10.天体観測
それから、早出お迎えデートが、何回か続いた。
私の好きなスキーやバイクに、彼も興味があることが
わかり、二人は、すっかり意気投合してしまったのだ。
ある日、夕食を食べた後、地元の観光地でもある
吊り橋に、星を見に行った。
その吊り橋は、桜の花見が有名で、
春になると駐車場に向かう道が、よく渋滞していた。
しかし、花見の季節でもない、平日の夜の観光地は
空いていた。ゆうに100台は止められるであろう
駐車場には、数台の車が、止まっているだけだった。
どの車にも、カップルが乗っているようだ。
あたりは街灯も少なく、暗かったので、
星がよく見えた。
もっとよく見ようと、車を降りようとした時、私は
腕を捕まれて、車内に引き戻された。彼が言った。
「車の中で見よう。」
外に出た方が、よく見えるのに、と思いながら、
「あれが蠍座、そして、あの赤い星がアンタレス・・」
と、私が星の説明をしていると、
彼の顔が、私の顔のすぐ近くに来た。と思った瞬間、
彼の唇が、私の唇に触れた。柔らかくて暖かい感触を
感じながら、しばらく黙ったままでいた。
「子どもが2人いるけど、いいかな。」
「子ども達の為には、戻れるなら、前の奥さんと、
元に戻った方が良いと思いますよ。」
「それは、無理。」
「仕方ない。3人まとめて面倒みるか。」
私が、躊躇なくそう答えたのには、訳がある。
私の両親は、長男と長女で結婚していたので、
従兄弟は、年下ばかりだった。
私が小学生の頃から、親戚で集まると、
私は、従兄弟を引き連れて、遊び回っていた。
従兄弟のボスとして、君臨していたのだ。
しかも、みんなの世話をしながら、
楽しく遊ばせる、立派なボスだ。
親戚の叔母さんからは、
「まいちゃんが、遊んでくれるので助かる。」
と、称賛されていた。
料理の手伝いをさせられている、姉達に比べて、
遊んでいるだけなのに、褒められた私は、
すっかり気をよくして、高校生くらいまで、
遊び係を続けた。
だから、子どもの扱いには、慣れていたのだ。
私も、気になっている事を聞いた。
「透さんは、私の方の収入が多い事は、
気にならないんですか。?」
「俺より収入が多いなんて嬉しいよ。二人で頑張って
いい家庭を作っていこうよ。」
この人は、私が大卒でも、収入が多くても、
気にしていない。佐々木さんの時に感じた不安は、
一瞬で払拭された。
続きは、4月6日(月曜日)に投稿する予定です。




