二章~三つの道筋(経過)二~1
時間を大きく戻そう。何故に彼が迎えにいくことになったのか。
そしてどうして事が最悪へと向かっていったのか。
始まりは、最初からあった。
しかしてそれを認識するには材料が不足してもいたし、さらには手札も切り札たる隠し玉さえ用意できていなかったことも起因するのだろう。では一つめといこうか。
森羅万象千差万別十人十色。
適当に言葉を並べてみたが、皆の前に地平の彼方まで埋め尽くす蠢く大小数々の姿を模した兵器の群。
東を担当するとしたがよもや。という他の言葉が思い付かない。
「これは予想外。この地区は長い年を重ねて熟成させたと聴いていたが、はは。熟れすぎて旨味が無くなっているではないか。ククク。ボウズに報告するには時間を要するなあ。」
「て他人事のように仰ってますけど、これをどうにか沈めて双方を交渉の机に着かせないと何も始まりませんよ。」
「そうだよなあぁ。はあ。これは。なあ。」
混沌人形。
世界を巻き込んだ大戦の折りに設計開発され、今日まで進化を続ける兵器であり、所有者の考えるあらゆる想像を実現可能な夢の兵器。などという宣伝されている。
素体としては四足歩行型と二足歩行型の二種類。変異として欠落機体という変わり種も存在する。
それぞれに施された改造ないしは改修により攻撃性知能性敏捷性も、一つつけて適応性の何れかに特化しているのが初期にして古と云っても差し支えない古代機体。
現在は何世代目だったろうか。
と考えてみてもこれは。
「素体としては古いですね。最古の機体で。と言われて誰も疑わないでしょう。」
頷きで返される。
「だがな見た目を重視してもその中身は暗黒の箱。解析も分析も容易ではないぞ。」
「まあ何とかなるでしょう。」
と言ってみたものの、その作業は誰が請け負うのか。自明の理である。自然と吐いている。
蠢く機械と生物の中間や極端な改造を施されたモノ共が睨み、受けるは吠え狂う獣の軍勢。
側に立は使役する主。
「対して。獣人と僕の多軍ですね。」
「へえ使役にも色々と聞いていたが単一使役なんてなあ珍しいじゃねえの。」
軽く笑みをつくる。
「そうだな常識的に思考するなら二桁は使役しているのが普通だが。」
「その分与える力は強大だろうし、分散していないから行使に注ぐ幾ばくかの制約もない。まあ倒れればそれまで長短含めて今では嫌われる戦法ですね。」
「さてどちらが勝つかな。」
「いえ勝敗とかでなく止めてください。」
「止めてと云われて簡単には出来ないぞ。そんな権限なぞ消えているしな。今ある権利などたかが知れている。」
「それでも止めて交渉へと導くのが仕事。なので行きますよご老体。」
「溜め息しか出ないな。さて。これは内に入っているのかね。」
嫌な態度をしていても。
声を出していても。
その表情は嬉々とした朗らかである。
両陣営。
事の起こりは数十も年を重ねた話。
当時、島の覇権を巡る争いは幾度か起こっていた。
しかして、これ程の規模は見られない。
ここまで極端な規模の尖端を切ったのは、身内の不始末。
それも双方ほぼ同時にである。
誰もが考える。
不自然だと。
が、これまでの事柄を考えそういった隙間など微塵も残されていないのである。
その結果、長く続く殲滅戦争へと至ったのだ。
この戦争は後に他国が介入し何時しか代理戦争へと移行していくと共に現状の島一つだけに非ず、その影響は全世界へと伝播しさしずめ病原のように伝染していったのだ。
「まさに源泉。そして滅びを忘れた計画。」
「それは先の公開で本来なら凍結される事案ということですか。」
「そうだ。では続く理由は何かを理解できるか。」
「そうだね。要因としていても幾つか提示できる。でも確証はない。なので帰結的には憶測。になるね。」
「かまわんよ。」
「普通に考えるなら裏で何かが手を引いている。」
「では別のほうでは。」
「そうですね。」
思案するような仕草。
「運命の歯車。ですかね。」
