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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
四章~戦争~
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四章~幾つもの視点から見えた。もしくは見た戦の象(かたち)~開かれた戦端

その急報は双方にとっての引き金であり鬼気を秘めし嬉々とする願望外の情報であった。

この場面で双方という表現は適切だろうか。まあ良いだろう。

結局は二分する紛争であるのだ。

一方は幾分もの不安要素全てを排除し準備に委細の不備なく完了しており端から見ていたなら余裕であろう。

内部の更に深部では其どころではない。部隊編成立案の件にて全部隊から上案された作戦を精査し加味し調整した完璧と考えていた作戦編成が事もあろうに各部隊の数名により事前の報告無く変更されていたのだ。

焦る上層部だが、簡単に拘束できる立場の者達ではない。誰の差し金なのかという調査する時間もない。出来たとして時間の経過とともに証明物体は処分されているだろう。

だが簡単に諦める上ではない。

権限全てを用いて短くも調査させたのだが持っていた情報以上の深部までは手が届かなかった。

無情に時間は消費され戦端は不意の外部要因により切って落とされた。


不意は各方面へと散った者達にも衝撃をもたらした。と思われるが中には納得していたものが数名いる。

そう各部隊を統率する彼ら。

監視者として同行していた存在達。

主因以外の者達は即座に思った。

どの様に抑えていても結局は根っこで爆発してしまう。

この道程で幾度もの抑えを強要されていたのか何れにせよ発散は必須であろうがその時間はなく、現在の状況に至っている。

「でこれを想定内として進めるのか。」

「ええ。それでお願いします。元々かの状況下での戦端を誰に切ってもらうか決めかねてましたので幸いといいますか。」

「ふふ。それでこの後の行動指針は決まってるのかね。」

「ええ。それを含めた情報は各部隊の折衝に伝えてます。では。」

通信が切れる。これにて各部隊間の通信は断絶した。

各々が行動し判断しそして結果を掴むまで一切の交わしが禁じられた。


西方。準備を進めていたが突如現れた隊長が号令をかけた。

が、まだまだ準備中なのだ。簡単に号令を受け入れることなど出来ようもなく混乱してしまう。

「おうおうっお前ら、それでも俺が選んだ奴等か。この事態で浮き足立つなど笑えねぇな。気い引き締めろ。開戦だ。」

皆が恐れと同時に自身の内より漲る力が感じられ気分が高揚していく。

喚こうとすれど静止され一言の後に粛々と隊列が組まれて完了する。

が漏れでくる言葉。

「静粛に。」

静寂が全てを支配されていく。

「でだ、死にたい奴は手を挙げろ。」

「ひはひゃひゃひやひゃ。」

笑いが起きると全員が連鎖的に挙げた。

「そうかい。死に体を望むかならほれ其処から中央まで直通だ行ってこい。その後は好きにしろ俺は何もしねえし取ることもない。自分で持て。」

笑いが一転静寂が再び支配し全員が頬を濡らしながら敬礼していた。

「おう、まあ気張るときは気張って肩肘はらず行ってこい。起動準備、あと幾つだ。」

「はっ、完了しました。いつでも行けます。」

「うし、全部隊、起動と同時に突入せよ。」

終ると同時に起動し部隊が一斉に突入する。

残るは僅かな静粛なる空気と一息を吐き出す。

「それじゃあ後は各自自身の信じた行動を。」

「は、御武運を。」

「おう。」

部隊の突入を最後まで見届け、天幕の中へと入っていく。

何か思い詰めたように見えていた。

天幕へと入る所を見届け出発の準備に入る。自身も願いを成就させるために。

天幕の向こう側には広大な荒れ地が広がっていた。

その規模を考えたとしても天幕の内と外でのあり得ない光景だろう。

「かはは。渡されたあの情報は時を待たず解を見せる。ならこれがその理由だろうな。と独り言など愚か。行くか適合素体を取りに。」


と言ったところでその標さえ知らねえのにどう探せというのか。コゾウは老体に無茶を強いるな。

さてこの情報に従うなら仰ぎ見る最初の光に従えと、書いてあるが何処にあるのか、おあれか。なら取り敢えず従うか。

と従ってきてみたが何もないなあぁ本当に何もないな。でどうするよこれから。あのコゾウが無意味を許容させるとは考えにくいなら何かあるだろう。んんん。ん、んん。あれか。では次に行く場所は決まったな。と情報と一致しているのかの確認が先だ。ふむ。やはり合っているな。では向かおう。

