第668話 無人島と言えばポーズは決めたくなるよね
ブーメランパンツ型を履いた俺は炎天下の中必死でビーチパラソルを組み立てる。素早く砂浜にさして、大きな布を広げまくる、大人5人ぐらいは余裕で入れるスペースの完成だ。
その上に大の字に寝転がると近づいて来る砂を踏む足音。
「クロウくーん。ど、どうかな?」
そう言うのは、ワンピース型の白い水着を着たアリシアで、とても35才には見えない、もっとも実年齢はもっと若いし。
俺は親指を立てる。
「すばら……」
「本当!? 最近お腹が出て来たみたいで」
「そう? つかめるぐらいが良いんだけど」
「つかめないほうが良いよ。あっノラちゃんも達も来たよ」
首を回すと、外から見えないように布を張った簡易的な着替えのスペースからノラが出てくる。こちらも白ベースのビキニ姿で腰には大き目のパレオがありスカートをはいてる大人の姿だ。
手にはポーションのビンを2本を持っている。
「どうかな? クロー兄さん」
「ええっと、見事な絶壁……いや、ノラももう少し歳考えたほうがっ物を投げないで物を!?」
「まな板ですみませんでしたね!! 1本はクロー兄さん用に魔力回復ポーション。メル姉さんが持ってけって」
「冗談だって……おうとつはちゃんとあるし、それにさ……ここで俺がノラに興奮するって言ったらヤバいだろ」
ノラは数秒黙った後、ちょっとにんまりしだした。
小さく笑う姿はちょっと怖い。
「良かったねノラちゃん」
「ありがとうアリシア姉さん」
何が良かったのか……まぁ機嫌がよくなったのならそれでいい。
鼻歌を歌うノラはアリシアと一緒にバーベキューをする所を作り始め次に着替えの場所から出て来たのはメルナで、普段着である。
水着じゃない……? ほわっつ? ここは海だぜ、お嬢さん。
顔には太陽のように赤く、砂浜をまっすぐに俺の所に来ると眉がぴくぴくしてきれてる。
おー! マイハニー何をそんなに怒っているんだい? レットロブスターみたいだぜhehehe。
「ロウよ」
「何?」
「ワラワの水着が見つから無いなのじゃ」
「あるでしょ。俺がカバンの中身を確認したんだもん」
よっこらせっと。
ビニールシートから体を動かしていつでも逃げるように準備をする。
メルナも俺の動きに間合いを詰めるように動く。
「ほう……ワラワが買ったのは、この夏流行してるらしいオールインワンで上下繋がっているが、ヘソの部分が穴が開いておりワンポイントです。と、店員も勧めてくれた水着なんじゃが。なぜか代わりに紐があったのじゃ」
「いや、その紐に貝殻ついていたでしょ。大丈夫ちゃんと隠れるようにギリギリの貝を使って特注で作ってもらったから、鍛冶師からこんなの着る女性いるんですか? って疑問の声もあったほどだ」
「………………」
「………………」
メルナが息を吸い込んだ。
俺は足元に水盾を発動さえその勢いで遠くに逃げる。
ライトニングの連発が俺を襲う、が当たるかああああ!!
