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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
一章~転戦の日々~
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一章~燻りと船団騒乱~

事が終息へ向かう。

船に乗った皆の目には崩落と喰われる島が拒絶を拒むように見えている。

生き残った者達を乗船させ出港。

直後に空間の裂け目から現れた光魔は近くの者に状況を確認して納得する。

そして裂け目に入り、何かを叩き落とす仕草を数度して、何かを呟いて何処かに姿を消してしまう。


距離を充分に取った海上に船団が停まっていた。

それは島の最後をその目に焼き付けるためだろう。

皆の表情は暗く。泣き叫び、暴れ、どうにか止めようと考えを巡らせる者すらいる。

そんな島民を他所に眺めている。

ただ眺めている者が涼しい表情で舳先に立っていた。

「これ程進行が速いとか。これ何かの余興か。まあ元が巨大化を前提に作成された試作型に、製作過程で見つかった別能力の可能性を秘めて作成された分化型。それであっても試作だけあってその成長速度は速いな。制御を離れて完全暴走状態。ならこの最後は静かな暴食かね。名付けるならだけど。」

完・全・に。他人事。

向けられる視線も知らぬ存ぜぬで、そこいらに居る見物人のようである。

「さてどうする。あれが拡がれば境を越え世界が終わるぞい。」

「う、れしそうに話すねえ。翁。」

「ふほほほほ。これまで幾つもの児戯に等しく試したが、やはりこやつ程の玩具は早々ないぞ。それに久しき者どもに会えるのじや。更に昂らるひあつ」

あのさぁ。と掴むその腕には呆れを纏わせていた。

「何をして貰おうとしているのか知らないが。面倒なことに。」

顔を上げるが視線を反らす。

「かはあああぁぁ。温厚なんてのと縁遠いのだが。本気で怒らせたいようだな。」

視線を合わせる。

「言っておくぞ、ジジイ。老いぼれをでもな、あれに喰らわすという事も納める手立てと云うことをその腐った思考に刻んでおいてもらおうか。」

掴む手に力が込められる。

「ふふふはつ。やはり面白いのう。だから良いのだ。」

笑顔。

横から腕を壊す事を目的とした掴み。

「ああ。時間が。」

掴んでいたのはアレイン。

「お祖父様に危害を加えるなんてこの知れもの」

「うん。黙ろうか。」

「ヒッ。」

「けはっ。」

「くぽあぁ。」

周囲にいた者達だけでなく近しい距離にいた者にもその影響が降り掛かった。

そうあの二人同様に心を蝕まれたのだ。

「放してくれてありがとう。ではこの涼しげな老害に質問だ。知っているだろう。」

「かはつ。勿論だ。あれには、深く関わりが、あろうしのう。そのお陰で、戦後処理の責任を、負わされかけたわ。」

「いや戦後処理がどうとか正直どうでも良いの。で停止方法くらいはその頭でも覚えてるだろ。」

「くははははつなり。儂に知らぬ知識無しだ。で、停止方法だけかの」

「はっ。解ってるなジジイ。あれだけ巨大に成り果てて収まるのか。てか収集つくのか。」

「ふむ。簡単に申すと不可能の一言に尽きるのう。」

頭を抱えるような仕草で一応は緊急な状態を見せておく。

「あのですね。その様な仕草は止めて早く終わらせて下さい。」

アルマエイルの疲れたような言葉。

「はは。そうだな。正直時間もないし。ではではこの状況は誰かにとっての最悪なんだろうね。なので。終わらせようか。」

何度目だろうか。光魔の手には剣が握られていた。

剣先を首筋に近づける。

表情は変わらないが目には何かを表している。

剣を下げ掴んでいた手を放して掲げる。

「さてこの世で最後の姿を見ておきましょう。」

なんてのを言いながら一降りで思い出の詰まった島である属島リレンフェンシス・居合そして旧解放実験島にして監獄島・ムイリル。が崩壊し消滅していく。

その間は、無い。


悲観に暮れる島民達。

無情な言葉を投げるのはもちろん。

「ふう。無駄な労力と無駄な時間だった。あいつに関しては後にして、で老害とその孫であるお嬢様はどうしますか。僕に復讐するなら締結をお勧めしますよ。しないなら住む場所とかの紹介をしますけど。」

