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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
三章~無怒の宗団~
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三章~二つ~

初対面という気がしなかった。

何処かで引かれ合っていたのだろうとも考えていたのだが、それは何か、違う気がする。そう考えた。ではナニが。と、誰かに問われたなら。答えは。

「さあ。わかんね。」

だろうと。


見た。認識した。確信した。そして同時に発散され尽くしたはずの感情が。

視界全てを歪まずほどの情。

根底に位置する怒りが最高点を突き抜けた瞬間に意志と無関係に肉体が行動を起こしていた。

「おま、え。が。」

必然の行動てあったのだろう。


停止させる気はなくその胸ぐらを掴む。より速くにその腕を払われそのまま勢いを落とさせずに通過させる。と同時に反転し留まる。

対して勢いを相乗されたことと不意の対応に殺せず止まれず壁をあらぬ方向へと突き抜けてしまうがしばしの後に無傷の姿で全てを溶かすように現れた。

「ふぅぅ。」

「酷いなぁ。初対面で殴り飛ばそうとか。この場合は命すら執ろうとした。というのが正確だな。」

「ずずっ。ふざ、けるなよ。」

「おやおや、ふざけるな。とは頂けない。どうしてそうお怒りなのかね。身に覚えが全くないのですが。」

「ぎきっ。世迷い言をいうなよ。」

「ふんむ。何故に出会い頭の罵倒かね。会ったことないと二度目に言いますが、ああ怒りで冷静な思考を放棄したのかな。」

「すん。ぐぐぐぐぐぐ。お前は惚けてそんなに面白いのか。」

「いやホント。なんの事やらと言えないのだがなんなんだい貴殿方は。」

「はは。本当に惚けてるのか本心なのか。」

一定距離にて相対する。

二人の攻撃範囲の外。遥かなる外。

「んで、このままだと意志の齟齬が発生するしそうだな。アンタから聞きたいことをどうぞ。まあ答えられる範囲でなら素直に答えよう。」

「は、その提案を呑んだとして此方になんの意味がある。全てに答えたとして、だ。それが真実とは判らないよな。」

「ああ。確かに。でも、この場を見繕うために虚を混ぜても結果は破滅しかなく。まあ一方か双方かはわからないが。さて素直に答えられる範囲。と言ったからな。範囲外だと言葉に詰まる事を留意してもらいたいね。」

