二章~準備~4
さていきなりでは御座いますが。お集まりいただきました。皆々様にこれよりご覧いただくは世にも面白き。そして踊る地肉に沸き立つ涙。見えるようで見えない。見えないからこそ真の実りは霞んでしまうもの。
ではこれをみてもらおう。
暗く淀んだ空気の中で突如の光。それら全ては隙間なく全周から映し出されている。
そう多様にして多分に含まれた見るも恐ろしき映像の数々。背けたくなるような物まで映し出されていた。
ではでは彼方をご覧くだされば幸いに。
向ける一つの映像。
見たくなくても観ないといけない。
その場には無数の穴が掘られていた。場所特定はできない。
だが酷く湿気の多い場所だとは想像に難くない。所々そういった場所を好む生物が徘徊していたのだから。
あるものは気分の悪くなる悍ましい映像だろう。
穴には数人の人が埋められ頭部だけが出ていた。
全ての表情は伺い知れないが、全ての前後左右の一ヶ所に道具が置かれていた。
画面が揺れ高くなり俯瞰のように全体が見渡せるように固定される。全員が叫ぼうとするが、首に何かを突きつけられる。
お静かに願おう。
今から始まる悲劇という喜劇を無料で見せるのだから。
さて最初は誰がどう成るのかな。ふふ。
騒ぎを堪える観覧者達。
一人に映像が依る。
あぁ。この方ですねぇ。ではでは。そうですね。其処のアナタ。そうアナタですよ。
選んでください。何を。ふふ。面白いことを。決まっているでしょうこの方を奪うか。それとも、アナタ。そうアナタが奪うのかですよ。ええ。簡単ですそして、もしどちらも選ばなかった場合は。ほら。ご覧の有り様に。
画面には先程の者。その頭部に何かの装置が付けられ時間を描けるように落ちていく。
圧貝とでも申しましょうか。ええ。これはご覧の様に頭部に上下から硬い物で挟み、じっくりと時間を掛けて絞っていくのです。するとあら不思議、二枚は丁度二枚貝のように閉じていき、最後はホホッう。最っっ高な舞台が見れますねえ。そして、アナタ、いえ、集まりました皆様にはある仕掛けが装着されております。なに。簡単なもの答えない、もしくは自分自身を選んだ場合に作動する劇物が強制挿入されます。
ではではアナタのお答えを。
眼光鋭く感情は死んでいない。
諦めというものでなく、まるで助かることが当然のようにさえ思っている。
面白いか。いやなにその目は諦めないというよりも正に自分は後で報復。できるもの。と、まあそういう感情が見受けられるのだが。ほはは。これ迄の生で全てが自身の望み通りに運んだしょう。それは単に力と影響が在ったればこその賜物。さぁて、それが今。現在。この場でも。通じると思っているのですよね。
うんうん。なら考えを改めてね。この瞬間だけでも。さて問に対して答が無い。先の言葉通りに。奪おうか。
腕を高く掲げ強く握る。
悲鳴が画面から聴こえてくる。
と同期する声もまた会場に反響する。
画面の中で圧貝と呼ばれた物に頭部が徐々に絞め閉じられていく。その軋みが聴こえている。
さらに会場では答えなかったものが絶叫し悲鳴となり嗚咽を洩らし、俯くと両耳から赤が流れ出で地面を染めていく。
一定するとこれ迄の比では無いほどの声が反射する。
そう、永遠に。終わりなく。無限のように。
うひょひょひょ。さて皆々様。ご覧に成られましたでしょうか。これが今宵皆々様に体験していただく、遊戯でございますれば。さて続けてというのは面白くない。なにそうですね。では、この時を刻む装置が天から底へと堕ちきったときにでも再開といきましょう。それまで揚々と御過ごしくださいませ。
小さく御辞儀をしながら軽く跳ぶと姿が消える。
静寂が支配。
出来ずに全てから荒い呼吸が止めどなく漏れ出ている。
彼らの人生を掛けた遊戯は始まったばかりである。
空が暗いなと。考えながら歩いている。
元々の目的は端から達成されていた。
はずなのにこの作戦の意味を考えていたのだが簡単なものだと彼は至った。
小さく漏れるような笑いをしながら空を見る。
