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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
一章~転戦の日々~
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一章~交渉までの…~

光魔は辟易していた。

どうしてか送った報告書が届いてなかったようで現在。世界府庁支部である続島の支部一室で軟禁状態で報告書を作成している。

こんな事をしている余裕は無いのだがへんな所で真面目なのだ。


「お疲れ様です。」

画面から視線だけを上げると薄い青のスーツを着た女性が入ってきた。

視線を戻して続きを打ち込んでいく。

「進捗の方は」

「ねえ。可能ならだけど。教えてくれませんか」

「可能ではありません。貴方の一切の質問にはお答え致しかねますので。」

「あそ、なら別に良いです。それと、何か飲み物を用意してくれませんか。」

「それなら可能ですが」

「ならお願いします。」

一礼して出ていく。

扉に鍵を掛ける音が鳴る。

報告書が完成するまで出すつもりがないと読み取れる。

無駄に抗った所で体力等を消費するだけ。黙々とキーを打ち込んで仕上げていく。

と、光魔の端末が振るえ画面にはクロイツの名が表示されている。

キーから手を離し、端末を操作すると画面にクロメガネの若いそれでいて画面越しでもどうしてか伝わってくる濁った瞳に宿る黒い感情。

「やあ、先生。何か用があるから連絡をしたんですよね。僕も忙しいので手短に願いたいのですけど。」

僅かに画面のクロイツの表情が変わるが、即座に戻ると、報告をしてきた。


『と、これが一応の任された続島での島主の提示した条件と報酬です。それとやはり紛れ者が予想通り双方に混ざってましたので、そちらも捕縛と情報収集その後に護送しておきました。細かな事は合流後にでも。』

「そうですか。で、調停書類を送信すれば。」

『あ、いえ、それは私の方で何とか用意します。ですが、双方代表の議論が平行線で落とし処が無いものでして、私も妥協案を幾つか提示したのですが。結局は。それで貴方にお願いしたい次第で』

思案する振りをしてから少し待たせるように指示。目下の書類作成を急いで終わらせる。


端末を前に置いて幾つかを操作する。

一度画面が消えると点滅を繰り返し、橙で停まった。

直後画面から扇状に光が展開すると人影が映し出される。

『あ、繋がりましたか。良かった。なかなか反応が無かったので』

「先生ご自身の心配ですか。それとも画面外での色々な事柄ですかね」

無言。それは肯定。

「そですか。な、ら。」

机の下で指を動かし最後に指を回す。

表示画面から。正確にはクロイツの周囲から聞こえていた罵りや雑音が破壊の音に変わり悲鳴と絶叫が聴こえてきた。

一旦表示が消えて背もたれに体重を掛け、天井を何も考えず見続けている。

端末が振るえると自動で画面が宙に表示される。

「あ、大丈夫ですか。何か画面が切れましたけど。」

対してクロイツは何とも言えない独特の表情をしていた。

言いたげな表情であるが言ってもはぐらかすだろうと理解していた。

その背後ではまだ、破壊音が響いていた。

『いえ、少し問題が有りましたが先ほど解決しました。』

「そうですか、なら良かった。では、双方の代表と交渉しますのでお願い、出来ますか。」

頷くと画面が移動し、二人の人物を映し出す。

音は止んでいた。


一人は細かな刺繍を施した軍服を着込み、怯えた表情。

一人は一応正装しているがこれが限界なのか所々汚れが目立つ衣装を着込んでいる。恐怖の表情。

「初めまして。今回、というより事後処理委託を受けた何処にでもいる一般人です。名前は、そうですね。メキネと呼んでください。で、お二人の所属と役職を述べてもらいたいのですが。宜しいですか。」

無言で頷く二人。

いまだに怯えと恐怖がある。

「ああ。と。」

しまった。そんな事を考え、やり過ぎたと思う。

「そうですね。では、此方からの妥協案を先に提示します。まあ、妥協というより提案ですか。勿論拒否してもらっても此方は結構。相談しても構いません。ですが、時間を掛ければそれだけ島の再興着手が遅れますね。それと、双方の被害や何やらを見ても今から着手しなければ間違いなく最上主が強制介入してくるでしょう。」

画面の二人の表情から怯えや恐怖が消えまさに代表という風格になった。

「では、始めましょうか。先ほどの質問の通り、お二人のフルネームと役職。確認後に戦闘に際しての被害額から」

こうして中立を持って光魔の本来の仕事が始まるのである。

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