砂浜を転がるように逃げる、いくつか避けた後で足元に物凄い痛みを感じ足を取られた。
みると大きなカニが俺の指を掴んでいる。
「へぇ……カニがいるんだ。って、あばばばばばばばばばばば」
軽い痺れから回復した俺はビニールシートの場所まで戻ってくる。
既にメルナの姿が見えない。
帰った……って事はないとは思うけど一応聞いてみる。
「アリシア。メルナは?」
「もう、からかい過ぎだよ? 水着はそうなるだろうなって思って。クロウ君が餞別した後、保管されていたのを持って来たのを渡したからね」
「いや。俺もアリシアがちゃんとメルナの持って来てるだろうなって安心して取り換えた」
ノラが「その領域に行くのはやっぱボクはまだまだだよ」って何の話を。
突然に簡易着替え場所からサクラの声で「メルお母さんすっごい! 全然はみ出てるよ!?」と声に「ぬあ、サクラよ! お主が着るような水着じゃないのじゃ!」と続けて声が。
「何してるんだか」
「いや。クロー兄さんのせいだよ……さてバーベキューの用意は大体出来たよ」
「悪いな。本来俺がやる予定だったのに、もう1人の男手係のスミレは?」
ノラは黙って指をさした。
ちょっと離れた場所に大きな岩があり、その岩の上でトランクスを履いたスミレが謎ポーズを決めてる。
「まったく子供なんだか──」
「いいな、俺も後でポーズ決めよ。ん? ノラ何か言ったか?」
「何も」
無人島に着たら謎のポーズを決めて、砂浜にSOSって書いたり、熱唱したりだな。
にしても思ったよりも日差しが強いな。
「アリシア。日焼け止めの魔法ない?」
「止めはないよー。火傷に効く魔法なら魔力も少なく使えるかも」
「じゃっ、後でそれ頼む」
「はーい」
学園指定のワンピース型で下は短パン使用になっている水着を着たサクラと、先ほど言っていたへそ出しのメルナも着替えから戻ってくる。
よくあの胸入ったな……結構きつそうだ。
「…………動けるの?」
「…………正直に言うときついなのじゃ。が、あんな紐よりはましなのじゃ」
「動きやすいように考えたのに」
「悪意の塊なのじゃ。どれ……肉を焼くのじゃ肉」
無人島といっても食材の現地調達はしたくない、してもいいんだけど取れなかった時に最悪になるから。
事前に買って来た肉や野菜をガンガン焼き始める。
氷を貯めた箱に酒や炭酸水をビン事入れて好きなように飲む。
肉の煙に気づいたのだろうスミレも慌てて戻ってくると俺じゃなくてノラに謝っていた。
もしかしてこの家で一番偉いのはノラなのか?
「何。クロー兄さん……はい、お肉」
「いや、どうも」
俺とメルナ以外はあっちこっちに遊びに行っている。
サクラとアリシアは海で泳ぎ。スミレはなぜか浜辺で腕立て伏せ、それを見るのが教官のように立っている帽子をかぶったノラ。
隣のメルナに話しかける。
「メルナは泳ぎには?」
「だるいのじゃ」
「…………あの、一応は家族旅行なわけで」
「じゃったらロウよ泳いで来いなのじゃ」
「メルナが行かないし」
そっとメルナの手に触ると握り返してくれる。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
でれたああああああああああああああああああああ。
と、心の中だけで叫ぶ。
口に出したら攻撃されるから。
「ロウよ。口元が緩んでおるのじゃ。手はナシじゃな」
「…………うい」
「はぁ、泣くななのじゃ」
「泣いてないもん、雨がふるんだもん」
きっしょ。と、容赦のない言葉が飛んでくる。
そのきっしょと子供作ったのはだれでえ。これも口に出して言うと炭にされるから黙っておく。
「はぁはぁはぁ。親父!」
「あ、腕立て終わった? ってか海まで来て腕立て?」
「ああ、親父を超えるように……ほら親父の若い頃って1日1万回は余裕だったんだろ。ノラ先生……じゃなくてええっと学校じゃないからノラ姉さんに聞いたんだ」
俺はすぐにノラを見た。
ノラは急に顔を背ける。
ムリムリムリムリ!?
「常識的に考えて!?」
「いや、オレも親父がそこまで出来るって思っても無かった、でもこないだの戦いでわかったんだ……オレは親父を越えないといつまでのクロウベルの息子扱いだって」
あの。急に距離詰められても怖いんだけど。
また、ノラ何か言った?
ノラのほうは目線をあわせてくれない。
「そ、そうだ。クロー兄さん。今晩はここに泊まるんでしょ」
「え!? そうなの親父」
「んあ? 一応そうだけど、不満か?」
「いや、無人島ってわくわくするなって思って」
だよな。
──
────
昔メルナが建てたというログハウスに泊まる事になった。
ゴミ屋敷。
「もとい、朽ち果てた遺跡」
「遺跡じゃないのじゃ! 数百年ぶりじゃの……前の家と同じで中は結界で封じておったから綺麗じゃ綺麗!」