「ふん。そうかなら質問は一つだ。」

「ほう。なにかね。」

「どう、して。」

握りしめる。

「どうして。」

「勿体ぶるなら先に進みたいんだけんども。」

「どうしてお前から匂いが。」

「ん臭いて、あ。ウソ。そんなに臭うのか。」

嗅ぐとしても自身の発するにおいなど簡単には判らないものである。

傾げ何を失礼なことをという表情をするしかない。

「この、ふざっ。いやそうだ。冷静に。そう沈めよう。」

呼吸を数百繰り返し落ち着きを戻すも。

「んん。無駄な時間をとらせて謝罪はないのかね。先にも行きたいのだが。」

沸点を越えてしまう。

「祈る相手がいるなら祈るんだな。」

「ぶえっ。」

頬と頸部に熱いと感じた瞬間、

「ぶうえあああああああああぁ。」

全身を紅蓮に包まれていた。

皮膚神経血管筋肉内臓骨全てを燃やしつくすまで収まることない物質的な力は簡単には消えることはない。対象が確たるものであったなら尚更である。

「ふっぐ。この鼻の奥に届けられる懐かしさ。やはり、彼奴。ふふ。近くにいるんだな。」

小さく言葉を続け、燃え盛るものを一瞥してその場を後にするその背に哀愁負い出口へと姿を消していった。

燃え盛る力は肉体的内部だけに留まらず精神的内向をも燃やし続けていた。

反響していた。


燻る黒く炭化した塊。

動く気配はなく、響くは風鳴りである。

燃えに燃え尽くしたかのようなその塊は少しの風で崩れさる。遮るものはなく流されていく炭。時間は掛からず誰にも気づかれず消えていく儚いもの。

が世界はその時間をも惜しむのか、突風が吹き荒れ舞いあげ散らせていく。

床には何もなかった。

そう何も、ない。

あるのは()()()()()横たわる存在があった。

寝ているだけなのだが、悪夢を見ているのかその表情は百面変わり、側に誰かがいたなら暇潰しになっていたことだろう。

「うえ。」

開けるとさ迷わせ周囲を確認する。

「あああ。問答無答なのね。なあこれって何の因果なんだろうね。」

じもん

<なわけないだろうが。なあ、なんで簡単に事を運ばせない。誰が喜ぶよ。>

ぬぬ.地声ならぬ上声に返答とは。

<あのな。簡単に答えることは。ん。これ確定まで時間掛かるな。む。むむむ潰したい。>

で、この先どうする。

<さあ、成っても鳴っても為っても生っても綯っても。どうなるか。知る世界だよな。>

世界な。世界が貴様を内包するとは

<限らない、と。>

さて何が何とするか。

<くくく。それじゃこの事態に事態収拾させるためにこの場所に介入させたのかね。あの力は確実に憤怒とは掛け離れた慈愛いんや哀愁、違う。そう哀愁ならない哀執だな。で先ほどのあれはなんだ。出会い瞬間で答える暇なく殺りに来てたし。何なんだろうね。>

ふむ。知っていて惚けているのなら無駄なことを。

<そうか、なら確定したのか。いやだねぇ。>

そうだ。遣ることは殺ることと同義なり。ゆえの選択肢は自然淘汰され進む道も決定されている。覆る見込みはないと理解しろ。

<それじゃ、行動しますか。>

《ではこの場の意識を一時的に閉じ込め外界と遮断。深層より肉体へと帰還する。》


「あ、くあはっ。はっはっふっ」

周囲の状況を確認し起き上がる。

「ああ。んん。はは。本当にどうしたものか。悩むな。」

気づくより早くに全裸ということに呆れて着ることのできる何かを探してさ迷うと何もなく仕方なしに暫くそのままで施設の最奥へと向かう。


器だけでなく内に納めし魂をも焼却し完全焼去し無意識に心は踊るし昂る感情を抑えようとは思わなかった。

感覚が一つの場所へと(いざな)う。

堪えようとしても自然に笑いが漏れてしまう。高揚感と鼓動が同期する。速度も速く濃い匂いが確実に。

道は一つの道。脇もなく目的地のみである。迷う方が不可解であろう。

そして到着したのだ。その一番に濃く一番に懐かしいその香りと。

認識も確信も確定もしたくない光景を。

初めは悲鳴。次に絶叫。膝を崩壊させてからの絶望を含んだ否定という言葉。

目に見えて全てを否定される証明たる瓦礫と僅かな赤に塗装されし一部。

頬を伝うは怒りか悲しみかそれか象徴する根元だろうか。

地面へと頭を埋もらせ全身の全てを注ぐよう暮れていく。

世界は簡単には許諾せず。全方位からなる自身を含める揺れに違和感と断絶する意思外の咆哮をもって一部が想定外に崩落した。


目的地。とはいかないがその途中にあった部屋には辛うじて着れるようなものが在ったのだが。

「はは。着ても無意味。はぁ。先に進も。」

諦めて部屋を出て、

「面倒だな。ふむむ壁を壊した方が速いか。ね。」

適当に近くの壁を壊して進むと大きな空間に行き当たった。

「なんだ、どの路を辿っても結局この場所に出るのね。」

最終目的地の手前である全方位を壁に囲まれた空間に到着し囲まれているという気配が存在していた。が、何かその気配は異なる思考を絡めて無理に一つの思考に置き換えているような感覚がしていた。