ん今度は、お、これか。だが目的の素体は。んおお、お。ふ、振るえて。と何だ、まさか素体の場所まで導くのか。まあ、目の前のこの建物しかないし、さらには出入り口らしきものもない。なら従うしかないな。

ふうぅ。どうにか入り口を見つけたは良いが、老体にはキツいな。あのコゾウ、会ったら践んだくってやろうか。と独り言を誰でも仕方なし、目当ての素体を見つけた後は此を、嵌めるだけか。


建物が崩壊し残るは何もなく虚空が拡がっていく。


南方。開かれる直前での出来事を簡単に整理し一息着こうとしていた所に伝えられた情報に対して納得していた。

「ふふ。そうですか。やはり暴走しましたか、まあ何も手を打たなかった事も要因でしょうけどね。さて、では皆さんには此を配って待機、合図を持って進行してください。またこれにて私の指揮下を離れますので各々の思考たる行動を優先させてください。では。そうだ以降この通信は不能となりますので。」

向こう側では何やら喚いていたが聞く気もなく切った。

「ふう。では言った通りにお願いしますよ。その後は全員と同じように好きにしてください。」

無表情で荷物を受け取り去っていく。

「くは、そうだ1つ良い話を。なに、古い話ですよ。君の全てを奪ったあの戦争。局地戦闘の最中に奪われた大切なものを奪った原因は。くくく。この私なのだよ。」

すぐ振り返るがその場で消えた。

「くく。やはり種は撒いておくもの。このように言葉という成長薬を注ぎ込めばくくくくく。あぁ、何時になく混乱しますねえ。」

回しながら軽く投げては取り弄ぶ。

背後では脈動する歪にして存在を捻り切る何かが鎮座していた。

「ふはは。元主はこの様なものを用意しどの様に仕掛けを発動させるのか。見物です。」

大きな脈動が空を走る。


なんて言ったとして私の行動1つで人1人を壊すのが現状の限界。なればこそ今は戒めを刻み着いていくのみ。その先に何を見、何を感じ、何を手にするのか。はてさて先を見通せる事ができたなら。いえ虚しさが増すばかりですね。止めましょう。

行きますか私の目的たる品。解放正剛を受け取り、いや、探しに。

と考えたとしてもその道は既に用意されているもので。では起きなさい。憤怒にまみれし善意の聖域よ。

とふむ、思ったより小さいですね。あの大きさから考えて巨駆を想像していたのですが、まあ送られてきた時には既に相当の疲弊していましたし。上塗りとして止めの試薬を使いましたからね。

と小さくともその底知れない力は余りあるもの。用心しなくては。

これはこれは。また。くはっ。想像以上に難題を吹っ掛けてきましたね。この中から目的の素体を探し出せとは。

幾らなんでもこの数の中からとは。見ただけでも軽く百以上ありますねぇ。

此を試練と位置付けられたならどれ程安らぎますか。ふぅ気が狂いますね。

と思っていたのですが、意図も簡単に見つけられましたね。よもや此を私に押し付けるよう仕向けたのでしょうか、この場面の為だけに。疑っても無意味ですね。では行きますか。

