表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
二章~交渉決裂と戦争準備~
69/111

二章~交渉中断・談義~

『さて今回の交渉は今までと違う。同じような対応なら我々自身が被害を被る。それだけは避けられないものか。』

『だが。これはこれで後々への布石にすぎず、本命は未だに見えない上に山積する数々の難題。どう処理しようか。そんな事を常々考えている。』

『で、どう打つ。手立ては有るのだろう。よもや無考だとは云うまい。』

『関しては心配有りません。もう打っていますし手配も済ませています。この交渉の可否に関わらず。最後に旨味を懐に入れるのは何時ものように我々です。が懸念材料が幾つか、あいえ、終局的には一つに集約されますので心配事は微々たるものと。』

『ではその微々たる事に関して(これ)までに集められた情報を整理してみるか。なあに時間はある。彼方も今は紛糾しているのだろう。あのような怪しげな言動をとったあの不理解なこと、即排斥されるだろう。では始めようか。我々のみが潤う相談を。』


静かな時間が流れている。耳を澄まさなくとも微かな音さえ聞こてえしまう。その様な静寂に支配された。が空気は清々しさより程遠く。息詰まりそうな感覚が圧し掛かりが空間を覆う。

「さてどう説明したものですかね。なにも隠すような話はしないのですがね。」

無言。誰も発することなく見ているのみ。

「解るように説明出来ないなら要約だけでも出来ねえか。なあ。」

「そう言えばあの状況でああいう対応というか動けるのですか貴方は。空間断層なのですが。」

「ん、おおあの状況はそういう類いかよ。人生長くあるが流石に驚いたぞ。さて、どうして動けた、か。其処の二人と何の違いがあるのか。検討も着かんよ。お前さんは解るのか。」

「いえ。私も理解しかねます。何がどうなっているのか。ですが心当たりは無いでもありませんけど確信はないですね。」

「待て待て。どういう事だ。何がどういう。」

「んん。では順序だてて説明しましょう。理解するかしないかは、二人次第ですね。そして元上位たる貴方も。」

「おお。そういやあの現象はなんだ。断層の隙間とか言っていたが。」

「ですからその辺りを含めて話しますよ。二人が信じるかは別ですが。そして理解できるかも。て、二度云ってますね。んん。」


さて。なにから話しましょうか。おや、これは戴けない。何か知ろうとするなら対価を払いなさい。対価なき享受は相応の代償をもって支払っていただきましょうか。

でどうしますかね。おや意外と速く退きましたね。粘るか諦めて姿を見せるものと思ってましたが。

ま、宜しいかな。では始めましょうか。事の起こり。ではなく例の現象について。


静かな時間が漂う。


言ってしまえば時間と時間の隙間です。つまりは理という絶対たる事象の外側であり知覚できない世界と隔絶された場所ではないのですが、定義的にはそのように言った方が理解しやすいでしょう。通常なら意識あれど肉体は動かすことは不可能。稀に認識できても虚空のようでいて夢幻と認識してしまう。

して時は連続しており断絶は出来ません。術を用いた法は理論上可能ですが実用までには至っていません。何故なら時を断つと言うことは時間の流に逆らうということそして抗うとも言います。器たる肉体と心である精神。いずれ世界との解離が僅かに検知されるでしょう。ええ。そしてもし、いえ必ず対価を支払わされる結果となります。擦れは僅かであっても二度三度と繰り返していけば世界との解離、隔たりは大きく長くそして深く現れてくるでしょう。

さて話が反れましたが時間を永遠に切り潰す事は世界の消滅。いえこの場合は次元の崩落から始まる消失ですかね。なのですがそれらを一時的にせよ可能にしているのがあの空間です。理論上とは先にも言いました、確かに在りますが、あの場所は別の何かです。私は便宜上〈停止位置〉と呼称してます。まあ別の言い方もあるようなのですがそれは置いときましょう。

あの空間は言葉通りに時間が停止しています。進むことも戻ることも出来ない完全なる停止状態。何の対策もなくあの空間に入ってしまえば世界の強制力により弾き飛ばされ肉体と精神が切り離されてしまうでしょう。理論上なので実際はどうかは知り得ません。