知っていて何か悲しさが浮上した。短い言葉たる。はは。として既知内よりて業せし力の発現を表する武具を顕在化させ一振にて全てを素を元にし世から消し去った。

剥がされし真なる空間には惨く酷く過剰なる泥と汚物と腐敗に満ちた変わり果てた生物が隙間なく嵌め込まれていた。

無論にして、全ての息づかいは先刻に絶ち伐っていた。

小さく頭を落とし目を閉じ言葉を捧げる。


一つの感情による器の支配下に感覚が麻痺していた。

よってか流れ出る赤や部内から露出する諸々。手足が流量の多さに冷たく硬くなっていく。が意志は朧がず内部より昇る感情が世界との別れを排除する 。

「ぐうっ。なんなんだ。僕の邪魔をして誰の得になると。」

考えて誰が回答するのか。

諦めて無軌道に進んでいく。何処へとも。

「ん。これは。ふほほほは。そうか。これはまた。面白い。紛れカス。」

口端を下げるし、悪夢のような感じが廻ってくる。

「くふふひひひひっ。なら少し退こう。誘われているのなら。」

面倒だと思った。と視界が回りに廻って突き上げる衝撃。貫く衝動。弾ける感情を適当にぶち込まれ靄の中へ。その底だろう地点へと落ちていく。


あの夥しい数の依り代を全て剥がし現れた扉を壊し歩を進めていくと小さな扉。その先に続く狭い部屋へと入った。

隅に数ヵ所と天井に着いていた物とその斜め下に位置する装置。

「へえ。なんだ。最も壮大な物を想像してたのに。ここまで小さくさせてたなんて驚いた。いやあれは元々違う系統か。ならこれはまた別原理を用いた装置ということか。さてさて。どうしようか。起動させる物なんて持ってないし。ん。これは。」

拾い上げたものは歪にして不可視なる玉。そう

「はあもういいや。うん。壊せば起動するだろ。」

て、おいおい。鍵を拾ってそれを

「さて、壊すには丁度いいこれを使ってと。」

う、そ。

それからはその拾った玉を使い、本来の使い方とは程遠い使用方法で装置を無理やり起動させてしまった。

「お、起動した。いや悪いねぇ本来の方法と違った起動で。て誰に言ってんだか。さぁ。行きますか。懐かしきあの空間へ。ん。懐かしいのかあれが。まあいいか。」

無理やり起動したため暴走させた反動によりこの地点を起点に未来永劫癒えるなき混沌たる地点へと反転してしまう。これを知るは後々のことなれば。


霧が晴れていくと眩い光が射し込み手で遮り収まっていくと眼前に広がるは広大なる草原。

頬や腕足を掠める風は心地よく心を癒していく。

少し歩いてみると地面から感じる感覚は確たる存在感を示していた。

心が踊り自然と言葉がついてしまう。

「ふああ。すげっ。」

感嘆し自然と震えていた。

歩く速度は自然と心と同一し踊るように進んでいく。何かを忘れていたが思い出していた。目的を。がそれを差し引いてもこの風景には圧倒されてしまうものがある。

暫しして不定形と言っていいのか理解不能な建物が現れた。いや建物で合っているのかさえ疑問符がついてしまう。

がここまで歩いてきて人工的な全てが見つからないのだ、不能たる人工物的であろうと見つけてしまえば安堵してしまうものは避けようがない。

とりあえず警戒しながらも近づき、改めてその異様さは計り知れないものがある。

一定の感覚にて脈動していたかとみれば、早鐘のように変形しかといって、まるでその部分のみ時間を忘れたかのように止まっては停まり動いては動き続けている。

この様な建物へ足を踏み入れてどうなるかは定かでなく、もし仮に予測範囲外な事が起きたなら対処のしようがないかも知れない。

「て考えてみても時間がない。それに。ふふ。匂いが強く濃く芳しくなってきている。間違いなくこの中には彼奴。ふふ。そう彼奴が居る。」

沸き踊る心が自制を許さず不穏な人工物に入る。

何もなかった。

がらんどうに家具や照明等書籍も考えていたのだが本当になにもなかった。単色にして燃える色。

自身を写しているかのようなその部屋に不自然な嫌悪感を(いだ)いていた。

それでも進むために入るしかない。そう此の場には知り尽くしたものの噎せるほど強烈な匂いが充満しているのだから。


眩い光に呆けし眼で見続け、収まる寸前にてその根元に手を伸ばし破壊すると空間の間にて揺れを観測し。失策したと思ったが遅い。黒き全てを飲み込む霧が破壊した根元より出でて肉体を覆い包み溶かしていく。

