一章~交渉、提案、一掃~
それでは。と前置きして世界府軍人。センリキュール。
反乱軍総司令。タイレツ。
二人を画面に納めて。
「これで最初の段階は終わりました。次に双方の死者負傷者。それと開始から終結までに掛かった日数からの費用。あと武器兵器に伴う使用者と技術者。双方の有力者と獣人残存数。これの場合は戦場に出撃して負傷度が低い者を指します。一斉戦場にに出ていない。高官、後方支援は除外します。」
画面向こうの二人は視線を外さず光魔。この時はメキネと再興に関しての協議を進めていた。
『それは詳細に、ですか。』
「そうですね。可能な限り、詳しく細かにです。嘘偽り有った場合は相応の処置を取りますから。考えて提出して下さい。」
『分かった。情報を送る。精査して結果を願いたい。』
「ええ、直ぐに出しますよ。お、来た。早いですね。もしかして見越してましたか。それでわ。」
宙に映し出された映像とは別に端末を操作して送られた資料を調べていく。
「うん。それでは確認完了。不審な点は多々あります。そうですね。これらの中からより不可解な点を複数。中でもやっぱりこの項目はなんですか。」
光魔が宙に表示する画面に示したモノは人員確保に関する項目。
『それが何か』
「うん。率直に言いますと、其々の資金源を知ってますか。」
二人は首を振る。
「先生は判りますか。」
『と、ここで私ですか。そうですねぇ。調べた時に気にはしましたが。何分気分を害したので。それに関しては貴方に一任した方が得策と考え。』
「そうですか。ではこれに関して僕で対処しておきます。次にこれに関して必ず接触があったと思われるのですが。必然相手方とも直接でも間接でもあるでしょう。その辺はどうですか。」
これも二人は首を横に。
「そうですか。では、この話は一旦区切ります。次に負傷者に関しての補償ですが。僕の考えではこれだけで済むと思われます。勿論反論抗議は受け付けますよ。その時間が有ればですけどね。」
二人は自身の端末に同意を示す文字を書き込み、光魔は読み了承する。
「さて、次に武器兵器、それに関する技術や運用。情報に関する根幹ですが、此方で調べておきます。どうも、普通なら手を出すべき物では無さそうなので。その大元が気になるので。」
二人は震えている。
「そして最終確認。双方に資金情報人員技術武器に兵器。これ等を提供した者は本当に知らないと。」
二人は激しく首を振る。
光魔は少し待つように一度画面を切る。そして端末を用いて情報を集めていく。
最後にたどり着いた答えを目にして深く不快に溜め息を吐いていた。
「まっっったく。本当に。雑草かよ。」
変わる事のない天井を見つめる。
端末を操作して三度に画面を開く。
二人が緊張した姿勢で戦いていた。
「結果から言うと御愁傷様というべきでしょうか。」
『え』
『それは』
『何を意味するかを聴いても』
「一つ昔話。というか世界中が知っていると思いますが。あの世界暴露事件。」
『あれが何か意味を』
「ええ。あれの根本を知っていますか。」
『先に根本の意味が理解できない』
「ああ。そうですか。ならここで一つ面白いことを。」
光魔は長い間を作る。わざとに。
「アレは過去に何回か有った。それは周知の事実ですよね。」
頷く。
「これは今先程知ったのですが、先の戦争を含め全てが遊戯。つまりは遊びなのです。それの根本は暇潰しのようで」
察したクロイツは言葉を挟む。
『ではこれまでの事は。』
「はい。察しが良くて助かります。どうも調べているとずっと続いている各島。特に続島での内乱は生き残りです。多分処分逃れがいたのでしょう」
この言葉に何かを思い出したクロイツは画面を自身に向ける。
『では、この者達や他の組織も』
「はい。生き残りが関与していると思われます。まあ、推測なので物的証明は出来ませんが。」
歯軋りが画面越しに聴こえてくる。
