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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
一章~転戦の日々~
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一章~三つの道筋(経過)~序

光魔がエクスミイトゥシウドゥを脱出する遥か前まで話は遡らなければならないだろうか。

それとも更に前か。

取り敢えず話は遡る。

光魔と別れた者達。

正確には光魔が堪えきれず逃げたしたのだが。

元上位者である総隊長権船長。襲撃し後に騙され捕縛、懐柔された幻術使い。昨年まではその筋では恐れるものなしと吟われた元重要危険人物(現在もか。)。この者も昨年まで教団の人柱を担っていた元教団総主。盗賊団一行。襲撃者一行。更には拘束した者達。

内分けと云えばこんなものだろう。


はてさて幻島を脱出し、艦隊を退け、一息着いたりして直後に記憶の齟齬によるその発言を発端とし奇異の視線に晒される。故に堪えきれず、光魔が逃げ出し姿を眩ませた直後から始まる。

「どうするよ。制止を振り切って行ってしまったんだが。」

「いや、行ってしまったでなく。早く追いかけるなりしろよ。」

「まあ心配あるめえ。端末を持っているから何時でも捜せるだろう。」

「まあ、そうなんですけ。」

「ちょっと待って下さい。元主。何も持ってませんよ。」

場が氷点下となる。

「そんな冗談は」

指し示した先に光魔の荷物一式が鎮座していた。

慌てふためく四人を他所に、他の二人は部下や家族へ指示を出していた。二人は、どうしてあの坊や。もしくは糞ガキ。に対してあれだけ取り乱すのか。揃って表裏に限らず名の知れた者達の筈なのに。と。

そのような事を二人が考えていることなど当然四人は知るよしもなく。慌てているが突如提案が持ち上がった。

『それなら彼には後でどうにかして連絡を取り、分担して仕事を進めたらどうかな。その方が効率も良いし、最後の場所は決まっているだろうから。』と。

そのよう不理解な発言は通常なら無視されて然り。

なのだが。

反論はなく。それの方向で向かうことに決まった。

論争していても無駄でしかない。これに賛同するしか現状はないと言うのが本音だろう。

手始めに大元の依頼である暴動主犯とその部下を依頼主の二人に引き渡す事にした。これで光魔の端末が返却されたのだ。

「それでだ。誰が行く。首謀者とその一味の護送と引き渡し。」

「ああ。決めてなかったですね。」

「元々ボウズ自らのつもりだったしな。仕方有るまい。で、誰が行く。別に俺が行っても構わんが。」

一悶着あれば良かったが(誰が得するのか)。クロイツが行くことになった。

残りは各道筋と日数を考慮し、更に足を確保する。そして四人の当初の目的とは違い、光魔と別行動を取ることになったのだが、これは四人にしては死活問題である。

四人に提示された減刑条件は光魔と行動を共にして監視する。だが現在、監視対象の光魔が居らず、実際行動を決めかねていた。四人は其々担当者に連絡を試みたのだがどうしてか着かず、仕方なしに各個人の判断で行動することに決めたのである。


「で、大まかに分けて道は三つか。その先は後々考えるとしてだな。ボウズは黒に任せるにして。さてどうするか。」

「そうですね。先に元主の現在地の把握ですが。この属島の何処かに居るでしょう。別の港から出ていなければですが。何分属島といえ広いですからね。なら、そうですね。僕はこの真ん中を担当します。端末を返還された後に戻ってこないといけませんし、元主とも会うまでの経緯等を話さなければいけませんから。何時になるかは検討も着かないですが。」