品を嵌め待ってみても何も起こらない。ときましたか。ん、て、何ですかこれは。


天を貫く光の柱が創造し拡散し地を充たしていった。


東方。持ってこられた情報を耳にしてもなんなら思わず、先の展望を思索していても答えを見つけられず、仕方なし弄び続けていた品を懐に仕舞い、櫓を飛び降りた。

地に足を着けて最初に見たものは動揺する者達。ではなく静観するように波1つたたない静寂の者達。

気圧されるのが普通なのだが、やはり小波すらも起こさず単調に言葉を紡ぎ指示を明確にする。

内容は1つ。そう単純にして明解に明確にだ。

「全てに対しての圧倒的なる力を持った交渉である。容赦なく徹底せよ。」

轟音のような猛りが空へと響く。

敬礼し。

「そしてこの開戦をもってお前達への指揮権は消滅する。好きに行動しそして、戦後の行動に私は一切の関知をしないことをここに宣言しよう。では解散してくれ。」

と言ったが一切動こうとせず。

「ん、どうした。ほら解散だ。好きに行動を」

「あの、それは承服しかねます。」

「ほうどうしてか。」

「あなた様は我々に対しての指揮権を放棄されました。」

「そうだな。」

「ならそれ以降の命令は聞く必要はない。と。そして好きに行動してもよい。とも仰いましたし、我々は自分の意思であなた様に付き従います。」

瞬間、世界を覆い尽くす危機感が全身を貼りつけにする。

見てしまった。その相貌をその目に宿る。何処までも深く深く淀み漂う無機質なる優艶なる眼差しを。

どの様に信奉し羨望し崇拝しようと根幹までの信仰など上位次元たる存在でも無ければ在りようがない。ゆえにその場の全員が萎縮し畏怖し折れてしまった。

この先の未来を想像できてしまった。

逃れようない命の塵様を。

塵というこの者が対する自身達の存在価値は。

「お、しまった。やり過ぎたか。あぁ、抑えねえとなとは思っていても性には簡単に勝てないね。さて、これを理解したなら、理解して着いてくるなら止めはしない。自由意思だし尊重する。命の保証も確保もしないけど。」