笑いが無意識に出ていたが途中で変異した。

「ああ。意識すると変になるな少しは練習するか。」

何のだろうかと自問するも霧は晴れていく。

「うっとうしい。」

軽く。軽くだよ。軽く手を振っただけで霧がなぎ払われた。

払われた霧は簡単に霧散し広がるは夜により暗い黒。

「何か前にもあったような。無かったような。ん。ないな。」

考えるより早くに行動する。

歩みは遅くもなく速くもなく僅かな緩急をつけながら進んでいく。目的とする指標はないが感覚を信じて進むのみ。

「まあ感覚なんて信じるより疑ったほうが確実だよな。」

たったの数歩進んで止まり、大きく息を吐き出し足を上げて踏み込むと足元から周囲へ亀裂が走っていく。

「あ、やり過ぎた。」

言葉通りに亀裂は想定外に走りに走り、背景までも裂いていくと短い笑と嗤いを混ぜた言葉と共に構築された世界が崩壊された。


瞬間に希望を砕かれたように床へ膝を着いてしまう。

正確には瞬間に鼻腔の奥を刺激し脳天を破壊せんとする強烈にして強力に壮絶な臭いのため影響に肉体が限界寸前であるため落ち着かせることに専念する形のためこの様な姿勢をとっていたのだが。

「ふぐ。うぅぅう。気持ち、吐きそ。」

顔の表情は悪くなり目元が下がりに下がりに下がって落ちていた。

「も、無理。」

痛みは体の前面から走り、内部を軽く損傷させる。

が損傷は意思に無関係に治癒していく。

「んぐ、単純な事象では補正されるか。はぁ。仕方なし、にしても。」

改めて見回すに狭すぎる部屋であった。

外からの眺めと実際の齟齬の差に違和感しかなく何かの意図を感じていたが現状それを気にしている事など些末にしかならず、問題は。

「このあからさまな装置。それと。」

装置から伸びる筋の末端につながる双方の円筒形と三角型の何か。

「調べるでなく。これは。 ふはっ。そうか。じゃあこれが起動の鍵か。なんか出る前に持たされたけど。なんだろうね、誰の差し金かな。」

と考えたところで答えはなく、装置を調べ鍵穴を見つけ嵌め込み右に二回左に二回と回す。

と装置が起動と同時に内部機構が駆動し装置中央に内包されていた個体が起動の熱に液体と成り二つの離れた装置に流れていく。

内部を満たされた双方の装置は僅かな光を放ち中央の起動装置が床へと収まり4つの突起物が天井に設置され4つを繋ぐ閃光を収束し獲物を貫くように彼の者を覆った。

《ジジ・コレヨリ噴炎の領域へ転送します。》


何か触り心地よく穏やかにさせるものに包まれていた。

「何時までもこの、心地に浸っていたいが。」

払いのけ起きると一人のかしづいた者が控えていた。

「お前が誰かなど聞かないし知る必要もない。さて、この場は何かを訪ねるより早くに答えたとしてそれが正解か否かを判断する基準がない。そうだよな。が、俺にはこの空間が何かを知っていて体験している。そしてお前があれの連なりだというのも今知った。で、果たすか、それとも見守るか。それなら懐と腰に足首さらに口内に隠したもの全てをこの場で破棄してくれないかな。そうだ、それと髪に仕込んだ物も含めてな。」

言い当てられ汗が吹き出ていた。

「それと其処に控えている者達も同じようにしてくれると助かるのだが。外も含めて、な。」

渋ると考えていたが思ったより素直にでてきた。

「その素直さは頂けないな。この場で自ら絶ってくれないかね。処理はしないが。」

想定どおり苦しむ表情を隠せなかった。

「なら、あの時と同じように処理してもいいが。どうするよ。」

一人が吠えるように向かってくるがその一歩に満たない歩みに処理という消滅を結果として残りに与えた。

「で、他は居るかな。向かってくるなら同様な処理を、いや、処置をするけど嫌なら答えてくれるかな。お、その反応で理解した。そうか。あの時の空間と同等でなく同質か、虚しいななら同じような結果を産み出さないようにお前達もまぁ努力しろ。」

自身はしないのかと誰もが考えるだろうか。

かしずいていた者や居たたまれない気分で姿を見せたもの達を他所に部屋の呈を模していた空間の出入り口、その下の場所を踏み抜くと燃え盛る炎に包まれ収まると眼前に拡がるは燃えに燃え続ける紅蓮に黒焔青火炎に彩られし空間であった。

