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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
四章~戦争~
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四章~捕食吸収融合統一~

数百か数千かもしかすれば数万かも知れない程度の生死を繰り返し自我は崩壊し目的もなくなりかけた時、かの戦場にてやっと終を迎えることが出来たのに。なぜだ。充たされぬままに戻ってしまった。悪意という牢獄に囚われるように。

笑いは蔑みを含め向けられていた。

気づくより認識して虫酸が走った。

『さあさあさぁ。君の願いは変えられるかな。叶えられる内容は固定されたけどね。深くに存在する願いに変えられるよう努力する事を進めるよ。さて、まだ始まってもないこの遊戯場。簡単には不可能だけれど変える方法は。』


屈伸運動しながら一点を見る。

「くふぅはは。何処までなんだろうなぁ。あの子供の考えは。さてさて。そちらはどうかね。」


手に持つ品を弄びながら同様に見ている。

「笑いは一種の緊張の現れ。かもしれないな。でだ、どうなんだろうな。まあ徹頭徹尾てことは無いだろうがこの状況は想定してたかもな。そんでお前はどう。」


端末を複数同時操作しながら意識は耳許に。

「どうだ。と問われてもねぇ。こんな状況は想定してなかったよ。どうしてこんな所に立ってるんだろうな。はは。たかが一人のお守りみたいな仕事を条件の減刑なはずの。大事になりすぎだ。でお前さんは何か思う所はあるのか。」


手筒を覗き見物するように見ながら。

「その様な些末に些細な思考を向けるなど愚考ですよ皆さん。我々にはあの者。すなわちっ。元主に従い今回の終結へと導かねば成りません。抜かりなく滞りもなく終わらせてこそ、われらの「ちょちょい待ちな。」おや人の話を遮るのですか。良い、思考をしてますね。」

「はあ、止めて正解だ。クロ。あのまま放置してたらそれこそな。」

「ああ。それは申し訳ないし失礼しました。何分昂ってきましてね。抑えられなくなってきて。現在もくふ。ふふふ。」

「そんじゃ、始めるかアレの掃除を。」


全員各々が見る先には巨岩の殻と佇む複数の存在。

外道兵器。

歪なる変容。

視線は彼方にて見ているというより向けていると言ったが正解だろう。

「お。」

人影が複数認められ歪なる変容へと向かっていく。

「あれは。なんでしょう。」

「見たところ、回収だろう。だが。無謀だ。」

停まっていた歪なる変容は前触れなく動き人影を一振りで薙ぎ飛ばし根を止めるために追い討ちをかけ停止した。

「これは危険ですね。簡単にいかないでしょう」

「大方、設定を間違えたんだろうよ。」

「間違えるとは妙な。」

「見たところ大戦の残存個体を流用しているな。元々、調整困難な個体が殆どで終結と同時に全て廃棄になったはずだが、惜しんだのだろう、秘密裏に地下へ隠していたな。」

「嫌に詳しいな。元であっても上位だからか。」

「きひひ。そ、それでもアレは看過できない。そうでしょう皆さんは。」

「いや全く。」

「興味はないな。」

「アレがなんであれ、我々の進路上に転がってるなら排除するまでですよ。あの人が来るまでに。」

「ふひっ。本当に怖いねぇ。」

各地にて同様の行いがされたが結果は全て同じように歪なる変容により肉片さえ遺されず排除された。

各人からの距離は歪なる変容の許容範囲外であるとされ察知されないであろう位置を取っている。

「さて、ではこれより異物排除します。良いですか皆さん。引き返すなら、この地点が最後です。」

「はっ。何を今さら。俺達には戻る選択肢なぞ用意されてないだろ。なら進んで自ら手にするしかないっ。」

「そうだぞ、クロよ。俺達に残されたのはたった一つの答え。毟取るという方法だ。」

「きき。ボクもそう考えますし、どう反論したところで契約自体が停止してるのでね。」

「あ。」

と三人が重要な事を思い出していた。

監視対象である者。その側を離れた現状は現在、停止状態であると。

「はは、そうでしたね。そうですよ。なればどうして皆さん元主に付いているのですか。対象の把握は困難で離れた時に契約は無効と主張すればこの様な場所に立つ。という事象に巻き込まれなかったものを。ああ、私はその様な契約なくとも付き従いますが。」

