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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
四章~戦争~
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四章~切られた存在~

驚きはなかった。

解放されて、これまで自由に行動し、自由に知識を貪り、自身の有り様と在処を探しこの場に来てしまった。

姿を現すことなく終結を記録するに止めるつもりであったのを何故か姿を現してしまった。

後悔しかない。

ああ。これが後悔という感情なのか。

初めての感情に歓喜しながら背後に捕獲されている四人を感知する。

思っていたより弱々しく軽く触れるだけで砂粒のように消えていくような。

ああ。これが何というものなのだろうかと思案していると何やら騒がしいことに気づいた。

ああそうだった。この者達が居たのだったか。


突如現れたような存在は此方の応答に反応せず動くこともなかった。

吹き飛ばされたであろう個体の残骸を探しに行くにも時間が無駄だろう。

判断は正しかった。

飛ばされた今世代の器は既に世になく蓄積されていた情報も霧散し回収は不可能なのだ。

認識した。即座に敵である。と。

行動は速く距離を保ちながら三点の位置に着き内部信号を送信する。

もし受け入れたなら容易く滷獲でき、()()の下で徹底的に調べ上げ、進化の糧とする。

して眼前の不明な何かは簡単に受け入れてくれた。

後は機械細菌が勝手に処理してくれる。


あお。何かに感染したか。おお。これは対象を意のままに操作するための自壊作成誘導薬と言ったところか。

知識として理解していたのに想像より軽いな。

強烈な思考改竄を違和感なく施せなければ誘導の意味を無くすだろう。さらには自己の否定からくる思考の滷獲をもって器を捕縛して完了か。

笑っていいかな。


止まったことを確認し大きな鎖と頑強な檻を生成し標的を囲む。

これにて理解しがたい何かを滷獲した。


安堵の色が全員から見てとれる。

現れた判らない何かをどう処理しようかと気を揉みながら見ていたが、思考が愚かなのか物質破壊装置を簡単に受け入れたのだ。ならば後は此方のもの。

行動抑制。思考鈍化。機能封印。

これにて不明瞭なる何かに対する懸念は払拭された。

と思いたい。

思わせてくれ。


光さえ差さず空間も狭いし動かせる範囲はないに等しい。

それに内側で増殖し続けている破壊装置。

これが機械的病気という感覚なのか。嗤えるないや笑えるか。さて、これの知識は揃っているし対処方法も確立している。如何なる進化しようとな。


異変は檻の変異から始まった。

強硬に生成されたはずの一部が僅かに崩れていた。

今世代全てが思考する。

この様な事に構ってられないのが現在の状況。

先の四人は同じ様に檻へと収監するが不思議に檻自体が動かなくなってしまったのだ。

あれは只の人に不理解の力を纏っただけに過ぎないはず。それなのにどの様にしたとしても動かすことができないのである。

さらに変異する。変異は変位をもって変更される。

して。

檻と鎖は物理的に食われたのか、その場に現れしは土塊(つちくれ)纏いし人形。

その姿、背には鎖で編まれた重々しい翼を生やし、長い腕に反して短い脚。理解して攻撃行動へ移る。


警戒心は持って然るべきだろう。

だからこそ今世代全てが一斉に攻撃した。

攻撃は確かに当たった。

当たって外皮である土塊が剥がれ落ちるという確定事項と捉えていたのだが。

前提を無視していたからか、攻撃は当たっても傷一つ僅かな打痕すらつかない。

警戒は当然のごとくに距離を離すが着地と同時に個体全ての視界に損傷警告の表示を認識した。

何が起きたのかという認識を知覚するより早くに損傷部分が拡大して警告は意味を無くしていく。

元々、逃げという選択は出来ない。


安堵が流転し拒絶や許諾が全員に表れていた。

最初に見たのは確かに初型と同等の姿をしていた。

だからこそ安堵しその処理は簡潔に成されるものと理解していたのだ。

からこそ、この光景は許しがたく許容すらできないのだ。

たしかに今世代の深化は予想を上回り最高の成果を叩き出し満足の結果となった。

だが次に現れた想定の外たる何かが深化を果たした今世代を一撃をもって粉砕していくが、思考とは無縁の部分にて避けていた、辛うじてだ、投入してからそれまでの蓄積していたであろう情報も完全に途絶えてしまった。