「そうか、では自分が此方の左を担当しようか。」

「おう。理由を聞いていいかい。」

「はい。まあ、自分の故郷が含まれているので。」

「そうか。なら大丈夫だろうな。」

「云いたいことは解っています。その点は心配なさらず。随分と昔なので、それに私は放逐された身ですから」

「ほほう。それは何ともはや」

「返す言葉に詰まる事をさらりと。」

「それじゃあ残りの右を俺か。まあ、近く寄ろうと思っていたからな。妥当だろう。」

「それで、どうしますか、彼女らや彼らを」

「俺達には権限がない。だから。」

四人は示して頷き。溜め息を漏らし肩を落とした。

「おや、あれは。」

甲板から見える島のその遠方には雨を伴う黒雲が見えていた。

それは丁度光魔が走っていった方角。


時間を開けて海上。三隻の船が牽引を繋げて停止していた。

その1隻の船内。

「これが俺達の出した結論だ。どうするお二人さん。一応、二人以下の処遇について、ておう。」

「ええええ。」

「な、なんで、すか」

「これは予想外かな。」

「貴方に対しての行動を理解してもらえるかしら。」

「ああ。すまんな。俺の何に怒っているのか知らんが、まあ気を落ち着かせてくれや。つおっ」

「まだ解らねえのかい。やはり元とはいえ上は信用ならねえよな。」

「だからなん。」

「横やり失礼。このままでは話が進みませんので。いいですか総隊長。彼はともかく。彼女は身内を家族と称しています。それは彼女とその身内は以下でなく以上でもなく同等です。それは彼女の行動でも解りますよ。多分ね。ですから」

「おお。そう言うことかい。それはすまなんだ。謝罪する。代わりと言ってはなんだが、そうだな俺の伝を使って出来る限りの事や品、情報なんかを提供できるが。」

「はは。また太っ腹な。」

「へっ。そこの兄さんも言ってたろ。元。とな。」

「それでも、戻りたいと」

「思わねえよ。どうしてかと思うだろ。それはな、今の方が何かと便利で楽なのよ。どうしてか権限も剥奪されてないしな。どうせ何処ぞの一派か、それとも、権限を持ってる奴が恩を売るために残していたかだが、今はどうでもいいな。」

「それでも、貴方を含めた四人には、何かしらの制約があるのでしょ。それを」

「いえ、こちらの男は知りませんが。自分と総隊長と幻術使いの彼。あともう一人は別にして。基本は今の方が楽なんですよ。総隊長も仰ったようにね。それでも自分にはそれほど大きな権限なんて有りませんけど。」

「それに簡単な話だ。俺達には存在と命が完全に保証されている。まあ、ボウズから離れてしまったから停止状態だが。そういやあその辺りを聴いてなかったな。」

「それはつまり」

「二度と俺は戻る気は無い。絶対だ。」

「そちらの三人は」

「ふふ。自分は別に何でも構わないですよ。いうなれば、面白ければそれに越したことはない。ですかね」

「ああ。あんたの経歴を調べたよ元危険者。至る組織を転々としているな。それも現在は存在していない。関わった組織全てが壊滅か解体されている。」

「へえ昔の事を。」

「ふむ。元主なら。『普通はしらばっくれると思いますが。』と宣うかと。」

微笑する面々。

「何。隠すほどでもないので。」

「それはまた別の機会にでも話が進みませんし。」

「そうだな。では、話を戻そう。二人の家族と仲間を含めた処遇だが、家族や仲間と話し合って貰いたい。なに。俺達には強制できねえからな。」

それから二人は其々の元へと戻り話し合いが持たれた。


数時間が過ぎた頃、二人は再び四人の前へと戻った。

「長かったな。で、どうするよ。ボウズの進める島へと渡るかいそれとも。」

「いや、俺の所と彼女の家族はこのまま進むよ。俺は戻れないし、彼女も同じだ。ならこのまま進んで、行けるところまで行くとしよう。」

「そうなりますか。なら皆さんどうしますか。」

「どうとは。」

「いえね、彼ら彼女らを一纏めに送り込むのは得策でなく、なら分けて道を進めた方が遣りやすいかと。」

「はあ、そうだな。なら、おい。お前は俺と一緒に来い。それとお頭よアンタの所は俺と行動を共にして貰う。嫌なら嬢ちゃんでも構わねえが。」

「拒否する理由がないが、しかし、俺はアンタとは行動を共にする気がない。断らさせてもらいたい。」

「そうか、なら嬢ちゃんは。」

「まあ、何となくで総隊長さんに着いていった方が面白いことになるかもね。ねえ。」

「そうかい。なら兄さんはそちらの二人とだ。」

「いえ今回私は、一時的に別行動で。何分道筋から外れるもので。そうですね。元主の端末を回収、届け終えたら合流しましょうか。その時は此方から連絡を入れますよ。」

三人は反論したが。

「あのですね、私は彼らの護送です。さらに元主の端末受け取りの後に届けること。それには時間が掛かりますからね。ならば時を無駄にしないためにも、先行して事態収拾に向かってもらった方が得策だろうと。」

