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Heart of 6 〜赤と譲渡〜  作者: 十ノ口八幸
序章~戦地にて回想。後に夢での回想~
15/111

序章〜其処までに至る回想〜7

襲撃団と盗賊。其々を率いる人達の話を聞いて。

同情とかしても良かったんだけど。そんな時間はありませんでしたね。

何かの好機を計ったかのように周辺を警戒していた人から遠見で敵と思しき群れが向かっていると。

話も一区切り付いたので僕は元船長、現総隊長に指示を出してもらいました。


僕達は準備をして体勢を整え、迎撃に入り、僕達やお姉さんお頭さんは各個人での戦闘。

それ以外の人達は二人から四人での戦闘を徹底して義務付け戦場を展開させていきました。

その甲斐あって負傷者は少し出ましたけど、これといった心配事もなく。動かなくなった相手をは等間隔の距離を置いて何ヵ所かに集めて、誰かの端末を使って連絡をしてからその場を後にしました。


其々の端末には主要な連絡先を入力して、そして目的地へと幾つかの道を使って進みました。

だって、ね。

先程も言いましたが、全く制圧されてませんからね。

目的地へと行く道すがら各戦場を制圧、または鎮圧。出来れば壊滅まで持っていってほしいですね。

そんなことを僕は全員に言い含めて、何か一部から発狂めいた声が上がってましたけど気にせずその場で一時的に解散して、最終地点へとむかいました。


「で、なんでこの道の担当が、僕と総隊長なんですか。別に良いですけど。契約に違反してますよね」

「心配するねえ。もう了解は取ってある。」

「ホントですか。」

「嘘ついても俺に得はない。だろう」

「確かにそうですけど。」

「それにな、戦力を分散させるにしてもあの二つは危ないだろ。色々と」

「だからって、あの」

「まあ、今更言っても始まらねえし、おら。この島の主さんに会いに行くぞ。」

深く息を吐いて、何か納得できませんでしたけど、島の内陸へと歩いていきました。

「あと、なんで僕の武器がこんな何処にでも有るような棒切れなんですか。出来るなら鉄の棒をとお願いしたんですけど。」

「仕方がねえだろ、現地調達を基本にしてんだから。上も関わりを極力悟られないようにしたいんだろうさ。」

「なんか、納得できません。本当は資金を使いたくない、とかでしょ」

「判ってんなら文句を言うな。」

「うう。なんで、僕がこんな目に」

「はは。諦めな。依頼を細部まで読まなかったボウズが悪い」

諦めきれずに抗議を続けていました。

それは、僕と総隊長の前に相手が現れるまでずっと。


「あうあうあうう。凄くしんどいです。早く帰りたい。」

「口が動くならまだ余裕があらあな。ほれほれ。まだまだ来るぞボウズ」

言い合いながら僕は周囲の相手を渡された棒切れを使って、地面に叩き伏せました。

呻き声は無かった。かな。あっても気づかなかったろうし。

正直、そんな余裕は無かったし。

それでも向かってきた人達やその他を相手にして、終わるときには、日も高く、それでもまだましな気温でした。


総隊長は加減をしていたらしく。

後で聞いたら本気を出せば全員この世界と別れていただろう。とかそんなことをいってました。

これはこの島の処理を終わらせて、船で次の島に向かう途中での話です。


で、軽く疲れていたのですが、僕は早く終わらせたくて急いで移動しようとしましたけど、総隊長が制止させて、仕方なく従って適当な場所で休憩としました。

言われるまで気がついてなかったんですけど、僕の全身は細かい切り傷や数ヵ所の打撲なんかもあって、応急処置のため。というのもありました。

「ふう。なんかもう。この島だけで終わりそうな予感が。」

「心配しねえ方が良いぞボウズ。ああ見えて、二人は保証できるからな。」

「あとの、はやっぱり」

「そうだな。あの黒メガネの兄ちゃんは得体が知れねえ。どうやらボウズとは顔見知りのようだが、本当に知らないのか。」

「知りませんよ。だって、僕は去年なんかあの行事に参加させられて。それが終われば困ったから連れ戻してこい。とかでしょ。さらには実験の途中で僕は事故に合って、年を挟んで入院。記憶にも、それと記録にも合っていた。なんてのはありませんよ。」