「見えていて、見えていない、そして感じるようで感じられない。正に条理が通用しない空間か。」

熱さ、からくる痛覚が一切感じられず。また近くて遠くに見えている様々な表情を見せている燃え盛る全てが触れる事が出来ない。近づくと離れ、退くと近づいてくる。なんとも感情を撫で上げるものであろうか。

「さて、壊すにはどうするかね。」

「調べないのですか。」

「ん、調べるてこの空間の何たるかをか。それか根元をかな。それについては興味ないし出る方法を探したほうが手っ取り早いだろ。」

その場で足を広げ呼吸を整え。

「ほっ。」

地面を破壊してみる。

壊した場所から勝手に修復されていく。

「ふむ。では次へ行こうか。この場に居たいのなら無理にとはいわないが。どうする。」

答えるものなく。全員が怯えていた。

「では行くかな。」

無視して先へと向かう。次の地点。

平坦な地平の中でこれ見よがしな丘へと。


夢の中にあると理解するが簡単に起きられない。何かに包まれ心地よい気分に支配されていた。

自身の底からわき出る感情が抑えられなくなってくる。

「はあぁぁぁあ。良いなぁ。ぁぁあ。良いよぅ。」

これまでの事が全て。

「もうどうでもいいか。」

と目的が薄れ掠れ消えていく。

「はっあああぁぁぁ。」

思考は沈み堕ちて消えて揺蕩う何かへと変異していく。

「ふひひ。」

燃えていく。

記憶が。

記録が感情が次々に燃え付いて拡がって、感覚も燃えて、器の体が燃えていき、延びる触手の先にある(こころ)に着いていく。燃えて燃え広がって後には何も残らない。

《あ゛っ》

瞬にして包む全てが麻痺するかのように停まり次には全てが燃えていた。

灰から甦る者のように燃え尽きた全てが戻っていく。

「あ、ああ゛。ああぁ。何を呑気に浸っている。どうして忘れている。だめだろう。」

叫び起きると周囲は燃えていた。

不可解に熱は感じられず、さらにどうしてか力が注がれているように充填されていく。

立ち上がり見渡すと数えられない柱が乱立していた。

数本は揺れていてさらには音が轟き反響していた。

手を表裏見ながら小さく軽く笑い。目を緩めると其までより遥かなる力が注ぎ込んでくる。

込められた力の大半が一つの感情であり、一つの存在に対して向けられていた。

短い納得の言葉を発し立ち上がり燃え盛る柱の間を縫うように進む。

出口の心当たりなどないが進むしかない。

尚も力は注がれ一つの存在に対しての一つの感情が内部にて渦蒔いていた。

口角が上がってしまう。

手で押さえようとも抑えはきかず、昂る気分を楽しみながら進んでいった。

音が反響していく。


頂きから見下ろす。ほどない小高い丘へと到着したしていた。

数ヵ所に穴とか深い谷のような斬撃の後々が等間隔から適当な距離に刻まれていたが当初の位置からその付けた全てが失くなっていった。

「ふん。これで最後か、な。」

手に填めた品で地面を一撃で粉砕する。

「どうなるかな。」

粉砕された地面はこれまでより速く、修復されていく。

「でだ、これを起点としてさらに範囲を拡げると、どうなるかね。」

「んながっ。」

いつの間にかにその手には長大なる剣と小さな鞘。

「んじゃ崩して落とそうか。」

逆手に握り地面へと深く根元まで突き刺すと地面は罅が走り拡がる。

走る罅は止まることを失しているかのように地平と考えられる空と考える境界まで到達すると空へと走っていく。

「ほほ。箱の様なものか。あれと同空間か。でもこの赤に彩られたものは誰に対してなのかね。ふむもう少し持つと考えていたが。なああんたらはこの空間全てを把握しているよな。なら支点と作用点を知ってるかい。あ、別の言い方ならこの空間にそぐわない異物とも言い換えればいいかな。そのような物を知ってるかね。」

