帰還者達の災難
宛もなく歩く俺達。寒空の下で歩行者用の信号が青から赤へと切り替わる。
立ち止まる時に俺は足を踏み外してしまった。
その後方からは、カーブを曲がって真っ直ぐ歩道に猛スピードで突っ込んで来る車が一台。
「おい!!後ろ!!」
「え・・・?」
彼の声に反応して振り返ろうとしたら、世界が俺以外真っ白になって、全てがスローモーションになった。
避けなきゃ。そう思っても体が言うことをきかない。自分の体なのに、どうしてだろう。
そうこうするうちに車体が眼前へと迫ってきていた。ドンッとぶつかった勢いからか体が宙を舞い、意識がストンと無くなって地面に倒れた。
「脈は問題ないか」
頭は動かさない方がいいな、と彼は心の中で呟いた。
暴走車は街路樹に衝突した状態で静止した。
「えっ!?何?事故?」
大きな音だったので近隣住民が驚いて出てきたらしい。
「だ、誰か救急車を!」
倒れた雪冬を見て見知らぬ人がそう叫ぶ。
「どなたか同乗者は」
やっと来た救急の方に尋ねられる。
「それなら、俺が。関係は知人ですが身分証ならありますので」
そう言って取り出したものに驚いたのか、相手が態度を改めた。
「こ、これは・・・いえ。し、失礼しました!!」
「いえ」
そこには彼の正式な本来のの所属、名前などが明記されていた。
搬送後。
分かったことは外傷が比較的軽症であったことと、身元不明者扱いとなっていることだった。退院しても行く宛がない雪冬とどうしようか話していると。
「雪冬?」
「所長・・・!?」
「あ、あの。もしかして掲示板のDDって」
「ああ。あれか?ダンディーのDのつもりだったんだがな」
「あのう。俺、帰る場所ないんですけど」
「・・・・・・よし。じゃあ、うちのアパートに来るか?」
「え」
「黒いスライムみたいなのもいるけどな」
「何でそんなのがいるんですか、所長」
「知らん。何故か鍋に入ってた」
「「・・・。」」
まさかアイツのせいじゃないよな?
とりあえず身元は出来たので問題ない、らしい。
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