↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界の物語!  作者: もちもち大福
第一章 始まり
PR
17/72

17話 絶体絶命

ユージとアルスが数十分間ゼファーと対峙していた


「お前らもか」


ユージは地面を蹴った。


一瞬だった。


雷を纏った身体が、弾丸のようにゼファーへ迫る。


「触れられたら終わりなのに、武器なしで戦うとは……バカかよ」


ゼファーが拳を受け止めようとする。


だが――


ユージの拳は、ゼファーの指先を紙一重で避けた。


次の瞬間。


「――ッ!」


雷鳴と共に、拳がゼファーの頬を捉える。


ゼファーの身体が僅かに揺れた。


しかしユージは止まらない。


右。


左。


蹴り。


そして再び拳。


まるで雷そのものが人間の姿を取ったかのような速度で、連撃を叩き込んでいく。


「速い……!」


その隙に、アルスも踏み込んだ。


「俺も忘れるな」


ユージの動きに合わせ、アルスが斬撃を繰り出す。


二人は互いの動きを邪魔することなく、完璧な連携でゼファーを追い詰めていく。


「さっきの奴らより、単体では弱い……」


ゼファーは攻撃を避けながら、口元を歪めた。


「だが、コンビなら強いと……面白い!」


「雷衝!」


轟音。


ユージの拳から雷が弾け、ゼファーの身体を吹き飛ばす。


そのままゼファーは闘技場の壁へ叩きつけられた。


「ハハハッ!」


壁から身体を起こしながら、ゼファーは笑った。


「少し誤解していたぞ!」


「そうかよ」


アルスが剣を構える。


「なら――これで終わりだ」


「流水即災!」


剣に水が集束する。


水流が刃を覆い、凄まじい速度で回転し始める。


そして――


アルスの姿が消えた。


次の瞬間。


ゼファーの目の前にアルスが現れる。


最速の突き。


「ゼファー!」


ゼファーが叫ぶ。


「再現――再生!」


アルスの攻撃によって受けた傷が、一瞬で塞がっていく。


「魔力砲!」


ゼファーが手を掲げた。


高密度に圧縮された魔力が一点に収束する。


そして――


放たれた。


凄まじい魔力の奔流が、アルスとユージへ迫る。


「魔力障壁!」


「魔力障壁!」


「魔力障壁!」


三人が同時に魔力障壁を展開する。


轟音が闘技場を震わせた。


「……!」


「助かった」


「わ、私たちもサポートします!」


「私も〜」


「死なれちゃ困るわ」


「それは心強い!」


「存分に戦うぞ」


「まとめて殺してやる」


ゼファーが手を前へ向ける。


「再現――雷衝!」


雷撃が二人へ向かって放たれる。


「避雷針」


雷がユージへ集中する。


だが――


ユージは微動だにしなかった。


「……なぜ、その技を使えるんだ?」


ユージは自分の身体を確認する。


「それより……」


「雷の攻撃は効かない」


「……」


「なら、俺が決める」


アルスが剣を振り上げる。


「一刀両断!」


強烈な斬撃がゼファーへ迫る。


しかし――


「忘却領域」


瞬間。


ゼファーの足元から、黒い結界が広がった。


地面を覆い。


壁を覆い。


そして――


闘技場にいる全員を包み込んだ。最初に闘技場を覆った結界も飲み込まれており、その結界は崩壊していく


「……なに、これ……?」


結界の内側。


空間そのものが歪んでいる。


時間の流れが――遅くなっていく。


「な、なんだ……これ……!」


身体が重い。


腕を動かそうとしても、全く動かない。いや、動きが遅い


「や……やばい……」


ゼファーはゆっくりと歩き出す。


しかし――


ゼファーだけは、普通に動いていた。


「忘却領域」


一歩。


また一歩。


「この結界の中では、空間そのものが俺に味方する」


「時間の流れは遅くなる。身体も、魔法も、何もかもな」


ゼファーがユージとアルスへ近づいていく。


「つまり――」


「俺以外は、何もできない」


「くっ……!」


「この領域で動けるのは――俺だけだ!」


その時だった。


「待ちなさい」


ゼファーが振り返る。


「……あ?」


ソフィアが、ゆっくりと立ち上がっていた。


「この結界で……そんなに動けるのは珍しいな」


「まぁね」


ソフィアは魔法を構える


「私も生徒達みたいに、戦わないとね」


「面白い」


「炎魔法――フレイムバースト」


炎が放たれる。


しかし、通常なら一瞬で到達するはずの炎が、空中で止まりそうなほどゆっくりと進んでいく。


「……ハハッ!」


