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おやじ彼女  作者: ponta
壮士凌雲
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顔見せ

久しぶりに登校のため、列車に揺られていると、

ガネ君、ヒロ君、カズ君の三人が、駆け寄ってきた。


「ちっす! 姉さん、お久しぶりっす!」


「姉さんは止めてよー。ヤクザじゃないんだからー」


ガネ君が、私の座席正面でヤンキー座りしながら、私の膝をちらりと見る。

パンツが見えないか、チェックしてるな。

男の子って、なんで、こうエッチなんだろう。


「ガネ君、足閉じてるんだから見えないよ」


「ち、違いますよー。で、朝鮮高校はいつやるんすか?

 ぜひ、お伴させてください!」


「いまね、肩ケガしてるから、松下君に止められてるんだ。

 それに、幹部だけで行くってなってるの。少ない人数でやるからこそ、

 伝説になるんだって」


ガネ君が、がっかりして肩を落とす。ガネ君の隣にヤンキー座りしたカズ君が、

慰めるように肩を叩いた。


「俺らが行っても、足手まといだって。大野の姉さんが、完全制覇するのを応援しようぜ」


「あ、私ね、ボクシングの試合に出ることになったんだ。だから、朝鮮高校は無理かも知れないの」


三人はえっと驚いた顔をする。


「もったいない!」

「なんすかそれ!」

「う、嘘でしょ?!」


三人は身を乗り出し、私の膝に手をおく。

私は順番に三人の頭に拳骨を落とした。


「勝手に、足を触らない!」


「いつつ」

「すんません」

「いってー」


「もし、いけなかったら、朝鮮高校の攻略は、あなたたちに託すわ。頑張ってね」


三人は顔を見合わせ困惑する。


「嘘嘘。そんなに怖がらないの。同じ、高校生でしょうに」


「だってなあ」

「あっこは、半グレ集団みたいなとこっすから」

「ヤクザと繋がってるって聞きますし」


「噂なんて、たいがい事実とは違うものよ。

 三鷹水産だって、すごい噂流れてるんだから。

 ヤクザ予備軍とか、近くにいったらさらわれるとか」


パーカーをきたヒロ君が、露骨に嫌な顔をする。


「誰すか? そんなこと言ってんのは。俺が型にはめてやりますよ」


「だから、そういう風に、見られてるってことよ。

 人の噂なんて、そんなもの。朝鮮高校だって、そうじゃないかな?」


メガネをかけたカズ君が、メガネの位置を直しながら、

納得できない顔をする。


「うーん。あっこは、ほんと無茶苦茶ですよ?

 前に、うちの奴で腕切られたのもいるし。

 負けそうになったら、刃物だすような卑怯者ですわ」


「だから、みんながみんなそういうわけじゃないでしょう?

 どっちにしても、乗り込んでみたらはっきりするわ。

 試合のあとになるだろうから、卒業に間に合わないかもだけど」


ガネ君が、パイポを取り出しながら聞いてくる。


「試合ってさっきから言ってますけど、空手の試合ですか?

 それとも総合すか?」


「ううん。ボクシングの試合にでることになったの」


「ボクシング? ああ、ボクシングは女子もありますもんね。

 姉さんならすぐに世界チャンピオンですよ。それか、オリンピック狙ってるとか?」


「男の人と試合するんだ」


「男と?」


「うん。ちょっとやらかしちゃってね。行きがかり上、試合することになっちゃって」


「おー。頑張ってくださいよ。知り合いからプロがでるってすごいっすわ」


「うーん。プロのリングに上がるって、あんまり実感ないんだけどね。

 試合中って、観客は目に入らないし」


「かっけー。さすが姉さんっすわ!」


3人と雑談している内に、駅についた。


改札をでると、学ラン姿で、口髭を生やした男が、近寄ってきた。

えらく老けているように見える。


今時、パンチパーマだし、学ランを着ていなければ、チンピラだ。


ガネ君が、男の前に立つ。


「なんだお前? 姉さんに近付いてんじゃねえぞ」


口髭の男は、170cm、70kg。ガネ君と体格はそう変わらない。

しかし、男の眼光は鋭い。男が睨むと、ガネ君は、後ずさりして固まった。


「雑魚はすっこんどれ。わしゃー、キムつうもんじゃ。

 三鷹水産の頭とった女つうのを見たくてのー」


「初めまして。大野奈津美です。朝鮮高校のトップは金さんと李さんと聞いてます。

 わざわざどうも」


金は、私の目をじっと見る。私が微笑むと、くるりと背を向けた。


「はははは。外見に似合わず、すごいの。

 楽しみに待っとくぞ」


金が駅の外へと歩いていき、固まっていたガネ君が、大きく息をはきだした。


「びびったー。あれが、朝鮮高校締めてる金か。絶対、人殺してますよ。間違いない」


「そんなわけないでしょう? ガネ君、ビビりすぎ。相手に飲まれちゃダメ。

 気迫で負けそうになったら、相手の細部を見なさい。ここを攻撃すれば、相手の動きを止めれるところ

 を考えなさい。そして、そのことに集中すれば、飲まれることはなくなるわ」


「やっぱ、姉さんはすごいっすね」


ヒロ君が、ガネ君の胸をポンと叩いた。


「たりめえだっつうの。年末の試合みただろ? あんな化け物みてえの倒すんだから。

 金ぐれえじゃ、相手にならねえよ」


「なんだよ? お前が偉そうにすることねえじゃねえか」


「んだよ。びびってやがったくせに」


「ざけんな! 俺だって、やるときわなー」


掴み合いをしそうになっているヒロ君とガネ君の間に入って、

私は二人を離した。


「ほらほら喧嘩しないの。いつも言ってるでしょ?

 虚勢張ってたら、強くなれないって。

 相手の虚をつくためには、大人しい態度が一番よ」


駅の外に出て、学校の方へ歩いていると、

金が、三鷹水産の生徒に囲まれていた。

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