14.ファッションリング
初めて透さんと、飲みに行くことになった。
繁華街に近いバス停で、待ち合わせをした。
「飲む前に、行く所がある。」
と言う透さんに着いていくと、そこは、
この町では有名な老舗宝石店だった。
結構敷居が高く、私も、二十歳の誕生日に、
両親にそこのアクセサリーをおねだりして以来、
行った事がなかった。
「婚約指輪を買おう。大金はないけど、
好きな物を選んで。」
と言われて、私は、びっくりしながらも、
宝石店のショーケースの中を、じっと見た。
どれも、キラキラ輝いていて、夢の世界みたいだった。
そして、サファイアとダイヤをあしらった、
可愛い指輪を見つけた。
私は、青い色が好きだったので、以前から、
婚約指輪は、サファイアがいいな、
となんとなく思っていた。
それに、可愛い指輪が良かった。
まさにぴったりだ。
その指輪は、ファッションリングのコーナーにあった。
だから、お値段もお手頃なのだ。
「これがいい。」
「本当にそれでいいの?」
「この中で一番気に入った、指輪だよ。」
その指輪を出してもらって、手にはめてみると、
まるで、私のために作ったように、
サイズまで、ぴったりだった。
早速、お気に入りの婚約指輪を、買ってもらった。
その後、飲み屋に向かった。
居酒屋に入り、席に着き、一通り注文が終わると、
透さんは、私の左手の薬指に、さっき買った指輪を
はめてくれた。
「これからは、まいって呼んでいいかな?」
「いいよ。」
とは答えたものの、今まで私は、
呼び捨てにされた事がなかったので、
それだけでドキドキした。
ほろ酔い気分になりながら、
大好きなスキーの話をした。
私は、毎年すみれとスキーに行っている。
志賀高原や蔵王にも行った。
今年は、すみれと私の従兄弟と3人で、
初めて北海道に行くことになっていた。
ところが、従兄弟が急に、行けなくなったと言うのだ。
3人分でツアーを予約していたので、
キャンセルするか、誰かを誘うかで悩んでいる、
という話をした。すると、透さんが言った。
「俺が行ってもいいかな?」
「いいの?」
子ども達には、少し申し訳ないが、
私との時間も、大切にしてくれているように感じたし、
すみれも一緒だからいいか、と思った。
すみれは、もちろん快くOKしてくれた。
また、二人のお付き合いを応援してくれている、
透さんのご両親からの了解も、得られたので、
一緒に、スキーツアーに行くことになった。
続きは、5月4日(月曜日)に投稿する予定です。