「そうだな。確かに調べたところボウズとあの兄ちゃんには接点が見つからねえ。でもな、一つだけ手懸かりがあるぞ。」

「なんですか。」

「ボウズを呼ぶときの呼称だよ」

「ああ。あの〈元主〉とかですか。」

「そうだ。その辺に手懸かりがあるんじゃないのか。」

「まあ、そうですね。でも、そんな事を面と向かって、はい。と答えてくれますかね。」

「答えてくれんじゃないか。すんなりとよ。」

「無理じゃないですか。」

「どうしてだ。」

「簡単です。あの人は、主とは言ってません。元、主です。どんな形であれ僕とあの人の間は切れてます。だから」

「それでも少しは効力があるんじゃ」

「否定はしませんよ。でもですね。だからって話しますか。簡単に」

思案するように顎を擦る総隊長。

「無いかもな。確かに。」

「でしょ。まあ、何かの切っ掛けで話してくれるかもしれませんし。無いかもしれませんし。どうなるかは時間が経ってその瞬間になるまで分からないですね」

「そう、か。ならこの話はこれで終わりだ。俺が話すことは今後無いかもしれん。」

「また曖昧な。」

「ふふはは。忘れた頃に話すかもしれんしな。保証は出来んよ」

と僕も小さく笑い後はこの先の展開を考えていました。


一つの戦場を制圧して先を行くと、増援だろう影の軍勢が地平線の向こうから見てとれました。

「ねえ、総隊長」

「欲しいなら各自調達だ。」

「ならもう頼みません」

と、まあ、僕はここら辺りから喋らずに黙々と相手を殴り、突き、倒して行きました。

ああ。なんか。苛立ちが募っていってました。


日も暮れてからも全く休めませんでした。

際限なく、無限と言いたくなるように昼夜問わず襲ってくる軍勢に対して僕の心は擦りきれて、いきました。


翌日、朝の光を全身に浴びながら地面に横たわる埋め尽くされる人の数は数えられず。

戦い続けていて、進んでもいました。

もう、限界をゆうに超えていて、越えてはいけない処まで来ていました。

「お・・・ぶ・・・」

「あ、らいしょうぶれふよ」

「そん・・・・どう・ても」

「ああひんぴゃあしなあれくらはい」

「いや無理だろ」

その言葉を聞いて全身の力が空気を抜いたように抜けていって、その場で座り込んでしまいました。

焦点の定まらない世界が霞んで歪んで、重い気分に包まれていても意識は逆に冴えていきました。

それでも不思議な事があったんです。

まるで背けることの出来ない映像を見させられていたかのような感覚。

僕は霞掛かった視界を漠然と他人事のように見ていました。

もう動かせないのに。勝手に動いて、襲い来る相手を容赦なく加減も手心も一切なく。

全ての人達を地面にその体を埋め込んだのです。

どうしてか思考はそれに対して恐怖や焦燥感はなく。気分が軽くなっていました。


笑ってたんだと、思うんですけど。僕は口を軽く開けて、誰かが見たり聞いたりすれば思うような不敵で不気味な笑いを発してたんだと。

だからその光景が終わるまで見続けていました。

そして、最後の相手をそれまでと同じように地面に埋め込んで、見届けて気がつくと体が自由に動いて視界も鮮明になって、更に体の重さや心の中の表には出したくない何かが綺麗に消えていました。

