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果てなき世界の物語!  作者: もちもち大福
第二章 夏休み編
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32/72

32話 新しい家族

ラミールダンジョンから戻ったレイたちは、それぞれの予定のために解散することになった。


ユージたちと別れ、レイ、メルナ、フィーア、アカマルの四人は寮へ向かって歩いていた。


フィーアがレイを見る。


「レイ様、今日はどうでしたか? ダンジョンは」


「それなりだな」


「私は何もできなかったけど、色々参考になったよ。特にお兄ちゃんの動きとか」


メルナがそう言うと、レイは少し意外そうな顔をする。


「俺の動き?」


「うん」


「俺、今日はほとんど何もしてないけど」


「そうなんだけどさ。戦い方とか、周りの見方とか」


「なるほどな」


レイは少し考える。


そして、メルナに尋ねた。


「そういえば、いつ共鳴使うんだ?」


「あー、それ?」


メルナは少し嫌そうな顔をする。


「だからぁー、危険な時にしか使わないよ!」


「なんでだ?」


「反動が辛いの」


「そうか」


メルナの共鳴は強力だ。


しかし、その分だけ身体への負担も大きい。


レイはそれ以上追及しなかった。


「まぁ、無理して使う必要はないな」


「でしょ?」


「楽しかったなら良かったです」


フィーアが微笑む。


そんな穏やかな会話をしながら、三人は街を歩いていた。


――その途中。


レイの足が止まった。


「……ん?」


少し先に、人だかりができている。


その中心にいたのは――奴隷商人だった。


そして、その隣に置かれた檻の中には。


以前見かけたエルフの少女がいた。


「……」


レイの表情が変わる。


フィーアも気づいた。


「奴隷ですか……」


メルナは檻の中の少女を見る。


「解放してあげればいいのに……」


少女は何も言わない。


ただ、静かにこちらを見ていた。


レイはしばらく少女を見つめていたが、フィーアに尋ねる。


「なぁ、フィーア」


「何でしょうか?」


「寮で奴隷と暮らすのは規約違反か?」


フィーアは少し考える。


「規約違反ではないと思いますよ」


「そうか」


レイは少女を見る。


「……買ってもいいかな」


「お兄ちゃん、奴隷に手を出すつもり?」


メルナがじとっとした目を向ける。


「手を出すつもりはない。自由にするだけだ」


「……」


「フィーアが夏休み中しかいないから、その後はフィーアの手料理を食べられないだろ?」


レイは少し困ったように頭を掻く。


「だから、料理を作れる人がいたらいいなと思ってな」


「そうですか」


フィーアは微笑んだ。


「レイ様らしいですね」


「人を買うっていうのは正直気が引けるが……」


レイは少女を見る。


「買おう」


メルナが少し笑う。


「お兄ちゃん、優しいね」


「別に」


レイは奴隷商人の前へ歩いていった。


「お客様、もしかして奴隷をお買い求めですか?」


奴隷商人が愛想よく笑う。


「おう。エルフの少女を頼む」


「お客様、いい商人を選びましたねぇ~!」


奴隷商人は少女を見ながら、嫌な笑みを浮かべる。


「このエルフは扱いやすいですよ。最近捕まえたばかりでしてねぇ。色々と使い道も――」


その言葉を聞いた瞬間。


レイの表情から笑みが消えた。


「……」


握った拳に力が入る。


少女を物のように扱う言葉が、どうしても許せなかった。


奴隷商人はそんなことには気づかず、値段を提示する。


「そうですねぇ。金貨十二枚でどうでしょう?」


「何でもいい」


レイは金貨十二枚を取り出し、商人へ渡した。


「お買い上げありがとうございます~!」


奴隷商人は満面の笑みを浮かべる。


檻の扉が開けられ、少女が外へ出される。


「ほら、お前のご主人様だ」


「……」


少女は俯いたままだった。


奴隷商人が続ける。