首を振られた。横に。

「では記憶に違和感を思ったことは。」

同じく。

「なら人数に対しての齟齬はどうかな。」

同様に。

「ふむ。では何時からこの時空に存在してたかな。記録してるかね。」

「た、たしか、そ、そそうです。六年と3ヶ月と16日と七時間11分32秒です。」

「ふうん。なら正解だ。」

「はえ。べふっ。」

手元が消えたように見えて視界が落ちていく。

初めは理解がせず次第と現実が追い付いていった。

「べぎゃああああ。」

目の前に腰から下が存在していた。それは自分の下半分。

そして今現在、自身は地面に意志と関係せず横たわっていた。

が不理解なと考える。何故なら時間と共に発される痛覚が全くと言っても過言でなく貫くように無いからである。

「根元同一の欠片か。まさかこの場に潜り込んでるとはいや、むしろあれを契機にして潜らせたのか。なあ。」

「まぶげっ。」

答えようとしてその頬を貫かれるも等しく痛みが走らない。

「さて根元同一。その欠片である君に聞こうか。この空間を構成している合成混合物質は何処に存在している。まさか知らないとは言わないよな。」

その目に隠る負の心情は他を圧倒する気配を見せていた。

「ぐふぉわわわ。」

「どうした答えられないか。」

「うぐぅ。」

「ん、そうか。ならこれ。か。」

「いぎっ。」

逆手に持って刺したものは小さな刀。短刀より短く小さな飾りと言われてしまったなら誰もが納得してしまうだろう。

頭部のある部分へと射し込み位置を調節して忍ばせていた数百を上空へ振り投げ落とす。

「お、見えてきた。ふうん。そうか意識としての知識はなく、深層の知識として存在していたか。じゃ見せてもらうか。」

位置を幾度か動かしていき知りたい情報を見ていく。


燃えている空間からいまだに出ることが出来ないでいた。

熱は感じられずというのが幸いしていたがこうも同じ景色が続くと飽いてくる。床。か地面かの判断は保留にしてもこの熱は下からも発しているがそれすらからも熱さを感じない上に増大する力は並々と注がれていた。一つの感情をもって。

突如見えない壁というよりこれまてより異質な塊に阻まれた。

正確には囲まれた。という言い方が適切か。

その塊は各々に確実たる意識が存在していた。もちろんそれらは穏やかな感情ではなく。落ちて墜ちて堕としていく感情が流れてくる。

「感情。これは感覚か。数種類の感覚が感情と相乗して一種の確定意識を造り出している。まあ健気な人の夢。これだけを見て感じたら普通は。が。」

近しい塊との距離を詰めると一払いし消滅させる。

機敏に反応し場を移動する。

耳に届く音はその既決を物語る。

「抉れてるね。なんでこんなことを。はは。それは簡単さ。だって自業自得だろ。その瞬間まで享受してきたんだ、それに見合う対価を支払うのは当然だし同情する価値もない。それで器を使って自身の憤慨を晴らそうなんて、のは笑えないな。」