「ああ。そうなるかな。しかしお前さんも知っているのかな、その意味する事を。そして」
「そして発言の重み。ですか。ええ。承知してますよ。あれを経験しているのでね。」
「そうかあれの経験者。か。」
暫し黙る二人。
事の推移を見守っていた1人が堪らず言葉を挟む。
「あ、あのそれで一体どうやって事を静め、机に着かせるのです。」
「なあにねえ。」
「ああ。」
これによって全身が悪寒により震え始める。
後に1人が語る。
ああ。見なければ聞かなければ同行しなければ良かった。
二人は眼下に拡がる混沌人形と操りの獣それぞれに向かって跳躍した。止める時間など無いだろう。
二人は。
「さあてお立ち会い。我ら仲介にして公式代理人である。停めたくば通せ。停めたくなくば今すぐ殺せ。」
当たり前だが全てが二人に向けられ全ての放火を間断なく浴びる。
悲鳴は当然だろう。
が二つの卑下た笑いが空から響く。
「これより。」
「我ら。」
「戦争に。」
「介入する。」
二本の力が地上へと降り注ぐ。
悲鳴は一方で皆無なれど破壊音は空気を伝い轟く。無限と見える混沌人形が無慈悲に無情に世界から潰されていく。
一方で空を支配する制空権利者も赤を纏って地へと堕とされていく。
次々に上がる煙の筋が増えていく。
悲鳴も同じく轟く。
観ているしか出来ない面々。
この時をもって思考が至る。
そう狂喜の破壊人。だと
時を刻むこと二時間近く。
物量もさることながら暫くしてから双方からの反抗が予想より強烈すぎて時間を喰ってしまった。
だが地に伏した中でも息を少し吐き出しながら一杯を傾けながら談笑している。という異様な光景を見せつけられ長く続いた戦争は突如終わりを宣言された。
戸惑いが動揺を呼び。
叫びが不安を沸き上がらせ。
不安が否定を肯定し。
肯定が暴動へと発展する。
というので全員で先導した首謀者と協力者。さらには乗せられた短絡者を拘束し分散して隔離した。
「はは。あの情報は怖いですね。これを予想していたのなら寒気すら。」
端末には送られた幾つもの分岐。その一つに介入もある。そして終結から交渉に関しての手筈が書き記され、以降の簡単な流れも記されていた。
その中の暴動に関した項目に細かに分けられた事柄の一つ内部工作員に関連した項目に従ったのだ。
これには二人も戦慄した。
まるで予言していたかのような的中率。
そのお陰で無駄な時間を費やさずに済んだのだが。
さてさて双方の思惑を孕んだ交渉の時間である。
「お集まりご足労痛み入る。という言葉は要らないでしょう。無駄な時間は両陣営には何も生産性がない。本題に移らせてもらおうと思いますがどうでしょう。意見あれば汲み取り、交渉に反映させますが。」
二人代表が控えに耳打ちする。
頷いて。
「では発言の許可はそちらの現在島主。である。」
「こうして顔を合わせるのはいつ以来か。なあ糞の下卑。」
「はん。我もこうして会えるなど思わなんだ。胸糞悪いことこのうえない。」
二人が溜め息を吐いていた。
会って瞬で歪み合いである。
「それは置いて、この先の島に関連しての事柄。その全てに譲歩を。それか合同運営を提案したいのですが。これは無理ですかねぇ。」
先に述べたように両陣営には工作員が存在していた。
複数回催ようされた会談はそれらが妨害していた事に起因していて、実質的にはいがみ合う理由など存在しないことが流布された。
あの起因した事件さえもである。
「なので二つの陣営に歪む理由は存在しない。そうですね。もしそれらの理由を求めるなら、これより先に開かれる年度末会議に出席してもらえれば全てが暴かれるかもしれません。ここ大事です。我々は保証できません。かもです。」
逃げている。全てを。全ての責を一人に押し付ける。
「ですが仲介であるので双方の片側に傾く。ということは期待しないように。」
一応釘を刺しておく。
狙っていた。
交渉前に幾人かの双方からの袖の下の交渉も全て断っていた。
結果で睨まれている。
難関だと二人は考えていたが。
