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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん/えんとつ畑@雑記


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第667話 夏です(たぶん)クロウベル一家、旅行する

「パパ! 久しぶりのパパだ!」


 そう言うのはサクラで、自宅前の庭で俺を見ると駆け寄って抱きしめてくれた。

 来るっと反転させて着地させる。

 俺の癖というか、抱き合ってるとあついからハグを終わらせたくなる、それにサクラの後ろにもまだ人はいるし。


 出入口には何となく不機嫌そうな顔のノラと、さらに凄い嫌そうな顔のスミレが立っていた。そのノラが先に俺に寄ってくる。



「クロー兄さん。久しぶり」

「いや、先月会っただろ……」

「記憶では4ヶ月と12日前だね、先月会ったってのは誰の事かな?」



 ノラがちょっと怒ってる。

 ああそうか、結界内の時間軸がずれていた事教えてなかったか。



「冗談だよ、アリシア姉さんの手紙にメル姉さんの失敗談も書いてあったよ。どうりで会話がかみ合わないはずだった。ボクも気を付けていれば早くわかったんだけど……それよりもボクも一緒でいいのかな……この家に残って壊れた場所を直そうか? そのほうが良いと思うんだ。いたっ」



 ノラの頭を軽く叩く。

 馬鹿な事を言っていけない、ノラだって家族だ。



「男手が欲しいからいてくれ」

「…………たぶん、心の声と反対の事言ってるよね? あとボクは女だよ? でもちゃんと家族と思ってくれてるのは嬉しいよ」

「あっちで、アリシアにハグされてるスミレはゲンナリした顔してるけど、なんで?」



 それ所がちょっとにらんでる。

 悪いが俺がスミレに意地悪した事なんてない!

 いいか悪いか置いて置いて、その叱った事もない。


 叱る理由がないしな。

 悪い事したっても、別に人を殺したわけじゃなんだろ? って小さい事だし。

 これがクラスメイトを全員殺しました。って言ったら叱る……いや、逆によくやったなって褒めるかもしれん。



「ああ……シンシアさんと旅行する予定があったとか」

「シンシア……? どこかで」



 確か未来から来たスミレが、帰る時に連れて帰った女性がそんな名前だったような。16才で年上の恋人かよ! って思っていたけど、同性同名……。



「まて、あのシンシアか?」

「どのシンシアかわからないけど、たぶんそのシンシアさんだよ」

「まてまてまてまてまて!! 俺そのイベント一切してむぐぐぐぐぐ」



 ノラに突然手で口を塞がれた。



「メル姉さん!!」

「あっ…………すまんノラ。言うのを忘れていたなのじゃ……そういえばあの小僧からロウに言っといてくれ。って言われていた気も」



 ノラがメルナに確認すると、サクラをハグしたまま問題無いかのように伝えてくる。



「はぁ……クロー兄さんちょっとこっちに」



 こっちにも何も玄関先に引っ張られる。

 周りに誰もいない事を確認し、小声で話しかけて来た。



「スミレが過去に戻ったイベントって言ったらいいのかな? もう終わったんだよ」

「何時っ!? でも俺知らないよ」



 もしかしたら記憶喪失かもしれない。

 前にもあったし、知らない間に薬を盛られたか。



「……クロー兄さんって、あの未来から来たスミレの話を聞いた後で、スミレに感情むき出しで付き合える?」

「付き合える」

「付き合えないよね」



 いや。あるって……選択肢に『ある』『ない』あったよね。

 俺は『ある』を決定したよ?



「で。あの校長と相談してクロー兄さんの偽物を使った。ベルって男」

「はい?」

「いやーいい演技だったよ。で、表向きはちゃらんぽらんなクロー兄さんがスミレに本気で怒って一件落着してるから、話蒸し返さないほうがいいよ。まだ、あの時に怒ったのは偽物って気づいて無いから」

「…………じゃぁ俺は要らないじゃん」



 別に愚痴じゃなくて、純粋な感想を言っただけなんだけどノラは大きく目を見開いて周りを確認しだした。

 そのまま俺の頬にキスをしてくる。



「ふぁっ!? ば、ノラ!?」

「いるよ。その証明だったんだけど、騒ぐとメル姉さん達にばれるから」

「そ、そそそそ、俺は別に愚痴じゃなくて……その。ってもう居ないし。ノラは義妹だし……」



 ノラはさっさと外に出ている。

 はぁ……女性、いや女って怖い。


 思わずしゃがみ込む。

 悪いけどこの時代じゃノラの願いを叶えれ無いからな……ノラもわかってるのって言うけど、本当にわかってるのかな。


 玄関の扉が開くと、スミレが見下ろしてくる。



「おっ親父。何やってるんだ?」

「うい……女性について考えていた」

「っ!? 親父でも考える時あるのか……」



 あるよ!!