その言葉に殺意剥き出しの島民。正確には元従業員なのだが。

問答無用で襲うおとしていたが老人が制す。

「今の、貴様の棲みかは、何処かの。」

「ああ。知らないとは面白いですね。僕の情報は開示されているものと。」

本来は消去されているのだが。

「ふむ。まあ。良い。なれば、久しきあれらに会うかのう。」

「それならこの二人も伴ってほしいけど。可能ですか。」

「ええ可能よ。まさかかの御仁達とは思わなかったけれど。」

「そうですか。では、願いますかね。」

二人はこの言葉で光魔に反論しようとするが、ある内容を話すと素直に従うという選択しかないと悟った。

「では属島・サーテイスで別れましょうか。それまでしばしお付き合いを。」

船の進路は旧豪。アーカシア・ピーカンシア。その唯一の属島である属島・プロテアスペシオパである。

まあその前にマダガスカル島・属島エゥプホールビアへと重罪人の引き渡し。

元々この属島での仕事はエゥプホールビアの危急の仕事で不測の仕事に追われたに過ぎない。

溜め息が意識的に出てしまう。


波に揺られる複数の船。船内では揺蕩う船での優雅な時間が。流れている。

その船の一隻では黄昏る者を囲んでの罵詈雑言を浴びせている。

その本人は何処吹く風。

「さあて次の行き先はではどうなるんでしょうか。」

更なる罵詈。

「そうですね。次に着くまで時間も在りますし。息抜きでもしましょう。」

罵詈雑言を浴びせていた一同は停まり、その言葉を聞く。


時間は進んで数時間。

船団内で騒乱が起きた。

簡単に説明すれば、光魔の一振りとその後の態度。そして燻る何かを着火点として結論となる。

「我々は『無乞わぬ天上への叫び』である。要求は。今読み上げる者を指定の船室へと連行し。確認されればそれ以外に危害を加えないと約束しよう。」

この発言は全ての船に発信されており、1つの騒動。後の船団騒乱事件と称される事になる一種の事件である。


事の起こりは全てから始まる一斉蜂起。

先に述べたように光魔の態度も1つの起因としているが。

「我々はあの無礼な者に対する謝罪と心からの姿勢を求める。各船内には我々の同士が居ることを念頭に行動されたい。では、懸命な返答を期待している。」

大元を特定しずらくしての発信。

この発言時には総てが完了寸前だと後の回顧録にも記されている。

舳先を眺めその先の波立つ海面を見つめ、顔に潮風を感じている光魔。

手には端末を握りしめている。

「何をもって結果を求めるか。ふふ。面白い。さて皆さん。これより収束へと向かって貰いますが。理解してますね。」

その場の頷き。

「それでは想定での行動を重視して、不可なら臨機応変で。最後にはて事で」

通信は切られる。

疲れを表す一人。納得を二人。睨み一人。傍観に徹する一人。

他にも様々な態度と表情を見せる者達。


各船から燻りを1つの起爆剤として反旗をもって占領されていく。

では、その内の1つ。

ユーフレイム号。

海軍から払い下げられた軍船の1つで、大方の武装は取り払われているが機銃を前方左右に一門ずつ残されている。

が蜂起後は無惨な姿を潮風に晒していて使い物にならない。

そして甲板には数名の見張りを残して他は船内に籠っている。

その船内は。

騒ぐものが数名だが他は静観に徹している。

その静観している者達には決定的な不安があった。

それも暫くして取り除かれ胸を撫で下ろした。

船倉に集められ溢れる分は映像で聴く事になる。

その演説は彼らの思想や行動理念を簡潔に伝えこれが成功した暁には《絶対の約束》を確約している。

最初は乗り気でなかった者もそれを聞き続け飲まれる。


あの発言の数時間前。

数人の乗船者が不明となり、捜索を検討している間に首から上がない。そんな不可思議な存在が片手に武器を片手に不明者の生首を掴んで声を荒げて放つ。

「これよりこの船は我々が支配する。抵抗せず素直に従うならば我々は貴殿方に危害を加えないと約束しよう。我々の目的は1つ。これを完了したならば即座に解放する。」