「は、そんなの決まってる。」

「そうだ。」

「きちっ。」

三人が一致した答を聴いてクロイツは笑った。

「面白いですか。ええ、良い、答えです。では、参りましょう。あの死を纏いし兵器を蹂躙しようではありませんか。」

鬼気とした嬉々を纏いて全員はその手に持つ付加された事による変異の品を着けながら堕ちていく。


刻々と移る時間に彼ら。上で見物していた者達。

上位の者達は歓喜していた。

初型とする第一ではない試しの個体。

始まりにして確たる真実を見せつけた原初の兵器達。

その戦果は予想通り、いやそれ以上を出していた。もちろん制御が利かなくなることも想定しての全個体搬出を伝令したのだが。結果は笑いが止まらないほどに大きく、廃棄をせず秘匿していてよかった。と乾杯をしていた。時だった。

画面に見えるは陰。大きく歪に醜く堪えられない()()は一個体の前に前触れなく降り立ち、眼前でなく別個体を認知するより速くに処理していた。

事が何を意味するのかを処理しきれず、思考を彼方に停止させ。

数々の言葉が室内にて響いた。


各戦地にて。

個体認識により近づく存在は確かに遠方に在った。

次に認識し自身の脚部だけを残し上へと飛んでいた。次に認識しては何かの裏側、足だろうと理解するより永遠に途切れた。


周囲に停止していた個体は記録していた。

それは記録として残され一つの材料となる。

この時にとって問題ではなく、各個体が認識し、次いで行ったのは。

《グヴォオオオオオオオ。》

と叫びながらソレに襲っていった。

初型とはいえ大戦時に投入され短時間で敵を排除した実績もある。硬い外殻は易々と傷など付けられず当時を知る生き残った者達は戦慄したほどだ。

それを容易く簡単に切断と破壊を成していく。

他の画面も似たように。

振るえる。


進められる壊す行い。

ソレは目に付いたというよりチリにした側から最も離れた個体を狙って壊していった。

近くの物には興味を示さないかのように。

この状況で変異が観測された。

一つの個体が側の別個体を襲い始めたことを切っ掛けに別の場所で同様の行為が進行していきソレの前にはたった一個体が残され周囲には()()なく対峙していた。


画面から言い表せない感情が。いやこれは簡単に言い表わせられる。

そう怒りに塗りつぶされていた。

見物していた者達は画面から流れる光景に自身の自信を疑っていた。

初型であり使い捨てとしたあの個体全ての異常動作とも取れる行為。

本来、その様な機能や機構など付加していないにも拘わらず始められた行為は全てに伝播したようにその区域の個体が捕食し合っていったのだ。排除対象でなく同型体同士でだ。

して、今現在、一つの画面には個体が食いつくした最後の個体。原型などない別の兵器すらも呼べない何かになっていた。

「これを停める方法は。」

「あ、あるわけ無いだろう。今も停止させようと起動させてるんだぞ。」

「は、はは。嘘だろ。なんなんだあれは。内臓した装置も動かない。停めようがないだろう。」

「こ、これは資料に在ったか、いや何度か確認させてそう言った機能は付加不能、さらに同士捕食など考えられない。」

「ならこれをどう説明する。君の所の管轄だろう。何か隠してないのかね。」

「そ、それは無いと判っていて質問しているなら侮辱だぞ。」

「そうか、そうだな。しかし、何なんだあれは。個体の異常動作もそうだが、あれは誰が用意したんだ。今回の作戦に投入する予定など聞いてない。」

「そもそも、あれは我々の知る存在なのか。何か歪を無理矢理に歪ませているような。」

「だが、あの方のお言葉は確実であり外れるなどない。仕掛けも罠も理由さえすべてがこの世の理屈を辿っている。この世にある全てに当てはまるのだ。外れなど有り得ない。」

「では、あれは我々の知る。」

「な、なんだ。では簡単ではないか。」

「簡単ではないですよ。あれに対する物を何方か用意してますか。ないでしょ。なら不可能というより破綻してますよ。元々今回の戦争は火種自体が狂っているのですよ。」

そう。この戦争は狂っている。始まりにして原因はたった一つの依頼である。

上にしてみれば一つの起爆剤として緩慢な各地点での変化を目論んでいた。しかし、その実、予想を上回る島々の撤去と再始動不可能なまでに破壊しつくされた廃島などの映像と画像から知らされた廃墟の数々。悩みに悩みあの方の助言を元に今回の作戦を進めたのだが、先端は此方の陣営からという約束を彼方が勝手に反古にしさらに展開していた師団も全て根絶やしにされるという有り得ないし受け入れがたい状況。根元を早々に捕獲ないしは抹殺しても良かったものをどうしてか許可がなされず現在へと至っている。

「な、なあ。このままでは不味いのでは。」

歪なる変容から変化した存在を対象しているものが今は標的としているが、なら終わればどうなるのだろうか。

「心配する必要はあるのか。この場所は誰も知らず誰も見えず誰も流れない。そんな場所に存在していてアレがどうして来れるのか。」

「そう、だな。あぁ、そうだ。たしかにこの場所は知られる事はない。だからこその安全を保証されているのだった。」

「おい、なん、だ。」

映像に映し出されたのは。

続き。


行為は続く続けられていく。

捻り引き裂き寸断穿ち踏みつけ切り裂き最後に捕食。

食べていた。金属と樹脂と毒性の薬物を織り交ぜ組み上げられた個体。いやもう個体ではないだろう。残存個体が一つに集約された異なる存在。

後に生き残ったものの証言と辛うじて残された画像を参考にして付された名を《捻くれた暴食の極み》と呼称された。

その捻くれた暴食の極みはソレの前に抵抗すら虚しく逆に捕食され何も遺されず尽くされた。

変化もまた唐突ではなく必然のように訪れた。

生物としての呈を成していない器が変異し巨体が圧縮するように小さく加工されていくと共に無駄を省くかのごとくに周囲に肉片を散乱させ地面と同化しながら幾つもの柱を形成していった。

