表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端者達のメメント・モリ ~冬の始まり  作者: Mr.M
十章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
90/114

第90話 真相

時計の針が

コチコチコチと時を刻んでいた。


「おい。

 聞いてるのか?

 話を続けるぞ」

「えっ・・。

 う、うん・・」

僕は開きかけた口を閉じて、

黙って白露を見つめた。

「でだ。

 お前と妻鳥が

 デートしてるところを見た円は、

 嫉妬のあまりに、

 妻鳥への嫌がらせを始めた。

 『Dゲーム』で

 妻鳥を奴隷にし続けたのも、

 その嫌がらせの延長ってわけだ。

 好きな子の気を惹きたくて、

 意地悪する奴なんて珍しくねえだろ?」

「う、うん・・」

僕は曖昧に頷いた。

「で。

 問題のあの日だ。

 屋上で妻鳥と話し終えた円は、

 一度教室に荷物を取りに戻ってから、

 校舎を出た。

 その時。

 慌てて駆けていく、

 小林の姿を見たらしい。

 不思議に思った円は、

 小林が来た方へ足を向けた・・」


そこで。

円は花壇に倒れている妻鳥を発見した。

円は頭が真っ白になった。

始めて見る死体。

それも愛する人の死体。

ついさっきまで話していた相手が、

目の前で死んでいる。

ふいに。

一抹の不安がよぎった。

妻鳥と別れてから、

まださほど時間は経っていない。

恐らく。

妻鳥と最後に会話をしたのは自分。

もし。

そのことがバレたら・・。

疑われるのは自分・・。

次の瞬間。

円は妻鳥の死体に駆け寄っていた。

そして。

死体から上履きを取ると、

急いで校舎に戻った。

その時。

1階の廊下で田村と鉢合わせた。

「何をしてるんだ、円?」

「べ、別に・・。

 教室に忘れ物をしたから・・」

円は咄嗟に手にした上履きを

後ろに隠した。

「そうか。

 寄り道をせずに、

 真っ直ぐ家に帰るんだぞ」

「わ、わかってる・・」

円は小さく頷くと、

階段を駆け上がった。

そして・・。

屋上の縁に上履きを並べた。


「ま、まさか・・」

僕は絶句した。

「まあ。

 本人も後悔してるみてえだったが。

 相当混乱してたんだろうな。

 無理もねえぜ。

 中学生にしちゃ、

 刺激が強すぎるからな。

 で。

 翌日。

 円が登校すると、

 妻鳥の死は自殺として

 処理されてたわけだ」

「う、うん・・」

「ただ。

 問題はここからだ」

白露は少し間を置いてから、

話を続けた。


妻鳥が亡くなって、

1週間が過ぎたある日の放課後。

円は田村から屋上に呼び出された。

「何で呼ばれたかわかるか?」

円は眉をひそめ、

田村の目をじっと見つめた。

そして。

溜息を吐いて、

小さく首を振った。

すると。

田村は徐にスマホを取り出し、

画面を円に見せた。

そこには、

あの日。

屋上の縁に上履きを置く円の姿が、

映っていた。

「妻鳥を殺したんだな」

「ち、違う!

 あ、あたしは殺してない!」

円は叫んだ。

「これを見た人間が、

 お前の言葉を

 信じてくれると思うか?」

そう言って、

田村はスマホをポケットに戻した。

「お前次第では、

 この件は先生の胸の内に

 仕舞っておいてもいいんだぞ?」

そして田村は下卑た笑みを浮かべた。

円の額にじわりと汗が滲んだ。


「ちょ、ちょっと待って・・」

僕は頭の整理が追いつかず、

白露の言葉を遮った。

僕は大きく息を吸い込んだ。

脅迫されていたのは、

田村ではなくて円の方だった。

つまり。

田村の家にあった脅迫状は、

田村が自ら書いたものだ。

だが。

田村は脅迫状を使うことなく、

直接円を脅した。

田村が何を要求したのか。

円が生霊になるほど、

田村を憎んでいたことを思えば、

おおよその見当はつく。

円が登校拒否になったのも、

田村から逃げるため

だったのかもしれない。


「まったく。

 とんでもねえ教師だぜ」

白露の言葉に僕はぼんやりと頷いた。

円と田村の間に、

何があったのかはわかった。

そして。

円が生霊となった理由も。

やがて。

生霊に憑かれた田村は、

体調を崩し学校を休むまでになった。

今思えば。

あの頃の田村は、

傍目から見ても、

明らかに正常な状態ではなかった。

結果として。

それが次の悲劇を生んだ。

追いつめられた田村は、

円を殺した。

「はぁ・・」

自然と溜息が漏れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