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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
四章~戦争~
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四章~幾つもの視点から見えた。もしくは見た戦の象(かたち)~準備

地上だろうと空にても戦いは変わらずされど代わると何かの何者たる誰であろう暗躍せし蛮行実行を体現せし事こそが思い馳せていた。

浪費無情にちりて願望すさみ。底に残されし呪いに近しい原因は水面に触れじて同一となし、最後に残るは本当の願いたる望みである。


一つの過程を見ていたとしてそれは真実であろうか。答えはどの様に転がり向かい落ちたとしても主観であり記憶は時々として移ろい薄らぎ消えていく。

終着地点に残るは後悔と破滅か。はたまた歓声と隆盛か。それより捨て去る感情と思考か。何を置いたとしてそれらは全て結果として世界に刻まれるであろう記録ないしは記憶。

後に記述されない事の起こりが何なのかは当人達には皆目検討もつかないのが現状であろう。なぜなら当人達の中には主たる縁因を始め近縁さえも確定させた存在が居合わせてもいないのだ。

居ないものに対して荒唐無稽罵詈雑言支離滅裂を云いたい放題である。

さらに集いし中には幾つもの思想に染められた派閥が造り出され制御すらつかないのである。

誰が統率し誰が指揮を取るのか。さてさて何者であろうと制御を離れた装置の行き着く先は崩壊を内包した破滅しかない。

一方では着々粛々と万全に近く準備は進められていた。

滞るなく資材は搬入され陣地が出来上がっていく。

この違いは何かと誰かは考えるであろうか。

見れば誰でも理解できるだろう。

問題は山積していたはずだが全員の意志1つに合わせ進められていった。

その目に精気はなく淡々と作業が進行していく。

その周囲には高い壁が設置されておりまるで監獄のようである。

何か機械的でありそして、指揮するモノが1つも1人もおらず、無言に無感に陣地が完成に近づいていた。


視点を変えてしまうとこれはこれで、面白くあり悲しくある。

この一地点だけであっても多角的な視点を観られるというもの。

建設に従事した者達。

多数の派閥に分かれ意見が纏まらず更には根幹たる存在不在による下からの突き上げと上からの傲慢なる行いは纏めよ。と言うことが難しく不可能である。

理由としてなら用意されたこの土地。

双方に利益なく影響なく世界へと秘匿できる土地。として用意されたが。流れる空気や足元から響く音が不穏な感情を呼び覚ましていく。

感情の制御に歯止めが効かなくなりかけていた時、一つの情報が双方に悖らされた。

内容は双方に有益であり、尚且つ、有効な手だてとなるものであった。

それらを上手く活用できるかは各々の力量と判断に委ねられるが。

さてなどといったところで時間は戻らないし戻せない。戻せたならそれはそれだ。では見ていこうか。準備という交渉のために用意された。戦場の片鱗を。


確定し固定され決定づけられた事であり覆しようがない完全完璧と差し支えない作戦だった。

そう《だった。》のだ。

どの様な不測事態であろうとも予測される全てを内包しかつ一方的な進行に対する妨害をも織り込んで作り上げた作戦。いや、運命だ。しかして。だ。そう全てが泡と消えていったし消し飛んだ。

言葉通りに消し飛ばされた。たった一つの要因によって。それも小さなるたった一個によって。

数か月前。年月を掛けに掛けて編み出した運命に導きだされ編み上げられた作戦は上の承認を見事に取り付け。そして幾つもの準備を重ねて重ね。向かわせたその位置には公には何もないだたの海が広がる。

だが数百年と続けられている秘匿な研究所。その全てを手に入れんがために膨大に組んだ全てを意図も簡単に泡沫のように海の塵と化せしめたあの状況は何度も何度も画いて、どう推論を並べ立ててもあのような結果には結び終わらない。のにどうしてあのような無惨に残酷にして殲滅され眼前で終わりの一撃で結ばれたのだろうか。現在でも不理解の域を脱しないでいた。

あの不透明なる研究施設。

諦めきれず上に上告したのだが時間を待たず却下されてしまった。その場で却下されたのだがその理由も後になって知った。正直に理不尽だと思ってしまった。

この事からその反骨精神だろうか身を粉にしてでも勝ち取りたい一心で参加した今回の作戦。なんとも在り来たりな理由であるが単純な事は捻るより真っ直ぐであり簡単に折れようもないものである。

評価されたのか疑問の余地は残るが、ある日、有力な情報が極秘に送られてきた。

使うかどうかは個人次第だと明記されていたが信頼性は高い。

遠慮なく使わせてもらおうと考えた。


とある品物を受け取った後に地下へ造った基地に戻ると皆が険悪していた。

その視線の先にはこの数日に押し付けという送り届けられた。いや自らこの地へときたモノが唸って暴れていた。全員が抑えようとしてもその凄まじい力は全てをはね除けてしまい手の施しようがなかったのである。

