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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
二章~交渉決裂と戦争準備~
62/111

二章~準備~1

板が。数種類の板が横たわっていた。

其処らにありふれた品で無いことは一目瞭然だろう。

その上に一人の者が口を塞がれ片目には緑の眼帯。腕を後ろで硬く縛られた状態で走らされていた。

そう。走らされていたのだ。

「ふぐっ。ふぐぐうぅぅぅ。」

「ほらほらどうしたどうした。最初の気概はどうした。もっと張り切らないと面白くないぞ小動物ちゃん。くく。ほら頑張れ頑張れ。ほら、後少しで。終わるぞ。」

「ふぃふぃへええぇ。」

「はは。若も退屈しのぎで楽しい事を考えなさる。」

「んん。なんだ戻ったのか。」

「ええ。つい先ほどに。」

「で。」

「はい。此方に纏めましたのでお読みください。」

「んん。そうだな。じっくり見るのは後にして。簡潔に言うなら。」

「目的発見。高速により捕縛。最後に例の手続きをしてお手元に届くかと。」

「ん。ふふ。良いぞ。それでこそだ。これを終わらせたら準備といこうか。ああぁ。楽しみだ。ふはっ」

「左様ですか。では準備がありますので。これにて。」

「おお。頼んだぞ。」

足音が遠ざかり、視線はそのままに渡された端末を操作し、不穏な笑みを携える。

尚も走る小動物は板を越え次の用意された遊戯の足場へと踏み入れる。

瞬間の閃光と倒れる小動物と長い筒が射出される。

「お、さあ次はそれをかわして逃げ切ることができるかな。」

悲鳴が流れ逃げ惑う。

対して卑屈な笑みを浮かべて端末を操作し宙へ表示させる。

「面白い。これだけの情報を集めてくるとは。さてさて、あれ以外に沸き踊る情報はあるかね。」

操作の手元は速く。通常の視認知覚触覚では捉えられないだろう。

「お、これはこれは。ふはっ面白い。じゃあ次はこれを手に入れようか。」

端末には集められた数々の詳細な情報が網羅されていた。

中には不明とされた者達の行き先まである。


監視窓から見える小動物に対した遊びは終わっていた。

『おめでとう。よくぞ耐え抜いてさらに最後までつき抜けられた。そうだな気分が良いから願いを一つ。叶えてやろう。あ、俺の命とかは無しで。まあ奪ったところで何も感じないが。さあどうする。』

これに答えはさらに胸を踊らせる言葉だった。

『はっはは。面白いでは褒美にそれを叶えてやろう。では向かって正面の出口から出るといい。』

素直に従い、遊技場から出ていく。

「ふふ。では連絡を入れて。向かおうか。くく。ああぁぁ。楽しみすぎてふおうぅぅ。快感が快楽へと。」

忘れず連絡してその部屋を出て目的の場所へと軽い足取りで向かう。

見るものが見たならば少しは異常を感知できたかもしれないが、浮き足立つ感情による盲目により視野は狭く感覚も鈍っていたのだろう。誰も責められる者はいない。軽い足音はやがて小さく儚く消えていった。その後の小さな音を伴って。


何が起こったのか理解できない。そういうのを見たいとも思わない。さて。簡潔に述べるなら、だ。現時点をもって貴方が所有する全てを剥奪した。いや、確実な言葉を述べるなら、譲渡させてもらった。という言い方が正確かと。なに悪いようにしないと考えてはいる。現時点では。それに準備も不十分でね。あ、そうそう一つその耳に入れておこう。そう貴方の血筋である上と下の存在は、正直に申し上げると。ええ。記録から消えてもらった。まあ。そういう事なので心配の種は潰れたから安心して、待っていてもらいたい。その時まで。ね。