ですが彼の場所は幾つかの条件を満たした状態なら通常状況と同等に動きもできますし呼吸をすることも可能でしょう。

これが一応の私見です。今出せる情報は以上です。

さてあの場所でのやり取りではなんとか退いてもらえましたが、次は上手に出来るとは思えません。どうも気分屋ですしね。

でその正体ですが私には解りませんし理解も到底及びません。知るものは数人か誰もいない。どちらかでしょう。

では此処からは次なる舞台への装置起動準備のための相談といきましょう。


「なんて言いましたけど。理解しましたか皆さん。詳しくお知りになりたいなら事が完結してから聞いてみてください。素直に答えるかは未知ですが。ね。」

「はは。なんだ、それは説明になっていないだろう。」

「そうだ、俺達は貴様の不可解な行動に対しての説明を要求したんだ。それを不理解極まりない言動で物を言われて素直に受け入れられるか。」

「ほう。そうか、それであの会話が成り立つのか。いや、途中から意識を向けるとあの場面だろ。長く生きていてあれは面白いな。」

「いや、いやいやいや。一人で納得しないでもらいたい。翁よ。俺達にしてみれば突如の蛮行にしてあの惨状だぞ。理解できようなずないだろう。」

「くく。そうだな。が、これだけは云える。ふふ。お前さんらも何れ近い内に理解の範囲に踏み入ることに成り得る。いや勘だが外れても文句をいうなよ。で、俺達は何を。と言いたいねぇ。」

「ええ。その手筈は殆ど揃えられ終わっています。ですが最後の一手に関しては材料が不足してましてね。あの者も何やら怒りを覚えるようで。」

「はっ。知ったことかよ。俺達は元々別々の目的へと到達するために着いていた。それを何が悲しくてだ。こんな面倒を拡大させてまで介入しているのか理解に苦しむ。たくっ、聞いていた内容から掛け離れすぎて放棄したくならあ。」

「そうですか。私は留めませんよ。と言うよりその権限を所有してませんからね。全てに関しての全権はあの者に委譲されてますので。生きるも死もあの方次第ですね。ではどうします。離脱しても私は咎めませんし権利もないので引き留めませんよ。もちろん別の道を歩まれてもそういう事だと認識して受け入れましょう。これは個人的にですがね。どうしますか、お二方は継続か離脱か。保留という選択はありませんよ伸ばしに延ばして結局はなんてのは後の凝りを産み出しますからね。」