ふと、自分が持っていた物が棒切れでなく、整備されそれでも赤く染まった細い板に持ちやすく施された得物が握りしめられていました。

「ふぁふう。」

と、欠伸して一呼吸。

「お、おいボウズ。大丈夫か。」

「ふえ、ふあああ。ああ。総隊長。ええ。僕は大丈夫ですよ、ほら」

体に異常が無いことを証明するために軽く跳ねたり腕や足を伸ばしたりして見せました。

「なあ、本当に異常は無いな」

「ええ。痛みも苦しみも、あと眠気も無いですね。あ次いでに空腹感も無いですね。どうしてか」

「そ、そうか。なら良いんだが。」

「何か」

「いや、言っていいなら言うが」

「はい。どうぞ」

「ボウズ。今が何日か分かるか。」

普通に答えました。

「そうか。」

「なんですか。訳が分からないんですけど」

「ボウズのそれを何時、何処で手に入れたか覚えてるか。」

指し示された僕の手には殺傷力を高めた鉄の板を握りしめていました。

「ん。なんでこんなのを持ってるんですか。」

「覚えてないのか。」

「ええ。知ってますか」

「それは俺をバカにしてるのか」

「いえ確認の意味です」


総隊長の話によればある戦場を境に僕の動きが鈍くなり始め、それは時間経過を伴って、見ているだけで苦しそうな状態だと判っていたらしいです。

それでも目的地まで長く、気長に向かうわけにもいかないと判っていたので余り強く進言しなかったとか。

だから二人で休む暇もなく向かってくる敵に対しての対処も弛めることをしなかったとか。

これが不味かったと気づいた時には遅く。

ある場所で全身の力が抜けて地面にへたりこんでしまった。

それに気づいたのは遅く。総隊長の位置から手助けできる距離でもなかった。

狂気を纏った一撃が、確かに僕を穿ったらしいです。

その音は離れた位置にいた総隊長まで響いてきたんだとか。

軽い絶望が全身を駆け巡りそれでもなんとか総隊長の相手を全て倒して、僕の元へ駆け寄ったら、僕の背中が視界に入って、安心したけど、胸騒ぎと違和感を感じて近づいて驚愕した。

