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果てなき世界の物語!  作者: もちもち大福
第二章 夏休み編
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27/72

27話 夏休みの予定

 次の日の昼頃。


 レイの部屋では、レイ、メルナ、フィーアの三人が話をしていた。


 昨日冒険者登録を済ませたばかりのレイたちは、これからの旅について話していた。


「それで、次はどこに行く?」


 レイが椅子に座りながら尋ねる。


「私はどこでもいいよ!」


 メルナが元気よく答える。


「レイ様が行きたい場所へ行くのが、一番よろしいかと」


 フィーアも穏やかに答えた。


「そうだな……」


 レイが考え込む。


 その時だった。


 コンコン。


 部屋の扉がノックされた。


「……?」


 レイが顔を上げる。


「誰か来たよ」


 メルナが扉を見る。


「俺が見てくる。二人はここで待っててくれ」


「はい」


「分かった」


 レイが立ち上がり、扉へ向かう。


 そして扉をほんの少しだけ開けた。


 隙間から、レイの顔だけがひょこっと現れる。


「……誰だ?」


「よっ、レイ!」


「……」


 そこにいたのは、見慣れた顔だった。


 ユージ。


 アルス。


 ルナ。


 セニア。


 そしてカナ。


 いつもの仲間たちが、勢揃いしている。


「ユージたちか。どうした?」


「遊ぼ!」


「……どこで?」


「うーん……」


 ユージが腕を組んで考える。


 すると、隣にいたアルスが淡々と言った。


「レイの部屋でいいだろ」


「それいいな!」


 ユージが即答する。


「アカマルさんもいますしね!」


 カナが続ける。


「いいね〜」


 ルナも楽しそうに笑う。


「ケーキも買ってきましたしね」


 セニアが持っている箱を見せる。


 レイは少し考えた。


「うんうん。みんなで遊ぶのはいいんだけど……」


 レイが扉の隙間から顔だけを出したまま続ける。


「今、ちょっと取り込み中で」


「取り込み中?」


 ユージが首を傾げる。


「ああ。だから……」


 レイが言いかける。


 すると、ユージの顔がニヤリと歪んだ。


「え?」


「……?」


「まさか……」


「何だよ」


「女の子と、ちょめちょめか!?」


「違うわ」


 レイは即答した。


「じゃあ、そこの女性は誰だ?」


 アルスがレイの下を指差す。


「え?」


 レイが視線を下へ向ける。


 すると――


 扉の隙間から、もう一つ顔が出ていた。


「……」


「……」


「……あ」


 メルナだった。


 レイと同じように、扉の隙間から顔だけを出している。


「……」


 レイが無言になる。


 メルナも無言になる。


 そして――


「メルナ」


「……はい」


 レイはメルナの腕を掴んだ。


「何してるんだ」


「い、いやぁ……」


 メルナが視線を逸らす。


「トイレに行こうと思って……」


「絶対嘘だろ」


「……」


「フィーア」


「はい」


 部屋の奥からフィーアが答える。


「メルナ様は、レイ様のお友達がどのような方なのか気になって、こっそり見に行かれました」


「フィーア〜!」


 メルナが涙目になって振り返る。


「言わなくていいじゃん!」


「事実ですので」


「うぅ……」


 レイがため息をつく。


「俺、さっき部屋の中で待ってろって言ったよな?」


「だって〜……」


 メルナが頬を膨らませる。


「どんな友達なのか気になったんだもん」


「あのなぁ……」


「ごめんって〜」


 その時。


 扉の向こうから、ユージの大声が響いた。


「この犯罪者ぁぁぁ!」


「……は?」


「早く出てきなさーい!」


 ユージが芝居がかった声を張り上げる。


「女の子を解放しなさーい! 今ならまだ罪は軽くなるぞー!」


「そうだそうだー!」


 アルスまで便乗する。


「おい!」


 レイが扉越しに叫ぶ。


「何で俺が犯罪者になってるんだよ!」


「レイのことをずっと想ってる一途な女の子もいるのに!」


 ルナまで声を上げる。


「そっちの女の子のほうが大切なんて、この犯罪者〜!」


「そうよそうよー!」


 セニアまで続く。


「お前ら何の話してるんだよ!」


 レイが頭を抱える。


 その横で、メルナがニヤニヤしていた。


「お兄ちゃんのエッチ」


「……」


 レイがメルナを見る。


「土に埋めるぞ」


「やだ」


「即答かよ」


「だって怖いもん」


 メルナは楽しそうに笑った。


 その頃、扉の向こうでは――


「ちょっと待ってください!」


 カナの慌てた声が聞こえてきた。


