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11.バスデート

 ほどなくして、私達は、結ばれた。

そして、結婚を前提とした、お付き合いが始まった。


 「佐々木さんが、離婚したらしいよ。」

すみれから、突然聞かされた私は、少し動揺した。

けれど、透さんとお付き合いをする、と決めた直後

だったので、その事を話した。

「実は、あの後、透さんと何度か会って、

 お付き合いをすることにしたの。」

「そう。そんな事になってるなんて、

 全然知らなかった。おめでとう。

 子どもさんがいるのに、よく決心したね。」

そういえば、可もなく不可もなく、

とすみれに報告してから、その後の経過を

話していなかった事に気づいた。

でも、すみれは、自分の事のように、喜んでくれて、

応援すると言ってくれた。

それにしても、不思議なタイミングだった。

もっと前に、佐々木さんの離婚を知っていたら、

私はもっと揺れていたし、透さんと付き合う事を、

ためらったかもしれない。

クリスマスパーティーの事といい、

佐々木さんの事といい、

透さんとうまくいくように、

運命が導いてくれているように感じた。


 それからは、デートの種類が増えた。

早出お迎えデートだけではなく、

私がお休みで、透さんが仕事の時、

透さんの運転するバスに乗る、バスデートも始まった。

透さんの乗務しているバスが、

私の家の近くのバス停を通る時、

そのバスに乗り込み、一日中、バスで色々な所に

行くのだ。と言っても路線から外れる事はない。

私は、通勤やショッピング・飲み会でしか、

バスを使った事がなかった。

だからバスが、展望台のある山の上に行ったり、

海水浴場のある半島の反対側まで行ったりする、

という発見があって、楽しかった。

一日バスデートの時、私は、一番後ろの席に座る。

そして、折り返し地点に着いても、バスは降りない。

透さんは、お客さんを全部降ろすと、

待機場所にバスを移動させ、エンジンを切って

後ろに来てくれる。たわいもない会話をするためだ。

時間調整の間、話をすると、透さんはまた、

運転席に戻って、エンジンをかける。

バス停で、最初のお客さんを乗せる。

しかし、すでに私が乗っている。

たまには、怪訝な表情をする人もいる。

ただ殆ど、そんな事を気にする人は、いなかった。

最後に、私の家の近くのバス停を通る時、私は、

「ありがとうございました。」

と、普通のお客のように、降りて行く。

バスデートは、話す時間は多くはなかったが、

同じ空間にいられることが、嬉しかった。



続きは、4月13日(月曜日)に投稿する予定です。

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