「それは僕の方で処理します。ではこれにて双方に対する事柄は終わります。細かな事は双方で積めてください。では。言っておきますけど変な気を起こして無謀な事は止めてください。折角終わったのに無意味に散らすのは勿体無いですよ。では。」
端末を切り、肩の力を完全に抜いて机に頬を着ける。
くすんだ壁を見続けていると端末が画面を宙に表示する。
『やあ、少し良いかな。』
「んあ。どうぞ。」
『ありがとう。では先に、貴方は元主では無いですね。あの時の存在ですね。』
「え、何を言ってるのですか。分からないです」
『はは。しらばっくれなくても結構。画面越しでも判りましたからね。』
光魔の目が恐ろしく禍々しい力を宿す。いや、戻す。
『どうして表に。』
「理由を話すと思っているのか。」
『それはまあ、そうでしょう。しかし、話を一つ。』
「何かな。」
『あの島での出来事を覚えておいでで。』
「あの島とは、どの島の」
『惚けるのは良くないですね。』
「そうか、アンタも覚えていたのか。」
『聞いても宜しいですか。』
「どうぞ。」
『何故あの出来事を覚えているのが、私と元主だけなのか。』
「それを知って何になる。」
『いえ、気になったので』
「なら答えは何れ解るから答えない。」
『ふふ。嫌な人だ』
「それはどうも。」
『ははっ。では、作業に戻ります。』
「そうだ、ちょうどいい。二人の処置を願いたい。出来れば早急に」
『それは大事な。』
「そう。これに対する報酬は別に支払う。」
『それには及びません。なぜなら私は元主の側にいれるのであれば幸いなのですから。』
光魔の背に冷たい汗が流れる。
『では、処置に当たります。結果は一括で報告しておきます。』
「了解。それと特に過去数年単位の事を重点的に」
『判りました。では、その辺りを探って見ましょう。』
こうして交渉と提案を終わらせた。
静寂も何もない。光魔自身の衣擦れの音が僅かに。
吸い、吐く。
「もう入ってきても良いですよ。」
鍵を開け扉が開くと薄い青スーツの女性が手にカップを2つ持ち上げて入ってくる。
「どうぞ、飲み物です。お求めを聞いてなかったので此方で用意しましたが。」
用意された物を前に置かれると。冷めているのか湯気は立っていなかった。
「ありがとう。飲ませてもらうよ。」
持つと中を確認せずに一気に飲み干す。
「ふむ。舌に感じる刺激が何とも面白い。では、もう一つを聞きましょうか」
「そう考えた理由を」
「なんとなく。」
「問答しても時間の無駄でしょうか」
「そうだね。」
「なら、率直に申し上げます。上からの指令です。現在、貴方を殺すために船団が押し寄せてます。対処は不可能との事で貴方に対応を御願いしたいのとの事です。職員、島民の避難は粗方終了しています」
「ふうん。で、方角は」
「この場より南南西。距離にして572。人員兵器武器合わせて数万から数千万程との報告が。それにしても人気者のようですね羨ましい。」
「嫌みは聞かなかった事にしておきます。で、それを一掃しろとか。そんな無茶を言ったのが誰なのかは聞かないであげます。それで時間は」
「そうですね受けてから相当経っており、残り、一分を切っております。」
「そうですか。なら伏せておいてくれます。危険なので」
「はあ、危険、ですか。」
「そう。時間もないですしね。この場に居合わせた運の悪さを呪ってもらいましょう。」
解らなくとも一応伏せる女性。
「はあ、ホントに最も悪いですね。」
端末を机から取り、操作する。画面には光魔の現在位置が表示されていた。
「ふむ。この場が島の中央。それも山の頂きであったのが良かった。」
端末をポケットに仕舞う。
手で決まった動作をして女性からは見えない。手元が眩く輝く。
何かを呟くと室内に強風が吹き荒れ、机や椅子にカップと入力装置、天井や壁の一部を粒にした。
「振り抜くので気を付けてくださいね。」
聞こえた言葉は「イッセン」
それを最後に女性は意識を剥ぎ取られた。
後にこの時に関する報告書では。
一言。
『海上は文字通り火の海でした。』