ソレは柱に近づき歯を。歯と呼べるかは些か疑問であろうがとにかく口たる部位にて柱を咥えもぎり抜き自身を刺し貫くように地へと縫い付けるごとく。

全ての柱を自身に突き立てる。

滴る赤は流れず縫い停められたソレは柱の作品となった。


静寂。画面にはソレと柱。地面と空。他はなく流れる時間が流れていった。

終わったのか。と言葉にするも不安は払拭できず、見ているしかなく。やはり終わりではなかった。変化は変異の終わりをもって訪れた。

柱は柱の形状を崩し癒着するように同化し、混在し、さらに膨れ上がり縮小し人としての呈を辛うじて残した存在が立っていた。

表情は伺い知れず、着けてるいや縁を部分的に同化している仮面は無表であり奥に見える瞳には死を携えていた。

一人が悲鳴を上げると全員が凍りつく。仮面の向こう側の目は両眼が画面越しに見ていたのだ。この部屋を。

勘違いだと言い訳のように発したが、その眼は確実にこの部屋を捕らえていた。

突き刺さる寒気が精神的心臓を凍てつかせ罅を走らせた。

不快なりと誰かが云い、誰かが不敬だ。と宣った。

手はないのか。と誰かが発すると警報が鳴る。

「こ、この警報は。」

画面には見続けていた画面意外の残り。そう現れたのは一つではなかった。

全射出させた地点では先と同様な光景が映し出されていた。

もちろん歪なる変容ではなくあの不明なる存在と同等かそれ以上の何かが佇んでいた。

その両眼は全てが此方を見ていたのだ。

短い声と共に逃げるように部屋を出ようとしたが。

「まて、なぜこうなっている。逃げてもこの事を詳細に知らねば我々の矜持が変質する。」

変質。変化でなく変質である。

「なら防衛相違を発動させ時間を稼ぐ。その間に。」

反論はなく即時執行された。

残りの3つの自動記録を戻して一つ目を見てみる。

内容は似通っているが。


一つ目。

複数の殻の側を立ち続ける歪なる変容はやはり動かず起動は待機にて維持されていた。

次に現れしは先より小柄にて有り得ない構造をしていたが、これが結果に繋がるとは到底思えず全員が否定した。なのに。事は進行していく。

始まりは同様であったが変わっていた。音声も同時に記録していたのだが、その声は下卑たそして愚かな笑いを含んでいた。

短くも不快な声は唐突に途切れると歪なる変容の一個体を破壊した。数回戻して再生してみるもその速度を捉えることはできず、諦め進める。

画面に映し出された続きは先ほどの光景と同等以上の異常な破壊が行われていた。

初型とはいえ単純な構造をしていることはなく。一撃の下に穿たれるほど柔くもない。

簡単にそれを成している事に全員が戦慄するしかない。

映っているものが何なのか、呑み込むこともできず見ていくしか出来ない。過去の映像なのだから。


ソレは歪なる変容を前にしても動かず気味の悪い音を発し続けている。

引きつる音からくぐもるような音。変化を咥えたような高音を含ませてもいた。

その隙に周囲で近い個体は待機から起動し排除を行ったが、ソレには傷を付けることができず。さらに口を開けて食いかかろうとするも歯が立たず怯み、隙を突かれ破壊されていく。


画面を停止させ目頭を押さえる。

「私達は何を観ているのだ。」

「これを説明することに言語を用いたとしても要領を得ないなんともあやふやな。」

「だが、どうなっているのだ。先ほどのよりも醜悪に見えるが。」

「ですが最後まで観なければ結論はでないでしょう。続きを観ますしょう。」

同意し再生する。


不気味な音を奏でるように佇み、何をどう見ているのかさえ定かでない視線は自身の振り幅から生じる大きな揺れにより一層困難になる。

警戒してか、一方の歪なる変容は僅かな距離を取りつつも視線と感知は外さず構えをとっていた。

だが無駄である。

何故だと問われるならこう答えるしかない。

その速度は感知を外れて自身の現状を把握した時には破壊された後。

聴覚たる部位に突き刺さる音が核に響き罅を走らせ崩壊し停止した。

この情報は全てに伝播したがソレから十歩分に相当する範囲内全てが粉々に破壊されていき、辛うじて外にいたものも一部が引き込まれ引きちぎられ部分破壊により機能の小範囲が停止した。


停めた。

「これはなんだ。ホントに。どうして最後のアレに成るのだ。それもアレ以外が全く無い。残骸すらもだ。」

「まだ経過途中ですよ停めないでもらいたい。」

「う、すまん。あまりにも突飛すぎたので理解する時間を。」

「判らないでもないが、我々にも時間はない。アレらがこの地を見つけるのも時間は掛からないかもしれない。防衛相違も完璧ではないのだ。」

「では進めよう。」

再生。


千切られた残骸は三々五々と広範囲へ飛散され拾う時間すらない。

また異常行動を起こした。

範囲外にいた個体達が互いを壊し合っていた。

停めるものはなく、いたとして停められないだろうこの異常行動は短時間で終わり、最後に一体の残し瓦礫の床を形成していた。

であって尚も嫌な音を奏でるソレは短く泣くように鳴き、全身を揺らしていた。

残っていた一体も満身創痍。無事な箇所を見つけるのが困難なほどに崩壊し動くことすらままならない状態である。

驚くべきはその光景。

足下。瓦礫と化した歪なる変容の残骸で形成されていた床が残存個体へ向かって集まっていく。

集まるだけではない。

捕食とも違う。まるで捕食と似て非なる吸い取るかのように瓦礫と一体化していくのだ。

血肉が形成され外皮に覆われ完成したのはまたも初型。とは異なる変貌を遂げた何かだった。

姿は肥満体にして限界以上であることは見て取れる、さらには知能がどうか等は判らないでもないが全機体が一つに集約されたのだ。これならあの不明なるソレにも対抗できるだろう。