三人が短く吐き出し縦に振る。

「良いだろうこのまま俺は着いていくぞ。」

「僕も同意しよう。」

「はっ。なら俺は離脱させてもらう。どの道一蓮托生なぞ望んでいないからな。」

「そうですか。ではどうぞご自由に。」

「なんだ。本当に引き留めないのか。」

「ええ。私には権利が無いといいました。それに実質的なこの中でそれらの執行可能者は貴方でしょう。元上位たる貴殿しかね。」

納得するように頷いた。

「はっ。なら勝手に動かしてもらう。どういう事に成ろうが責任は持たない。」

「ええ。ご自由に。では次に会えたときにお互いを。」

返答せず出ていく。

「・では先の話をしましょうか。反論や戸惑いなどは最後で御答えしますよ。では進めますか。」

一人が呆れたように。一人が困惑の中で話しは続いていく。


『で、どうなったのだ。結果だけを見てみればおおよその事態は把握しているのだろ。あの者らの弁を信じるに値すると仮定したならばだが。』

『ああ。我々の。延いては根元たる方の意向から僅かな擦れが生じていると多方から挙がっている。修正は可能だという報告も受けてる。何分規模が規模だけに戻すには。』

『でだそれを含めて、今回の原因が何かは調べたのか。まだなら速いに越したことはないと思うが。』

『それに関して精査したとこだ。見つかるまで時間が掛かるらしい信頼できる筋だ少々待ってもらいたい。』

『で、我々の今回の目標は全てを戻し、首謀者ならびに関連した物事を処理する。くらいですかね。』

『その様に軽くいうが単純ではないぞ。』

『言ったでしょう手を打っています。と。準備も整ってますし、あとは発動の機会を待つのみ。』

『だが懸案事が尽きることない。そうだろ、この会話の最中であっても我々の知らぬ時と場所で事が想定外の方へと進んでいるのだから。』

『くんっ。掛かる費用に際限はない。早期解決を目指して進軍しますか。あの方のために。』


軽装な見た目に騙されたものが足下で呻き転がされている。

一人の髪を掴み囁く。

呻きが悲哀を帯び、悲観へと移行すると歓喜し踊るように躍進するかに見えて地面へと頭蓋が割れるも厭わず打突を繰り返す。

無視して次に別の存在に触れるは足。

どちらともなく触れる。

指で何かをなぞるように施し放置。

隣にいたものには肩を深く突き刺す。

苦悶の声はするが無視。

続いて離れていた数人に違う箇所を近いようで異なる処置を施す。

内一人は泡を吐いて赤を流し全身が震えるように動かし大きく息を吸い、静かになった。

残ったのは。

『んんふふんん。んんんふうんんんん。ふふふふふはふふはふふふはははははははははははははははははは。はぁあああ。これが本来の目標に向かうのか。失敗したら本末転倒では済まなくなるだろうょ。おと。危険領域』

『それにしては此方の動きを的確に察知して襲ってきたな。その方が簡単だろうが。この島は知られていて知られていない島だからなこうなる事も予測済みだろ。あの者は。』

『ひひへ。そうだろうなぁ。まあ今は解除されている身だ。本来なら放棄しても咎めることはされないだろうぜ。』

『それでどうして今も従うように行動をとっている。』

『おや其々に各々に個々人に事情があれど理由が無くとも共にするというのが初見の認識だったのですけどね。違いましたか。元々従う気はなく。好きに生き好きにねえ。幾人の意向が幾つも絡まっていても関係なく従う。いえ着いていく。それが我等の認識。そう思っていたのてすがね。』

『ほう無駄な分析だ。だがそれは遠く近く、か。俺は元々の仕事の流れ的に着いてきただけだ。まあアレを気に入った部分もあるがな。お前さんはどうだね。』

『へへへ。そうだねぇ。我は別にだな取引で受けたにすぎず、反故になったところで何も変わらずだ。それでもまあ、楽しくはあるねぇ。そういうあんたはどうしてだ。』

『ん。ええ。私は言ったでしょうそれ意外の異はない。まあ実験の範囲を限定せずに済むことには感謝していますがね。さて終わったかな。』

三人の見ている先には処置した者達がある法則により一定の地点を中心に転がっていた。

その標榜は虚ろにして骸。幻にして儚く。恍惚にして凶意。これにて準備は一つ終わった。

『残すは幾つだったかな。』

『さあ。何せアレは適当なきらいがあるからな。無駄に終わるか有用に作用するか。さてはて、どう転ぶか楽しみか。はたまた余計な面倒になるのか。それは誰も判らんな。』

『面倒にとか言いながら声に上向きの感情が乗っているように感じるのは気のせいですかね。』

『くけけ。気のせいではないよ。楽しんでいるねぇ。でだ。これは払われるのかねえ。何せ現状、枷は外されていると同義。と言うより外されているよね。ならこの対価は必要だよねぇ。二人もそうだろう。』

『ん。対価。ああ。俺は別に要らんよ。アレを気に入っているしな。払われるなら貰うし、無ければそれで。と考えている。アンタもそうだろ。』

『ええ。そうですね。別段、欲する理由も在りませんし。その価値を見いだせませんし。貴方は欲しいのですか。』

『げけ。当たり前よ。無償など愚行すぎる。』

『そうか。でアレがお前さんとの交渉に乗ると思うか。』

『ぐぎゅぎゅ。ぎぎ。我がそれを』

『許す許さない以前の話ですよ。アレが簡単に乗るとは思えませんね。ではどうしますかね。』

『なら、ちか』

『ええ。力ずくで結構。ですが簡単に安価で易々と乗るものと思考しているのなら愚者の顛末しか見当りませんね。』

『がはは。確かにな。アレが簡単に乗るなら誰も彼も苦労しないだろうよ。』

『ぐく。』

『はあぁ。しかしですね。』

『おう。言いたいことは言いねぇ。誰も反論はしねえよ、たぶんな。』

『いえね。どうしてこの気に乗じて我々を襲うという短絡的思考かつ効果も見込めない作戦を指示したのか。もしくは込みでこれは我々の知らぬ力を図るもの。いえ計るものですか、それとも測るというほうか適切ですね。それでも何者の意思が働いたことには変わりく。どうも何がしたいのか見えませんね。あ、終わりましたね。あの者は一応離脱しました。で、貴方は追いかけないし処理するという愚行もしないのは。』