「ルナちゃんとセニアさん! そういう言い方はダメです!」


「え〜?」


「だって本当のこと――」


「ダメです!」


「はーい」


「分かりました……」


 レイは扉を見つめる。


「……何なんだ、本当に」


 しばらくして、レイは諦めたように息を吐いた。


「もういいか」


 そして、再び扉を開ける。


「……」


「……」


 ユージとレイが目を合わせる。


「……あ、犯罪者」


「誰が犯罪者だ」


「レイ」


「土に埋めるぞ」


「す、すみません」


 ユージが素直に謝る。


 その横で、カナが顔を真っ赤にしてレイを見ていた。


「……?」


 レイが首を傾げる。


「カナ、大丈夫か?」


「は、はい!」


「顔、めちゃくちゃ赤いぞ」


「そ、そうですか?」


「タコみたいだ」


「……」


 カナが固まる。


「レイ……」


 ルナが呆れたように言う。


「その例えは最低〜」


「そうか?」


「カナちゃんはレイのこと――」


 ルナが言いかけた瞬間。


 カナの手がルナの口を塞いだ。


「んぐっ!?」


「ルナちゃんは黙っててください」


「は、はい……」


 ルナが大人しくなる。


 レイは不思議そうに二人を見る。


「何なんだ?」


「な、何でもありません!」


「そうか?」


「はい!」


「ならいいけど」


 カナは胸を撫で下ろした。


「……危なかったです」


「何か言ったか?」


「な、何でもありません!」


「そうか」


 するとユージが、再びレイの後ろを見る。


「で、犯罪者くん!」


「まだ言うのか」


「その子は誰だー!」


 ユージがメルナを指差す。


 レイはあっさり答えた。


「妹だ」


「「「妹!?」」」


 全員の声が見事に重なった。


「そんなに驚くことか?」


「いやいやいや!」


 ユージが驚きながらレイを見る。


「レイに妹!?」


「いるけど」


「初耳なんだけど!」


「そりゃ言ってないからな」


 ルナがメルナの前へ近づく。


「めっちゃ可愛い〜!」


「可愛いですわね」


 セニアも笑顔になる。


「よろしくお願いします」


 カナも嬉しそうに手を差し出した。


「私はカナです!」


「よ、よろしく……」


 メルナは少し緊張した様子で頭を下げる。


「メルナです」


「緊張しなくて大丈夫だよ〜」


 ルナが優しく笑う。


「すぐ仲良くなれるから!」


「うん!」


 メルナの表情が少しずつ明るくなる。


「一緒にケーキ食べませんか?」


 セニアが持っていた箱を見せる。


「ケーキ!?」


 メルナの目が輝いた。


「食べたい!」


「じゃあ一緒に食べましょう!」


「うん!」


 その様子を見ながら、レイが呟く。


「やっぱり二つ下でも子供だな」


「お兄ちゃん」


 メルナが笑顔のまま振り返る。


「後で極刑」


「無理」


「無理」


「即答するなよ」


 アルスが二人を見て笑う。


「兄妹仲がいいな」


「まあな」


「まあまあかな」


 メルナがそっぽを向く。


「素直じゃないなぁ」


 ユージが笑う。


「それにしても、兄妹揃って美男美女ってずるいだろ!」


「知らん」


 レイは呆れたように答えた。


「とりあえず、立ち話もなんだし中に入るか」


「よし!」


 ユージが先頭に立って部屋へ入ろうとする。


「お邪魔しまーす!」


「お邪魔します」


「お邪魔しま〜す」


 アルス、ルナ、セニアも続く。


 そして――


「失礼します」


 カナも部屋へ入る。


 全員が中へ入ったところで、ユージが周囲を見回した。


「……ん?」


 そして、一人の女性に目が止まる。


「……レイ」


「何だよ」


「あの美人のメイドは誰だよ!?」


 ユージがフィーアを指差す。


「俺の家に住んでるメイド長」


「美人すぎるだろーーー!」


 ユージが叫ぶ。


「声がでかい」


「す、すまん」


 フィーアが振り返る。


「どうかされましたか?」


「い、いや……何でもないです」


 さっきまで騒いでいたユージが急に大人しくなる。


 レイは呆れたように見る。


「騒ぐなよ」


「おう……」


 ルナが部屋を見渡す。


「レイの家ってすごいね〜」


「フィーアさん、すごく綺麗です!」


 カナも目を輝かせる。


「ありがとうございます」


 フィーアが丁寧に頭を下げる。


 すると、セニアが何かを思いついたように手を叩いた。


「……そうだわ」


「何?」


「女子会をしましょう!」


「賛成〜!」


 ルナがすぐに手を挙げる。


「面白そう!」


 メルナも賛成する。


「私も参加したいです!」


 カナも嬉しそうに頷く。


「では、私も参加させていただきます」


 フィーアも微笑む。


「決まりですね!」


