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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
一章~転戦の日々~
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一章~続・仕事?~

わ、私は何をしているのだろう。

手放した自我は何故か壊れておらず、私のままである。

これはアレが起因しているのだろう。

嫌に気分が落ち込んでいるが。原因を探る暇はない。

何故ならこの状況はなんなのだろうという疑問が先行していたのだ。

そう視界に入るのは。

長考して答えは出ない。


目覚めてや気がつくと、とか状況の理解も含めてその状態は意味がないように思えてならなかった。

右には控えている女。

左には同じく控えている男。

二人の共通点は頭に被った動物の覆面。

そして正面には数えられない膝を着いた人。

皆が一様に頭を下げ、同じようにしかしこの者達は動物の仮面を着けている。

見る限り数人は嗚咽を漏らしている。

その上、理解より早く事が進んでいくのだ。

曰く、この場所はある組織の施設であり、この場以外にも彼ら彼女らのような者達が世界に存在しているのだとか。

そして自身はそれらを統括する側の、高位の存在でありその言葉一つで世界に戦争を仕掛けることも可能だと。

最初はその言葉に疑いの考えがあったが、試しにある事を指示すると、その通りに事を運び、手の内に予想以上の品が集められたのだ。

これに気を良くして組織で様々に手を染めていった。

自身の何かを贄に捧げているとも理解せずに。


時は過ぎて統べる組織の1つが。

と言っても支部の一つに過ぎないのだが。

強襲の上崩壊。更に予想外の出来事が重なった。

なので召集会での議題。それも初めに上ったのだ。


曰く、ある島の端に設けられた研究を主軸に置いた施設が何者かの、違うか、事前に情報は把握していた。だが、それらは極秘として流されず。一部で潰された。

その情報の中には間者の存在も把握されていたのだが、それら含めて握りつぶしたのだ。何者かは知らないが。

さてその事後に流れてきた情報には幾つもの不可解な、不審な点が複数認められた。

誰でも判るようなその疑問に誰も発言しない。


その襲撃は数年の時を重ねて、慎重に練られた大規模作戦だと云われています。

ですが事前に把握していたにも関わらず、その情報は曲解され流された。

そして、軍事組織の強襲が開始された。

そうその筈でした。

上としての計画では、あの施設を贄にしてほとぼりが冷めるまで潜むことにしたのですが、持たらされた情報は驚愕意外の何物でも無かったのです。


あの施設の再深部には知られてはならない装置と研究空間があったのだが、それらは何者かにより壊され消され持ち去られていた。

脱出した者の話であるが。これは数時間して映像が回されてきたことにより真実だと決定付けられた。

その映像を見て数人は愕然としながら何処かへ連絡をしていた。

その映し出されたある場面でその議場の者達。勿論、連絡していた者も含めて。だが一人を除き恐怖と絶望を隠さず。連絡機器を床に落とす者。恐れて腰かけていた椅子から落ちてしまう者。

眉を潜めてその映像を見続けるその者はほほ杖で何気なく流れるように見ていた。

気づくと全員が椅子から落ちて驚愕を表していた。


私の質問に答えられる人達は一人として居らず、仕方なしに見ていると、何か言いようの無い感情が沸き上がるのを感じていきました。

心が掻き毟られ、器の液体が沸き立つ。

そんな感覚を覚えます。

何か不味いのでは。

そう考えある一計を案じました。

それにしてもどうしてあの様な物に言い様のない感情が出てくるのでしょうか。


ある日、あのもたらされた情報から数日経過したその日は、廃墟と成り果てた支部に関連した情報収集に奔走、忙殺され周囲に気を配る余裕はなく、その発見も遅れてしまった。という報告が後になされる。