僕は相手の攻撃をそれも、超近距離その上片腕のみで防いでいたとか。

その攻撃を繰り出している相手は容赦ない。

そう手数を見れば僕は劣勢。

でも、そう。防いでいる僕は、相手の全ての攻撃を片腕のみで防いでいた。

総隊長は見て、それで驚いた。

攻撃している相手の表情に余裕はなく、焦りが滲み出ていました。

対して僕は背後なので見えなくて、それでも手助けするという考えはいつからか消えていた。


相手が渾身の力を込めて僕の全てを停めようとして一撃を放ってきた。

対して僕は小さく嘆息すると聞き取れない声で何かを呟くと腕を引いて乾いた音を鳴らす。


その次に相手の得物が消え、上体を反らしそのまま地面に倒れ、ると思っていたら僕が追撃をして地面にその体を頭からめり込ませた。

何かが気にくわないのか、執拗に地面に向かって力を込めていたんだって。

止めることも出来ず、ただ見守っていた総隊長。

長く時間が停止したような永遠とも思える残酷な音を聴きながら見守って、そして。

僕は不意に手元を止めて頭を総隊長の方に向けたのです。

戦慄と言い知れない悍ましさが奥底から上り詰めてくる感じが襲ったそうです。

それはまあ、長年の経験からどうにか耐えて、その時の僕と視線を合わせないようにしたんです。

そうしないと、その時の僕に全てを喰い尽くされる気がしてとか。

何をいっているのか知りませんけど。酷い話です。

その時の僕の瞳には光は宿っているのに徐々に沈んでいくような気配があったとか。

まあ、その後は何も喋らず、淡々と粛々と襲ってきた相手を容赦も慈悲もなく。切り倒して行きました。

地面を転がる相手には目も暮れず、目的地である現在の地、集合場所まで疲れを見せる事なく歩いてきたんだとか。


それで僕の状態に痺れを切らして言葉をかけると、僕は普通に返答して集合場所に一番乗り。

そこから時間も開けずに数人が脱落しましたけど集合しました。


「で、お頭さんの所は」

「俺んとこは、7人だ。」

「お姉さんは」

「私はなんとか耐えて二人よ」

「そう、ですか。」

この時集まった皆の表情には陰りが見えていて、地面に座っている人もいました。

「質問です。這ってから上り詰めるか。頂を味わって底の底まで落ち尽くすか。どちらかを選んでください。」

唐突の質問という選択肢を皆さんに与え、猶予を与えず。

「僕はこの質問に対しての強制はしません。ですが、そうですね。例えるなら、動いた後は旨い。ですかね。」

それでずっと持っていた得物で近くにあった太く長い木を一刀両断しました。

驚く人もいれば、悲鳴を挙げる人もいたり。抗議をする人も中にはいましたね。

それでも感心するのは、誰1人として逃げ出そうとする人が居なかったことですか。

「では、どうしますか。後者ならこのまま一斉行軍して事を終わらせます。前者なら少し戻って休みます。ですが、今より過酷な状況にはなるでしょう。さあ、どちらを選びますか。」

全会一致で。


後者を選びました。

思ったより早い回答で助かりました。

まあ、どちらを選んでも大変でしたけど。


「では、僕は正面から行きますので。他の皆さんは左右及び背後と上からの強襲でお願いします。」

「おお。なあ、お前さんは良いのかそれで、」

「はい。その方が良いので。それにここに来るまでに総隊長に流してもらいましたから。多分大丈夫でしょう」

「自信が無いのかい。アンタは」

「昔の人は言いました。戦争は生き物です。刻一刻と変わる戦況は予想外の事態を招く。だから絶対は有り得ません」

「ふふ。素直だねえ」

「では、準備を終えるまで待てません。ので今すぐに行きましょうか」

抗議は一切受け付けず手を鳴らして全員に準備を急がせました。

「あのですね、抗議は事が一通り終わったら受けますのでそれまで採っておいて損はないですよ。」

納得はしてませんですけど、聞く気もなかったので準備を終えた人から指示した場所へと行ってもらいました。

怨みつらみが僕を射してましたけど。


闇が世界を覆っているかは知らない。

それでも失敗する方が高かった。

そう思って全員に変わらず映像を記録する装置を着けさせていました。

それが仇になったのでしょうか。

僕を除いて全員が捕まってしまいました。

僕の前には動けなくされた人達が膝を付き、頭を垂れて地面に額を強制的につけられ、中には嗚咽を漏らしている人もいました。

正直、心で笑っていました。

ああ。この時ほど感情が高ぶることはそうそうないでしょう。

「ど、どうして僕の行動が判ったんですか。」

声を張り上げ感情を隠すように相手達に聞いてみる。

笑ってました。

相手達は。

愉悦高揚。

侮蔑卑下。

負の感情を宿して僕を見ていました。

相手達の前に1人立っていた人が更に前へ出てきました。

「御当主方の言葉。私には最も信頼する下僕が存在する。その者の手により愚劣な者共の行動など安易に読める」

それだけを言って下がって。

「はあ、そうですか。」

それだけ言って、僕は頭を下げて、

「では、そこの人達は好きにしていいんで。」

本当は最後まで言うつもりだったんですけど。

「御当主方の言葉を伝える。聞こえなかったか愚劣な者共の行動など。そう言った。」

「はあ、そうなんですね。あの普通に喋っても良いですか。」

前に立っている人が振り返りもせず、

「反論する気か。」

「反論。というか疑問。ですか、ね。」

瞬間の思考。

「ふふ。許可しよう。」

言葉を発した人の表情が変化したけど無視しました。

「あのですね。多分ですけど。確認です。上か、それに近い組織か何かから情報が来てますよね。そこに這いつばらせている四人を含めるかは知りませんけど。大なり小なり僕に関しては知っているでしょ。」

前に立つ人が口を開きました。

それを僕は間髪入れず。

「あ、そうだ。そんな事は知らないとかは無しの方向で願えますか。正直、無駄な時間は割きたく無いので。」

軽い笑みを貼り付けました。

「後ですね。ふあ、あ失礼。眠いので欠伸が。無礼は承知、と言うか言わせてもらうと。」

咳払いは、しなかったです。

「貴殿方が偉いのは理解してるが。人1人を相手に萎縮したように他者を使って意志疎通を図るのはどうなんだ。此方は一応、仕事と言ってもかなり上の方からの言令で来ている。貴殿方もそれに答えて誠意を見せてもらいたいな。此方を愚劣というなら貴殿方は卑劣にして臆病。」

