表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん/えんとつ畑@雑記


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

698/715

第660話 帰るに帰れない事情

「とりあえず。おじさん……こっちが名乗ったのなら名乗って欲しいのよね」



 若いカナデ母さんは俺をおじさん呼ばわりしている。

 まぁおじさんだしな……でもそのちょーっとだけ、名前で呼んで欲しい気も。


 いやいや、俺を生む前の母さん何だし、それは無理だな。

 平常心、平常心、カナデ母さんから視線を外そう、そう足元には何かの残骸。

 残骸?

 ん?



「うあああああああああああああああああ!!?」

「なっ何!?」

「青龍様っ!?」



 黒子の声に反応してカナデの足がさらに動く。

 残骸が余計に残骸に。




「えっ何所に!? 青龍様が!?」

「違う違う。足!! その足元!!」



 そこで何かに気づいたかのように足を退けはじめた。



「時計の残骸……うわ。もしかして大事な物だった?」

「当たり前だろ!! これが無いと帰れないの!!」

「ごめんね」



 申し訳なさそうに残骸を集める姿をみては、何も言えなくなる。



「…………いや。俺も言いすぎた。多分こっちに来た時に壊れたんだろう」



 治るかなぁ。



「でしょ!? 私もそう思ったんだよね。踏んだだけで壊れるとか普通ないし空気的に悪い感じがしてして謝り損よね」



 この人は……。



「っごほっ一気にしゃべり過ぎたよね。咳が、ちょっとごめん」

「っ! 大丈夫!?」

「うわ。おじさん、近すぎ……大丈夫よ……それよりも名前。何時までもおじさん呼びじゃ悪いでしょ」

「…………」



 俺としては何時までも『おじさん』と呼んでもらって良いんだけど。

 むしろ名乗りたくない。



「青──もごごごご」



 俺の事を青龍様とか要らん事をいうな! この黒子め。

 強制的に捕まえて顔に口を押える。


 どうする。スタンも駄目だろ。ベルと名乗ってもだめだ。いや!! 逆に堂々とすればいいか?