という一縷の願望を全員が抱いていたのだが。

後に《肥大する結望(けつぼう)》と名付けられたものは。

悲鳴と悲観と悲壮をお供にして簡単に破壊され、尽くされた。

研究の余地すら遺されず、そしてその形成過程までも把握することなくこの世界から排除されたのだ。

また変移していく。

今度は、飛散し広範囲に散った破片か部品かを嫌になる音を響かせながら地を這い、全てを()()()余すことなく取り込んでいった。

そして同じような行程を経て先程より多い柱を形成し足を使って全てを高くに蹴りあげ自身を貫かせ同じ様に柱の作品と化した。


誰かは言ってしまった。

同じだ。と。

払拭したくても出来ない。先例が在るのだから。

だが見ていても変化はなかった。なかったが、ある時にて画面が雑に荒れるとその姿は変化していた。

戻して見るを数度繰り返しても同じ様に雑に荒れ同じような姿を映していた。

何なのかを考えるより早くに雑になった画面を処理すると。その答が映されていた。


雑を処理した画面にて。

柱は複数が伸びていった。いや、延びて言ったという方が正しいのだろうか。

延伸しながら木々のように四方に多方に枝に似たものを生やしていくと直で小さな盛り上りが数えられないように成り、肥大すると果実のように一定ではなく小から大と様々大きさのものが地へと落下し残っていた柱が全てを取りこぼしせず取り込んでいき、役目を果たしたかのように伸ばしていた全てを崩壊させ地へと同化し残った柱が更なる肥大を加速させ貫いていたソレを覆うように潰すように一体となり巨木の様な姿を形成するとまたも変化する。表面に亀裂を走らせ突き破るは小さな頭。次いで足を露出させ地を踏み抜くと皹は全周を走り崩落させ全身を露にさせ視線を此方へと向けていた。