僕はまた欠伸して目尻に溜まった涙を拭って足に痛みが走りました。

拭った手を離すと、何でしょうか。まあ、例えは考え付きませんが、僕に対する感情は正に侮蔑卑下含みさらに1つ追加するなら憤怒ですか。

「っ。何ですか苛立ちを表現するにしてもまともな方法があるでしょ」

とか言ってたり。

「後、なんでそんな、そこの僕から見て右の貴方はその他の人と。僕を見た時からあきらかに放たれる空気が違うんですか。」

その人は見るからに籠る感情が他の方と一線を越えてました。

なので、どうしてなのか。

「はあ、聞いても良いですか。拒絶しても聞きますけど。さっきも言いましたけど、上の方から何時かは知りませんけど僕が来るという通達があったと思うんですよ。直接なり間接なり。本来、僕の仕事は事後処理であって事前とも事中ともに論外なんですよね。範疇外なんで、どうして僕が制圧しないといけないのか。」

頭に血が昇っているのを自覚してました。

「あんたらは。この島の権利を手離したくないから長々とウダウダと時間を掛けて、狙いは、あれですか。補助金やそれに関連した物が目的ですか。はあ。正真正銘のアホですか。ああ。だから僕を騙してこんな事をさせているのか。」

肩を落として、うだる気分を心に留めながら視線を相手達に向けました。

瞬間に僕の左の視界は激痛を伴い黒に覆われました。

「ぐがぁ。ああああ゛あああああ゛あああああああ゛。」

と叫びました。

耳に届く声は僕も、今なら笑えるくらいに笑っていました。

ひゃは。とかいい始めて、言葉に表現するには不可能な笑い方をしていて、一頻り笑い。終えると。助走もなく襲ってきました。

相手が持っていた得物は僕の肩を貫いて、力の限り横に薙ぎ払う。当たり前だけど僕の肩を貫いていた得物から抜き放たれて血飛沫で道を描いて何かに打ち当たった。

それで止まりました。

痛みを言葉に出して起き上がろうとしてもう一撃、次は多分蹴られたんだと思います。

意図せず声が出てしまいました。


「はあ。」

と息をはいて。

笑っている相手に視線を合わせながら立ち上がって。

「何か僕に怨みがあるんですか。ねえずっとその人に僕を潰させるように仕向けている人。」

僕の相手から視線は外さず、別の存在に声を掛けていました。

「無言を貫く必要はないでしょ。それだけ僕に向ける隠そうともしない殺意。何処かで会っているんですか。僕とアナタは」

歯軋り一回。それで。

「その顔。声は忘れもせんぞ」

自然。そう不自然なほど自然と歩いていました。

そうして。

ここからが不自然なんですよね。

僕は片手を大きく振り上げ自然に力を込めず振り下ろしました。

相手は読んでいたのか簡単に避けて僕から距離を取りました。

「ふあは。そう来るだろうと思っていたぞ。貴様はあの時もそうだったからなぁ。」

傾げて視線を何か重みを感じた腕に向けると。

「うえ。なにこれ」

驚いた。

知らない間に僕は殺傷武器を握っていました。

それは現在は廃れた殺傷武器。

現存はするけれど表には出ない武器。

「くかくかかかかかか。やはり。やはりやはりやはり。貴様か。貴様だな。遂に、見つけたぞ。我を殺し、このような無下な器に閉じ込めしフウジンシュよ。あの時の怨みをはらさせぶげればれあ」

この時も瞬間に頭で思考するより早く。

「長くなるような説明でしたら短く要点を纏めて簡潔にっ。」

長くなるだろうなと思ったのと心臓が1つ鼓動を打ち蹴りを胸の中心に入れました。

今度は相手が飛びまして、それで話が何か進まなくなるかもと思い、持っていた殺傷武器を知らないはずなのに構えて、相手の首を綺麗に撥ね飛ばすよう横薙ぎに振り抜きました。