首無しが腕を伸ばすと幾つもの弾む玉や箱が出てくる。近くの者に触れ拘束していく。

その拘束は緩く何時でも逃走可能だが場の雰囲気というのか、そうした流れが支配していた。

誰も動かなかったのだ。

この無抵抗で進行し、ユーフレイム号は掌握されたのだ。

この完了と同じくして総ての船が彼の者達に占領された。


あの発信と同時に各船での通信が完了して、直後に事態は終局へと向かわせられる。


ユーフレイム号はあの通信演説の最中であったが、突如飛来した塊に警戒態勢が敷かれ飛来物を囲んだ。


卵のように皹は走り、現れたのは一人の女性。

表情は暗く頬は雰囲気的に痩けているように感じる。

問答無用で、構えた武器から弾を贈られる。

「まったく。あの者が現れてから忌々しいわね。」

放たれた弾丸は全て、そう1つの例外なく反射し、放った者にそのまま被弾する。

甲板は赤い水で満たされ、染め上げられる。

即死、ならまだ幸運な方だろう。

辛うじて息のある者や掠り傷程度の者にとってこの先は正に地獄に等しい所業を自ら乗せた行わねばならないのだから。

「本当にどうしてこれ程の物をああも容易く渡せるのかしら。さて。」

咳払い。

『勅命である。現ユーフレイム号に乗っている反乱分子を根絶やしにせよ。これは勅命である。繰り返す。これは勅命である。心せよ。』

一度だけ重症軽症の者達は小さく振るえると静かに、何事も無かったように立ち上がり、彼女に背を向けて船内へと入っていく。

自身の言葉に従った者達を見て驚きを隠せない彼女。

辺りはー甲板上だが。ー鼻を擽る潮風に船体を叩く波。周囲に立ち昇る黒い綿に全てを取り込もうとする赤い体。

すると幾つかから更なる赤い体が躍り出てくる。

船内へと足を運び扉を開けると悲鳴や爆発銃機による音も此方まで響いてくる。

ユーフレイム号での制圧は後少しで完了だろう。

「はあ、こんなに早く終わるなんてね。どうなっているのかしら世界は。」

歩みは確実に目的へと向かう。

近付くと悲鳴や銃機の音は次第に消滅していく。

目的の船倉への扉を開ける。その光景は。


ユーフレイム号から離れた船団の端に位置する一隻。

リレンフェンシス所有の戦艦ゲートラウェイス・フリーシー。

護衛艦として海軍よりユーフレイム号より後に払い下げられた一隻であり、主力の1つである。

前後に大型砲門を備え機関砲も数機備えている。

本来なら旗艦としてが最も適切なのだろうが、それはこの船団中央にそれ以上の船が組まれているからである。

光魔が乗る船。

外観痛み激しく、窓枠も外れガラスも散乱している。

甲板も何故か穴が空いている。

中央に添える、その理由はあるだろう。

大きな1つがこの配置だと全方位を見渡せるという単純な理由。

そして総ての船から黒く立ち昇る黒い綿に足元の赤い体。

さて話が逸れたが戦艦ゲートラウェイスは蜂起の先端として発信前から制圧済みであり、船内には人質としての者達は存在せず、なのでその主砲は内側へ向けられて放たれる。

近くの船に砲撃が直撃沈没していく。


ではゲートラウェイスを見てみようか。


出港前。

艦内は静寂に支配されていた。

理由は単調で簡潔なもの。

1つの機密扉の反対には拘束された軍人。一人として意識を保っていない。

その回りには2人の軽武装人が監視している。

こちらは両腕が不均一。

さてこの二人だけにあらず、他の区画でも同様に拘束され意識を消失された軍人。その周囲に少数の似た容貌の監視者。

『こちらジー。目標制圧完了。』

『了解。此方先発部隊。別命あるまでに衣替えを完了されよ。』

『了解。では次まで替え、後は待機する。』

通信を切り、服を着替える。

拘束した軍人を一人ずつ袋に入れ、用意した箱に閉じ込める。

そして何食わぬ顔で同じ配置に着いて出港となった。

その後、先の宣言を発端とする反乱である。だが、直後にゲートラウェイスは動かない。時間差をして情報を撹乱させるために敢えて動かなかったのである。

そして1つの契機をもって近くの船に砲撃を開始したのである。