考えようと。思い出そうとすれど濃い霧が掛かる。

これまでがどうしても思い出せない。

が、次第に霞が晴れていく。

息をしている実感はあれど感覚が拒否する。

涙を流していることにも実感していても頬を流れないことで拒否された。

さらに体を動かそうとにも感覚が在って動きを拒否するように動かない。

諦め、そして気に入った物を手放すのは気が引けるが仕方なし。意識を遮断する。


あの場より最も遠く。そして一番に馴染んだ身体。何時ものように聴こえていた耳慣れた機械音が響く。

僅かに動く瞼の感覚から始まり、成功したことを全身に伝わる感覚で認識。瞼を開ける。

《『おお。これが世に聞く生体端末か。面白い。お、驚いた表情をしているな。気づくと思ってたが案外回転は遅い。記録はほう意外に長いな。距離が関係しているのかね。』》

『ぷぁんでごのぶぁにくぶぁっごぼぼぼ。』

《『排水もしていないのに喋ろうとするなよ。そうだな幾つか落とした筈が気づきもしてないとは、よほどに嬉しかったのか。が寛大なんだよ。敢えて教えよう。ほら。これ。』》

『ぐぶぁっこぶぁえぇぇぇぇ。』

《『これだけで理解できるのか、起き抜けの回転速度だったからか。まあ置いとこう。でだこれが削ぎ落とした一部。何の一部かも理解している。そう捉えて良いんだよな。なら以上の話はなしだ。勿論、関連したこの施設以外の他組織に機関と屋敷に別荘更には所有する島々と建造途中の把握も同じく。付け加えるなら、だ。見えているのに見えない場所にも同じようにしてるんで逃げた先々で面白い状態になるよう細工もしている。覚えておくことだ。では出てもらおう。暴れても貴方の益には成らないことを言っておく。』》

見えない表情の向こうから暗い相貌から覗く澱んだ視線が不意に歪んだ。

《『それとこれも伝えとく。』》

『ひ、ひがぶぁぁぁ』

《『んん。何を怒っているのか知らないが。んっふふ駄目だろうがこんな危険極まりないモノを解放するとか。危うく世界、はどうでもいいのか。計画が根底から崩壊するところだったよ。』》

「がはっ。な、何なんだ。」

《『答えて貴方の益にはなる。のだろう。なのでこちらには損害しかもたらさないので答えないし、答える義務も使命もない。ん、なんだ早くこれに着替えてくれないかね、目に余るので。』》

寄越された衣服は。

「きざ、ま。」

《『不服か。嫌なら結構。此方としては貴方の尊厳を尊重しただけで。まあ最低限度を。それ以上を求めるのならそれ以下で過ごそうか。さてどうするよ。』》

「ぐぎきっ。」

渡された服を恨みを隠そうとせず着る。

《『宜しい。では着いて来るんだ。最後の手続きがまだなのでね。』》

拒否できたなら良かったのだろう。だがちっぽけな最後の傲慢さが従う事を許したのだ。

そう謙虚でなく傲慢からくる従いである。


移動といえども隣の部屋である。

それは見知った部屋。のはずが目に見え何もない。

《『ではその石に座ってもらいましょうか。』》

声に出さずとも出ている雰囲気で怒りが目に見えるよう。

硬く座り心地も良くない石に尻を着けると体温を奪うような温度だった。さらには着ている服も薄いため余計に冷たさが凍みる。

《『そうだ。これを忘れてた。』》

外套の収納部を探し目的のモノを出し突きつける。

《『よく読み最後に貴方の名を書いてください。ああ、下だけでなく最初から。です。お忘れなきように。』》

離れ部屋を出ていく。

が直ぐに顔を出す。

《『ああ。言い忘れてた。貴方が手繰り寄せるというモノは先の言葉に含まれてるので、それを理解して回答を。ではごゆるりと。は出来ない、そうだな気分が乗ったなら来ることにしようか。では、それまで、どうか悩んで答を出しなよ。』》