その日。施設では先述のとおり件の情報を大小関係なく集めていた。しかし、それはある者にとっての都合な時だった。

仕掛けとしては単純なもの。仮の器を用意しそれに多種の薬を仕込んである場所に隠した。

それが昨日のこと。

「では、初めようか。」

手に携えた一つの装置。

戸惑いも憂いも郷愁。これは違うか。

とにかく、これにてこの仕事も終わりだな。

静かに押した。


警報が施設に鳴り響く。

全ての作業が強制中断される。

その日。施設の長たる教主が殺害された。

凶器は毒の矢。

その毒が強力だったのか。それとも発見が遅れたからなのか。

見るも無惨な死骸だったという。

運ぶにしても腐敗が進みすぎ、近づくにも憚られる腐臭を放って触れただけでも崩れてしまう。そのような経緯から施設特性運搬道具を用いる事に。


教主の遺骸は秘匿事項として扱われ。一部の幹部しか関連する情報に触れられないように多重の鍵が掛けられた。

安置場所も極秘とされ、年度末の最終報告で犯人を特定するに至らず。と報告された。

これ以降、元教主の死に関した一切が特定指定され、どの様な権限であっても見る読む聞く聴く探る盗む調べる。を禁じたのである。

結局の所、元教主はこれが望みだったので良かったのだろうが、いやに引き際が良すぎたのには何かを感じずにはいられなかった。

それが事が終わった時の感想だった。


新たな器はこれ迄より若く、使い勝手のきく者。

しかし馴れるまでに時間が掛かった。

多分半日か。

そして、若いからか、それとも他の要因か判断は難しいが、遠くに感じるこれは間違いようのない存在。


それはまるで焦がれ想い、苦しくも甘い劇薬のようなもの。

何時も寸前で邪魔が入り会えない。

その悔しさは月日を掛け重ねる毎に憎しみに上書きされ、いつの間にか世界を恨むようになっていった。


そんな思考ばかりだったからか、ある日大きな事故に巻き込まれてしまった。

意識を取り戻した時には把握していない病院。そこの完全隔離病棟と呼ばれる、特殊な建物。

私が巻き込まれた事故は極秘試験中の何からしく、運の悪いことに、その部品の一部が頭部に直撃。鼻から下を損傷し、脳も一部が破壊されるになったらしく。

政府庁主導と云うこともあり、入院費から何まで全てを負担するという。

まあ、体のいい口止めという意味が強いだろう。

はは、まあ、何気にこれまで大変な、気の休まる事など無かったのでそれならば、と満喫しようと思う。

とそんな事が許されない。

なぜならその病院での出来事に私は少しばかり巻き込まれてしまう。

結果からそれは最悪の結末へと帰結してしまうのだが、この時が元で一つの存在の精神(たましい)に抉るような深い傷が残された。

『ああ、これはもう元には戻れないだろうな。』

それでどうにかするなど愚かなり。

放置してどさくさ紛れに姿を消すことにしたのだが。

「ふふふ。まあ、待ちなよ。君にはまだまだ仕事が残ってるだろ。それを終わらせてからじゃないと解放と再会は出来ないよ。ふふふ。」

その間、僅か。

全身が悲鳴を上げるように弛緩し、直後に緊張。内部から云われようのない感情が物理的に支配していく。

緊張の影響で呼吸できず、上手く行えない。

脱力により床に座ってしまったのは致命的と言わざるおえない。

背後から続く言葉の羅列に返答できず。それでも尚、放たれる言葉。

「ふ、そうだね後、一回か二回。それをすれば目的は達成出来るだろうね。じゃあ、取り敢えずサヨナラだ。」

肩に置かれた手から形容しがたい何かを流し込まれ、視界は混濁、音は静寂へ。

思考は空白へ。

肉体は無へ。

そして、知識は深淵へ。


その場にいた一人は気づいたが遅すぎた。手を伸ばすより、行動するより速く、その肉体は崩落し虚空へと流されていった。

最後に届いたのは悲鳴か、嘆きか。



今度こそ会えると思っていたのに。

それでも信じている。絶対に会えると。

遠退く意識の中で唯一溢れでる思いだった。

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