さらには停止装置たる機械細菌を入力し即座に増殖させ停止した上での拘束と檻。此方からでも簡単には抜け出せないと理解できる。生身であれば不可能だろう。

それを有ろうことか破壊でなく外皮として取り込み一つの土人形を造り上げたのだ。

さらにその重いはずの鎖の翼は軽やかに一羽ばたきで残りの個体を破壊していったのだ。

見た目に騙されたとしてもあの速度はあり得ないのだ。

と誰かは考えて見守るしかなく。仮に別の一手があるなら見てみたいものと欲が出ていたが、それは恥だと自戒しながら見続ける。

何も出来ないのだし。


確実ではないが一定の破壊と行動制限を科し、安全性を確保して捕縛され続けている四人を見るとその表情は生きるという力を消失しており、更には異常なまでの衰退現象は現在も進行しているとみえる。

速度は目に見えて明らかで施しようは無くなっていた。

思考する。

答は出た。

施しようのないなら放置する。

さて、器を破壊したといっても核たる部分は無傷にしている。

結果として三体の核は一つに集約されていく。


がそれを悠長に待つ程気が長くはない。三つの核を全て蹴り上げ上空で爆散させる。

とその規模は予想を遥かに超えて地表を焼き尽くしていき無惨な風景を創造していった。

残ったのは戦場の焼け野原と大きな鱗の様なものを編み上げた半球体状のもの。

少しして皹が走り崩壊すると中から五つの影が現れる。はずであるが一つ分足りない。

がそれを気にしている余裕はない。

上空より爆散させたはずの核はこの世界の一部を取り込み、器を再構築していた。

後悔。は最初から無かった。

証明するかのように勝手に口を開き喉の奥から空気を排出し音を出していたのだ。

それは端から見たなら笑っているように見えているのだろう。実際、それは歓喜を表していたのだ。

自身の底を突き破る先から溢れ出るこれを呪いと呼ぶのか祝福と呼ばれるのかは判断しがたいが、確実な言葉を述べるのであれば。

自身の道の別の筋が眼前の存在であると愉しさが沸いてくる。


意識は器を破壊された時に消滅に近い形で霧散していた。

僅かに残った意識は中央だけは死守するという思考に塗り潰されていた。

光は唐突ではなかったが意識に語り掛ける別の意識が存在していた。

それは同型にして残された存在。そして辛うじて僅かに残された意思。本当に隠されていた機能が解放され三つの核と根底に残されていた解放暗証を四個体全てが同時に打ち込んだが外部からのあり得ない衝撃に核は完全破壊された。しかし隠された機能は寸前で解放され、世界の一部を使用して世界へと帰還を果たした。