端末を見てため息。普通に見て異常だと誰もが考えた。
「で、獣人から願いたい。言っておきますが、上下関係ありません。我々の気分だとご理解頂きたい。て云いますか理解してください。てかしろ」
にこやかな爽やか笑顔。が、反論否定拒絶を無効する。という想いが滲む。
はあ。汲んでくれた。良かった。
「我々は一つだけ。衣食住の確約。それだけだ。以外は望まない。後々理不尽があったとしてもそれは飲み込もう。」
「ふはっ。そう来るか。拒絶など此方が不利になろう。では此方の提示は簡単だよ。貴様ら全てに対する排除か離島だ。」
先手後手。譲りを差し出す気など無いという。あからさまな意思表示。
「言っておきますが、時間稼ぎとかは我々には無価値。そういう判断をします。なので飲むか飲まざるかで決してもらいたい。双方の拒絶なら我らの提示に従っていただく。これは拒絶したなら場をもって厳粛に審判するものである。」
飲み下す音。
汗が二人に伝う。
「では今より少し後に両陣営の回答を記して貰う。では解散。」
まさに理不尽。それゆえに迅速かつ簡潔に終わらせられる。
数人は内部が締め付けられる痛みに耐えていたが。
「時間となったので双方の回答を提出してもらおう。」
「期限延ばしを期待しないように。それと我々には交渉の仲介以外は何も権限は持ち合わせておりません。本来なら終わっている事後処理の仲介なのですが、実質継続中。それねらば此方の思惑通りに向けるのが理想なので終結させました。では発表としましょうか。」
双方に歩み寄りはなく決裂しかない。
これでは何時までも平行であり妥協を探ろうにも長年蓄積された思想は簡単には拭えることも出来ず。しかしその思想の根元すらを否定してしまったことで両陣営は行く先を見失ってもいた。
して、その答えが。
「これより期限つきであるが、島の運営を共同して行くことをここに宣言する。これは公式である。」
「そして、今日と同じ日に再びの会談をもって最終結論とする。」
これが答え。
「ようは時間稼いで各々の説得を試みる。と言うことか。それならこれを元にして上から客観視できる方を派遣してもらおう。それで一年後に歩み寄りが見られればこの島の自治権利を分割して今後は当事者に一任する。これでいいか。」
代表二人が頷きで示す。
こうして宣言された記録は上に報告される。
会場に残った三人。一人は身なりを着崩し疲れたように座っている。
一人は頭を掻きむしりながらも眼光穏やかに側に使える存在の何れかを撫でる。
最後には初老に近い老齢の人物。
「でだ。これからは内密にして貰いたい。なに。難しく考えないでもらおう。これは個人的な事でな、強制はせんよ。」
左右に流す。
「では質問一つだけだ。」
端末を机に置き起動させると中空に表示されるは若いが何か深い闇を抱えた男。
「この情報を知っているかな。」
二人の表情は変わらない。
端末を切りしまう。
「では何か思い出したなら此方に連絡を。数日は待っている。」
部屋から出ていく。
残される二人。
開けられ閉まる音が何を意味しているのか響く。
首に手を当て、嚥下する。
「ぷはっ。ふふふ。若いが先が楽しみであるが、気配は隠せぬか。」
「はあ何か有意義で有益な情報でも。」
「いやなに。個人的な事だ。それに察しがついてるだろ。」
「ええ、まあ。しかしその口ぶりからすると、関係していたようですね。」
「深くはないが、浅くもない。まあ気長にまつわい。」
「そうですか。では議事録は彼に送っておきますよ。追加がなければ。ですが。」
「ふむ。そうだな。では現在の二組の居どころを添付しておこうか。それなら先の見通しもたとうというもの。」
「それではそれで。さて次なるは北端ですか。」
「断裂したとはいえ。世界上下を横断する大陸だしな。まあ我々は陸地経由でなく、海路なのだが。やはり許可は。」
「降りませんね。妨害でしょう。一種の。まあ我々を妨害したところで彼には一切影響は無いものと。」