言葉に裏はなく証明するように表出する冷徹なる無感情の視線。

気づけば腕が振るえている。抑えようにも簡単に抑え込めるものではない。

目を向けると彼の姿がなく周囲にも存在していない。櫓かと思ったがその気配すらない。何処へ行ってしまったのか。


ふいぃぃ。まったくと言ってもいいのかね。

信奉ぅ。かはかかか。笑うしかないよな嘲笑いが似合ってるか。

重荷だよな自分には。

そう重荷。なんだ。

背負いたくない人も命も物も全てを。

身軽が一番いい。

だから羨望だとか尊敬だとか普通に困るというか嫌だなと。

だから懇願も羨望も無視した。心を移ろわすことなく有り様を固定させていた。

事態が急変した事にはあの方々が懸念されていたから驚きはしなかったけど、少しは、頑張ろうよ。

と思ってもなかったけど考えるだけ無駄だし、それに誰も止めようとか抑えるために手を尽くそうとか行動しなかったな。僕もそうだけどね。

で、ですね。直近の問題は此ですよ。僕はただ、取引としてあの子供の監視を受けたのであって今は停止中。

自由行動は認められないだろうけど停止したなら取引はどうなるのだろうと考えてもなかったけど、驚きもしない。

あの子供の正体、そしてあの黒メガネの存在。うぅぅ。関わりたくないな正直。二度とどんな世界に生まれ変わっても絶対に。

と愚痴はここまで。目下の押し付けられた、いえ、任された、んにゃ。付き合わされた事を終らせますかね。

たしか精乱神崩体だったか。聞くだけで関わりを避けたい。本当にっ正直っ全くもって逃走したい。

だのに不可能なんだねぇ。本当知りたくもないのに。無理矢理に知らされるという拷問のような苦痛は何時まで続けられるのか。

他人事だとしてこれ以上の関わりは破綻をきたすだろう。

だけど、簡単に破綻しない。だからこうして手に入れようとしてる。この戦争を無価値に終結させるための欠片を。

とか言いながら適当にさ迷っていたこの変な空間。

目の前にあるこれが、精乱神崩体だろうか。そんで填めれば勝手に起動するとか。


暫しのあと空間は局地歪曲を複数回起こし塵芥と化していった。


北方。事の発端たる地点である。

何が何をどの様に成ればこの光景が完成しかけるのだろうか。

拡がる声が引いて波たつように大きく飲み込むようである。

痛覚が無くなっているのだろうか。そのような思考は次の動物を視認して思考が追い付くと足下に転がっていた。

不可解だが視界に視認した動物を認識し行動する。

少しずつではあるが思考が行動へと追い付いてきていた。

同時に余裕も生まれてきていた。

「う、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ。」

泣いてしまったいやこの場合は鳴く。と言ったほうが的確だろうか。

頬を濡らす水はなく、四方八方四面楚歌の絶望的状況に鳴いたのかいや、違う。

では気づかない内に孤立していたことにだろうか。いやこれも違っていた。

では何に対しての鳴きなのか。

「ぁぁあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぐふぅ。」

咽び泣いていた。

て泣いてるのかいっ。という指摘は拒絶する。

「ど、うして、こんな事に。ぐうぅ。」

崩れると頭を抱え、腹を抱え、踞ってしまい。

「ひひ、ひひひひひ。ひえあ。んん。は、あああ。狂いたい狂えるなら狂って喰らって暗い路へと進みたい。なんて叶わない人の夢か。で、だ。此が今まで見てきた夢。と思ってたが。現実か。」

過去の夢と思っていた出来事全て真実であり自らの行いの結果だと改めて思い知り笑った。

下卑て道を本当に外れるための笑いであり満足したのか。

「ぁぁと。ああ、何と甘美な。そして熟していますねえ。ぐふっぐふふふふふふふふふ。」

仰向けに転がり。

「ひゅふふ。でわあぁくひっ続きと行きますかねえ。もう着実な先端を切ってしまったのだからね。」

笑っていた笑い続けていた。

蹂躙と安寧と殺伐と転化。

誰も予測せず予期できず予知から外れた余地なき世界の一部で行われる世界に類を見ることも聞くこともましてや知することなき戦争の開戦である。


で。始めようとした矢先に何処だ、ここは。

心の赴くままに楽しんもうとしてたのに誰だよ邪魔したのは。

()()だろうな。

たくっ気分が失せる事をするなよな。

これの仕掛けがナンだろうと人の楽しみの邪魔に対する物を後で請求してやる。

んでこの場所はなんだ。見たところマチだよな。

だが一切の気配がない。

箱を用意して他を忘れたような。まぬけか。

こういったものは通常なら訓練として段階的に配置するものだろうが、あの間抜けは何を考えて、考えてないな。

まあいい、それで目的の、なんだったか。まあそれも別に構わない。見つければ良いのだろう。なら見つけて早く没頭しよう。なんて畏まっても虚しいが漏れでるだけか。

ふひひひひひ。行こうか以降とも。はふは。踏み外しの路ほど楽しいものはない。愉快にて抱腹だ。

愉悦に溺れるなど愚行。快楽に浸ることは浅はか。趣味を兼ねさせてしまうことはもっての他だ。

ん。自問自答して得るものなし。行って何かあるならそれはそれで。

と考えて、この場まできたが、なんだこれは。でっかい。箱か。どうしろというのだあれは。嫌みか。

お、開いた。てなんだこれは想像してたものと異質すぎる。ぐ、嫌がらせだな。

この訳の判らない物にこれを填めれば良いんだよな。

どう填めるんだこれ、どう置いたとしても落ちるよな。

こう、か。いやこう。んん、無理だろ、何の反応もない。どうしろと。

あぁもういいや、適当に置いて帰ろ。

ん、えちょ、まちな、ぬわあぁぁぁ。


空間の中央から拡散する水が全てを押し流し更地にしていった。

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