扉は閉まり鍵を締め何かの音が聴こえてくるが時間も掛からずに静寂と同等の静けさに包まれた。


残された孤独感と奪われた逃走方法。

見知った部屋が現在は知らない部屋も同じ。

渡された端末もどうしてか思ったように操作できない。

延々と同じ画面。

切り替え不可能と諦めた。

何処で間違ったのか。

そういう考えが思考を乱す。

纏めたい考えも一向に纏まらず。端末を落としてしまう。

声に出すこともできず床に跳ね返り、乾き虚しく響く。

『おめでとうございます。あなた様は僅かな隙間を手繰り寄せ、見事に道を切り開かれました。これより出口までの通路をご案内します。』

反響する声はどう考えても端末から。

拾い画面を確認すると、部屋からの脱出方法が映されていた。


部屋には数々の仕掛けを施してある。脱出通路もその一つ。

教えられた脱出通路ではないが逃げ出せるのなら。と考え通路を走っている。が、妙に入り組んでおりもし地図か端末がなければ迷い死んでいただろう。

体が重く思ったより進みは遅いが確実に出口へと向かっている。


仕掛けも無いことはやはりと思う。

手繰り寄せる力は簡単に奪えない。

これからはもっと上手くやる。そして更なる力を持って仕掛けた人形を根絶やしにしてやろう。

あははははははっ。さあ。思う存分に。


《『おめでとう。案内があったとはいえ良くたどり着いた。そして愚かにもその表情は頂けない。他を圧する力を持っていたのなら毅然とした姿勢を見せてほしいな。さてこれにて実験は終わった。では拘束後にあの場へ移送しようか。』》

「は、はは。な、何で」

《『なんだ未だ解らないのか、言っただろ貴方の全てをそして手繰り寄せる力も同じように。と。なんだ奪えない。そう判断したのか。くく短絡にして単純よな。これ迄の生が知れる。なあ、どう思うよ。』》

「な。どうして。」

何時の間にか横に立っていたその人物をみて驚くという単純な反応しかできない。

「ええ。若も少しは学習してほしいものですな。」

かしずき視線を地面へ。

その相手は若ではなくあの不可解な者。

《『で。』》

「はい。若を暇潰しとして教育する過程で力に傲り学習という経験を除外しましたからねえ。弊害として短絡的な思考しかないのですよ。いやはや半分でこれでは私の力が疑われてしまいますな。」

《『はは。そういう育て方をしたのだろうが。何を言っている。』》

「おや、見破られましたかな。ほほほ。」

《『笑わんでいい。』》

「はい。では此を動けなくしてから戻りますので。後にでも。」

「ま、まてまてどういう。」

「やれやれ全くこれで察することが出来ないとは。育て方を歪めすぎたか。聞きなさい若。いや小僧。私はお前の親を監禁し、育てることを了承させ遊びでお前を育てたのだが。少し遊びがすぎたか。まあそれも終わりか。」

「じゃ、じゃあ。爺は。」

「お前の事なんぞなんとも思わんよ。では四肢を粉砕して搬送するか。」

《『そうだ、さきに言っておくとな、少しは謙虚。というものを身につけたほうが信用もされやすいし、見返りも大きい。傲慢は反って身を滅ぼす導火線だ。まあ、もう遅いがな。ではこの場ではお別れだ。』》