「くく。それにしても別れ際の眼鏡の兄さんの話が本当なら、くくく。ボウズの相手はいかほどの勢力だろうな。」
「まあ、今はそれより直近の案件を片付けましょう。」
「そうだな。」
二人は出口へと歩き、次へと赴くのだった。
されどこれで綺麗に単純に簡潔に。
「終わってくれたなら。」
「ふふ。拍子抜け。と言うところかな。」
悲鳴も驚きも固定された運命なのだろう。
出て最初に目についたものは、拘束された女性と床に倒れている数人。
「抵抗して。最後に捕まった。そんなところですか。ねえ総隊長どうしますか。これ。」
「くくっ。あれを口にしてこれか。相当に填められたのだろう。」
「動きが速すぎるので我々の言葉も組み込まれていた。そう考えるのが自然でしょう。ですが。怖いですね。」
「ああ。本当に。」
二人は両腕を上げ握られた拳を同時に開く。
地面に着く前にいつの間にいたのか回収されたが二人は小さく笑った。
そして。
「それでは皆さん。」
「年度末に会おうじゃねえか。」
数棟の建物が爆発を起こした。
必然全員が動揺し隙をついて救出。二人で残りを始末して地下道を通り港へと向かわず、もう一つの目的地へと向かう。
島の地下に放り巡らされた迷いの通路。
意図せずして完成されたこの道を把握できる者は居ても居ないに等しく、その最たる理由を述べるならば。
「現在も絶賛拡張中。ですか。」
「おう。人工島だからな、何かしらの不備を起こしでもしたらそれこそ。だ。なのでああして点検時の死角を無くすために随時変更を加えているんだよ。まあ、おかげで上も全く把握できないがな。」
「では、あの島での通路は。」
「あのと言うとボウズと通った。地下通路かい。あれは論外。というより元々廃棄され放置していた区画を緊急整備したにすぎんよ。なので結構壊れていたろ。」
思い出せばそうだったと考える。
「それにしては彼の地へ直通でしたよね。」
「その辺は俺にもわかんねえわい。あの通路は噂程度にしか耳にしたことがないからな。まあ、あの時の事件で遺物を掘り起こした。そんなところだろう。なに。難しく考えても今は意味ないだろ、それよりこの先の事を考えようや。」
音が鳴っている。
近づくにつれ疑問が解消されていくのが判ってくる。
あの端末に送られた情報には更なる区分がなされていた。
大規模な戦争であり、人形を大量に同時操作をするならば。という事に関連して二人は調べたのだ。その結果。一つの場所へと行き着いた。
属島。アグヴェイカラトト最下層。
「さて公式では現地点が最下層最奥となりますが。」
「おお。あの情報では先がある。その場への行き方は幾つか存在するが、時間がねぇ。」
「ですね。なら行きますよ。」
端末を出し画面を向ける。
『機能認識完了。ヨウコソシンセイ領域へ』
壁が八方向に競り動き解放される。
歩く音2つ。共鳴する。
天井に張り巡らされた管や点滅する光源。床には簡単に壊せそうにない板が敷き詰められていた。
「思ったより大変そうで。」
「なんでも人工島建設で最重要箇所は厳重にして堅牢な造りを主軸に考案されていたらしい。」
「それを信とするなら大当たりですかね。」
「当たりも外れもないぞ。どう転んでもこの感じだと益々公表は出来ないだろう。」
「それでも、噂程度には。何分信憑性に欠けていたもので、誰も彼もが話し半分としか受け取ってなかったですしね。」
「なればこそ、何かの綻びで漏れたとしても隠さにゃならんだろう。で結果的に、深部を偽る方法を取るしかなかった。なんせ。」
『なんせ〔核〕としての素体が不憫だからねぇ。」
不意の割り込み。
「これは一体。」
「ふふふ。俺も遂にイカれたか。」
『大丈夫さ。まだまだ正気だよ。さて何用で何ゆえにこの区画まで降りてきたのかな。』
「誰かは存じませんが、我々に答える義務は果たしてあるとおもえませんね。」
『ふぅん。そうくるの。じゃあさこの先の秘密を知って、それでどうするの。もしかして完全停止。とか考えてるのかな。』
「はは。これは思ったより。」
