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街の異変
鐘の音が、もう一度響いた。
――ゴォン!
市場の空気が一気にざわつく。
人々が港の方へ走り始める。
「何だ……?」
セレンは皿を置いた。
ルクが不安そうに言う。
「今の、ただ事じゃないよね」
ガルドも表情を引き締める。
「海の街って言ってたし……魔物か?」
セレンは頷いた。
「可能性は高いな」
三人とユキと一緒に港へ向かう。
⸻
港に近づくほど、空気が変わっていく。
潮の匂いが強くなり、焦げたような臭いも混ざっていた。
そして――
「うわっ……!」
ルクが足を止めた。
海面が、おかしい。
波が荒いとかじゃない。
“跳ねている”。
水面のあちこちから、魚のような影が飛び出している。
「魔物か……!」
港の船が揺れている。
漁師たちが必死に網を引き上げているが、逆に引きずり込まれている者もいる。
セレンは目を細めた。
「魚型の魔物だな」
数は多い。
だが――本体じゃない。
その時だった。
海の中から、何かが跳ねた。
ドボォン!!
巨大な影。
一瞬だけ見えた。
触手。
「……今のは」
ルクが息を呑む。
「タコ……?」
セレンは静かに言った。
「そこにいるな。本命が」