画面を最後まで見ていても理解しがたい想像絶する映像であり、全員は思考を放棄しようとしたが。

「まだ二つありますので止まらないでください。」

二つ残っている。

思考放棄はまだ許されていないし見たとしても手放しは大罪である。


二つ目。

狂喜いや狂気か。

絶やした駒を全て排した直後に個体が直下の直撃を受け畳まれるように綺麗に潰されていった。

停まった。


範疇をもう暴走するかのように越えていたし進んでいた。

反論材料を探したいが見つけられる可能性は、ない。

諦めて進める。


始まりこそ同じだが、三体目は先の二つに輪を掛けて不理解である。

土煙が沈静化すると現れる全身はまるで老体。細く萎び水分は乾ききっているようで色も悪い。

だが目には粘度の高い感情が居座っていた。

近くの個体は瞬時に破壊されるが四肢を破断され頭部や胴体だけを残して一定の距離の個体を似かよったように破壊し尽くしていく。

佇む殻はその四つに割れ中より歪なる変容が新たに出現する。

が、片っ端から引き千切られ核を引き抜かれ放置。

ソレは完全破壊はせず行動不能をもって全てを。全ての四肢を破壊していく。

胴体も穴は空けるも塵とまではいかない。

中心からそれら拡がる。

したがい、外周の個体へは時間的に猶予がある。

三度である。異常行動を全残存個体が起こした。しかし先の2つとは異なり一方的な生き残しのようなものでは無く。合意をもって集結していく。

停止する。


驚きはない。

だがまたしても知らない行動を起こしている。

知らされていない機能なのか、この様な事態での行動かは判断にし難いが言えることは。

「進化の過程か。」

先の2つとこの3つ目をもって上の者達は一つの結論へ達した。

これは初型に組み込まれた進化ではないのかと。

だが、そうであるなら知らされるべき情報であり、あの大戦では何故発現しなかったのかという疑問も残される。

「今はその話を置いておきましょう。先にこの結果を把握しなければ。」

頷き再生する。


完成した姿は先の2つより生物的な部分が多く。人に近い形を模していた。

複数の腕を鳴らすように動かし足を解すように動かす。

顔は表情を携えているが笑みと怒りを交互に入れ換えるようにして一歩を踏み出すと姿を消し、現れた地点はソレの前。

ソレの体は軽く浮くかと見え長距離を飛んでいった。

正確には飛ばされたのだろう。

完成したその存在。後に《技巧たる融合率》と呼ばれるものは全ての腕を束ね前方に突き出していた。

攻撃が当たったのだ。

初めてソレに明確な打撃を与えた瞬間だった。

技巧たる融合率は笑いながら追撃し打撃を与え続けていく。

これはもしかしてと。

期待したが。結果は無惨だった。

複数の腕を細切れにし足は等間隔で穴を空け腹部から喉元へ手刀で切り裂く。吐血ならぬ吐薬を吐きながら等分に断裁された。

ソレは割った一つを掴み取ると全身に付着させ取り込むように全身で融合する。

同じ様に柱も出現するが、大きな一本だけであり、頭頂から腕と足を固定するように貫き地へと固定されると全身を覆うように膜を展開させ更に大きな柱を形成しした。

同じだが何かが違う。

だが時間は短く変異は即座に完了する。

柱は収縮していき、まるで柱という存在とも融合するかのようであり、現れたのは全身を鎧に纏わせた人型の存在と即座に此方を認識する視線。