「どうします? 奴隷の印はまだ入れてませんけど、必要なら今からでも――」


「必要ない」


「え?」


「そんなもの、必要ない」


「ですが、印がないと反抗するかもしれませんよ?」


「必要ないって」


レイは少女の首に付けられた首輪を見る。


「この首輪を外す鍵は?」


「え? 首輪を外すつもりですか?」


「いいから」


「しかしですねぇ……逃げられてしまいますよ?」


レイは無言で金貨を一枚取り出した。


「ほらよ」


「……!」


奴隷商人の目が輝く。


「こちらです!」


すぐに鍵を差し出してきた。


レイは鍵を受け取ると、少女の首輪を外す。


カチャッ。


首輪が外れた。


「……んっ!?」


少女が驚いたように自分の首元へ触れる。


レイは外した首輪を見てから、少女を見る。


「他の人に見られるのも嫌だろ?」


少女は答えない。


「一旦、帰るか」


レイは少女の手をそっと取った。


少女は驚いたようにレイを見る。


そのまま、レイはメルナとフィーアのもとへ戻った。


「可愛いね」


メルナが少女を見る。


フィーアも優しく頷く。


「はい」


レイは少女と目線を合わせる。


「名前だけでも教えてくれないか?」


「……」


少女は答えない。


メルナが呆れたように言う。


「お兄ちゃんが聞いても、すぐに答えるわけないでしょ!」


「いや、答えるかもしれないだろ!」


「女性の気持ち考えてよねぇー」


「なんで俺が怒られてるんだよ……」


フィーアが少女に優しく声をかける。


「大丈夫ですよ。この方たちは、とても優しい方々です」


少女はしばらく三人を見つめていた。


そして、小さな声で呟く。


「……ミリア……」


「……!」


三人が一斉にミリアを見る。


レイは少し笑った。


「ミリア……いい名前だ」


メルナが笑顔になる。


「よろしくね! ミリアちゃん!」


そしてミリアのお腹から――。


ぐぅぅ……。


「……」


ミリアが恥ずかしそうに俯く。


レイは少し笑う。


「腹減ってるな」


「ご飯食べる?」


「そうしよう」


フィーアも頷く。


「ですね」


三人はミリアを連れて近くのレストランへ向かった。


⸻


店内。


レイたちはいくつか料理を注文した。


ミリアは席に座ったまま、緊張した様子で周囲を見ている。


レイはそんなミリアを見た。


「……やっぱ俺、怖いか?」


メルナが即答する。


「怖い」


「お前に聞いてない」


「ミリアちゃんの気持ちを代弁してあげただけだし~」


「いやいや、お前の本音も入ってただろ」


「そうかなぁー?」


そんな二人の会話を聞いて、ミリアがほんの少しだけ口元を緩める。


そして、小さく呟いた。


「……たの……」


「ん?」


レイが聞き返す。


ミリアは顔を上げた。


「何で……首輪、外したの?」


「邪魔だろ、あの首輪」


「でも……私、奴隷だし……」


レイは即答した。


「奴隷じゃない」


メルナも続く。


「奴隷なんかじゃないよ!」


ミリアは困惑したように二人を見る。


「だ、だって……牢屋に入れられたし……」


ミリアの声が震える。


「痛いこともされたし……」


そして――。


「ママ……パパが……」


ミリアの目に涙が浮かぶ。


レイは慌てた。


「な、泣くなよ……」


普段は何が起きてもあまり動じないレイが、珍しく焦っている。


メルナがジト目でレイを見る。


「お兄ちゃん最低~」


「お、俺が悪いのか!?」


「うん」


「なんでだよ!」


メルナは泣きそうになっているミリアを抱きしめる。


「大丈夫だよ、ミリアちゃん」


「……ん」


ミリアはメルナの服を小さく掴んだ。


そこへ料理が運ばれてくる。


「お待たせしました」


テーブルいっぱいに料理が並べられた。


レイはミリアを見る。


「食べたいものあるか?」


ミリアは料理を見つめる。


そして、少し迷ったあと。


「……ん」


「好きなもの食べなよ」


レイが微笑む。


ミリアはパスタを指差した。


「ぱ……パスタ」