「そうだな。」
「バカとしか言えないですね。言ったでしょ義務はありません。とね。」
『そうかい。では此処で世界から弾き出させて貰うよ。理由は簡単なこと。邪魔だからさ。』
「ふはっ。俺達を世界から弾く。そうきたか。命を奪うでなく。弾く。だが残念ながらそれは叶えそうにもない。なあ。」
「ええ。」
『参考までに聞いておこうかな。』
「目的地まで着いたので。問答は終わらせましょう。」
返答はなかった。
多重に掛けられた鍵。
扉は簡単に開いてくれそうになかった。
「えと。お、ありましたね。」
多重の鍵が阻む扉。その横には一つの装置。
んん。と咳を切って。
おす。
軽く響く音の色。
「済みませんが中に入れてくれませんか。我々の目的は知っていると思うのですが。」
固唾をのみたいが扉を厳重にしていた鍵が外れる。
「お、どうやら事前の交渉が上手くいっていたな。よし後は。一つだけか。」
二人は入ると分かれ、管の終点へもう一人は大きな装置へと近づいていく。
マダガストは端末から必要な操作法を引き出して装置を停止させる。
「ふいぃ。これで人形が動く事は、ないよな。ないはずだ。」
取り出したのはただの変哲もない硬い物体。それを装置に何度も打ち付け破壊していく。
修繕修復改修不可能なように。
一方大きな装置へと向かったイルシオンは絶望していた。
目の前にある装置に浮いているものは目的のものではなかった。
「くはっ。これも面白いという他ないのだろう。だが近づいていることは確実だ。」
存外精神衝撃はないようだ。
こちらは装置を弄って終わらせた。
深部扉前。二人が悩んでいた。
「開けかた解りますか。」
「それを先に言うということはお前さんは解らない。そう受け取れるが。」
「はは。その通りですよ。」
「はあ。先に云うことは反則だぞ。」
「規則も反則もありませんよ。現状、出る方法は幾つか提示しますが。それでも確実性に欠けますね。」
「そうか。」
「そうです。」
二人が同時に相手の肩を掴み合い。
深呼吸し後悔を表現する。
二人が悩まず後悔したのは閉じ込められたからでない。
事前情報が噛み合いすぎたことによる悪寒が走ったのだ。
「簡単な。とは思わなかったですが。」
「今さら後悔しても遅いぞ。」
「後悔。くく。それは何ですかね。自分でも判らないな。今の感情は。」
マダガストは何も言わないで頭を掻き乱す。
「へっ。そんじゃ行くか。この場で何時までも居続けるものじゃねえ。」
「しかし、簡単には。」
「心配するないや、お前さんはしないか。まあ、見ていろ。」
扉へ何かをして、中腰になる。
光がマダガストに照射される。
『網膜。遺伝子。声紋。骨格。照合。・・完了。登録者照合中。・・完了。該当者アリ。コレヨリ指示ヲ。』
「扉の鍵を解放。その後、完全封鎖を。」
『・・了解シマシタ。コレヨリ扉ノ鍵ヲ解除。解放後にオ二方通過確認シ当施設ヲ完全封鎖シマス。解除暗号は完全完了後二発行致シマス。デハ、ドウゾ。』
多重に閉められた扉が簡単に解放される。
「これは面白い。」
「ふいぃ。良かった。まだ抹消されていなんだか。」
「て、え、ちょい待ってください。その言い方は。」
「おう。登録抹消なら今頃は。くく。物言わぬ。だな。」
「簡単に言いますけどね。博打ですよね。冗談じゃない。軽々しく。いや。無駄な問答は後にしますか。」
「おお。そうだな。では。出るか。」
「ええ。」
こうして最深部より出た直後に扉は初見の時より幾重もの鍵が掛けられた。
全員が敬礼していた。
何に対してかはご想像に。
「で何時までもこの体制はきつい。なのでそろそろ解いても。」
「ああ。そうですね。では解除。」
途端に騒がしくなる船上
一息ついて思い思いに甲板で寛ぐ者達。
潮風を全身に浴びながら進む船。次なる目的は北端の属島。アガヴェ=カラツト。
さらにその北端が次なる目的地点。
二人と多勢の先には光か闇か。更なる何かを予測するように心穏やかとはいえないが。




