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異端者達のメメント・モリ ~冬の始まり  作者: Mr.M
十章

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79/118

第79話 訃報

7月12日。月曜日。友引。


朝。

教室に入ってきた体育教師の佐々木が、

神妙な顔で口を開いた。

その口から発せられた言葉に

教室中が静まり返った。


「円響が死んだ」


佐々木は確かにそう言った。


昨夜。

円は本所町の市道で、

乗用車に撥ねられたのだという。

搬送されたものの、

すでに手遅れだったらしい。

乗用車を運転していた若い男は、

「突然、

 道路に飛び出してきた」

と話しているらしい。

現場は見通しこそ悪くないものの、

横断歩道のない道路だった。

さらに。

事故の直前には、

おぼつかない足取りで歩く円の姿が

目撃されていた。


佐々木の話を聞きながら、

僕は一昨日の白露の話を

思い出していた。

円の後ろを尾けていく、

首のない黒猫の姿が頭に浮かんだ。

・・黒猫の呪い。

そんな言葉が脳裏をよぎり、

僕は思わず身震いした。


佐々木は最後に

「田村先生だが。

 体調がだいぶ良くなったそうだ。

 明日から学校に出てくると

 連絡があった」

と言って教室を出ていった。


「ふうん。

 随分とタイミングが良すぎるわね」

声のした方を見ると、

机の上で腕を組んだ幻夜が、

眉間に皺を寄せていた。

「何が言いたいんだよ。

 それと。

 顔が怖いぞ」

僕は小声で指摘した。

「険しい顔にもなるわよ。

 妻鳥小絵殺人事件の容疑者が

 死んだんだから」

「おいおい。

 証拠もないのに、

 死者を犯人扱いするのは、

 不謹慎だぞ」

「はぁ?」

幻夜の目が鋭く光った。

「な、何だよ・・睨むなよ。

 僕は正直な意見を

 言ってるだけなんだから。

 り、理不尽な脅しには屈しないぞ」

「ふうん。

 なら。

 冬至は誰が妻鳥小絵を殺したと

 考えてるのかしら?」

「そ、それは・・」

僕は言葉に詰まった。

確かに。

あらゆる状況証拠は

円が犯人であることを示している。

でも・・。

「いいわ。

 そこまで言うのなら。

 冬至が真犯人を見つけてみなさいよ」

「ちょ、ちょっと待てよ。

 どうしてそうなるんだよ」

「あら?

 人の推理にケチをつけるんだから、

 当然でしょ?

 そうね。

 もし冬至が

 真犯人を見つけることができたら、

 何でも1つだけお願いを聞いてあげる。

 その代わり。

 真犯人を見つけられなかった場合は、

 冬至は一生、

 私の奴隷よ」

そう言って幻夜がにこりと微笑んだ。

小さな八重歯が覗いていた。

背筋に冷たいものが走った。

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