「ほら」


レイがミリアの前へ皿を置く。


ミリアは恐る恐るフォークを手に取った。


そして、一口。


「……」


もう一口。


「……おいしい」


ミリアの目から涙が落ちた。


レイが困ったような顔をする。


「な、泣かれたら困る」


メルナが呆れる。


「女性の扱いを分かってないんだから」


「それとこれとは別だ」


「別じゃない」


二人が言い合っている間に、フィーアがミリアの隣へ移動する。


そして、ミリアの耳元で優しく囁いた。


「レイ様は、たとえ奴隷だったとしても、普通の人と同じように平等に扱います」


ミリアが顔を上げる。


「だから、あなたは奴隷なんかではありません」


フィーアは微笑む。


「食べたいものがあれば、好きに食べていいんですよ」


「……うん」


「それと」


フィーアは優しく続ける。


「あとでレイ様に感謝を伝えた方が、レイ様も安心すると思います」


「な、何て言えばいいの?」


「たった一言で大丈夫です」


フィーアは笑った。


「『ありがとう』だけでも、レイ様には十分伝わりますから」


ミリアは小さく頷く。


「頑張る!」


「では、食べましょうか」


「うん!」


ミリアはそれから、料理を一生懸命食べ始めた。


どうやら本当にお腹が空いていたらしい。


レイはその様子を眺める。


「フィーア、何か話してたか?」


「いえ、何も」


「……?」


メルナがフィーアを見る。


「むぅ」


フィーアは何も言わず微笑んでいる。


しばらくして、レイがミリアに尋ねた。


「美味いか?」


ミリアは小さく頷く。


「おいしい……」


「ならいいんだ」


ミリアはまた少し笑った。


「お兄ちゃん、ミリアちゃんが食べる分はお兄ちゃんの硬貨全部使わせていいからね」


「流石にダメだ」


「えー」


⸻


食事を終える頃には、ミリアの表情もかなり柔らかくなっていた。


レイは空になった皿を見る。


「結構食べたな」


「……お腹、空いてた」


ミリアは少し恥ずかしそうにする。


そして――。


「ありがとう」


レイは一瞬だけ目を丸くした。


そして、優しく微笑む。


「どういたしまして」


メルナも笑う。


「お兄ちゃん、ありがと!」


「メルナにはまだ何も言ってないけど」


「ほんと、良いお兄ちゃんを持ったよ」


「ほぉう」


レイがニヤッとする。


「俺を褒めて奢ってもらおうとしてるな?」


「いやぁ~、ほんとかっこいいお兄ちゃんだなぁ~」


「はいはい。奢りますよ」


「ありがと!」


フィーアも少し遠慮がちに口を開く。


「私は……」


「俺が払うよ」


「ありがとうございます」


そのやり取りを見ていたミリアが――。


「……ふふっ」


小さく笑った。


レイたちはそれに気づく。


「……笑ったな」


「うん!」


メルナも嬉しそうだった。


⸻


レイが会計を済ませ、四人は寮へ戻った。


部屋へ戻ると、メルナがミリアを見る。


「ミリアちゃーん!」


「?」


「お風呂一緒に入ろ!」


ミリアは少し驚いたあと、小さく頷く。


「う、うん」


そのときだった。


アカマルがミリアの前へやってくる。


「ガウ!」


ミリアはアカマルを見つめる。


「……かわいい」


ミリアがそっとアカマルを撫でる。


アカマルは嬉しそうに尻尾を振った。


「ガウ!」


ミリアはアカマルを抱きしめる。


「ふふ……」


「アカマルちゃんも一緒に入ろー!」


「ガウ!?」


アカマルが驚いたような声を上げる。


メルナとミリアは笑いながら風呂場へ向かっていった。


部屋に残ったレイとフィーア。


フィーアがレイを見る。


「レイ様、優しいですね」


「優しい? 何が」


「ミリア様のことです」


レイは少し黙った。


「……何であんな小さいエルフの子が、奴隷にならないといけないんだ」


フィーアは静かに答える。


「それに関しては……人間の欲望、でしょうか」


「まだ子供なんだぞ」


「……ですね」


レイは俯く。