「はあ、まだ抑えられなかったのですか。少しは出来るものと思ってたのですが。」

「はっ、何をいうのかと。」

「そうだぞ。これは俺達には荷が重すぎらぁ。」

「まあ、そうですね。時間もありませんししかたない。これを使ってください。あまり多用は出来ませんが抑えることは出来るでしょう。」

「なんだ、これは。」

「なに、ただの鎮静剤、のようなものですよ。」

「はっ。その言い方だと、副作用があるよね。何がある。」

「いえ、副作用というものではないのですがね。今でもそれの反芻を考えているのですが何分不測なので進んでおらず。」

「安全はないとかいうなよ。」

「いえ、この個体については問答無用で黙らせて異論ありませんよ。まあ問題があるなら、あの方に何かを聞かれるというものが大変なのですがね。」

「それなら問題ないね。えいっ。お効いたね。ふう。少し休憩して方針を詰めようか。宜しく」

手を叩くと机が現れると同時に複数の端末と接続された機器。

「おう、どういう仕掛けだ。」

「いえただ見えないようにしていただけです。それと意識にも作用させましたからね。ん。どうしましたか。あ、そうですね。これは使いようによっては戦況操作も容易いですが、何分、その副作用と材料の入手方法が困難なもので多用するための数には莫大な資金と人員と広大な敷地を要します。それも長期間の熟成期間がありますので今からでは完全に不可能です。」

「ならその熟成」

「を省いても効果ありません。この期間あってこその効能なので。」

「なら無理か。よしでは話そうか今回の進行をどう進めどう終らせるのか。その方法を。」

「皆さんも宜しいですね、でないと話が全く進みませんから。」

「ああ。いい。」

「ぅひひ。俺もだ。」

収まり机へと着席する。


足下に敷かれた大きな布一枚。その周囲に命令され壁のように立つ武装した者達。表情は堅いものもいるなら気の抜けたものもいる。

さて何であろうか。と問われるならそれは一種の儀式であろう。

上位次元の存在に伏する捧げの意味を込めた勝利のための儀式。

だがその衣服は不理解なほどに統一なく。端的になどでなく鮮やかな衣装である。

統一していたのはその各所に1つは付けている装飾品。色は違えど形は同一である。

各々の色の種類は4つでありその付けている部位はまた、異なっているとしても統一されている者達はいる。

上位と目される十三人。

服装も他と段違いであり間違いはないだろう。

この者達の丁度中央に香具と動物の骨。

その周囲に肉と液体更に外には皮。

その八点に倒された長い棒に連なる鎖。

棒の一つには大きな鎌が立てられていた。

十三人の1人。

一際衣装に細やかな施しが為されておりこの集団の最高位と理解できるだろう。

言葉を紡いでいく。捧げるための言葉の羅列を一言一句違わぬように。

時間にして長くなくその最後に大きな鎌を1人が片腕で持ち上げ柱の1つを一刀に破砕する。

これにて儀式は終わり願望は成就される。


僻地といえば閑散として長閑な。悪くいえば平坦で永遠の地平だけの何もない場所。その地には大きく歪んだ物体が鎮座していた。それは呼吸するように伸縮しているのだが地面へと縫い付けられるような楔が穿たれている以外にさして変化はなく、その少々離れている1人は暇をもて余した子供に危険物を与えたような表情をして着かず離れず観察していた。

その手には一つの品を持ち弄ぶように手持ちぶさたを解消させている。

任された各所に散らばるように計画し何故か1人でこの判らない物の見張りを任されてしまった。

「任されたというより、押し付けられたというのが正しい。ふむ。しかしこんな物を寄越すとは何が不満なんでしょうか我が元主は。ですが、これは何かの役に立つもの、と推測できますね。ではどう使用するのか私は、実に楽しみですよ。」

クロイツの言葉には歪む悦と枯れること無き欲が含まれていた。その両目(りょうまなこ)に表出する黒々とした淀みは何かを暗に示しているのか。

歪みを含めたその表情は見るものが見たなら不快に思うかも知れず、だがこの場にはクロイツ1人しか存在を赦されておらず幸いだろう。なので遠慮などせず任されもとい、押し付けられたこの歪に無価値と思える品物を観察し続ける。

「元主の話が本当なれば、くくくくくく、面白いものが見れますねぇ。」

空へ無意識に向けた視線の先に流れる雲1つ。乾いた笑いを1つ捧げるように発すると雲は霧散し響いてきた。

視線を戻すと不適に不要に無作法に下卑た笑いを含ませながらその物体を観察し記録していく。


一つの戦果としては上々だろうと卑屈に思考すれど、さして問題は眼前に広がっていた。さもありなんという言葉とは別の居所を指し示すように変貌しているその地点には予想外だがどこか懐かしさすら去来する感覚を自身に与えてきた。

