緊急依頼
その時、背後から声がした。
「そこの冒険者たち!」
振り向くと、鎧を着た兵士が数人走ってくる。
「君たち、冒険者だな!」
セレンは頷く。
「はい」
兵士は海を見て顔をしかめた。
「港が魔物に襲われている。緊急事態だ」
「やっぱりか……」
ルクがつぶやく。
兵士は続ける。
「今は港の防衛で手一杯だ。冒険者に討伐依頼を出したい」
セレンはすぐに聞いた。
「内容は?」
兵士は海を指さす。
「まず、港周辺の“魚型魔物”の殲滅」
「そして――」
声を低くする。
「海の中にいる“異常個体”の確認だ」
ガルドが眉をひそめる。
「異常個体?」
兵士は頷いた。
「ここ数日、海底から巨大な影が見えるという報告がある」
「それが原因だと思われる」
セレンは海を見た。
水面の奥。
確かに、何かがいる気配がある。
「報酬は?」
兵士は即答した。
「成功すれば高額報酬。それにこの街の自由通行権も与える」
ルクが目を輝かせる。
「自由通行ってすごくない?」
カイトが小さく笑う。
「やるしかないね」
ガルドも腕を鳴らす。
「ちょうどいい運動だな」
セレンは短く頷いた。
「受ける」
兵士は安堵したように息を吐く。
「助かる」
そして――
遠くで、再び海が大きく揺れた。
ドボォン……
今度は、さっきより明確だった。
“何かが上がってくる”
セレンは短剣を握り直す。
「行くぞ」
海の戦いが、始まる。




