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異端者達のメメント・モリ ~冬の始まり  作者: Mr.M
十一章

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93/117

第93話 対峙

放課後。

ホームルームが終わると、

僕は教室を出ていった田村を追いかけた。

廊下を歩く田村の後ろには、

円の霊がぴたりと尾いていた。

田村は職員室のある1階へは下りずに、

階段を上った。

3階を通り過ぎて、

そのまま屋上へ上がっていった。

僕はしばらく逡巡してから、

扉を開けた。

屋上の縁に立っている

田村の背中が見えた。

そこは、

丁度あの日、

妻鳥が落ちた場所だった。

その事実に気づいた瞬間、

僕の胸の奥に黒い霧が広がった。

僕は足音を忍ばせて田村に近付いた。

田村の真後ろには、

円の霊が力なく立っていた。

田村まであと数メートルに迫ったその時。

「俺をここから突き落とすつもりか?」

突然、

田村が振り向いた。

僕は驚いて足をとめた。

そして。

突き出していた両手を慌てて下ろした。

「はっはっは。

 冗談だ。

 それより。

 俺に話があるのか?

 教室を出た時から、

 お前が後を尾けてきてたのは、

 気付いてたぞ、冬至」

そう言って、

田村はオールバックの髪を撫でつけた。

その仕草が妙に癇に障った。


「先生・・。

 そこは妻鳥が立ってた場所だよ。

 先生は・・。

 妻鳥の背中を押して、

 突き落としたんだよね」

僕は静かに、

しかしはっきりと断定した。

田村は首を傾げると、

にやりと口元を歪めた。

「はっはっは。

 お前がそんな冗談を言うとはな。

 でもな。

 それは不謹慎だぞ」

「・・あの日。

 円が立ち去った後で、

 先生は屋上に現れた。

 そして。

 下を覗いてた妻鳥の背中を押した。

 校舎に戻った先生は、

 1階の廊下で円と鉢合わせた。

 その時。

 円の様子に異変を感じた先生は、

 そのまま後を尾けた。

 そして。

 円が上履きを置くところを目撃した」

僕はそこで一度言葉を止めた。

田村が眉をひそめて、

僕を見ていた。

「・・先生は

 その状況を利用することを思い付いた。

 動画を撮影し、

 いざとなれば、

 円を犯人に仕立てようと考えた。

 でも。

 妻鳥の死は自殺として処理されて、

 その必要はなくなった。

 そこで先生は、

 動画を別の目的に利用することにした。

 円を脅すためにね。

 先生の家にあった脅迫状。

 結局、

 使わなかったようだけど。

 あれは先生が書いたんだよね」

僕は田村を睨み付けた。

「先生は・・ロリコンの変態野郎だ」


一陣の風が吹いた。


「はっはっはっはっはっはっはっは。

 はっはっはっはっはっはっは。

 はっはっはっはっはっは。

 はっはっはっはっは。

 はっはっはっは。

 はっはっは。

 はっは。

 は」

田村が空を見上げて笑った。

「冬至。

 それが先生に向かって言う台詞か?」

「先生に・・。

 教師を名乗る資格はないよ!」

僕は拳をギュッと握り締めた。

田村が

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

と大きく溜息を吐いた。

「冬至。

 震えてるぞ?」

続けて。

田村はオールバックの髪を撫でた。

その目が笑っていた。

湿った熱気が頬を撫で、

全身に絡みついた。

僕は大きく息を吐き出してから、

静かに口を開いた。

「憑かれてるよ・・先生」

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