鈍く今まで聞いてきた嫌な音が近くで響き。視界が落ちていく。

「おお。また見事な。」

熱い寒い痛い痒い。感情が現実を受け入れないように思考を埒外へと追いたてる。

《『現実は。逃げても何れ追い付き。そして。自身を潰す。さて青年よ。楽しい遊戯へと誘おう。それまで。くく。』》

笑いは遠く意識は沈む。



画面越しの会談から暫くにして指定の場所には集団が大規模な戦争をしていた。

何故か各指定地点は厳重かつ絶対の防護が敷かれた状態での戦場が展開しており、さらにはその参加している陣営も常軌を逸していたのだ。

四つをみてみよう。


一つ目。

開始より数日前。

「はああ。こんな場所に本当に在るのかねえ。」

「そうだ姉さん。彼方はどうするので。」

「んん。そうさねえ。でもあの場所は昔あたしらで襲ったよね。」

「ええ。その時に目ぼしい物は全て運んだはずで。それも幾つもの隠し部屋も含めてでさ。」

「ならどうしてこの場所なんかね。それらしい部屋なんて無かったろ。」

確かにその通りである。

以前にこの場を襲い、そして根こそぎ奪った。塵一つ残さず。

なのに。である。

漏らしはない。

「まったくこのような場所に指定の品があるとか。これ完全な嫌がらせだろう。」

ドゥーウェ・スレイブはその堅牢たる配置を目視で認めると漂う空気を感じこのように言葉を紡いだ。

「でどうしますかね。これから直ぐに目標確保の為に突進。という手もあるがそれでは事が面白くない。それに削るだけ削って逃走。という手立てもあるが。」

「おいおいおい。それは道理に反するぞ。兄さん。」

「そうだよ。あたしらの目的は悪まで例の品の回収さ。事を大きくしても得にならない。」

「へえぇ。そうかな。」

「なんでえ。何が言いてえ。」

「いやね。この場を指定したなら何かの理由が含まれているのだろう。なら簡単に終わらせるのも正直面白くない。なので。」

『ああ。全軍に告ぐ。これからこの場を我等フドクノバンメンが数日中に蹂躙してやろう。死にたくなかければ逃走する事をお勧めする。向かうなら容赦せず確実に世界から別れることを約束しよう。』

笑っていた。

いつの間にかその手には拡声器が握られていた。

「さて。これでこの箱は混迷するな。くく。ん。」

振り返ると誰一人居らず、視認すると遠くに逃げていた。

「おいおい。逃げるとはひどい。なあ楽しもうや。これも一種の快楽さと悦楽。ん。」

姿勢を崩し一歩。この場合は普通とは違うが。踏み出す。

「ほっほほう。速いな。存外に切れ者がいたか。結構な距離のはず。だがまあ良いか。さて。面白い方向へ進むかな。」

視線を流す。

「目視で八人。感覚でならその四倍か五倍か。準備していたか。この瞬間のためだけに。」

反応する。

「はは。分っかりやすい。や、そういうのを此方に差し向けたのだろう。なあどう考えるよ襲撃者の者共よ。」

小さく笑い一つの品を着ける。

『くはっ。かははは。さあぁ。楽しんでくれたまえよ。これは前哨戦などではない。そう虚しくなるような泡沫の夢なのだろうから。』

骨が鳴り空気を震わせる。

ドゥーウェ・スレイブの足下には大きな筋が二本抉れるように引かれていた。


『はあ。疲れが溜まらない。溜まらない上に一方的なのは飽きる。少しはましな抵抗を期待してたが。矮小なものゆえか。時の稼ぎにもならん。期待する方が酷というもの。さて。』