「動いているのか、その魔法!」


ゼファーは笑う。


「ここは時間の流れを遅くしているんだ。魔法も遅くなる!」


「何もできないんだよ、お前らは!」


「この領域で動けるのは――俺だけだ!」


「……そうね」


ソフィアは炎を見つめた。


「例え、ろくな攻撃ができなくても――」


ソフィアは生徒達の前に立つ。


「この子達だけは、守る」


「やってみろよ」


ゼファーが魔力を放つ。


「魔力砲!」


高密度の魔力が放たれる。


「魔力障壁!」


障壁が展開される。


轟音。


ソフィアの身体が押し込まれる。


それでも――


「……まだよ」


「いつまで持ち堪えられる!」


魔力砲。


一発。


二発。


三発。


何度も何度も攻撃が叩き込まれる。魔力が尽きるまで耐え続ける。


そして長い時間ソフィアは耐え切るが流石に限界がくる


ソフィアの呼吸が荒くなる。


「お前、もう魔力がないんだろ?」


「はぁ……はぁ……」


「なら、もう終わりだ」


ゼファーはゆっくりと歩き出す。


ソフィアへ。


一歩。


また一歩。


「お前、あいつの女なんだろ?」


ソフィアは答えない。


「大事な記憶を失ったお前を見たら、あいつはどんな反応をするんだろうな」


「……」


ゼファーが目の前まで迫る。


「最後に言うことは?」


ゼファーが手をかざす。


「ふ、副学園長……!」


助けに行こうとしても、誰も身体をまともに動かせない。


ソフィアは静かにゼファーを見つめた。


そして――


「まだ終わってないわ」


「……何?」


ソフィアは、わずかに笑った。


「ね、レイ」


――その瞬間。


轟音。


結界の天井に――


一本の亀裂が走った。


「……あ?」


ゼファーが空を見上げる。


ピシッ。


空間が、ひび割れる。


ピシッ――ピシピシッ。


一本だった亀裂が、瞬く間に枝分かれしていく。


まるで巨大なガラスが、内側からではなく――


外側から砕かれようとしているかのように。


「馬鹿な……」


亀裂が、さらに広がる。


その向こう側に見えたのは――


青い空。


そして、その遥か上空。


そこに、一人の男が立っている


レイ。



「……なるほど」


レイは周囲を見渡した。


「外からの干渉は、想定してなかったみたいだな」


「おい……待て」


ゼファーの表情から、初めて余裕が消えた。


「そんな……外から……?」



黒い結界が無数の破片となり、空中を散っている


まるで世界そのものが砕けたかのようだった。


止まっていた時間が、一気に正常へ戻る。


風が吹き抜ける。


瓦礫が落ちる。


そして――


砕けた領域の真上。


そこからレイがゆっくりと降りてくる。


ドンッ。


レイが着地した。


ゼファーは言葉を失っていた。


「……お前……」


レイはゼファーを見た。


「婆ちゃんに何してんだ?」


「次から次へと……!」


ゼファーが魔力を放とうとする。


だが――


レイの姿が消えた。


「――ッ!」


一瞬。


ゼファーの懐にレイが潜り込む。


「舐めるなよ」


ドゴォッ!!


強烈な蹴りがゼファーを捉える。


ゼファーの身体が吹き飛び、闘技場の壁へ激突する。


レイはゼファーから視線を外すと、すぐにソフィアへ向き直った。


「婆ちゃん、大丈夫?」


「ありがと。私は大丈夫よ」


「その身体で?」


「そうよ」


レイがソフィアを見る。


魔力砲を何度も受けた身体は、明らかに限界だった。


「……そこで休んでて」


「分かったわ」


ソフィアは少し申し訳なさそうに笑う。


「ごめんね。役に立てなくて、孫に押し付けちゃったわ」


「気にしてない」


レイはソフィアの肩へ手を置いた。


「それに――」


「充分活躍してるぞ」


「……」


ソフィアの顔が少し嬉しそうになる。


「孫に褒められたわ」


そして、満足そうに笑った。


「もう死んでもいいかも」


「死なれると困る」


「ふふっ」


「レイが結婚する姿を見るまでは死なないわよ」


「そりゃ安心だ」


少し離れた場所。


瓦礫の中から、ゼファーが立ち上がる。


「……お前」


レイが振り返る。


「ん?」


「お前、ガイムを倒したのか」


「ああ」


レイはゼファーを真っ直ぐ見つめる。


「倒した」


「……そうか」


ゼファーの口元が歪む。


「なら――」


「お前から、忘れてやるよ」


レイは静かに構える。


「やってみろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。