ここでまた、不可思議な出来事が。

そう撥ね飛ばし、本体とさよならするはずの首から上の部分はどうしてか離れてなかったのです。

今でも手にある感触は鮮明に覚えています。

それなのに着いたままでした。

それで、いきなり震えたかたと思ったら悲鳴に近い声を出して全身から粘度の高い液体が空へと伸びていって少しすると、一つのそう、大人の頭位の大きさになって。

『ぐっ。やはり貴様は、だが。これでくはははははは。覚えたぞ貴様を今度こそ奪い尽くして絶望の底へ沈めてくれるわ』

と理解不能な言葉を残して去っていきました。

今度も考えずに持っていた殺傷武器を振り上げ不可解な変な存在が逃げていった方向へ力を込めて振り抜きました。

そうして、遠くの方から小さな。それでも確実な拒絶を持って、絶望を含めた言葉のような音を最後に、その嫌な存在は消滅しました。


その場所には、お姉さん。お頭さん。幻術使い。元重要危険人物。黒メガネの先生(得体が知れないですけど)。元船長現総隊長。そしてお姉さんとお頭さんが信頼する人二名。最後に僕。

そしてその集団に相対するのは島の統治者。その一族の長と補佐二人。

代弁する存在。

「でだ、府庁からの通達が来ているはずだ。いや、来ています。確認をしてもらえますか。」

「先程も申したはずだ。そのような通達は来ていない。」

「それなら今すぐににでも確認を」

「しつこいぞ。我らの言葉は絶対だ。覆ることは何人も不可能だ」

「そうか、なら少し待ってもらいたい」

と、そんな問答をしていたと。

「どうするよボウズ。これじゃ埒が空かねえぞ」

「そうですね。なら話をするのは僕にしてもらいます。」

「最初からそうすれば良かったのではなかろうか。」

「でも、ねえ。この集団の統率者はあんただそうだろ。」

「そうだ。このガキが俺達の纏め役なんぞ誰も信じないだろうぜ。」

「しかしですね。実質この集団の現在の纏め役は表ではそこの御仁ですが。この少年が我等を纏めてる違いますか」

全員が首を振る。

「しかして、それを、信じるかね。」

「あの」

「そうだぞひふふ。このちみっこい子供を建てた所で嘲笑われるのは見てとれる。」

「えと」

「そうだなあしょうがない。何とかするか」

意気込んだ総隊長は輪の中から出ようとして足払いをされて盛大に床に倒れた。

したのは僕だけど。

「あのですね。皆さん。僕の話を聞いてもらいたいんですけど、良いですか。良いですね。なら話させてもらいます。」

倒した総隊長を無視して話を進める僕。その首に鋭い刃が宛がわれていました。

「君は何者だい。」

そんな質問が僕に向けられて。

「僕が、何者かなんてのは今の時間、事象及び具象には関係ないことです。納得できないなら別に気にしません。ですけど、言っておきます。僕は上の方からの依頼で島の事後処理を回らないといけないです。こんなところで停まってる時間はないので手短に済ませます」

「それが答えか。なら」

「それと、アナタは言いましたよね。」

「何をだ」

「アナタの言葉を覆せる存在はアナタ以外いない。そうですよね。」

「当たり前だ。」

「ならどうしてそのアナタ達が調べようとしないのですか」

「なに、を、だ。」

この時、相手の表情が変化しました。

「そうですか、そういうことに思考が至らないように誰かに細工されたんですかね。それとも本当に権利の維持のみに固執して視野が狭くなったんですかね。」

三人の視線が合わさり、次にある一点に集中しました。

その先にはあの代わりに発言していた存在。

「ああ。何だ。そうでしたか。でどうしますか。僕の管轄の外なんでどうにも出来ないですけど。その人の処分はそちらでお願いします。」

「何が望みだ」

ふとこの時まで本当に発言しなかった統治者。名前は忘れたけど。その重い声にその場に居た人達が足をすくませ、床に膝を着きました。

それは、あの発言していた存在も同様に。

「うん。望みも何も僕は仕事で来ているんですよ。と。事後の処理をしてこい。そんな文言かな正確には違うけど。」

「それは我らに何を要求するのだ。」

「うん。はい。本当は、ですね。あぶ。反乱勢力を鎮圧した後、僕が中立になって双方の言い分を纏めて落とし処を模索する。とかを、当初は考えていました。ですが、それはこの島並びに最近立ち寄った島も問題が発生しました。それで気づいたんです。」

