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裏銀河の冒険者  作者: 大星雲進次郎
宇宙船ハイペリオン号
25/28

02-104 かみ合わない作戦会議

 五つ用意したカップのうちの二つにコーヒーを注ぐ。喫茶ハイペリオンのマスターは何も言わねばコーヒー以外を淹れてくれない。複製機のコーヒーだが。

「なあアカリ、せっかく集まったけど話し合う事って無くないか?それよりも皆で斡旋所へ行こうぜ」

 ハイペリオン号でプルミエルまで行くのは決定。ならば絶対的に足りないのは人員だ。

「何言ってるのシャルル君。帰りの星団チケットをどこで使うかを決めなきゃならないでしょ」 

 その後のんびり人員募集をすればいい。集まらないものは集まらないのだから。

「星団チケットってなんの事だ?」

 アカリも途中まで忘れていたので、エムロード号のクルーへの説明に抜けていた事を説明する。

「お前……それはヤバいぞ。エレナには絶対に言うなよ」

「あ、そうだね」

 これは「ミスター考えない」アカリでもわかる。エムロード号の皆がシャルルを送り出すだけでどれほど苦労したのかは。ホント手に取るように。

 

 さて、話を戻すと。 

「フィノーラが良いと思います!」

 惑星フィノーラは拠点星系の第四、スゴン星系の首都星だ。二重惑星であり、フィノーラは観光、姉弟星のイードは軍事に振り分けられている。観光に特化したフィノーラは星団内でも随一のリゾート地だ。

 女神の名を持つ惑星フィノーラ。そこは極寒の地から熱帯のジャングルに致るまで、手付かずの自然のように見せて実は細部まで妥協のない自然演出がなされている。さらに二重惑星という他にない神秘的な空の景色は日常を飛び出して、まるで物語のようなファンタジーの世界。

 さて対する我らの拠点(あおい)惑星は。見た目そのままの愛想もない名前。むしろ第五(みどりの)惑星のほうが海が広く青いのだが。星の大部分は夏の手前で過ごしやすいのは良いことだ。本気で手付かずの大自然。物語のような景色もあるが、行くには命がけ。観光で外貨を稼ぐのはまだまだ先だ。

 どちらにチケットを使うか。一億人中一億人がフィノーラと答えるだろう。

 しかしアカリ氏は反対した。 

「駄目です。あそこは観光地ではなく地獄です」

「なに言ってるんだ、観光惑星だろうが。そんな事より三人でプルミエルまで通常空間なんて無理だろう?」

「そうよ、フィノーラが地獄ならこの世に楽園なんて無い、どこも地獄よ!」

「いやな思い出があるんですよ。森の演習で、ちょっとあって、二人帰ってこなかったんですよ。それに夜中光っている森なんて……絶対嫌です!メンバー不足はハイペリオンに全力でサポートしてもらえば何とかなると思わない?」

「そんな森俺も嫌だけど。というかあと一人くらい何とかならないのか?」

「確かに。そんな話は聞かないけど。じゃあ、寒いところは?」

「良いな。サントルは暑いから、滅多に行かない寒いところも良いんじゃないか?いや違うって、そもそもたどり着けるかって話で」

「氷山とか、良いかもしれない。具体的に行く場所を宣伝すればついてきてくれる人も増えるかな」

「あら、海は駄目よ。テンテイペンギンが群で出たんだって」

「どうすんだよソレ、壊滅じゃないか?街」

「じゃあ山は?雪山の露天温泉混浴ツアーよ!」

「冬山は怖いな。ロープで繋がった10人で墜ちちゃってから、断崖恐怖症なんだ」

「もうどう突っ込めばいいのか」

「海でいいじゃない?ペンギンだってもういないわよ、きっと」

「海はフリゲート艦が沈められた。イカみたいなので。死者行方不明者は出なかったけど、怖かったよ?で、やっぱり十八日は長いみたい。僕の少ない知人では誘われてくれる人はいなかったよ。チケットちらつかせてもさ。確かに行き先不明じゃ決めきれないよね」

「そういえばフィノーラに寄るなら十日はプラスして見ておかなきゃだぞ。片道十八日の往復プラス十日で四十六日!?三人は無茶だ!」

「ところでシャルル君はAP足りてるの?本当にフィノーラの事なの?この雑誌にはそんな事書いてないけど」

「323年の軍の演習記録を見ると良い。行方不明者2。艦船喪失1。大破2。航空隊は地上から謎の攻撃を受けている。僕の小隊に被害はなかったけど」

「話が逸れだしたな。結局、この三人で何とかしないといけないわけだ」

「大変な任務のあとはリフレッシュが大事なの!」

「大変というレベルではないと思いますよ……。でもチケットなかったらこの人も釣れなかったんだよな。APって何」

「え?アカリ君のお誘いなら、チケットなくても別に構わないんだけど。きっと面白いことが起こるからね。今回はそれが先に分かっただけ」

「いや、結局騒動起こしてるのはベアトリクスさんだから。兄さん、APっていうのは、ベアトリクスさんがでっち上げた……」

「アカリ・ポイントよ!」

「この前と違う!?」

「アカリ氏の事をどのくらい理解してるかって事。残念ながら、10,000に満たない者には今回の仕事は辞退してもらったわ」

「……そんなの俺ら兄姉に敵う奴なんて居るわけ無いだろ?」

「それだよ!皆受けてくれない理由!」

「ベアトリクスさん、そういうアンタはどれだけの力があるんだよ」

「私のAPは53万よ」

「それ普通に怖いわ。何が基準か分からんけど」

「……更にマル秘小咄を二つも知っている。この意味が分かって?」

「映画のネタになっていないエピソードと交換でどうだ?」

 話が完全に逸れている。

「ハイペリオン」

『どうした』

「ちょっと姉さんの所行って来る。相談してみるよ」

『分かった。戸締まりは任せておいてくれ』

 結局集まっても何も決まることはなく、観光もたぶんフィノーラで押し切られるのだろうなとアカリは思いつつ、癒しを求めに。

 正気に戻ったシャルルはあと二人いやせめて一人捜してこようと斡旋所へ。ベアトリクスも何処かへ消え、今日は終わった。

 翌日は船の皆のためにエレナを街に連れ出したが、成功報酬のチケットの事をうっかり話してしまったため、再度荒れることになった。

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