残りに同様の処置を施そうとするがそれらは察したのか距離をとり、そして一つに統合する。

「敵わないと思考して一つに。まあ各々の願いは主着点だけを見たなら一つだけだ。単純にして可能だよな。まあ各々の率を考えたら簡単には無理なんだが。」

根幹が同一であり一つの道へといたるのであれば簡単に結合し融合し混合していった。

笑いとはまた判りやすい。

「まあ。で、思考は統合してるのかね。」

複数の声が重なって返答された。

統合してないし。

「失敗であっても失敗ではなく、ある種の成功例か。」

事実、塊であったそれらは統合し一つの大いなる存在に近い何かに変異していた。

だが。

「何かに統一してくれないか。聞くに堪えられない不快すぎる声。あと複数で話されても言っていることが違いすぎいるし聞きとれない。」

と注文めいたことを言っていると沈黙が少々。

「これで宜しいか。」

「あ、そうなるのね。」

一番若い者の声で言ってきた。


収集した情報を元に根元へと歩いていく。なぜ走らないのかは気分であろう。

「さしてとかでなく。急ぐ理由がないわけでないけど焦っても無意味だしなぁ。どう思うよあんたらは。」

振り返ると人形と化したものを背負っている者を含め答えに喘いでいた。

「返答は期待してないが、それは邪魔だろその辺に捨てろ。」

全員が首を振る。

「わかった。」

以降なにも、話さなくなった。

誰も喋ろうとせず、全身を撫でる風は気分を晴れやかにするのだが心が悲鳴をあげるように重い空気が流れていく。

それは永遠とも感じるが実質、短く目的地へと到着した。

「ん。この辺りのはずだが何もないな。となると。」

視線を上に向けて。

「何もないな。といって此処もないだろ。」

地面を軽く鳴らす。

「なら。これだ。」

視界全てが粉々に砕けていくと知らない光景が脳裏に焼き付いていた。

同時に吐き気が込み上げてきたが抑え込んだ。嫌な汗が流れていく。


「それでこれが知ってる全てか。」

「あ、あががが。」

因果なものではあるのだろう。

話している途中で切欠、は皆無なのだが言葉が詰まるようになり始め、最後は音に換わると再びの分離と懇願と襲撃であった。

軽く外し触れると自我が崩壊しその根幹たる記録が流れてきた。

現在、その全てを把握するため仮の自我を生成固着させていたがもう持ちそうになかった。

「結局、この場所から出る方法がない。」

そう知識は蓄積できたが目下、課題として空間からの脱出が判らないのである。

手詰まり。袋小路。奈落の底。

意識してはいなかったのだろうがそれとも諦めてしまうとそういう姿勢をとってしまうのだろうか。全くと言って検討もつかないが脱力して上を向いていたが、変化はなく嘆きの短く悲しい言葉を漏らすと世界が眩いとはいえ遮るほどではなかったのだが瞬間に目を閉じると全身が落下と上昇を同時に感じるという在ってはならない感覚をもって目を開けようとするが開けられず、無理に開けると激痛が脳髄から全身へと巡り全身が別の痛みに襲われ意識が薄らいでいったが自身とは別の気配を感知し全身から身の毛よだつ吐き気により逃避する欲に襲われ精神内へと堕ちていく。


「幻想的な崩壊を予想していたけど、まさかの事態。乾いた笑いもでないな。」

根元を消去する方法としての極端な方法は辺り一帯を同時に破壊する。もしくはその物を切り裂くという方法があろう。が取った方法はどちらであってどちらでなく。良いとこ取りでなく悪手といえるだろう。

腰を落ち着かせているその下には砂粒の山とその中程などには見覚えある者と背後に存在を許容していたもの達。そして元人形。

「この場所が本来の起点としたならまた、殺風景な。色も重いし。」

見えるだけでだが、砂粒の山々が永遠と続いて果てが見えない。

底其処に何か重く苦い痛覚が刺し沈んでいく。

何時まで見ていても無駄なので一番近く見知った者を蹴り起こした。

「げふぉっ。」

と転がり堕ちていく様を見ていると大分、少し、僅かながらに軽くなった。

山裾まで降りて転がって、転がした者を軽く蹴り起こす。

中々起きないので頬を往復数回たたきやっと起きた。

「ん、お、おぉおお。」

「いっ。」

「や、やっと。」

起き上がりと同時に抱きつき頬ずりしてきた。

「な、ななな。なにしやがらあがあああ。」

引き剥がし放り捨てるように遠方へ。短い言葉と嫌な音が届いてくる。

その直後に黒混じりの赤柱が上昇し上部の一部を覆っていく。

背後に笑いが聞こえてきた。

首に衝撃を受けるも数歩進んで労るようにさする。

「お、お前何者だ。」

「いつつ。んん。」

振り返ると。

「な、そ、んな。確かに根幹としての根元まで。」

「んあ。意識は確りしたか。でだあの時しようと考えていた質問なんけど、どうして俺を襲った。そんで今でもその臭いが、するのか。」

「ぐ、貴様は一体。」

「おや、質問してるのは俺なんだが。」

問答無用に肩を掴んで外そうとするが。

外れたが戻った。

驚きと同時に退き、距離をとる。

「痛いなあ。少しは人の話を聞こうぜ。」

訝しむがそれを置いて構えをとる。

「本当に、貴様は何なんだ。俺の力はその身だけでなく内側まで燃え尽きていたはずだ。」

「ふむ。それに答える義務はないな。なぜなら、お前がした質問は一つだけ。それ以外は受けてないし。」

「おま、え。いや止めよう。そうだ。それは違う。なら良いか。質問は一つだ。どうして貴様は、俺の知っている存在の匂いを纏っている。いやこれは違う。そう放っているというほうが的確だ。」

