第3話 第一異世界人発見
エルシルの町に向かう途中で、行商人にであった。第一異世界人発見だ。
早速中原が声をかける。
「私は魔王討伐に来たワルター・フォン・ヘイデルと申す。この二人は私の護衛騎士だ」
佳織と矢向はいつの間にか家来にされてしまっていた。
「おぬしたちは慌ててどこへいく」
「これはご貴族様。私はエルシル町のしがない商人でごぜえます。エルシルの町からマデッタ村まで避難するところですじゃ」
「マデッタ村は王都への進軍ルートから外れていて、軍もいないので攻撃されないと聞きましたでな」
「エルシルの町はもう駄目ですじゃ。魔王軍の攻撃が近いのに、駐屯している王国軍は右往左往するばかりですじゃ」」
「うむ。しばらく安全なところで我慢するがよい。魔王の軍など、この魔術師ワルター・フォン・ヘイデルが蹴散らして進ぜよう」
「ワルター様。急ぎませんと!」
佳織もノリノリである。
佳織たちはエルシルの町についた。町の中は騒然としていた。
城門の門番に応援に来たことを告げると、すぐに駐屯軍の隊長に案内された。
「おぬしたちが王都からの援軍か」
「どのくらいの部隊がくるのだ? 明日には魔王軍の総攻撃が始まるかもしれないんだ」
どうやら佳織たちを援軍の知らせだと勘違いしていたらしい。
「いえ、私は偉大なる魔術師ヘイデル様の護衛騎士ユリアン・ボーゲン、同じくこちらが護衛騎士のオリビア・シュロス、そしてこのお方が我が主君、ワルター・フォン・ヘイデル様であらせられます」
「残念だが、いまさら魔術士が一人二人きたところで無意味だ」
隊長は少し考えて言った。
「おぬしたちに頼みがある。町の人々の脱出を手伝ってほしい。王都まで護衛してほしいんだ」
「私たちは敵の攻撃を引き付けておく」
「わかった。このワルター・フォン・ヘイデルに任せておけ!」
佳織は耳元でささやいた。
「ワルターさん、そんなことをしていていいんですか?」
「いいんだよ。なんか面白そうじゃないか!」
佳織たちは町に残る冒険者たちをまとめ、避難の準備を進めた。500人以上の人々が避難しなくてはならない。
「皆さん、持ち物は最小限にしてください。王都についたら魔術師ヘイデル様が一人3枚の金貨を支給します。ですので、できるだけ軽装でお願いします」
「大丈夫かい、僕はそんなに貯金ないんだが……」
「王都にワルター様の屋敷を用意しています。蔵には金貨がいっぱいですよ」
「これが異世界無双ってやつですよ」
中原は喜んだが、少し考えて言った。
「でも、なんだかあまり楽しくないね」
佳織が言った。
「異世界転生はお仕事ですよ。遊びじゃありません」
矢向が提案した。
「今日はこのまま残業するしかないようですね。一旦、ログアウトして残業届を出してきましょう」
佳織たちは町の宿屋に向かい、セーフティゾーンである勇者の間にてログアウトした。
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