が、この行動は全てを見ていた者にとっての予想内であり、さらに言うなればこの蜂起すらも折り込み済みなのである。


同じくしてゲートラウェイスではこの自分達の攻撃を1つの合図とさせて船団を、当初の目的へと崩壊させながら突き進んで行く。

その手筈だったのだろう。

その作戦は脆く崩れ水泡と化す。

最初に気付いたのは見張り台に立つ監視要員だった。

それはゲートラウェイスからの砲撃に成す術なく沈んでいく船の先。つまりは進行方向が瞬くと、その見張り台の下に居合わせた者達は理解するよりも世界に別れをしてしまう。

消し飛ばされたのが見張り台と僅かな部位だけが幸いし重大な損害までには至っていないが、その揺れは艦橋の統率者に伝わるのだが、次の瞬間にはゲートラウェイス自身が世界から消滅したのである。

この掠りと容赦ない轟沈を目の当たりにした船団は例外なく悲鳴と絶望に塗り潰され収拾が着かなくなってしまう。


ゲートラウェイス消滅の前。

ユーフレイム号の船倉には、動きを封じられた者に覆い被さる物言わぬ者。

そして遠巻きに見守る事しか出来ない元従業員達。

これらを目の当たりにして。

「ふふ。これでこの船の鎮圧は完了かしら。ねえ、統率者さん。」

無いはずの頭部に巻かれた布。視覚を遮られ腹這いの上に動かぬ者達が山を築いている。

転がっている持っていた頭部に、触れると笑いが込み上げる。

それは堪える。

「それじゃあ交渉。と言うよりも提案かしらね。」

含みを思わせる笑みを造る。

「簡単よ」

騒ぐ者達。やはり統率しているだけあって冷静に判断する。

「答えは二択。否定か肯定。どちらかを選びなさい。なに、悪いようにはしないと誓うわ。」

拘束した者達は涙を流していた。その涙は何を意味しているのか。

不適に笑みを携える。

だが、爆発の音を伴い船が揺れる。そして。

『あああっ。ユーフレイム号に乗船している方々。初めまして。私の名は《交渉者》そうただの仲介人形です。さて其処に送り込んだお嬢様。アレイ。その場の紛れ者を介して此方を滅ぼす算段でしょうが残念です。では乗船者の皆様、恨むならそのお嬢様を恨みなさい。そして自身の何かを嘆きなさい。では暫しの後悔と共に、お別れです。』

切れた直後に先程より更なる揺れがユーフレイム号を襲う。

そしてユーフレイム号も世界に別れを告げた。



笑う者が居た。

その前に備え付けられた映像は多角的に写し出された海域のもの。海に漂う多数の船。その幾つもから赤い肉体を踊り出させ長く全てを取り込もうとする赤い舌。

予想より早く計画通りに船が沈んでいく。これで目的の所在は判明した。だがこれだけでは足りない。

足りないのだ。



ユーフレイム号が沈む映像をその眼に刻んでいる者達。それは無乞わぬ天井への叫び構成員の何かに亀裂を走らせるには充分だったろう。

直後に船団に通信された宣言で解決するはずだ。

『さて、船団に潜った紛れ者。いい加減にしてほしいな。僕は仕事で各属島を回っているのに。どうして邪魔をするのですか。あれですか面白いとか可笑しくとかで邪魔をしているのですか。普通につまらない抵抗生活をしていれば良かったのに。無駄に意気がるからこんな、愚か過ぎる行為をするね。なら問答無用で処理させてもらいましょうか。ねぇ。皆さん。』

切れる。直後に船団に流された映像と激しい揺れが全てを物語る。

そう船団は見捨てられたのだ。


『あのさあ。胸糞悪いからどうにか出来ないかね本当に。』

むむ。


後の歴史上では、悪鬼による強襲により船団の九割九分が壊滅し後の判断材料に数えられた。

そういう事になっている。

船団は壊滅し残りは三隻しか残らず、その1つでは老人が嘆き崩れていた。

「さて、これで、この海域によるあれらの無駄な、違いますか、何かに取っての有益は完了しました。では皆さん。向かいましょうか。其処の罪人引き渡しと顛末を伝えるために。」

絶望に乗った叫びが虚しく空へと溶けていく。

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