「まぁ……少しでも楽しく暮らしてくれたらいいんだがな」


「楽しんでくれますよ」


フィーアが微笑む。


「……あぁ」


レイは少し考える。


「そうだ。ミリアの服も買ってやらないとな」


「そうですね」


フィーアが頷く。


「明日にでも買いに行きましょう」


「おう。俺、オシャレとか知らないから頼んだ」


「メルナ様の方がオシャレには詳しいですよ」


「じゃあ二人いたら間違いなしだな」


「ですね」


二人は小さく笑った。


しかし――。


フィーアの表情が少し曇る。


レイが気づいた。


「……どうした?」


「いえ」


フィーアは少し迷ったあと、口を開いた。


「今日、ダンジョンで現れた変異種のゴーレムなのですが……」


「ゴーレム?」


「はい」


フィーアは真剣な表情になる。


「ゴーレム自体、通常は二十五層以上でなければ出現しない魔物なんです」


「……」


「ですが、私たちが遭遇したのは十五層でした」


レイは少し考える。


「たまたまじゃないか?」


「そうだといいのですが……」


フィーアは窓の外を見る。


「スタンピードの前兆ではないですよね」


「……スタンピードか」


その言葉に、レイの表情が変わる。


フィーアが説明する。


「スタンピードとは、ダンジョン内の魔物が大量発生し、外へ溢れ出して人々を襲う現象です」


「魔物が無限に出てくるんだっけ?」


「はい」


「どうやって止める?」


「スタンピードが起きると、多数の魔物の中に一体だけボスが現れます」


フィーアは続ける。


「そのボスを倒さない限り、魔物の侵攻は止まりません」


「なるほどな」


「そして、スタンピードの前には――」


フィーアが指を折る。


「ダンジョン内の魔物が凶暴化する」


「……」


「本来その階層にいないはずの魔物が現れる」


「ゴーレム……」


レイが呟く。


「そういうことです」


二人の間に沈黙が流れた。


「……ないと思いたいな」


レイが窓の外を見る。


「今、爺ちゃんもいないし」


クラウスは現在、別の国へ向かっている。


もしスタンピードが本当に起きるなら、かなり厄介なことになる。


「はい」


フィーアも頷く。


「何も起こらなければいいのですが」


二人はしばらく黙っていた。


⸻


数十分後。


「綺麗綺麗!」


メルナが風呂から戻ってきた。


その後ろからミリアも歩いてくる。


「えへへ……」


アカマルも一緒だ。


「ガウゥ」


「ミリアちゃん、服着るものある?」


「……ない」


「じゃあ、これ!」


メルナが自分の寝巻きを取り出す。


「ちょっと大きいけど、これなら着られると思う!」


「ありがと!」


ミリアが嬉しそうに受け取る。


フィーアが微笑む。


「仲良くなりましたね」


「めっちゃ仲良くなった!」


「うん!」


「クゥン」


アカマルも嬉しそうに鳴く。


メルナが突然、ミリアの手を取った。


「ねぇ、ミリアちゃん!」


「?」


「一緒に寝よ!」


「いいの!?」


「当たり前!」


メルナは笑う。


「もちろんフィーアもアカマルちゃんも!」


レイがすぐに口を挟む。


「アカマルは俺と――」


「え、無理」


「無理無理」


「えぇ!?」


「こっちがえぇーだわ」


メルナが笑う。


「お兄ちゃんのばーか」


ミリアがアカマルを見る。


「アカマルちゃんと寝れないの……?」


レイは固まった。


「……」


「……」


「……クッ」


レイは苦渋の表情を浮かべる。


「うぅ……わ、分かったよ」


「やったー!」


メルナが喜ぶ。


「私たちの勝ちね、お兄ちゃん!」


「ま、負けた……」


メルナが笑う。


「おやすみー!」


「おやすみ」


その夜。


メルナとミリア、フィーア、そしてアカマルは一緒に眠ることになった。


レイは少し離れたところで、その様子を眺める。


「……まぁ、いいか」


小さく呟いて、レイも眠りについた。


⸻


翌朝


「ミリア様のための服を買いに行きましょうか」


