↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
18/22

第十八話 グレイの布告

 翌朝、僕の頬はまだ赤い。姫の指のあと一本一本まで残っている。


 僕は昨日姫に張られた頬を撫でた。


 僕は、僕にできることをしなければいけない。



 僕は国王陛下の許可を得て、アレクセイ・プラソール国王陛下の名前で、布告を出した。

 国中に、武芸の優れた猛者を集めるという札をたてたのだ。


 僕は悪魔から逃げることしかできなかった。

 けれども、ナルタール王国は広い。

 悪魔と戦える人もいるに違いない。


 僕は王都の広場の、演台を置いた台に登る。


「僕はグレイ。今、アントワネット姫と婚約をしています」


 人々の足が止まる、「おい、グレイだぞ」「なんだなんだ?」「そういやまだ結婚してなかったな」など、みんなの声が聞こえる。


 広場に置かれた台が珍しいのか、台のすぐそばには子どもたちが集まってきた。


「みんなにお願いがあります!」


 注目が集まった。僕はみんなに顔が見えるように一周する。


「今、強い人を探しています。僕は悪魔というとても強い敵と戦おうとしています。これはナルタール王国の存亡に関わる話です。悪魔と戦ってくれる人が必要なんです。自信のある人は、衛兵詰所まで来てください。報酬は十分にお支払いします」


 僕の声を聞き、人垣の後ろのほうで、何人かが動いたように感じた。


 その一瞬、僕は周囲の警戒を怠った。


 演説する台に、一人の男が飛び乗ってきた。手には刃物を構えている。


 台の上は狭く、フットワークが使えない。

 台から飛び降りると、周りにいる子どもを押しつぶす恐れがある。

 僕は拳を握る。


 けれども、相手の反応が早かった。

 相手は刃物を突き出さず、僕に抱きついてきた。


 まずい。


 そして、片手で僕に抱きついたまま、もう片方の手で刃を胸に突き立ててきた。


 僕の胸に刃が沈む。


 騎士が飛びかかり、男を組み伏せる。


 僕は胸を探る。


 アントワネット姫へ贈るはずだったペンダントが歪み、僕の血で汚れていた。


 思ったよりも血が流れる。


 視覚が暗くなる。音が遠くなる。指先が痺れる。


 僕は大の字に倒れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。