ざけた。
色々な音が足を通して全身を伝う。
だが諦めない闘志をくべて動こうとしていたが追い討ちを食らって意識を消失させた。
「ぶっふうえううぅ。つまらんな。本当。んでなぁ上で笑ってる連中には、ふくけぐ。」
視線は遥か遠方に定められた。
顔には別の仮面が填められていたがその表すものは微笑であった。
全員が悲鳴を挙げている面白いように。
凝り固まり固執する権利が離れていく感覚を自覚するが否定する。
画面越しであろうと知ってしまった。手出し無用の存在だということを。理解してしまう。関わってしまったが故に先には滅びしかないのだと。
一族郎党須く途絶える。
どの様な繋がりであろう一度結ばれた縁を切ったとしても辿るように逃げ場はなく滅びを示す。
逃げる数人は保身に走った。と残りが理解した。
残ったのは保身より自身の贄としての役割を全うするために立っている。
無駄と知っていたから。
〈ひゅふぇふぇふぇ。諦めるのそれは駄目だよ。それにほら用意した駒が到着するよ。〉
指し示された画像には三つの存在とは別に存在する壮大な駒。用意した極限の存在である〈掃除〉を冠した処理部隊。
歓喜したが直後に更なる絶望が示された。
なんの因果か運命か。誰かの策略か。捻れた穴にでも突入してしまったのか。
突如現れた個体によって始末された。それは簡単に抵抗する術さえ与えられずに。笑いすらなく淡々粛々飄々と。
〈んむっ。想定より速いね。いや、参ったよ。これは明け渡すしかないね。ではさようなら。〉
絶望は極地に至り周囲の可能な範囲全てが炎の壁に囲まれ避難用の外部装置まで蛇の舌のような炎に呑まれて溶けていた。
画面には先ほど逃げだした数人が擬似的な力を展開させながら逃げ続けていたが前触れなくその肉体を展開していた力と共に炎の中へと跡形もなく消え去った。
燃え広がり高さを増していく炎は全てを呑み込まんと監視塔として居る建物の足元まで迫っていた。
誰かは懇願したし誰かは全てを差し出すと言っていた。だけどもそれは否定の意思によって塗り犯され建物ごと炎に呑まれていった。
嘆きを欲望を摂理を炎の渦に投下して燃え広がる。全てを灰にするまで。
蔑みの笑はない。
あるのはその位置にて立たずむ1人。
さて終わりは近いだろうと願うばかりだ。




