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才媛伝  作者: わかめうどん
出会い
2/9

第1章「後宮編」ep.2

※ ※ ※


ーー13年前


徐海シューハイ様、お待ちを…、この子をお助けください。わたしは、もう……っ。」


小楓シャオフォンの母は、昔、家政婦として働いていたシュー家の主、徐海シューハイに縋りついた。彼女は長く続いた内戦で疲弊していた。迫り来る敵兵に斬りつけられ、息も絶え絶え、そんな中、涙目で訴えられ、断りきれなかった徐海シューハイ小楓シャオフォンシュー家の邸へと連れ帰った。

美しく善良な小楓シャオフォンを見た妻が何を言ったか。

「この卑しい小娘がっっっ。お前のようなものがいると、それだけで腹立たしいっ!」

徐海シューハイはこうなることを想定してはいた。しかし、この状況を打開する手立てを思いつかないまま、時が過ぎていった。


※ ※ ※


 それから、小楓シャオフォンは必死に勉強し、シュー家の令嬢として振る舞った。元々才能がある上、努力が身を結んだこともあり、誰よりも賢く善良な少女へと成長した。こんな小楓シャオフォンに妬み、僻みをつのらせた義母は小楓シャオフォンをいじめるようになり、その娘である姉もまた小楓シャオフォンをいじめるようになった。しかし、気の弱い徐海シューハイは見て見ぬふりをした。

 今日、馬車で来なかったのも、義母たちが絶対に乗せてくれないからである。今までいじめられていることは誰にも言わないようにしていたが、幼馴染にはすでにバレてしまっていた。だから、こうして気を遣ってくれているのである。

 待合室に着き、葛湯が運ばれてきた。


「さて、私はそろそろ行くとするよ。時間になったら、会場においで。」

「ええ。ありがとうございました。」


 待合室には我が応臨国おうりんこくの四大名門貴族の各々が集まり、挨拶している。小楓シャオフォンも一人一人丁寧に挨拶をしてまわった。


ーーほどなくして、

「お集まりの皆様。我が応臨国おうりんこくの東宮唐明杰(タンミンジェ)だ。さきほど、祝宴の準備が終わった。会場には10分後陛下と上級妃、それから皇太后がいらっしゃる。それまでに私たちは、席で待っていよう。我が従者について会場に入るように。」


 各々が立ち上がり、会場へと入っていく。10分後、陛下と上級妃、皇太后がやってきた。もちろん、淑妃は皇女をつれて。四大名門貴族の家長がお祝いの言葉をそれから、陛下がそれに対する言葉を述べて、食事会へと移った。


「あら、あんた来てたの?シュー家の席に座るなんて図々しい。空気が汚れるわ。まあ、でも来てしまったのなら、私の娘を持ち上げることね。ちょうど、婚礼を挙げるのにいい年齢だから、娘にはいい人に嫁がせたいのよ。あんたなんかよりもよっぽどいい人に、ね。そういえば、あんた東宮と仲が良かったでしょう。娘を紹介しなさい。徐熹シューチーは上品で気立てがよく、容貌も優れている、とね。必ず言いなさいよ。東宮との縁談が失敗、なんてことは許されないわ。」


 凶悪な笑みを浮かべ、義母こと徐琳シューリン徐熹シューチーのもとへと去って行った。

 1人ポツンと座り、食事をしていると、東宮がやってきた。


小楓シャオフォン、何を話していたんだい?」

「たいしたことではありません。そういえば、私の姉は結婚適齢期なのですが、どうでしょう。上品で気立てがよく、容貌にも優れている。良い縁談だとは思いませんか?」

「前にも言っただろう。私には一生君だけだと。もしかして、君の義母に言われたのかい?そう言え、と。」


 隠してもしょうがないと思ったので、正直に答えた。


「ええ。」


東宮には昔から好意を寄せられているが、小楓シャオフォンには幼馴染以上の気持ちはない。だったら、姉と結婚してもらった方が、1人自分をいじめる人間が屋敷から減って、気が楽だと思っていた。そんな気持ちでいることに勘付いたのか、東宮は言う。


「君にとっては、それが最も良い案なのかもしれない。けれども、私はね、君と添い遂げたいんだ。ずっと君のことを愛してる。だから、その縁談は受けられない。私の方から上手く断っておくよ。」


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