フィーアがそう提案すると、レイはすぐに頷いた。


「そうしよう」


「可愛いの選ぼう!」


メルナは朝からやる気満々だった。


ミリアは少し遠慮がちにする。


「ふ、服なんて……大丈夫です……」


「買おうぜ」


「で、でも……」


レイはミリアを見る。


「新しい服、着たくないか?」


「……」


ミリアは少し迷う。


「でも……私、奴隷だし……」


その言葉に、レイは即答した。


「奴隷?」


そして、ミリアの目を見る。


「家族だ」


「……え?」


ミリアが目を丸くする。


「何回も言ったろ」


レイは笑う。


「ミリアは奴隷なんかじゃない」


メルナも頷く。


「そうだよ!」


フィーアも優しく微笑む。


「ですね」


ミリアはしばらく三人を見つめていた。


そして――。


「……うん!」


レイは満足そうに頷く。


「ほら、行くぞ」


「うん!」


「行こー!」


⸻


三人と一匹は街の服屋へ向かった。


店に入ると、メルナの目が輝いた。


「わぁ……!」


「好きな服、買うから選んでいいぞ」


レイが言う。


「うん」


ミリアは店内を見渡す。


メルナもすぐに動き出した。


「私もミリアちゃんの服選ぶ!」


「私もお手伝いします」


フィーアも加わる。


そして――。


「これ着てみよう!」


「こっちも!」


「こちらも似合うと思いますよ」


「えっ、あ……」


ミリアは次々と服を渡される。


「可愛い!」


「とても似合っています」


「次はこっち!」


「ま、待って……!」


レイは少し離れたところから、その様子を眺めていた。


「……あんなガチで選ぶのか」


しばらくして、メルナがミリアを連れて戻ってきた。


ミリアが着ているのは黒いワンピースだった。


「お兄ちゃん、この服似合うよね?」


「似合うと思う」


「……あ」


メルナが何かを思い出した。


「お兄ちゃんに聞いてもダメだったこと忘れてた」


「辛辣すぎ」


「このバカ兄貴、センスないから適当言ってるよ、多分」


「おうおう、やるか?」


「誰がお兄ちゃんの服を選んであげたのかなぁ~?」


「……」


レイは黙る。


「……あ、ありがとう」


「許す」


フィーアが微笑む。


「ほんと仲良いですね」


ミリアも少し笑った。


「服……選んだ!」


レイが頷く。


「おう」


ミリアが選んだ服は五着ほど。


さらにズボンも三着ほど選んでいた。


「これだけでいいのか?」


「うん!」


「じゃあ買うか」


レイが会計を済ませる。


「ありがと!」


「どういたしまして」


フィーアが尋ねる。


「どうしますか? 帰りますか?」


レイは買った袋を見る。


「もうちょっと回るか」


「うん!」


「私も!」


「私も行きたいです」


ミリアも小さく頷いた。


「うん!」


その後――。


レイはメルナによって、ありがたくない役職を与えられた。


――荷物持ち。


服。


小物。


食べ物。


その他いろいろ。


気づけば、レイの両手には大量の荷物がぶら下がっていた。


「……重い」


メルナは満足そうだ。


「満足!」


ミリアは楽しそうに笑う。


「楽しかった……」


フィーアも笑顔だった。


「楽しかったですね」


レイは大量の荷物を見下ろす。


「そんなに買う物あるのか……?」


メルナは答える。


「はい、帰るよ」


「無視すんなよ」


「荷物持ってくれてありがとねー! 部屋までよろしく!」


「はいはい、分かったよ」


メルナがニヤッと笑う。


「流石お兄ちゃん!」


「……」


レイは呆れながらも、荷物を持って歩き出した。


その隣には、買ってもらった服を大切そうに抱えるミリアがいる。


ミリアは時々、嬉しそうに服を眺めていた。


レイはそれを横目で見て、小さく笑う。


――こうして。


レイたちのもとに、一人の新しい家族が加わった。

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