「クロウ」

「苦労……?」

「漢字で九に郎」

「九朗……兄妹が多いんだね。うん、おじさんの顔からにじみ出る苦労感。ごめんって冗談……そっちの子は」

「はい! 黒子です!」

「黒子衆の恰好をした黒子……紛らわしい。ううん、何でもない。でも参ったな……」



 何が参ったのだろう。

 参っているのは俺である。



「水竜の訓練で中の時間にして中の時間で最低1年は……出入り不可なんだよね」

「めっちゃ都合がいい!!」

「今なんて?」

「何でも無いです。はい」



 聞こえていたはずなのにとぼけ始めた。



「ずっといると黒子おばあちゃんになっちゃいます!」

「あははは、大丈夫よ。神聖な場所だし、外の世界では数日なのよ。それに、危なくなんて──」



 笑うカナデ母さん……だめだ。割り切って考えないとこれは母さんであって母さんじゃない……。


 とにかく。



「後ろ!!」



 半透明の人型魔物が襲い掛かって来た。

 カナデは指先を瞬時に動かすとその人型の魔物に掌底をぶつけた。

 内部で爆発が起きたようになりあたりに水滴が飛ぶと、その水滴も消えていく。



「あぶねーじゃねーか!!」

「こんなの危なくないよ。外の連絡は出来ないし……放置するのも後味悪いしなぁ……子供だけ助ける? いやでも、子供はおじさんに懐いてそうだし……」

「ああ。俺達の事なら構わず……このダンジョンに無理やり穴開けても外にでるから」

「出来るわけないし、そんな事言われても困るの私! そもそも何所から入ったの……ああ。もう着いて来て、もしかしてこの2人を助けるのか試練?」



 先に歩くカナデを見送っていると、足早に戻って来た。



「おじさん! 早く来てもらえます!? 女の子が遠ざかったらついてくる者でしょ!?」

「はい! 今行きます」

「そんな声張らなくても」



 黒子を連れて後ろについてく。

 内部は少し複雑で、ある一定の場所に行くと障子が見えた。

 中からレイアが『どっきりでしたー』って出てくれば一番いいのに、そんな事はなく、畳の引かれた20畳ぐらいの部屋が現れた。


 あの部屋って元からあったのか。

 畳は張り替える前だな、結構使い込んでる。




「寝泊まりしてる部屋。食事は……10年分ぐらいの保存食なら隣の部屋に。お風呂と厠もそっち。質問は?」

「俺が言う事でもないけど、そこまで喋っていいの? ほら俺って男だし」

「おじさん。もしかして私を襲うつもり?」

「襲ってたまるか!!!」



 実の母だぞ!?

 あれだけ優しくしてくれた記憶もあり、小さい街で暮らしていた記憶がよみがえる。



「じゃっいいよね。小さい子と一緒なんだし……正直。1年も1人だったら気が滅入るなぁって思っていた所なんだよね。こう見えても結構強いし。おじさん1人だったらのしちゃうかも」

「そうですね」



 芯が強い人だった。

 軟弱な俺を優しくなでてくれて近所でも評判の母さんだったからな。

 その死因は持病の病気。と聞いている。

 普段から咳していたもんな。あれほど教会に行けって言っていたのに。



「せい……ぼふ。あの、痛いです……クロウ様」

「小さい子の頭をポンポンと実の子?」

「違いますけど!?」

「じゃっなお更悪いですよね! どんな事情なのかまだ聞いてないですけど、子供をイジメる大人って最低」



 うぐ。



「別にイジメたくてイジメてるわけじゃ」

「おいで黒子ちゃん」



 黒子は俺の隣を動かない。



「おいで黒子ちゃん」



 黒子はなおも俺の隣を動かない。



「おいで黒子ちゃん」

「ほら、行ってこい」

「ご命令であれば」



 仕方がなく黒子は泣きそうな顔のカナデの側に行く。

 カナデは捕まえるとぬいぐるみのように抱きしめる。



「女の子は可愛いよね。将来子供産むなら女の子に限る。英雄にならなくてもいいから善人になってほしいよわよね」

「げっほっ」

「ど、どうしたの!?」

「いや、何でも無いです。本当にすみません」



 生まれたのが俺だもんな。

 しかも普通だったら殺され極悪人だ。



「う、産む予定の人はいるのか?」

「うわっ! おじさんそれ……滅茶苦茶に失礼。ええっと大陸ではセクハラだっけかな? 別に居ないわけじゃないよねー。私って美人で出来る女だから。そうそう聞いて、いや、やっぱ聞かないでいいわよね」

「聞くよ」



 急に前のめりになって迫ってくる。



「そう? 傭兵宿に凄いかっこいい人達が来てね、なんでも大陸からわざわざこの国に来たって言うの。とある封印を見たいらしく、また1年後に来るんだって……その、また会おうって約束をしたんだけど……いや、あれって社交辞令よね」

「…………名前は?」

「こっちの名前で砂さんって言うの」



 もろ親父である。

 なにカッコつけてるんだ。



「でも、砂さんの周りってかわいい子多かったし、私なんて戦力にならないだろうしー」

「会えるよ」

「おじさんに言われてもなぁ……おじさんモテなさそうだし」

「どっこい、子供います」



 カナデは抱きついてる黒子の方を見る。



「いや。その子じゃない」

「え、こんな場所で実の子放り出して何してるの? 待って。奥さんもいるって事? いやぁ……おじさん、嘘付くならもっとまともな嘘を言ったほうが良いよ」

「その奥さんも2人ほど」

「うわっ……おじさんもしかして何処かの偉い人?」

「はい! クロウ様は偉い人です!!」



 いや、黒子さ辞めて。

 カナデが驚いた顔してるし。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