ああ。と短くも確定させてしまった事に後悔しながら侮辱の笑みを称えて眼下の品定めを始めていた事に更なる屈辱の笑みが表出してしまう。

性分なのもしれないと思いつつも腹の底には煮えることなき暗泥(あんでい)なる情が横たわっていた。

「笑えねぇ、な。あのボウズの計画とやらがどれだけ成就されるのか見物だが何かを隠して俺を含めた奴さん達を動かせると考えているのなら甘いな。これで最悪の結末となる日にゃあ、感情は膨れて膨らんで少しの刺激で。ば止めよう思考したとて俺を待ってる結果は変わらねえし変えられるものでもねえ。なら潔く受け入れるか。ねえよな。」

言葉と逆に心は踊り、血は沸点を越え霧となっていた。

一つの懸念というより懸案事項。渡されたこの品と同時に付いていたこの説明書めいた暗号。幾つもの暗号を見てきたがこれは読めない。思考停止は愚の頂だと何かで聞いていたがこの状況に当てはめようとも思わず、諦めて目の前の仕事を熟すしかないのだろう。

何れの時に証されることを考えて。


希望を抱いて羨望の眼差しを向けられることには普通、緊張してしまうもの。

彼にはそのような心は持ち合わせておらず、深淵へ至っても小波さえ立つことはなかった。

背負わされていた枷は外され本来なら関わる必要も無いのだが何分暇なものでこうやって減刑という無きしも在らずの条件にて着いてきていたのだがそれらは現在、停止中である。

目の前で膝まづいている者達が正直。

煩わしいとさえ思っているが与えられたという押し付けられたこの地区での準備は早々に終ってしまった。暇なのだ。

暇で仕方なく幾つかの報告を挙げさせ火蓋が落とされるのを待っていたのだが何時まで待てばよいのか検討すら煩わしく溜め息しか口から出ないありさまである。

別にして。向けられている視線には気づいていた。

その視線が最初は畏怖からの視線かと考えていたが時間経過とともにその視線は羨望だと気づいたが無視しながら指示を出し準備に従事させていたが限界だった。一つの感情を抑えるために敢えて地区を一望できる櫓で遠方を永遠と見ていた。櫓の下では膝ま付いて動こうとしない。石のようにその者達の意思は硬い。

散る前に渡された品を縁に置きながら眺める景色は刻々と進んでいく。

暇である。

「あ。」

思いだし懐に入れていた一つの説明書のような暗号を解くことで暇を潰そうとしたが見て鼻で笑い仕舞って品を弄りながら眺めていた。


眺める遠方に敵陣の一部が見えていた。丸見えである。

勿論、見せるための部分と理解していたし下手に工作しようものなら痛手は此方が受けることは承知していた。が性分なのだろう簡単に諦めきれないのが真実たる確たる本音。恥辱を苦痛を持って抑えていたことも限度がある。

背後では充てられた戦員が慌ただしくも充実したように忙しなく動いていた。

溜め息も出てしまう溜まりに貯まった感情の捌け口が限界を突破していた。

小さく僅かな刺激で暴発してしまうだろう。

無理矢理に自制できたとしてそれには限界がある。指を砕けるほどに噛み潰していくが抑えられなくなっていた。

1つ、手があるのだがそれは後々で面倒になるので我慢する。

「あぁ。貯まる溜まる。黙ってられなくなるねぇ。」

これはもう無理だろう。

そう思っていたら気分が高まって吐き出されていく。

「ふはっふぁははははははぁははは。そうかそうなんだねぇ。これは面白い。なら溜めよう。貯めて溜めてその先を見られるのだろうこの目で。あぁぁあ実に、楽しみだ。が、それはそれだ。くひゃひゃひゎひゃ1つの刺激は必要だよねえ。」

考えるより思うよりも早く行動する。

笑いを堪えず行動する。後の事を浅く考えて。

持たされた品と共に。

これが決定的となることを考慮して。止めの一撃として。始まりの一撃として。

完全な意趣返し嫌がらせ普通に趣味。

糞ガキを仲間とも思ってない。 ただの監視対象なだけで。現在はそれすらも外されているなら、自由に行動し、自由に采配したところで何者であろうと咎められる謂れはない。

と踏んでの行動であり。後に至っての判断材料となるだろうとは、この時には思いもよらなかったろう。

こうして戦端は切って落とされた。

そう強制的に準備も最中にである。

複数の思惑を外される。

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