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第2話 異世界へGO!

 三人は会議室を出て開発部のフロアに向かい、テストプレイルームへ移動した。

 矢向(ヤコウ)がテストプレイルームにある端末を操作しながら説明する。


「今度の世界は本当に剣と魔法のファンタジー世界です。火魔法も使えますよ」

「多種族共生の世界なので、どんな姿でも大丈夫です。今度の異世界はドイツ系の名前が多いです。宿川原(シュクガワラ)会長は『魔王ラインハルト』と名乗っています」


 佳織(カオリ)はアバターをカスタマイズしている。やはり女騎士の格好だ。胸は少しひかえめだ。

 名前は「オリビア・シュロス」だ。


 矢向も騎士だ。勇者の格好に見えるように少し派手な服装をしている。

 名前を「ユリアン・ボーゲン」とした。どこかの英雄の弟子の名前と同じらしい。


 中原(ナカハラ)は魔法を使ってみたいのだろう。筋肉控えめで、魔術士の格好をしている。

 名前は「ワルター・フォン・ヘイデル」だ。どこかの物語に出てくるイケオジ亡命貴族の名前をまねているらしい。


「我々のアバターはレベル99です」

 矢向は少し自慢げに言った。


「熱耐性・状態異常無効・物理攻撃ダメージ無効のチート状態です」

「でもばれないように演技してくださいね」


 準備ができたようだ。

「各自そちらの小部屋に入ってください。全面スクリーンを起動します。操作は大丈夫ですよね」

 佳織と中原はそれぞれ小部屋に入っていった。



 佳織たちは森の中に立っていた。

 近くに青い石碑が見える。


「石碑の機能などは前回と同じです。地形も特に要望がなかったので、皆さんがいつもプレイしているゲーム『ファランクス』とほぼ同等です」

「ここはファシル王国の『エルシル』という町のはずれで、『ファランクス』だと、西部連合国の辺境地域に相当しますね」

「近くに魔王軍の拠点『イーゼル(トリデ)』があります」


「まずエルシルの町へ行ってみましょう」



 町へ行く途中、中原が言った。

「魔法の、ファイアボールの使い方を教えてくれ。すごいの出せるんだろ」


 矢向は説明を始めた。

「魔法は、まず、片手を前に出し、手のひらを上にします。そしてファイアと言います」

「これで手から出た魔素が熱くなります」

「ちなみに、大きな声で叫ぶと、多くの魔素を消費し、威力が大きくなります」


「これをもう一つの手で払うようにすると、魔素は手を通り抜けられないので、はじかれて飛んでいきます。我々は熱耐性があるので、つかんで投げてもよいですね」

「熱は魔素を消費して発生し、魔素はMPを消費して発生しますが、我々のMPはかなり多いのでいくらでも使えます」


 中原は手を出して、やってみた。

「炎は出ないのかい」


「油などの燃えるものがあれば出ますよ」


「思ってたのと違うなあ」


 中原はなにかをつかんで投げ捨てた。

 近くの草むらが燃え上がる。


「わ、わ、どうしよう、ユリアン君」


 矢向は右手を出して「ウォーター」と唱える。

「水は空気中の水分を集めて作ります」

 今度は左手を下にして「ウインド」と唱える。

「風を送ることで、大量の空気から抽出できます。この火を消すくらいの水なら30秒ほどかかるでしょう」


 すごい風だ。矢向の手の上に水が集まっていく。風のせいで下に落ちずにたまっていった。

 ある程度たまったところで、左手をずらして風の向きを変え、水を燃えている草むらの上にかけた。


 火は消えた。


「火魔法を使うときは火事に注意してくださいね」

「魔素は、地面や水、木などをすり抜けますが、徐々に減衰します。人や動物、魔物などの魔素を持つ存在に当たると反射します」

「また、敵の体内でファイアボールを作ることはできないようにしています。いらない魔素は、地面の、可燃物のないところや、減衰しやすい水中に捨ててください」


 矢向は自慢げに言った。

「魔法を定義するのに苦労しました」


 中原は渋い顔をしている。

「これ、魔法はあまり使い物にならないんじゃね?」


 佳織が中原を励ます。

「ようは使い方ですね。あとは練習あるのみですよ、ワルターさん」



[毎週日曜21:00頃投稿予定]

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