暗く澱む空は続いている。
「どの様な理由をもって我々、おや違いますね。私に対する試練をお考えなのか。その思慮深き深淵を見てみたいものです。」
手に持つは空薬莢。冷め用途は数えるしかない品を壁に軽く打ち付けながらずっと先の何かを見続けている。
「荒れそうですねぇ。私の方がまだましだと思いたいですが。さて。用意された場所までしばらく掛かるもの。ではここで商談と行こうか。皆さん。」
構える。
「おとと。そう警戒しないでもらいたい。私に対する試練は未だに続いており、長く時間は取りませんよ。そうですねこれより目的の者達の情報抽出完了まで。というのはどうでしょうか。不服ならこれでどうでしょうか。」
その所作から止めるという概念発露より早くに完了していたのだ。
「ぐっ。さて。」
落としたモノを拾い上げ差し出す。
表情は微笑み。
汗一つ流していない。
「ではですね。これを対価に進めましょうか。ん。おやおや。無駄な悲鳴はいただけませんね。ていっ。」
「はうっ。」
「と、あぶない。何方かこの人を救護班へ連れていってくれますか。」
飛び出し嗚咽にまみれる声と共に耳を突き刺すような感覚を無視して預ける。
「では皆様方。移動しますか壇上へと。」
「商談に我々の旨味はあるのか。その答えで。」
「ええ。そうですね。在るでしょうね。若しくはあの方が叶えるでしょう。約束はしますよ。ええ。あの方に誓いましてね。」
「では承諾しよう。もし失敗しても我々に害が無いことを絶対の約束を。」
「くかっ。」
「何か。」
「いえいえ。ええ。ええ。ええっ。約束タブンにできるでしょう。では行きますか。」
だが行く前に契約書に同意を示す名を書かされ。不服だが同意した。
約束から本当に時間はようしさず守られた。
商人達は良い笑顔で帰って行く。
不服そうな表情で彼らを見送るが切り替え事を運ぶ。
さて不服であろう。
なにせ彼の者は事を終えているのだから。
だが仕方なし。
して時間を遡ろうか。
時間にして通信から半日後である。
其々が指定された地点は簡単なようで普通に難しい場所である。
四人が一つの部屋で画面越しながら各々立てた作戦立案書を提出し不備を改善しながら協議していく。
終了には思ったより速く。其々が担当する場所へと向かっていった。
品の回収のためともう一つの為に。
自然と息を吐いてしまう。
それもこれも計画が頓挫しているにも関わらず突き進む彼の者。その思考を理解しようとするが、如何せんそう単純にはいかないもの。故に集まりが終わるまでの時間を要して思案する。
何に。
勿論事の発端から続くこの仕事を終端へと誘うためのあらゆる仕掛けの施しである。
「さて、これくらいにして。集まりましたかね。」
簡単に造られた台に昇り見渡す。
「ええ。今回はこの部隊編成ですね。では簡単に説明を。これより向かいます場所は。人工島。99番旧北極領;エタナリウス・エンプラエです。その中心地点で我々の目的とする欲している品を回収します。上手くすれば、ですが死者を出すことなく事が運べるでしょう。」
一拍。
「しかしながら容易く事が運ぶと思うなかれ。我々は絶対に。必ず。必然をもって。妨害されるでしょう。なればこそ、今この時より結束を固めるべくこれを飲んでほしい。安心してと言ったところで不安しかないでしょう。では誰か勇気を示せる方はいませんか。」
待つ。待ったところで何かあるものではないが。
が、一人二人と手を上げた。
「勇気がありますね。どうぞ此方へ。」
全員で六人。
「ではこれをどうぞ。好きに取ってくれてかまいませんよ。」
差し出した箱は中が見えない。
横からであるが。上からは同じ容器に同じ布に縛り止めた同じ紐。
内容物は同じように解らない。
「どうぞ。」
六人が一斉に掴んだものは面白いように違う。
同時に開け同時に煽り飲み干す。