「私の部屋に行こ〜」


「いいですね」


「行きましょう!」


「楽しみ!」


 女子たちが盛り上がっていく。


 レイはその光景を眺める。


「……急に話が進んだな」


 そして、女子たちはぞろぞろと部屋から出ていった。


「じゃあ行ってきまーす!」


「お邪魔しました〜」


「ケーキも持っていきますね」


「え?」


 レイが固まる。


「おい、ケーキは?」


 アルスが淡々と答えた。


「持っていかれた」


「……」


「……」


「……」


 レイとユージが顔を見合わせる。


「全部取られたー!」


 ユージが叫ぶ。


「アカマルは盗られてなさそうだな」


 レイが呟く。


 部屋の隅を見る。


 アカマルが丸くくるまっていた


「ガウ!」


 鳴き声だけが聞こえた。


「……まぁ、アカマルいるならまだマシか」


 その時。


「お兄ちゃん!」


 メルナだけが戻ってきた。


「何だ?」


「アカマルちゃん取りに来た」


「え?」


 レイが警戒する。


「ダメだ」


「なんで?」


「アカマルは多分オスだし、俺のだから」


「……」


 メルナが無言になる。


「じゃあね」


「おい」


 メルナはレイの言葉を無視し、そのままアカマルを抱き上げる。


「ガウ!」


「じゃあ行こっか、アカマルちゃん!」


「おい! 待て!」


 メルナはそのままアカマルを連れて部屋を出ていった。


「……」


 レイは呆然と扉を見る。


「アカマルも取られたな」


 アルスが言う。


「だな」


 ユージが頷く。


「……強制的に男子会になったな」


「何する?」


「分からん」


 二人が同時に答える。


 レイは椅子へ座った。


「そもそも、何で妹とフィーアが来てたんだよ」


 ユージが尋ねる。


「昨日、冒険者ギルドに行ってな」


 レイが簡単に事情を説明する。


「かくかくしかじかで」


「そういうことか」


 アルスが頷く。


「なるほどね」


 ユージが腕を組む。


「……うーん」


「何だ?」


「ずるい!」


「何が」


「何もかもだ!」


「意味が分からん」


 三人で話していると――


 コンコン。


「……またか」


 レイが扉を見る。


「誰だ?」


 扉を開ける。


「よっ、レイくん」


 そこに立っていたのはラウスだった。


「……ユージと戦っていたやつか」


「そうそう」


 ラウスが笑う。


「遊びに来たよ」


「はいはい」


「嫌そうにされると傷つくね」


「まぁ」


 レイはそのままラウスを部屋へ招き入れた。


「お邪魔するよ」


「ラウスかー!」


 ユージが嬉しそうに声を上げる。


「この前の試合、良いものを見せてもらった」


 アルスも頷く。


「ありがとう。僕もみんなと仲良くしたくてね」


「へいへい」


 レイが適当に返す。


「それで?」


 アルスが尋ねる。


「今日は何するんだ?」


 ユージが勢いよく立ち上がる。


「夏休みにすることを決めよう!」


「暇だもんね」


 ラウスが笑う。


「そうだ!」


 ユージが手を叩く。


「なぁ、ダンジョンにもう一度行ってみないか?」


「俺はいいぞ」


 レイが答える。


「ダンジョンか……」


 アルスが少し遠い目をする。


「あそこは嫌な思い出しかないな」


「僕もだね」


 ラウスも苦笑する。


 以前のダンジョンで起きた出来事は、彼らにとって決して楽しい思い出ではない。


 それでも――


「でも、暇だしなぁ」


 ユージが言う。


「……」


 アルスが少し考える。


「まぁ、行ってみよう」


「マジ!?」


 ユージの顔が一気に明るくなる。


「俺たちも、あの頃より強くなったからな」


「そうだね」


 ラウスも頷く。


「今なら、前とは違う景色が見られるかもしれない」


「だな」


 レイも頷く。


 かつて恐怖を感じた場所。


 あの頃は、ただ生き残ることに必死だった。


 けれど今は違う。


 自分たちは、あの時より確実に強くなっている。


「じゃあ決まりだな!」


 ユージが笑う。


「夏休みはダンジョンだ!」


「そうなると、あの女子たちも誘うか?」


 ユージが尋ねる。


「……言葉には気をつけたほうがいい」


 アルスが苦笑する。


「前のダンジョンで嫌な思いをした人もいるだろ」


「そうだな」


 レイも頷く。


「無理に誘う必要はない」


「僕もまだ少し怖いよ」


 ラウスが正直に言う。


「でも……」


 ラウスは少し笑った。


「今なら、みんなでなら行ける気がする」


「だな」


 アルスが頷く。


「どうする?」


 ユージがレイを見る

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