鈍く重い音が鳴る。全身を緊張させ正面に対して腕を振り抜き前方全てを薙ぎ払う。

抉られる地面と森林一帯。

周囲の残された意識は諸共に吹き飛ばされ消失した。

正面を粉砕し大きな道を造ったのだ。

『では少し後に会おうか諸君。』

何がそうさせるのか。見えない表情の向こう側から考えは読み取れず。

してその軽い足取りは愉悦か歓喜を感じさせる。

『ふはっ。さあ愉快に楽しく。そして痛快な喜劇を始めよう。』

去っていく後には肉の塊と化したものが横たわっていた。

塊としても命までは絶っていない。

満身創痍であるが。


そして指定日には三つの陣営と小規模にして異界としか形容しがたい風貌の集団が対峙していた。

規模にして。千対十。

『これより至る道への標をもちて進軍。さあ行こうか。』

この時より数時間待たず戦場は言葉通りに洗浄せしめた。

内容は簡単にして単純なもの。

向かってくる三つ巴の混成軍を異界の風貌たる集団が迷いなく完全に正面より潰したのだ。

懇願しても潰し。

喪失しても潰し。

逃走しても潰し。

偽装しても潰し。

隠蔽しても潰し。

封印しても潰し。

気がつけば地面に転がる。

いやこの場合は転がされている捕虜捕虜捕虜。

動けないもの。動かさないもの。無造作に地面に固定してあるもの。大なり小なりの存在が転がっていた。

『で、総勢何人。』

『これに。』

『ん。へえ。万単位か。表より裏での画策人数が大きいな。そんなにあれは重要なのか。なあ。どう思うよ各陣営の隊長さん方。』

「ひ、ひぐっ。」

「ふぐくうぅっ。」

「ひ、ひひひひひひ。」

『始めました。いや、初めましてというのも違う気もするが一応礼儀は守らないとな。で早速だが調べたらこの地域に奪うような事をする品はないはずだ。随分と前に強奪略奪され藻抜けの殻。と聞いていたがそれをどうして三陣営がこの地を巡って奪い合ってたのか。それもつい先日まで見向きもされなかった地域だぞ。何かしらがあるとか。もしくは連なる何かがあるだろうと推察できる。なぁあどうしたんだ。何かあるんだろう。云えないのか。それか知らされてないのかね。内容を。』

手元の資料を流し見ながら返答を待つわけでもなく。完全なる独白のような一方的な物言いに成りそうだったので。

『はい。一つの答としてはこれが関係していると思われる。』

『んんん。なんだろうねぇコレは。』

見せられた品は持っている者の手より小さく。そして歪な形をしていた。

『普通に見ればゴミ。という感じですが。れっきとした重要な品のようで。』

『それはまた面白きこと。では調査は後にしてもう一つ。』

三人に近づき。

読めない表情の向こう側から見える視線。

細く居抜くように其々を見る。

『指示したのはあやのだりんか。』

三人にしか聞こえないように喋ったが反応は解りやすいほどに明らかだった。

『ほっほう。それなら話が速いな。なあ三人以外は処分して、後は多重の拘束をもって閉じ込めておこうか。後で時間を掛けて調べてみよう。』

悲鳴が心地よいと思うほどに響く。

完璧な主観だが。

懇願の言葉など聞かず処分を執行させる。

短時間で赤の泉が出来上がる。

『では運命の地点で再会を。』

鈍い音を鳴らし三人の意識は飛んだ。

その後はもう一回邪魔が入るが。

全員の前に地に伏させた者共が涙を涎を糞尿を撒き散らして。しかしその意思は硬く燃える視線を向けている。

「まだまだあの子供の言うようにくくっ。紛れ者が居たとは。て事はだ。他のお歴々の方にも居るのだろう。なあどう思うよ。」

「それをあたしらに聞くのかい。」

「まともな返答は期待していない。さてどう処分しようか。残しても。潰しても大元には痛みは無いだろう。なら。」

付した一つを掴み上げる。

ふはあ。と吐きつけると。

「さ。始めようか準備を。そして乾きしを満たすために。なぁ。」

畏怖。としか言葉がない。

そう紛れものが悲鳴を絶叫を嗚咽をそしてその身に混沌を刻まれ絶望と恨みを放ちながら息絶えていった。

「こんなものだな。さて後は。くくっ。見ものだな。」

屍を山と積み上げ。その周囲を深く掘り。中に液体を注ぐ。

「さて、これで最後だ。」

「あ、あんたは何をしようと。」

「まあ見てな。くくっ。さて。始めようか。いや始めさそうか。」

持っているのは同じような液体が入った容器。

容器ごと満たした溝へと落とす。

瞬間。

容器が裂け、微塵となると中の液体が混ざり反応し轟炎が昇っていく。

「ひっ。」

「姐さんっ。」

腕を引いて避難させる。

対して直近にいるドゥーウェ。

「ふはっ。ふはああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。燃えろ燃えろ。塵一つ残さぬように轟き盛れ。はっははははは。」

笑い狂っていた。

燃え盛る火柱は天を穿つかのように昇り消滅していく。

狂乱が一つ。全員が引く笑いが元戦場を染めあげていく。

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