「ええ。これにて全員に行き渡り、皆さんが飲んでくれましたね。調薬した薬毒効能を。んふふ。ご安心を。名の通り薬も毒も裏表。その効能は同時に発現しそして同時に打ち消し合う。無意味と思われますでしょう。んふふ。ですが意味は無いのです。ええ。ただの暇潰しですよ。うん。効能は確認できました。では乗船。準備完了したなら出航です。」
この時点で恨みを買っていたろう。
本来なら。籠と化した海上では殺意もたらす惨たらしい事になるのだが。
ふふふ。事の起こりは目指して数日後。
当番制を採用しておりその日は幾つかの大事な引き継ぎ事項が有ったのだが、いくら待っても現れない。業を煮やし部屋へ行くにも鍵が掛けられ、予備を使って開けると表現に困る表情をしたその者が死んでいた。
これを切っ掛けに姿を見せない者を探し十人以上が死亡していた。
全員が自室で死亡していたのだ。
本当なら現場保存を徹底するものだが、総指揮をしている彼が独断で死亡した者達の手足を縛り上げ口を塞ぎ顔に袋を被せ耳に栓を突っ込み。二つの船倉に放り込んでいた。
反論はあったが薬の効果を説明すると全員が苦々しくも引き下がった。
三日後。事態は急変した。
定期的に死体を調べるという最もやりたくない仕事を追加し当番制にしたが艦橋で風を楽しんでいた所に慌てながら上がってきた者が告げた事を承諾し、放送で全員を召集。
そして。
甲板に整列した者達が驚いて迎えるは。
引きずられながらも喚き散らす死んでいた者達 。
「おやおやふふふ切れましたか。効能が。まあ狙って飲ませたんですけどね。」
「なん、だと。お、お前は。俺達を試したのか、ここいつ等を炙り出すために。命を。」
「いえいえ。だから言ったでしょ。狙って。と。まあ成分は全て同じですよ。じゃないとこの方々の上に気づかれてしまいますからね。」
「ではどうやって。」
「秘密ですよ。なにせ簡単に明らかにしてしまえば次に手を打たれますからね。なので教えてあげません。では雑談はこの辺りで。」
「おま、」
手で制される。
「言いたいことは終わってからです。では外してください。」
詰められた物を口から外すと。
「ぐあ」
「絶叫しても無意味ですよ。耐性がついてますから死ぬことはありません。それゆえに全員に飲んでもらったのですから。ではその煩い音を消してもらえますかね。紛れ者。」
静かにその首に手を添える。
「ひぐっ。」
「結構。では君達の目的と所属組織。あとそうですね。記憶の欠片ですかね。私が知りたいのは。」
「そ組織何を言っているのか解らないな。それに目的なんて知ってるだろう必然的にな。ははっははははは。」
「そうですか。では最後の質問です。ん。冷害に封印された品は回収できましたか。」
「んな。どうして。」
「よろしい。あとは私がどうにかしますよ。なのでんふふ。眠りなさい。次に目覚めるは大舞台。」
「く、ぐか。」
「それまで夢を。」
液体を頭から掛ける。
反応はあれど瞼は重く閉じられ、項垂れ全身が弛緩し倒れ泡を吹きながら命が小さくなっていく。
「では他の方々も同様の処置の後に指示しした場所で肉体の保管をしてください。では担当者以外解散。」
命乞いするも無視し同じ処置を施し、間接を外して折り畳み袋へ頭を出した状態で各々を詰める。
甲板にて詰め寄られるも回避しながら船の舳先へと移動する。反転し全員を見る。
「説明をしますとですね。事前に紛れ者関連の信頼度の高い情報が持たらされました。疑いの余地はなく。それだけに残念でしたよ。両勢力にこれだけが紛れてましたから。まあ今回でどうにか一掃できましたが。」
皆は黙っている。
「ん、これ以上はありませんよ。」
黙る。
「もし付け加えるなら。あの薬は紛れ者とそれ以外を識別するという目的で調合したのではありませんよ。よもやこうも効果があらわれるとは私でも予想外でしたよ。それに暇潰しですからね。う、ごほっ。失礼。それとこの部隊でこれ程の人数。ではここだけと考えられますか。答は否定です。そう簡単なことです。紛れ者は何処までも紛れ込む。故に終わりがないとさえ誰かが言いましたね。しかしですね。それは不可能なので。どうしてか。それは無限に紛れる対象が存在し続ける事など不可能だからですよ。」
