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おやじ彼女  作者: ponta
壮士凌雲
483/570

逆転

「わーったよ。どうあがいてもお前に勝つのは無理みたいだ」


俺は右肩を左手で押さえながら、法念の前に立つ。

額を左手の人差し指で突いて、首を傾げた。


「一思いに、頭潰してくれないか?

 やっぱ苦しみたくないから。

 ところで、女子高生を殺すわけだけど、

 お前、刑務所に入ったことあんの?」


「心配するな。山深くに埋めれば、誰にもわからない」


「へーっ。坊主もヤクザみたいなことするんだな」


「他に言っておくことはないか?」


「ねーよ。さっさとやれ」


法念が右の拳を振りかぶる。

俺は棒立ちのまま、その拳を眺める。


拳がうなりを上げて迫ってくる。

俺は当たる寸前で、前かがみになり、左にスライドして、

拳の端を額で受けた。


妙な音がして、法念の小指があらぬ方向を向く。


「うぐぐっ。貴様……」


「悪いな肩が痛くて、動いちまったよ。

 でも、思った以上に上手くいったな。

 さっきから何で、俺の打撃は効かないんだろうって、

 考えてたんだ。原理はわからんが、俺はお前に

 当たる寸前に、威力を自分で殺してる。

 なら、お前が殴ってきたところに、拳を攻撃したら

 どうだろうって思ったのさ。

 鍛えこまれた空手家の拳なら、そんなことは考えもしないが、

 お前の拳、やたら綺麗だから。

 まともに当たったら、頭を砕かれるだろうが、

 芯を外せば、お前の拳が砕けることになる。

 痛そうだなあ。拳には神のご加護はないのかな?」


「ふざけるな! 私は、神を神を宿しているのだぞ!」


法念が右の前蹴りを放ってくる。

俺は左に避け、右手に向かって左ミドルを当てる。


法念の体が痛みでびくっと動く、試しに右のハイキックを入れると、

普通の感触が足に伝わり、法念は片膝をついた。


「おろ? 効いてるのか。もしかしてだけど、

 集中が切れたら、神とやらは、離れるのかな?」


「これしきの痛み、これしきの痛みー!」


法念が何かぶつぶつと唱える。

ばーか。させるわけねえだろ?


左ミドルをダブルで、法念の右手にあて、右の跳び膝蹴りを顎に入れる。

掴みかかってきた法念の左手をかわし、左の猿臂を鼻にあてる。


法念の鼻からは再び出血が始まり、俺が一歩踏み出すと、

左手で自分の顔をかばい、恐れおののく。


「神とやらは消えたみたいだな。やばい感じがなくなったよ。

 さーて、ここまで痛めつけてくれたんだ。

 妙な気を起こさないように、両膝くだいてやるよ」


「ひっ」


『そこまで!』


「あん?」


声のした方をみると、豪勢な袈裟をきた老僧がいた。真っ白い顎鬚を触りながら、

笑っている。


「見事じゃ。秘術、神下ろしを破る人間がおるとは」


「……。あんた誰だ?」


「この寺の住職じゃよ。そのものは、大事な客人じゃ。

 それ以上怪我をさせたくない。引いてくれんか?」


法念をちらりと見ると、恐怖で身を震わせている。

確かに勝負はついたか。


「いいけど。条件がある」


「なんじゃね?」


「俺を自宅まで、送ってくれ。あと、電話を借りたい。

 みんな心配してるだろうから」


「承知した。

 しかし、お主、強すぎるな。その強さ、災いを呼ぶぞ」


「ほっとけ。さっさと車で送れよ」


用意された車に乗り込み、俺は帰宅した。

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