『なんでぇ。』

『面白い。』

『ぐへっ。歪みに歪み。くくく。面白いやはりアレがなんだろうと交渉はする。それが我の願いなり。まあ現在のだが。』

『ふむ。()()のですか。まあよろしい。では先の話をしましょうか。殺意に悪意。思惑から私怨に怨恨。誰彼構わず破るかどうかはあちら次第。ではでは話しましょうか今後について。そして潰しの効くように取り計らいますかね。』


別時間。

仮面の異界が強襲対処をしながら談義をしていた前後。

「で、では私達には。まだ、望みが叶う余地が在ると。」

〈んや、隠す気はないので正直に言う。望みを与えて絶望をなんてのは我が(ぬし)に対しで無礼すぎる。今回の事で成功失敗問わず処分先は決まっている。なに、血族が彷徨うようなはしないし取り計らう。それは主の思考であるので。てはユルリと進んでくれたまえ。〉

絶望が咆哮を携え響く。

反響をして伝播し通常なれば届きぬ地点へも轟いてしまう。

さて何故の因果か。

〈あ、そうだ君達に貸し与えた品に関して心配しないように。事が終了後こちらで回収する手筈になっている。露見するような事はないと安心してくれ。では健闘を。〉

残された者達に去来する感情は何か。

さて、これは如何様にも解釈できよう。

一番単純で明解だろう感情は。

悲嘆。

次に絶望。もしくはなんだろうか。願望か。

願望であっても種々。中が異なるなら先の行方は何通りあるのだろう。

思考して的中できるなら先を決めることにも容易だろう。

がそう単純なことではない。

いくつもの思想が交わり、無限ともいえる数の人が大なり小なり関わっていくのだ。そう容易く単純に運ぼうなどとは思っていても実際に行動を起こせるものではない。

そう容易くとも。


ふふん。賭けてもいい。確実に目標は滅び我々に残るものはあの方々に連なる品々。全てを分配し管理下に置いたならば世界は未来永劫なる平定が約束される。

んん。何を言ってるのだ。簡単なはずないだろ。考えてみろ、確実性に欠ける作戦は昔に悉くが屠られたろう。それも除外対象にも上らないような存在以下にだ。少しはその錆びた思考にまともな油を挿せよ。

でもさぁ。あの子達にしたら死活問題なんでしょ。だってあの時に全てを修復不可能なまでに潰したんだからさ。潰した後も全て回収して形を残さず処理もした。それが時を待たずに健在を証明されたのだから心が乱されるのは理解できます。

だからといってもね。性急すぎると思うわけなのだけれど。確かに各地での戦場が使い物にならなくなってはいる事は不満があるね。でも全体から見た場合その数は微々たるもの。修正はいくらでもきくのにどうして急ぐのか理解できないね。

つまりだね記憶違いなら謝罪するけど。大元の流れが此処に来て一気に乱れた。それは過去現在から連なる課題にして命題に等しいもの。あの方々さえも予測不能なあの存在が確認されたのが去年の一時だけ、それも潰された場所に残されたのは無意味な情報のみ、確実に残っているであろう映像さえも不可解な処理のため詳細不明。見たものは瞬時に理解できようが、はたして正解へとたどり着けるかは別の話。

そして今回だ。現在進行の会場では幾つかの作戦が無力化されたな。まだ残っているのだろうが素直に嵌まるとは思えない。もう少し踏み入ってみるのも一つの手だと考えるがどうかな。

異議はないが提案する。

聞こうか。



これら談義が示すは何か。

問答するもの。それは永遠の過去から継続されし難題。

知識を蓄積するもの。それは解を見つけるための苦行。

放棄し怠惰に生きるもの。何時までも見果てぬ先に失望し全てを投げ出しただただ生きる。

先を見据えた抗いを刻むもの。理不尽極まる過去が拭えない苛む生き方は周囲を巻き込み渦となり破滅へと導かれる。


誰も妙な気を起こすことを無意識に畏れている。

片手で足る存在を除いて。



さて。思惑が楔のように穿たれ。

次に。虚実の情報が鎖のように絡まり。

再び。交渉は開かれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