傾げる面々。
「考えてもみなさい。良いですか。このまま炙り出していきます。そうすると潜んでいたあれ等が表へと押し退けて出てくるでしょう。そして幾つもの場面時間場所。全てがあれ等で埋め尽くされるでしょう。そして最後に残った者がどうなると思う。ええ。最後は狂います。壊れて狂って叫んでそうして自壊します。そして終わります。ですが、一度表へ出てしまえば戻ることは不可能。そして本当に残されたのは。絶望という。壊れた世界。この世界自体の時間をかけた消滅ですよ。さてどうしますか。と。最後は余計でしたね。では本日の講義は以上。後で調査資料を提出してください。では。これにて。」
手摺に飛び乗り消える。ように見える。が、実際は跳躍し艦橋へ着地しただけであり。
「ああ。そうだ。私が何回、不可能と言ったでしょうかね。問題ではありませんよ。それでは。エタナリウス・エンプラエ西側エベリア港へ進路を取ってください。到着直前までさらばです。」
姿を眩ませる。
残された者達は次第に恐怖した。
言葉の通りなら。と。
そして護られたのだと。
こうして船上での暴動は回避された。と同時に二つの目的を殆ど果たしていた。
当初より外れた場所。本来なら中心地点を目指すのだがあの事で品が移動されており、塗布した薬の効果で場所を特定。
お陰で用意した道具も無駄になってしまった。
エベリア港へ接岸し責任者と話をつけるために施設へと入っていく。
「時間は掛からないでしょうが、一応、準備はしてください。では行きましょうか所長。」
完全防寒を着込んだ所長は案内するように幾つか建っている一つに進んでいった。
彼も後に続きその施設へと入っていった。
残された者達はどうしたのか。
この時点で目的は達成されていた様なものだが、そこはそれ。本来なら解散という運びになっても可笑しくはないが、全員が律儀にも準備したのだ。
更なる問題を見越して。
長いようで短い時間だろうか。
不意に姿を見せたその存在は視認できて、一瞬だけ視界から外してまた見るとその距離感狂わされる。
これに気づいたのは知覚に敏感な者だった。
不意に現れ近づくその存在は認識した時は確実にその場所から動かず兆候もなかった。
が意識より外すと一瞬で存在感が希薄になり、再びの認識で移動した後という不可解な現象が起きていた。
いや移動という行為に何ら不思議はない。動いたという行為なのだから。がその距離感である。
移動したのなら知覚により動作の兆候から終わりまでが読み取れる。だが。気づいたときには終わっていたのだ。希薄だからといえ、始まりはなく、もう終わっていたのだ。
これにて恐怖が支配する。
更なる短い時間で出てくるは。
クロイツ。
見える現状は惨状で。辛うじて息が出来ている。
が全てが全員。動ける状態ではない。
「へぇ。何か起こるとは予想してましたが。よもやこれ程とは至らず。いや、まだまだ修行不足。精進せねば。ん。あれは。」
遠からず近く。
近くて遠いような位置に掲げる影二つ。
「ほっははははははは。面白き事なれば。まさかに思い至れる。だがどうしてこの場にいるでしょう。シリーズ。ん。」
「な、なんだ。これは。どうしてこのような。」
「所長。お逃げなさい。あれの目標はあなたに成り得る可能性が十分にあります。」
「な。あれは。どうしてこの場所に。」
「それよりこれを。なに毒ではありませんよ。。少しはシリーズの目を誤魔化せるかもしれませんしね。」
その言葉とは違い、出す気配は危険だと言っている。
有無を云わせないならと渡された薬を飲んだ。
「何も変化がない。」
「当たり前です。周囲に対しての薬調合ですからね。では奥へ隠れていてください。無理でしょうけど。」
「無理なら。」
「いえ、ここであなたを死なせてしまえば私の矜持が廃れますので。では。行きますね。」
止める言葉は無かった。
少し歩いて。
「はあ。少しは何かを掛けてくれても減りませんのに。さて冗談はこれで終わらせて。気を引き締めますか。」