混乱する。何がどう説明すれば良いのか誰も判らなかった。

溜め息しかないので詳細は後にしようとして次を再生させる。


三つ目。

普通の人間が掃討完了の地へと現れた。

だがソレと同じだと誰もが考える。先の三体と同じような風貌をしており、領域を簡単に越えていた。

最初はその前ぶれなく現れた人型に一切の感知を示さなかったが足下の土を一握り。その場で回転すると近くの個体十数体が穴を穿たれ破壊された。それも核を違わず。

敵性と判断した別個体が強襲する。

なのだが、避けるでもなくいなすでもなく全身で受けていた。

一方的な虐殺という掃討が行われ、残されたのは原型もない何かだった。

笑いのように高音を鳴らしながら歪なる変容はその場を離れるも、異常が一体に現れ、全身から激しい煙を巻き上げながら隠され別個体達は動けずにいた。

煙が収まると寸分違わず強襲したソレが立っていた。

停める。


本当に不理解領域である。

これは何なのかと誰もが言葉にしたいが答など誰も知らないのだ。

崩れ落ちる数人。

気疲れであろう。

振るえながら再生する。


同じ事を繰り返し最後には原型どころから肉片すら残さず擂り潰し、地面と同化させるにまでしたのが、同じ様に個体が変異し同じ様に復活する。

個体が停まる。

変位は始まったのだ。

暫く歪なる変容全個体もソレも動かない。

動かないが動いたのは全ての歪なる変容が同時に動くとソレと距離を取りながら囲んで隙間なく壁を造っていく。

囲いが完了すると各個体が武器を装備する。そして一斉に襲いかかっていく。

個の力は大きく、師団と同等であり、それらが集まっているのだ、一溜まりもないだろう。

だからか安堵するが今度は逆の虐殺というより破壊行為。

武器の破壊。腕の破壊。足の破壊。胴体の破壊。頭部の破壊と全てが止まることなく終わってみれば全てが破壊しつくされた。

それも不能された端から柱を形成していくと地面全てを柱が埋め尽くしていた。

ソレは全身を濡らしていたが気にする素振りもなく手を掲げると砂と化してしまった。


「終わったのか。いや、まだまだだ。これでは映像と繋がらない。」

進める。


砂として消えたソレの後に残された柱は差があっても変化をしていた。

頭や足腕を生やしていきソレと同じような姿へと変貌した。大きさは様々だが。

一人が腕を斜めに掲げると他も同じような格好をする。

一人が足を曲げ頭を振りながら片足で飛ぶと他も同じ事をする。

一人が地面を掘ると他も掘っていく。

一人が踊ると他も踊り出す。

躍りが終わると全てが顎を引いて肩を組んで音を発すると黒い光に包まれ収まると外套を纏った別の存在が現れていた。

その顔には仮面のような表情のない顔が貼られていた。

だが、顔を向けるその口許は笑っていた。

そして途切れた。


全ての画面はこれにて終わる。

終わって現実を理解した。

あの四体。

四人かもしれないが。その全ての眼はこの部屋を見ていた。認知して見ていた。

そうなのだ。

元々は状況を把握するために見ていたのだ。打開ではない。

ならあれは今、この場に向かっているのではないだろうか。

答は否定だ。

変位したソレ等の前にはこれまで見たことのない歪なる変容の進化型が相対していた。

何時の間にか警報は停まっていた。

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