表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

手伝いたい副隊長


『隊長はどこか焦っている』


 ミリミリは思っていた。彼女自身、メル隊長に不満感は無い。しかし彼はずっと精神を削っている気がする。


 メルが戻ってくる事を確認すると、彼女は自分の不安そうな顔を直していつも通りに接した。


「すまないミリミリ、エリオ信者を捕えられず自害させてしまった」


「大丈夫ですよ隊長、けれどエリオ信者の工作によってこの街は召喚獣ばかりです」


 彼は手を強く握り、呼吸を乱す。そしてすぐに手を広げて炎を噴出し再び空を舞う。


「召喚獣なら、手加減なしでいけるな」



 その日、第7隊は主要都市バルギルの異教徒反乱を沈めた。


 

 エリオ信者、彼らは英雄を信仰し、その目的を代わりに果たそうとしている。その目的は不明、捕えて尋問をすれば自害を選択する異常な教徒。その精神性に

誰かしらの洗脳ではないかと言われているが真実は闇の中だ。


「それを解くのが俺たち第7隊の命令だ」


「だから隊長は第7隊を希望したんですよね」


 魔導士団第7隊支部、要塞ジェリアス。そこを彼らは活動拠点としている。


 月光が注ぐ隊長室でミリミリは問う。


「隊長は、英雄の反乱の理由はなんだと思いますか? 英雄はどうして英雄を辞めてまで村を焼き滅ぼしたのか」


 メルはより鋭い目つきで彼女を見つめる、彼女の目は単なる冷やかしではなく、真実を知るために覚悟を持つ目だった。


「お前なら話してもいいかもな」


 内心大喜びな思いを抑えて、真剣に質問をする。何故、英雄は主要都市ではなく小さな村を消したのか。


「あの村は、というより村長だ。奴が鍵を持っていたんだ」


「鍵..?」


 幼少期のズキズキする記憶を掘り起こし、エリオルが鍵を村長から奪い取っていたことを思い出す。


「ただの殺戮じゃない。アイツの行動には正義があったんだ。それが正しい行動かどうかは分からない。俺はそれが知りたい」


 彼の人生には『納得』が欲しかった。納得できる理由、原因、流れ。それがもしエリオルにあるなら、教えて欲しかった。


 彼は第1隊の副隊長により処刑された。処刑といってもそれは魔法による殺し合いの末であった。


 魔力を限界まで使い、魔法の限界硬直に到達したエリオル。副隊長により捕えられたのち、舌を噛み切って自害した。


「隊長、私は英雄エリオルに魔物から街を救われました。母や父も無事で、私も彼に感謝し憧れていた」


 メルは安心したと同時に心を閉ざす。


「お前も英雄が大好きなんだな。良いことだよ憧れは」


「でも第7隊への入隊理由は違います」


「そうか、いったいなんだ?」


「隊長が困っていたからです」


 は、という声が響く。月光はメルの影を広げるが、ミリミリの顔をより明るくする。


「昔の隊長はいつも苦しそうでした。どれだけ魔法を極めても、褒められても、いつも考え事をしてた。でもエリオ信者討伐が目的の第7隊が出来てから、生き生きとしてた。理由は悲しいかもしれないけれど、隊長は真実を知るために頑張ってる」


「...確かに俺は真実を知りたい、でもお前が手伝わなくても」


「困った人を助けるのが魔導士だからですよ、隊長」


 純粋な声だった。


 雲が消えて、月明かりがメルを照らす。


「そうか、助けてくれてありがとうな」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