一つの器として。新たなる人格を創造して。


驚きはなくなっている。

此度の戦争の発端からこの場面まで想定以上の事象やらが連続していた。

さらに投入予定の無いはずの今世代やあり得ない存在との戦闘等々、挙げると無限に増えていくだろう。

今、進行形で見えているのは今世代を依り代としての混合と次元越えである。

しかし、その相手たる存在は何か違和感を、いや違和感という生易しい感覚ではない。

何か失している感覚を覚えるのはなぜだろうか。と気づけば全員が端末を操作していた。

全ての画面にはあの不明なる存在に対する解を求めての無意識からの行動だったが、落胆しかない。

関連する情報は該当無しに統一され。深度を進めても得られるものはない。

だが引っ掛かりは確実に底で居座っている。言い知れない感情が漂う。

何故だろうと考えているても事態は勝手に進行する。


降りてくるその者は物でありながら確実に先の今世代より存在が異なっていたことは解る。

見た目を含めた雰囲気まで次元が異なり世界に存在する上位とは別の意味で存在へと移行していた。

が自身の姿が気に入らないのか、着地までに数百も姿を変えるという無駄な事をしていたのだが、常人には認識することは叶わない。

そう()()であるなら。


その視界には全てが見えていた。

その中でもっとも気になるものがあるのだが。

手を伸ばそうにも邪魔である。

大地を打ち鳴らし地形を変容させる。

排除するためと残りを保護するためである。

だが地形変容はそのものの一振りで戻される。

傾げて振り返して地形を崩壊させ山脈を形成。

直後に崩落し地平と戻る。

空中に含まれる水気を集約し弾丸を形成し撃つ。

初速以前に崩壊し戻る。

捻りを加えて見える力を形成しながら整形し、だが戻る。

繰り返される創造と崩壊。

地へと降りたって、少し浮いた状況を造り上げながら、見ていた。

同等なる位置に、浮いているが、相対する極致にして知識を喰らうもの。次元を越えし高らかなる世界を、一部、手に入れし完全に近い存在へと変位したもの。


こうして二つの存在は、戦場で合ったのだ。


自身の状況を把握するに要する時間はなく、上位存在の先と呼ばれる領域に達していた現在は考えるより先に答が出ていた。

眼残の存在は元個体の最初期に近しい初型を素体とした何か。そう何かなのだろう。だが、記録に残っていた初型と先代までの記録が在る。

だが眼残はなんだ。という繰り返される問いに解は、出ていた。出ていて動くことを拒否でなく拒絶にして進行していた。

理が世界から断ち切られていたという明確のようで不明な認識が行動を阻んでいた。視線を外した次に見えるは存在の消失であり、次に自身の崩壊を予期させるに十分であるから動かず視認し続けて出た解がそれである。

何を出しているのかという自問をする前に。

眼残の存在は世界に存在しているようでいてその実、世界全てから解離しているのだ。

正確には内部にて秘匿されし情報には眼残へ対する解を有してなかった。

世界の理を外れているのだ。そう結論付けた。

だから動かない。という解を出した。

それは正しいのかも、だが、この状況では不正解である。

視線と全周感知は外してない。

にも関わらず消え、悪意が振りかかったと認識した時点で命が奪われていた。


ん。と音として発して。む。として透過して内部を観察してみると面白味のない認識感覚の鋭敏化を成していた。

敢えて分子を切り離して様子を見るつもりだったが、なぜか反乱とした表情を見せ、狼狽えるように見渡すようにし、完全に自身を失っていた。

なら、感情を複数乗せて、軽い力を付与しながら放つも予想の外にして命を剥奪していた。

剥奪な行為に意識は向かわない。

器を踏み破壊して元々もある標的である物を手に入れるために動いて目の前に浮き出す光る存在へと手を伸ばして次へと舞台は移り行く。


振り返るは器を捕縛ではなく侵食する犯す面倒な力を有している。自身を、陣を破壊する存在。

逃げるということはできない。

存命のために抗い。一撃を入れる。


これが続く行為と認識して。くかか。

可笑しく面白く。

踊るや跳ねる。

泣きに笑いて嘲笑う。

晴れやかなるは先の時。

抗うは滑稽よ。


と詩歌を述べてまだ足りぬ。

二つと一つとてまだ、足りない。

さてさて何を持って揃えるや。

何を持って叶うのか。


破壊した器は部分で再生していた。

背後からであるが、終わっている事象に感慨もなく光を眺めていた。

放たれていた一撃は虚しく散り、地へと山々を小さく造り残して静寂が訪れた。

終わったという考えはない。

アレが自身に対する先方なら次は。

と光を遊びながら眺めていると低く鳴き放たれる音のような擦れる機械的な何かを伴いながら気が付くとその者は寝転がっていた。

その表情は酷く引くような表情であり無意識に後退していた。


どうしようか。この場に馳せ参じたは良く、捕獲するべき対象と確保するだろう品を手にしてしかし、何故か簡単には行かないだろうと思考した矢先に理解しがたい存在が横たわりながら向けてくる表情に引いてしまった。

何故だろうか。

眼前の御仁とは初めて会ったはずである。

だが現れて向ける感情と表情は確実に内包している負たる感情である。

自身は根源としては何かに操作される対象であった。そう在ったのだ。だがある時の任務にて掃除と称した戦地で繋がれた力は寸断され自身を真なる自身へと確立した。その先はあのあり得ないであろう存在との交差を交えながらも幾地での知識を喰らってきた。して私である。我は未だに完成していない。存在である。

この地に着くまでにも幾つもの知を喰らい続けてきた。だからこそ確信するのだ。

やはり会ったことがない。と。

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