筋は通っている。

たしかに時間も限られている。ならばそう、二手に別れた方が効率的には利にかなっている。なら反論する理由がない。

憤然としながら無理に納得して。僅かな痼を残す。

それを是としないクロイツは完全に納得して貰うため敢えて時間を割いて説得した。

それをもって納得した全員は痼を残さず、其々の担当道筋へと出航していった。

見送るクロイツ。

「さて、此方も行動を始めないとですね。」

三隻を見送ると用意された小型船で港へ向かい船を破壊。港から離れ光魔の所在を確認するための聞き込みをする。

見つけた先は外観的には宿のにしか見えなかった。それは一般的に見てだろう。が、クロイツは元とは云え他を統べる位地に居た者。その両眼には発露する嫌な雰囲気が見えていた。

それ以上は踏み込まず一応の安否確認をして、踵を返し帰路戻る最中に激しい雨に打たれ、近くの軒下で雨宿りをしていると遠くに雰囲気が異常な者とあまりに薄い者の後ろ姿を捉えたが、直後に建物の向こうへと姿を消してしまった。これに関しては別段気にせず。通りだった雨が止んだ後は目的を果たすため別に用意された船で目的の島シロリネスへと向かう。

船倉には約束の主犯とその部下を薬を使い眠らせている。目的地まで何事もなくすまれると。確信している。

何気に不安が残るが。

クロイツと主犯以下を乗せた船は一路進む。

だが、クロイツの瞳には悲壮が灯っていた。

それは自身の記憶と彼らの態度に起因する。

が、それは後に光魔との連絡で解消されることとなる。



瞼に焼き付いたあの景色。思い出しても底から沸き上がる負の感情。途切れることない頬を伝う涙。誰かの口から出る言葉に従い。必死に押さえつけながら進行していった。

この中で出会ったあの者に心を奪われ、手に持っていた物を無意識に落として鼻をつく煙と赤い滴り流れ出る水。身体に響く轟音と怒号の世界から別れた。

その数年は本当に幸せだった。

でも、だからこそ知らされた。

過去から逃げられないという事を。

あの日。油断はしてなかった。そう思っている。今でも。

それでも、何処かに有ったのだろう。だからあんな事に成ったんだと思ってしまう。

あの場を離れて、ある仕事をしていた時に設置していた装置があの者の大切なモノをこの世界から消失させた。

仕事を終わらせ、帰宅すれば何時もの笑顔を見れる。最高の笑顔を。

でも、それは、叶わなかった。

嗚咽するあの者。地面に額を擦り付け、封印されていたはずの兵器の残骸を掻き集め何かを視認せず作り上げていた。

完成したそれは音を出しながら横たわり暴れていた。どういった機構なのか、全体から粘度のある液体を放出してそれは、地に触れると溶かしていく。

危険を察知してあの者を抱え逃げた。

その間、笑いが耳を汚染する。


逃げ延びてあの者を下ろすと、その顔は仮面のようで瞳には光が無かった。

あったのは不気味な笑いと何かを探すように動くさ迷う視線。

その日から笑いは止ま、ずそれは病むことない笑いをずっと挙げ続けていた。

恐怖した。その原因を作った自分にか。それともあの者。自身にか。それは今に成っては知る術はない。

元に戻そうと色々な手を尽くしたが無理だった。

それに、あの笑いは瞼を閉じても壊れたように笑い続けていた。

そんな中で噂を耳にした。その噂を頼りに。あの者をある場所に預けその場所へと向かった。


その時には微笑みを忘れたあの者に再びの笑みを取り戻す。その考えしかなく。そうして一縷の望みを抱き必死の想いであの扉を開いた。

それからは当時の総者に師事し勤勉に努めた。

その甲斐あって同期では異例の昇位を果たした。結果、疎ましく思う存在により本域から締め出され、気が付くと荒れた土地を与えられていた。

その後も無理難題を本域から度々出され、それら全てを何とか完遂させた。

そうして完成したのが支教。喜びを極めるために創設した教団。後に狂喜の教団と云われるまでになった。

その総主となり信者や後ろ楯を増やしていき一大教団までに。

が、それは遅すぎた。何故なら本来の目的であるあの笑顔を見ることは二度と、永遠に見れなくなったのだから。


それからは怠惰に惰性に生きていました。(おもて)では総主として責務を果たし、自室では延々と無意味な事をしていた。

それはあの日まで続いていきました。

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