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23.引っ越し

 しばらくして、私は妊娠した。

頑張っても頑張っても、許してもらえなかったので、

いつ子どもができてもいいと思っていた。

そして、もし子どもを授かったら、

両親の許しがなくても、結婚しようと決めていた。


 透さんと二人で、私の両親に報告をした。

「犬や猫じゃあるまいし、

 結婚前にそんな事をするなんて!」

と母は言った。

「既成事実を作ったんだな!」

と父は言った。

しかし、それ以上は言わなかった。

もっとめちゃくちゃに言われると、

思っていたのだが、

両親も、こうなる事を、予測していたのかもしれない。

「それで、これからどうするつもりだ。

 結婚するなら、子ども達とまいが、

 しっかりと関係を作れるように、

 透君には、実家を出て欲しい。

 おじいちゃんおばあちゃんと一緒だと、

 子ども達は、どうしても甘えてしまって、

 まいの言う事を、聞かなくなってしまう

 かもしれないからね。」

と父が言った。

私は、子育てを頑張るつもりだったが、

自身満々という訳ではなかったし、

仕事も続けるつもりだったので、

透さんの実家に、

そのまま同居してもいいと思っていた。

でも、父の言う事にも、一理あると思った。

透さんは、答えた。

「わかりました。4人で住む家を見つけて、

 見つかったら、一緒に住みます。」

「私は、花嫁衣裳を着たいので、

 ウエディングフォトは、撮るつもりよ。

 そして、私達の事を知っていて、

 結婚を祝ってくれる人を呼んで、

 小さな披露宴をしたいと思っています。」

と私が続けた。すると、父は宣言した。

「私達は、結婚を認めたわけではないので、

 結婚式にも、披露宴にも出ない。」

悲しい宣言だったが、父のアドバイスを受け、

私達は、自分たちの住む家を探す事にした。


 引っ越しシーズンではなかったので、

家探しは難航した。

それでも、二人の休みが重なるたびに、

家を見に行って、マンションの1階で、

2DKの部屋が見つかった。

北向きで、キッチンは狭かったが、

ダイニングや部屋は6畳あり、

4人で何とか暮らせそうだ。

場所は、私と透さんの職場の中間地点だ。

店にもバス停にも近くて、住みやすそうだと思った。


 いよいよ引っ越しの日、

父と母は、何も言わないし、何もしなかった。

姉達が、結婚する時は、

花嫁衣装に着替えた姉が、

両親の前で、三つ指ついて、

「お父さん、お母さん、

 長い間、お世話になりました。」

と挨拶をしていた。

私も、そうするものなのかと思っていたが、

とてもそんな雰囲気ではない。

荷物を積み込んだ私は、見送る両親に、

「じゃあ、また。」

と言って車に乗り込んだ。

続きは、7月6日(月曜日)に投稿する予定です。

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