向かうはその影。シリーズと呼んでいる存在。
クロイツの記憶通りなればあの正体は知れている。だが命を掛ける必要があるだろう。
「まあそれで収まれば上々。無理なら。どうにかしますかね。」
近づくクロイツの命、存在を賭けるに値する交渉である。
近づくにつれ小さな痛みが徐々に広がっていく。
だが逃げるという選択肢は端から排除している。
あと少しで。保てる自我の距離。
が予想よりも速くに気づかれた。
構える隙なく近距離へと近づかれてしまった。
『あああ。私の運命はこの場で果てるのですね。悲しみより。元主に申し訳ない。』
と悔恨の念を抱いたのだが。
予想外が起きた。
「んん。なんだ。お前は。だれだ。知っているがしらない。だが知っている。なんなのだ。近しきものか。いやそんなはずはないだろう。で何者だおまえは。」
言葉を発したのだ。
そう交渉が成立出きるだろう上手いように誘導できればだが。
「お前とは何の事を指しているのだ。て私なのだろう。で、貴様はなんだ。」
「しつもんに。質問を。かえすのは。如何なものだ。」
「で、は。質問に答えたら貴様は私を処理するのか。」
「しょ、り。とは何だ。おまえは答えろ。」
「そうですか。では。何もしないな。」
「こたえろ。」
「これはまた。そうですね。では質問に答えましょう。私は元総主であり、現在はある方に付き従う者。ですよ。ええ。それだけです。では貴様は何者か。」
「そうか。では我がそんざいを。知っているのか。」
「あのですね。私が質問しているのです。答えなさい。貴様は自身の言葉を自身で否定するのか。」
「そうか。それはすまない。謝罪しよう。では。わが名はトゥルース。現在はたんどくである使命によりこうどうしている。ではどうして。お前からあれと同じ。においがするのだ。答よ。」
「においですか。そのにおいとはどのような。香しきか。それとも醜悪か。」
「おまえは、頭が。わるいのか。それとも思考がにぶいのか。」
「あぁっ。その言葉は聞き捨てなりませんねぇ。が、良いでしょう。この場では無駄な議論となりますから。で聞き方を変えるなら。その匂いは心を和ませるのか。それとも荒立てるのか。」
「そうか。くく。心のそこより。止めどなく。湧きのぼる。この煮えたぎる。感情は。そう。ふんどなり。」
「憤怒ですか。それは私が危険ですね。」
「あんずるな。あの者。とおなじなれば。如何なことであろうと。おそうはしない。」
「なぜですか。」
「ああ。仇でかえすは。わが命が。ついえる。のだ。」
「ついえる。ですか。では私と貴様がいうその者との接点はなんでしょうかね。」
「解せぬ。「
「何をかな。」
「おまえからは。あれと同じにおい。同じかんかくが伝わるのだ。」
「解らないな。貴様の言っている。あれとは何なのだ。一段と理解できない。」
「そうか。そうだな。あれは。我がうちの核を。つくりし創造者。とでもいおうか。」
「創造者。それは上位の存在を指しているのか。」
「くく。そのような下位なるものではない。ことばとおりの我が。あるじ。である。」
「主。ね。でその主とやらの命で動いている。という事ですか。」
「そうだな。だが、ていせいしよう。主のまえに元がつく。」
「元、主。ですか。でその元主とやらの名は。」
「知らない。きが付くと。いた。」
「居た。それは突然現れた。そういう事ですかね。」
「違う。最初から我がまえに居た。だがそのときは気づかない。あとで思いだした。」
「はっ。思い出す。ときましたか。」
「何をいっている。」
「可笑しいですね。兵器とした。シリーズは〈思い出す〉という機能は無かったはず。制御装置による記録の抽出し毎度再起動が計られる。なので思い出すなどありえない。」
「ああ。そのことか。簡単だ。わが行動はわが意思。それゆえに。定められしときの地点まで。せいちょうする義務がある。そしてわが肉体はすべてからの制御よりはなれている。我があるじの業により。」