「ってか、暫く見ない間に良い体つきになったな」

「訓練してるから……学園を卒業したら冒険者になりたい」

「まぁがんばれ……そもそも卒業できるのか?」



 しっかり者のふりをしてるスミレは成績は悪い。

 誰に似たんだ……サクラのほうがポンコツそうなのに成績いいからな。



「う……頑張る。それよりも! その、親父は知っていたんだろ……オレが親父を殺そうとしたの」



 未来からの息子と謎の女シンシア編の事か。



「その話なら終わった事だ。これからは男の付き合いだな……良い女性と巡り合ったんだろ」

「親父……」



 ちょっと尊敬の眼差しで見てくる。

 結果的にハブられた感はあるが、良かったかもしれない。



「ってか、そのシンシアも連れてくればよかったな」

「ばっ! 親父には会わせたくないから!!」

「何で!?」

「だって親父って性獣だろ!!」



 そんな事はない。

 性獣はクウガであり俺じゃない。



「いや、ちょっと待て。どこでそう言う話に」

「オレはもうその話はしたく無い。旅行行くのにケンカしたくない」

「いや、まぁ……そう言われると俺も別に喧嘩はしたくはない、勘違いしてるだろうけど、そのな」

「親父って女子に人気ありすぎるんだよ! 今回の旅行だってリーカ生徒会長にばれたとき、凄い羨ましがられたんだからな! どうにか付いていけないかな。どこに行くんだい? とかさ」

「ああ……呼べば良かったな」

「親父!!」



 なぜ怒る。

 リーカと言えば一応は内弟子みたいなものだしいても別に平気だろう。

 俺とスミレが玄関前で言い合っているのでノラがまた迎えに来た。



「ほら、クロー兄さんもう行くって。スミレも怒鳴ってないで行くよ。クロー兄さんをあんまり困らすような事言うと……」

「言ってません!! ごめんなさいノラ姉さん!!」

「うい」



 俺には反抗的なのにノラには従順なんだよな。

 俺よりも父親らしい、今度褒めるか。


 さて今日行く所は無人島である。

 メルナが昔見つけた無人島らしく海岸が綺麗な所。

 島の面積が少なく気候もいいらしい。




「メルナのおぼろげな記憶で『転移の門』を抜ける」

「ロウだけ置いて行こうかの?」

「冗談ですって。心の声が……それよりもノラは」

「大丈夫、魔力ポーションを飲んで来たから」

「2人とも行くよー」

「はーい」

「ふん」



 しかし6人で移動となると結構騒がしいな。

 普段1人か2人だっただけにちょっと新鮮である。

 『転移の門』から『転移の門』最後にメルナがここじゃ。というと謎の小部屋についた。小部屋には扉がなく外の景色が綺麗に映る。


 崖の上に建物があるのか、小さい森が見えその先に白い砂浜。

 先にはきらめく海面に夏のような雲。



「壁は古代遺跡ですかね……」

「まっそうじゃろ。島の面積はそう広くはない。おおかた何所のかの王族の避暑地じゃろな……何か不満があるなのじゃ?」

「いえ。わんちゃん近代都市になっていて出口が公衆トイレだったら面白いかなって」

「ふむ……ロウよ。そこの崖付近の真下を見てみるのじゃ、ここでしか見れない物があるなのじゃ」



 へぇ。それは見てみたい。

 崖から頭を出してみるも特に何もみえない。



「メルナ何もみえ──」

「ライトニング」

「甘い!!」



 俺は回避動作をすると、メルナライトニングは足元に落ちた。

 狙いがなってないのである。



「メルナの魔法が外れた!? まさか老眼」

「いよいよ、ぶっ殺そうかと思う時あるのじゃ……まぁ今回はいいじゃろ狙った所なのじゃ」

「ん?」



 足元の崩れて俺の体は空中に放り出される。

 アリシアが笑顔で後からいくねー。との声が。

 


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