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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん/えんとつ畑@雑記


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第671話 (他人視点)スミレ君。かゆうま

「魔族の御子息よ。こっちでござる」

「いや。オレは人間だよっ?」



 暴風の中、道案内をしてくれるスイカの魔物。

 手足は今はなく、道をゴロゴロと転がる姿は不気味である。


 今回は親父がスイカ人間になるらしいからオレが森の中を探索することになった。ほら、親父が外にいって魔力使うと大変だし。


 本当はサクラと2人で行って来いって言われたけど、こんなのオレ1人で十分だし。サクラがいるとトラブルが起きるかも……似てるんだよなサクラって親父のトラブル癖と言うか。


 スイカ侍はスイカソードが無いと解って落ち込んでいたけど、もしかしたら予備がおなごの家にあるかも。との事でちょっと嬉しそうになってる。



「そのままの意味でござる。あの主人の息子であればそうであろう? しまった! これはかたじけない。血は繋がってないでござるか」

「繋がってるよ」

「なんと!? それにしては……」



 少しイラっとする。

 弱いって言いたいのか。



「それよりも森の中に家があるんだっけ?」

「おなごの家でござるか。外見は人にそっくりなおなごであったか、思えば女神かもしれぬでござる。ああ…………また会いたいでござる」



 少し笑う。

 魔物と言うけどこうやって喋れる魔物が居るんだな。

 メル母さんや、ノラ姉さんの授業では人語を話す魔物には気を付けろ。と教わった。


 時には友好な会話や助けをもとめパクッと食われるパターンが多いらしい。

 わかりやすい例えで言うと、ミミックのような物。と教えてくれた。

 あれも人をおびき寄せるのに宝箱に化けるもんな。



「小さい川あるので気を付けるでござる」

「どうも」



 ジャンプすれば渡れそうな小川だ。

 先にスイカ侍か転がり入ると、そのまま流されていく。



「ちょ!? スイカ侍!!!」

「やや!? 流れが急でござるな、ご子息よーお達者でござる!」

「まて!」



 川に飛び込み走る。

 膝上位の川なので移動は出来るが泳げないし、流されていく速さが追い付かない。



「うおおおおおおおお!!!」



 無理やりに走って何とかスイカ侍をキャッチすると岸まで這い上がる。



「はぁはぁはぁ……吐きそう」

「いやはや勇敢でござるが、溺れた者を引き上げるのに溺れる者もいるというでござるよ」

「知ってるよ!!」

「そうであったか」



 馬鹿にしてるだろ、この魔物。



「で。道はわかる?」

「なに。この島は庭のような物でござるよ。直ぐつくてござる」



──

────



 どれぐらい歩いただろう。雨風が強く前を向くのもやっとだ。



「何が庭なんだよ!」

「ご子息よ、せっかちでござるな。柿男爵のように気長に待つでござるよ」

「どれぐらい?」

「8年ほどでござる」



 オレはスイカ侍の動きを足で止めた。



「むむ、前に進めないでござる。いやはや不思議な事が……ぬ!? 割れる。割れるでござるよ!? 足を退けるでござるよ。洒落でござる洒落……ふう……父殿に似てるでござるな」

「サクラに任せればよかった」



 思わず愚痴を出ると、スイカ侍の動きが少しスピードアップした。

 ただ、行ったり来たりと確実に迷子になってるのはわかる。



「お? あの畑は!? 見えましたでござる」

「家?」

「家でござる」



 ツタや汚れ酷い大きな建物。

 帝都にあった大図書館の半分ぐらいか、それでも大きい。


 出入口と思う場所につくも扉が開きそうにない。


 

「セキュリティーカードをお入れください……無いし。スイカ侍、カードは?」

「無いでござるよ? 某は案内しただけでござっ割れる。割れるでござる!! ええいスイカマシンガン!!」



 スイカ侍を持ち上げて顔を外側にする。

 スイカ侍のスイカマシンガンはオレにじゃなくて扉に向かって発射された。

 鉄を打ち付けるような音が鳴るも扉はびくともしない。



「開かないか……オレは親父みたいに優しくないけど。スイカ侍は途中で割れたって報告してもいいんだけどさ。どうする?」

「洒落でござるよ? 向こうに壁に穴が開いてるでござるよ」



 早く言って欲しい。

 スイカ侍を両手にもったまま歩く。



「なにゆえ、某を持ったままでござるか?」

「敵が出たら投げつける」

「何と!? 死ぬでござるよ!?」



 俺が黙っているとスイカ侍はなおもうるさくする。



「ご子息よ! 取引きでござるよ。スイカソードの予備があればお礼に沈んだ船には金品がざっくざくでござる」

「………………話を聞こうかな」



 宝があればそれを売ってシンシアさんと暮らすのに楽が出来る。

 オレがまだ学生だからってのもあるけど、シンシアさんは1人で暮らすのに仕事をしてるとの事。付き合う付き合わない以前に何とか手助けをしてあげたい。


 貯めていたお金を持って行ったけど受け取らなかったし……これが宝だったらシンシアさんも受け取って貰えるかも。



「ふう……地面に転がる喜びでござる。壊れた壁はこっちでござるよ」



 魔法攻撃を受けた感じに壊れた壁。

 何とか入り込むと元は白い廊下だったのだろう何かの施設のようだ。


 いくつかの部屋を見て回る。

 白衣があったり、大量のベッド。

 机が並んだ部屋もある。



「おなごの部屋ってどこ」

「こっちでこざる」



 廊下を転がるスイカ侍とオレ。

 1つの扉の前で立ち止った『所長室の部屋』と書いてある。



「ここでござる」

「………………スイカ侍って文字読める?」

「某、不器用なスイカで読めないでござる」



 軽くノックをする。

 渇いた音が返ってくると誰もいない。


 鍵はかかっておらず部屋の中にはいると自動的に照明がついた。

 机と本棚。

 ガラス瓶が大量にならんだ棚。


 机の上に変色した紙を見つけ文字を見る。


 ──アセリア歴344年。本国の命令が来た。

 残った職員と実験を開始、S・Kウィルスを打ち込んだ実験体は体が変形し丸くなる。


 ──アセリア歴345年。本国から催促が来た。

 捕虜に新しいS・Kウイルスを打ち込んだ、体に縞模様が出来た。


 ──アセリア歴346年。本国が捕虜を送り込んで来た。

 第一陣S・Kウィルスは戦争で活躍したそうだ。が、知能が無く改良せねば。


 ──アセリア歴350年。本国に置いて来た子供が死んだ。

 神よ……遺体は保管庫に入れてしまっておく。



 ──アセリア歴358年。本国……はもうない。

 実験体SZに武器を渡す。スイカソード影打ち……真打は地下に置いておく。




「何か──」

「うお!? な、何かな」

「某文字が読めないでござるが、何を書いてあったでござるか?」

「…………特に何でもない。それよりもそこら中の本を……あとスイカソードの予備があるみたいだ」



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