「待ちなさい。どうも見えそうで見えないのだが。すると貴様は。最初、主と知らずに襲い、返り討ちにあい、そして何かしらの力で制御を離れた。そういうことなのですか。」
「うむ。そうなるか。」
「は、はは。そうですか。では一つ聞きましょう。」
端末を取り出し、そしてある画面を開くとシリーズに見せる。
「この中で貴様の元主とやらはいますか。」
「んん。すまない。もう少し。みせてく。おお。おおおおおあおおお。」
「うお。驚かさないで下さい。なんですか。」
「と、どうして元あるじ。の絵を。」
「その主とは誰のことですか。」
指し示す一人。
「ふ、ふふふふはははははははははは。面白い、ああ。面白い。そしてこれこそ奇縁。面白い。そうか。」
「なにを言っているのか。」
「そうですねえ。もしこの方に関する情報が欲しいのなら。現在、持って引きずっている人を放してもらえますかね。断るならまあ。力ずくで貴様を捩じ伏せる。」
力が瞳に宿る。
「そうか。なら。」
首を絞められ抗いを続けていた者。
掴んでいた手の力が抜けると頭が地面へと落ちる。
強打という鈍い音。
「ぎはっ。げはっがはっ。ぜへぇぜへぇ。ぐがが。」
激痛と苦痛の両方から解放され咽ぶ。
「うん。意識は確りしてますね。では倒れている者達を回収し、避難してください。これと話がありますから。」
驚きの表情。二つの顔を見、収まらない呼吸ながら小さく頷く。
「ふむ。聞こえて。ではこれを飲みなさい。一時の安らぎと活力が溢れますよ。どうしますか。て聞こえてないですね。」
弱いながらも縦に振る。理解したのだろう、か弱く口を開け、流し込まれる。荒い呼吸は整い震えも収まっていく。
「この存在と交渉しますので、倒れている者達の回収頼みますよ。」
立ち上がり敬礼すると行動に移し、近くから回収していく。
その速度は満足できるもので瞬く間に全員を回収し避難していった。
「さて。と。待ちなさい。アナタが知りたいことは教えますよ。」
視線を外した直後に潰しの一閃を繰り出されるが余裕で避ける。
「我が。ちからを持って。お前を。けし潰す。おまえは。危険だ。」
「そうか。ならば力で捩じ伏せるのみ。」
島の各地といえど小さく。小一時間で島を一周できてしまえる。
それが徐々に削り消えていく。
『ふはっ。面白い。私にこれ程の力を行使させ。曲がりなりにも造形兵器。あの産物でろうに。ここまで肉薄できるとは。はは。』
「おまえ。何を。いっている。」
『さて、気付いているかなシリーズよ。もう詰んだぞ。』
「ぬ。」
気づけば海面に一本だけ突き出る細長い岩に着地していた。
『さて。もう良いでしょう。どうしますか。私は示しました。アナタは続けますか。』
「なぐ。理解した。ちからを。抑えよう。」
『いいでしょう。』
外す。
「ふう。さて」
一つ吐いて、続きを進めようとするが。
浴びせられる音。だが波に消されてしまう。
「ぐああぁっ。」
「判ってましたよ。ええ。ですから最後の一手を使いました。さて。これでアナタも満足でしょう。シリーズ。情報交換と行きましょう。無益はないと断言できますし。圧倒的な有益が双方にもたらされるでしょう。」
「ぐ。そ、うか。わが力をもって現在いちを把握した。なればウヌのはなしを聞かせてもらおう。」
妙に生臭い空気が間に流れ込む。
翌日。負傷者を収容した施設にて所長との交渉で目的の品を回収した。
あの凄惨だが一人の死者が出ていなかった事にクロイツ以外が安堵し、さらに翌日には全員が完治した。
これにより目的が達成され。本来の目的地へと出航していく。
それは不可解なものが浮いていた。そうして漂い流れていく。
ただ流れていく。
誰も彼も気づかないように存在していない。
そう誰かが知覚認識しないかぎりは存在していないと同じである。はずだ。
余裕だが。
あのねえ。簡単に事を運びたいのよ。なのにこれ以上を望まれても困惑するでしょうが。なので。消えようか。
てかもう消したけど。
ふいぃ。終われ。