「それは失礼だと言ったよな。ん、知っている臭い、いやこの場合は匂いか。はは。それが何を意味しているのか。あぁなあるへそ。返すようで悪いが聞いていいかな。」

頷いた。

「お前が言っている臭いは臭気の臭いでなく、良い意味での匂いのほうか。」

頷く。

「はは、でどんな感じなかな。」

「ああ。芳しくそして何より惹き付けるように抗いようのない頭を揺さぶるような。」

「で端的に言うと。」

「地を這い、木々を縫うように移動し、空を飛び回る。そう束縛のないもの。」

それは。

「つまると、はは。しっつれいな。」

獣のにおい。

「ああ。そうなるのか。が俺には芳しいことに他ならない。」

「そかそか。でそれが発してると。繰り返すが本当に。」

「ああ。だか」

「ても心当たりはないな。何かあったかね。」

思考を廻らせ記憶を探ってもなにも思い当たる節がなく。」

「やっぱ知らないな。」

「ぐ、では」

「さあ、そんなに強いのか。」

「そうだ。これほど確たる感覚は久しい。」

「そうか、ならこうしよう、もしお前のいうその何かに会ったなら連絡をしよう、無かったらその時は諦めてくれ。これで、どうだ。」

「いやあまい、少し話を」

「ても時間は無いだろうな。どうしてなのかを聞くよな。ほれ。」

指し示した先には崩壊の兆しが現れていた。

「このままだともって短時間かね。巻き込まれたいなら止めはしない。まあ出口が見当たらないからどうしようもない。」

「む、それならこの先を行けば出口があるぞ。」

「へえ、知ってたのかい。」

「ん。どうして俺は。」

「質問のことだけど。もう一つ追加で受け付けるが、どうする。」

「時間はないのだろ。」

「そうだな、まあ時間的な余裕は微妙だけどな。可能な時間は一応あるぞ。どうする。」

「そうか、なら一つ。お前はなんだ。」

「いや、また大雑把な。ん。そうだなんん。今の立ち位置はまあ中立の立場かな。現在は判らないが。始まりはまあ内密な事なので話せないが。」

「そんな話を聞いてるんじゃない。」

「ん。違うのか。そうだな。んんっ。ふふ。僕はね居場所がないんだよ。だから探してるんだよ。僕の心の拠り所を。依存できる場所を。」

「違うっ。そうじゃない。」

「む。なら私のこの不都合な肉体をどうにかできるような方法を探究し究明しそして、越えてみたいと思うと。それか」

「だから。違うと言ってるだろうが。」

「ほほう。そうか。残念ながら自身を(つらつら)と述べるような言葉は持ち合わせがない。面白いことに。」

「ぐ、ふざけるのも」

「おやいや、これでも真面目に答えられる範囲で答えてるけど何が不服かね。」

「きさ、まは。何者でなく、何なんだ。彼奴の匂いが強すぎるがその奥のふぐ。」

「さあてね知りたいなら答えを聞くという安易な行動をとるより、むしろ苦労して自らの力で見つけるんだな。世界は甘くはない。お、時間か。」

崩壊が周囲を囲みかけていた。

「この空間を出るとするかね。」

「ま、まて」

「待てと言われて待ってたら崩壊に巻き込まれるだろ更なる面倒は避けたいよな。なんで拒絶する。」

追いすがろうとするが地面を蹴りあげ崩壊を加速させられる。

崩壊する向こう側では気絶していたもの達が出口へと集結しており出口の先へと出ていき、最後の1人である者が縁を掴みふりかえる。

「あ、そうそう。一つ忘れてたわ」

崩落が更に加速し崩壊していくが、隙間に見えるその口許は驚愕の真実を紡いでいた。

その表情、笑って嗤いを抑えない嘲りを内包した表情で見下していた。

歯軋りにて心を圧し殺すに留める。なんとも嫌な気分を味わいながら崩落は頂点へと達しようとしていた。

その場で屈み、腕を引き絞り一撃にて崩壊する。

心に暗雲なる模様が渦巻いていた。


気づいていて気づかないようにしていた。

あの柱は全て、人がその身を燃やして、燃やされていたのだ終わりなき燃料として。

あの野郎。どうして見えないようにしていた意識しないようにしていたあの真実の世界を知っている。

てそれは気になるがいい。もう一つのあの言葉はなんだ。何を言っている。


隔離空間は消滅した全てを呑み込んで。

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