「何をだ。」

「ああ。結局最初から最後まで全部自分で片付けないと、な。なんてのを」

「それは、驕りではないのか」

「そうかもしれません。ですが、ん。」

そうでした。この時、僕の裾をひっ張る人がいて振り返ると、総隊長が何とも微妙な表情をしていました。

「何ですか。」

「ひ、ひとつ良いか、ボウズ。」

「ええ。良いですよ。あれそう言えばなんで床に這いつくばっているんですか皆さん。」

「なんで、てそれは私らの言葉さね。どうしてあの、重みを受けて平然と、してられるのか」

「え、重み、ですか。誰の」

その場に、僕の視界に居た人達の驚きの顔には不思議な感覚が奥底から沸き上がってきて。正面を向くと難しい顔をした相手がいました。

「そうだ、な。私のこの声を耳にして、我慢はしてないのだな。」

「ううん。意味が分からないのですが。何ですかそれは」

「ふふ。そうか、君があの友人の言っていた存在か。ならば、んん。これより我らは貴方に従おう。友人の言葉を疑ってはいたが目にして理解した。私は君には勝てない。と。」

この友人とは誰なのか、それは僕の知っている人なのか。知る術はありません。

「それでは僕との交渉を受けてくれますか。」

「それは内部の反乱勢力を鎮圧するまで」

「あ、それなら此処に来るまでに終わらせておきました。ね、皆さん。」

苦しそうでも確かな肯定の言葉を返してくれました。

「それを証明できるか。」

「出来ますよ。えと総隊長。端末を貸してください」

振るえる手で僕に端末を渡してくれた総隊長。受けとると操作をして相手に見えるように画面を中空に表示しました。

その映像は僕が用意したあの装置とかの映像で、基本的には総隊長の端末に記録されるように設定しておいたのです。

その映像は僕と総隊長以外の部隊の映像が映し出されていて、見事に反乱勢力を鎮圧していました。

「どうして。」

「どうせ不利難題を吹っ掛けられるだろうと思いましてならば目的を短縮するために彼等を派遣して道中で鎮圧してもらいました。抵抗は激しく、数人は脱落しましたけど」

出る言葉をなくしたのか。神妙な面持ちをして、それから。

「そうか、ならばあれらの隊長を呼んでくれ。私も対等として席に着こう。それと」

僕に向けられた視線は僕の相貌から脚へと移動。

「そやつを放してくれるか。処理は私がこの手で済ませるから」

「あ、そうですね。ならお願いします。」

僕の足の下には代弁していた存在が憎しみの視線を僕に向け、砕いた腕と足を床に放り、怨みの言葉を吐いていました。

「ゆるぎぎゃ」

「黙ってください。本当ならもっと酷いことをしても良いんですよ。その方が僕の何かが晴れますから。やらないのは、そうですね一応あの人達の眼前だからです。諦めてください。恨むなら自分の何かを恨んでください」

