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負け悪役貴族に転生した俺は推しキャラである師匠を攻略したい  作者: えん/えんとつ畑@雑記


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第649話 魔女のお母さんはやっぱり魔女で

「貴方は女神を信じますか? ってかこの世の中で一番信用がならんな」

「クロウ君?」

「っと、何でもない」



 教会の中に入りボソっと言った言葉をアリシアに聞かれてしまった。


 一般市民に対する回復の時間も終わったようなので教会の中はとても静かである、時折シスター達がアリシアに礼をして消えていく。


 アリシアが聖女として活躍していた時は顔を隠していたはずだけど、まぁわかる人にはわかるか。その中で1人の老婆がアリシアと何か話すと頷いて消えていった。



「宝物庫を見たい。とか珍しいね。はい許可取れたよー」

「はや!? え、もしかして今の人とても偉い?」



 俺の手、魔力がともなった鍵をくれた。



「うん。昔からいるセリーヌさん。私もお世話になった人なんだ」



 へぇ……人は見かけによらない者だ。

 こっちだよ。と、言われて後について行く。

 教会の奥にあり鉄格子の扉の先。さらに地下室にいくとなると物々しい。


 その後も3回目の鉄の扉を開くと宝物庫と思う場所についた。

 中央にめっちゃ大きい精霊石が台の上にあり鎮座している、謎の光があり余計に強調されているのが見えた。



「でっか」

「大きいよね。魔力を貯めきったらこの聖都が吹き飛ぶらしいよ? 対魔物が攻めて来た時に使うんだって……あれ、クロウ君?」



 いやさ。

 俺の『でっか』って言葉に反応してアリシアが『大きすぎるよ……』って顔を赤らめたら面白いな。って1人で考えていたわけで。



「何でもない…………にしても聖都に使うんじゃなくて魔物に使ってくれない? 何で自爆用なんだよ」

「あはは、確かにそうだね」



 あれ? でもこれ。



「レイア欲しがって……持って行くんだよな」

「あ、大丈夫じゃないかな? こっちに小さい攻撃用の精霊石あるよ?」

「ああ。本当だ」



 手のひらに隠せるぐらいなのが複数置いてある、これでも爆発が凄い。

 火薬のようにしける事もないし、まさに兵器。

 量産されないのは天然でしかとれないから。あと滅茶苦茶に高い……それを平気でガンガン使うのがメルナである。


 メルナ曰く、使う時にためらって死んだらどうするなのじゃ? と。確かに。



「で……リターン草は?」

「これだよ?」



 棚に並んだ小瓶を俺に手渡してくれた。

 中には粉が入っている。



「粉末?」

「もとは草花で。こっちが標本、聖王様は健康のために1日小さじ1杯食べていたかな? セリーヌさん伝えたら、誰も使う人もいないのでどうぞお持ち下さい。だって。良かったね」



 良かったのか?

 瓶のふたを開けて匂いを嗅ぐ。

 別に臭くも無い、小指に付けて舐めてみても無味だ。

 魔力がちょっと跳ねた。かな? なるほど? 魔力活性させる健康食品。



「クロウ君? 顔がちょっとにやけてるよ?」

「いやこれ、老人が好きな健康食品だろ……と思って。それがレイアが欲しがっていた。って事は若作りしていてもやっぱ歳なんだなって」

「クロウ君。その……」

「わかるよ? あれだけ肌もぴちぴちなのに……あれか? 実験って奴ももしかして健康維持とかか?」

「クロウ君!!」



 アリシアが突然怒鳴りだす。



「え。何? まさかアリシアもこの紛い物を!? いや、十分綺麗だよ? 逆に見た目変わらなくて本当に人間なの!? って感じるほど」

「ありがとう……これでも昔よりも体力も減ったし胸も……じゃなくて!! 私じゃなくて……たまにメル先生が食べてるよ。その粉末。だからその……あまり言うと」



 …………俺は急いで周りを見る。

 殺気も何もなく数々のアイテムが鎮座してるだけの部屋だ。



「…………アリシア」

「だ、大丈夫黙っていてあげっきゃ!? クロウ君、いきなり抱きつかないで欲しいかな」

「え? 感謝の気持ちだけど嫌だったら……」

「そんな事ないよ!?」



 たっぷり感謝のハグをして宝物庫を改めてみる。

 巨大な精霊石は怖いが、他の本はヒーラーに関する本だったり魔術の本など。

 中には危険な物もあるが、全部が全部そうでは無いみたいな。



「ああ。そうか……本当に危険なのは聖王の墓にあるのか」

「うん。そうだと思うよ、ってもここにあるのだけで充分危険なんだけどね」

「学園のほうが危険だ。先日なんて魔物の卵保管しようとしていたし」

「そうだよねぇ」



 宝物庫から出ると、先ほどの妙齢のシスターが礼をしてくる。

 慌てて礼をして感謝のお布施をして帰る事にした。


 俺とアリシアが自宅に戻り扉を開ける。



「こう!? レシアお義母さん! こうですか!?」

「そう。そうよ! その女豹のポーズが素敵だわ! スクール水着もにあってるわよ!? あら、2人ともおかえりなさい」

「クロー兄さん!? アリ姉さん!?」



 ノラがテーブルの上で四つん這いになっていて、服装は紺色のスクール水着。

 お尻を突き出して背中をそっていた。



「こ、これはその違うんだ! ボクは着替えてくるよ!」



 何が違うのがわからん。

 テーブルの上にはちゃんと布が掛けられていて衛生面はばっちりだ! ばっちりか?



「あの、うちのノラであまり遊ばないでくれる?」

「可愛い子よね。持ち帰っていいかしら?」

「駄目に決まってるだろ……」



 アリシアが直ぐにお茶を入れるね。と台所に向かう。

 亭主関白ってわけでもないけど、自然と俺はレイアの相手をする。

 いやさ……前に2人お茶を入れようとしたらお茶っぱの場所がわからなくて……そのはい。駄目な男です。



「ああ、そうだ。お土産『リターン草』の粉末」



 小瓶を渡すと中身を空け確認し始める。



「今の時代は乾燥させてるのね」

「何時の時代の話を。で……健康食品なんだろそれ」

「食べたの?」



 眼をキラキラさせて訪ねてくる。



「食べたっても舐めったぐらい?」

「クロウくーん。はい珈琲。レイアさんはブドウの紅茶。ノラちゃんも珈琲で私はお水」

「ろーちん。もしかして2人奥さんをイジメてるの?」



 そう見えるよな。

 俺もそう思ったもの。



「あっ。お水が好きで……クロウ君はやさしいです」

「と、言う事」

「2人とも改めておかえりなさい……あのさっきの事は忘れて」



 ノラが部屋着に着替え椅子に座る。

 アリシアに礼を言ってから珈琲を飲み始めた。


 レイアは小瓶を開けるとスプーン大盛1杯ほどをブドウ紅茶に入れて飲み始める。



「美味しいわぁ……普段から美味しいけど皆のお義母さんのためにろーちんが持って来た。ってスパイスがいいわ。《《100年は若返りそう》》……あら。ろーちんなに?」

「いや。無味だったのに美味そうだなって」

「美味しいわよ? お義母さんの口の付いた紅茶なんだけど粘膜の交換でもする?」

「へんな言い方しないでくれる? あれ……アリシアとノラ。どうしたん?」



 2人とも俺を黙って見てる。



「アリ姉さんどうぞ」

「ううん。ノラちゃんからいいよ」

「…………じゃぁ。クロー兄さん、そのレイア義母さんと本当に血繋がって無いんだよね。クロー兄さんがメル姉さんやアリ姉さんにセクハラする時と全く同じなんだけど」



 マジで!?



「嬉しいわぁ。ろーちんとは血より濃いのね」

「いや、辞めて……まぁでも試したいからリターン草の小瓶かして」

「はい、どうぞ。最初はスプーン半分ぐらいがいいわよ?」



 そうなのか。

 珈琲に砂糖のようにスプーン小さじをいれる。

 くるっと回して温かい珈琲を喉に通した。


 味は変わらん。



「うぐ……何だこれ。魔力が一気にあふれてくる」

「ね。美味しいでしょ?」

「美味しいというか……」



 3人の姿がめっちゃ大きくなった。



「周りを巨人化させる効果か……あれ。声が……」



 いつもよりも声が高い気がする。

 痛っ!? 俺の右腕をノラが引っ張り、左腕をアリシアが引っ張る。



「痛い痛い痛い!」

「じゃぁレイアお義母さんは足を引っ張るわね」

「な、なにす……え?」



 玄関にある姿見の鏡が目に入った。

 アリシアもノラも子供を両方から引っ張っている。



「だから言ったでしょ? スプーン大盛で100年ぐらい若返るって」



 魔女の嬉しそうな声が部屋に響いた。

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