それ以上言葉を吐かず目を閉じて黙ってしまいました。

「では、処遇を、決める前にやっておきますね。」

僕は、足下の存在が動けないのを確認してその中心に一気に一撃を加えました。

そして絶叫するとその口から何かの欠片を吐き出して気絶してしまいました。

吐かれた何かの欠片は濁りくすんでそのまま空間へと消えていきました。

それを認識できたのは、たぶん、僕だけだと思います。

あの時、僕は押さえつけてましたから。

「大丈夫です。少し治療みたいなのをしただけですから。」

涼しい表情を張り付けて押さえられた状態で安心させるためにそうしました。


この辺は省いても文句は言われないだろうか。

一応思い出してみよう。


そう、あの後、僕は代弁する存在を長に引き渡して謁見の部屋から会議室へと場所を移しました。

外には警備としてお姉さんとお頭さんの仲間を配備していました。

結果的には杞憂に終わりましたけど。

室内には僕と同伴者。代表としてお姉さんとお頭さん。その側近二人。

「さて、何と呼んだら良いのかな。」

「その前に何とか出来ませんか。」

肘を付いて、

「何をかな」

「そのウザすぎる声の力をですよ。」

「ふむ。力とはこの私のかな」

肯定の頷きをしました。

「そうか、ならんん。これでどうかな。」

あっさりと押さえつける力は霧散してしまいました。

「なんだ、何時でも消せるんですね。」

「いや、そうでもない。これは生物が息をするのと同様に意識して使っているのではない。」

「はあ、それなら早めに纏めた方が良いですね。なら始めましょうか。」

「察しが早くて助かる。では、彼等を呼び出そう。」

テーブルに置かれたボタンを押してから直ぐに壁の一部が轟きを響かせ少しへこむと横に移動してその向こうから警備と思しき人と困惑した数人の人が入ってきました。

手と足に嵌められていた物を外され席に座るように長が促しました。


「では、始めよう。此れからとこれまでの事に関して」

「おい。」

「言っておきますけどあなた方にはこの状況が理解出来ないでしょうけど、呑み込んでもらいます。あ、お初の人には初めましてそうじゃない人には少しぶりですか。改めて。僕はスワ・コウマと言います。今回の事後処理を一手に任された者です。あ、疑われても仕方ないどすけど上の方からの、そう、正、式、な依頼でして。まあ、この辺は皆さんには関わりないことなんで気にしないで下さい。」

「ん。んん。あ、」

「どうしました。」

「なあんか見た顔だなと思ったらそうだよ。去年の島内映像の当事者」

連れてこられた他も何かを納得してました。

「その話は、辞めてもらいたい。それを使って何かをすれば、僕の何かが爆発しますから。命の保証は出来ませんよ。」

軽い負の感情を発露させてみたら。難しい顔をしてましたけど納得してもらえました。

「では、無理矢理ですけど僕の事で納得したので本題に入らせてもらいます。」

と、まあこうやって反乱勢力と長が時間と日数を掛けて其々の落とし処を見いだして最終的には双方の納得した場所に落ち着きました。

その中で何となくと思っていたことを調査したら何とか思っていた通りの事になっていて。だから全員の前で実行しました。


それは今は禁止されている事だけどこれをする必要も無いけれど。それでもやってみた。

それは拷問という名の処刑でしょうか。

それは言葉には言い表せないことを平気でしてみました。

「この方法は正法ではないですけど。てか禁止されてますけど。それでもこうしないと出せないので。」

あれ、何をだろう。

そんなことをして執行した全員からあの存在と同じ何かの欠片を吐き出しました。

「質問です。僕が持っている物が見えますか。」

見えないが大部分でした。

「あ、消えた。」

「これが何かは現在判りません。それでもこれはこの先僕の邪魔になるかも知れません。ですから長さんには依頼したいんです。」

「それを調べろ。そう言うことか」

「はい。お願い、出来ますか」

「無論、不可能ではないが。」

「命の危険を感じたら手を引いてくれて構いません。非難することもないですし、それはそれで一つの答えになりますから。」

「そうか、ならば了承しよう。」

「ちょっと待て、すると俺達の行動は」

「国単位か組織単位かは計れまけんけど筒抜けでしょうね。アナタ達が独自に開発した技術も同様に。」

「クソッ俺達は実験体かよ」

「そうですね。本体がどうであれそうなるんでしょうね。」

「ならば我らの今後はそれも。」

「入れても時間が無駄に掛かるだけでしょうから無視しましょう。向かってくるなら対応しますけど」

この判断は間違ってないと思いたいですね。


それから数日を費やしてこの島の規則を基本だけ造り、あとは島内の人達に任せて僕はその島。続島ネルンボ・ヌキフェァを後にしました。

この時は更なる大所帯になっていたので長さんに急遽もう一隻の船を用意してもらいました。正直助かりました。感謝です。

その前に不可解で変な島に着いたんですよね。

仮に幻の島。

スポックアイランド。と誰かが呼称ました。

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