第77話 雨に消えた答え
家に戻った僕は、
部屋のベッドに大の字で寝転んだ。
疲労感がどっと押し寄せてきた。
体よりも、
心がひどく疲れていた。
目を閉じると、
最後に見た妻鳥の笑顔が浮かんできた。
あの雨の日。
「どうして私が雨を好きになったのか、
聞きたい?」
彼女はそう言った。
「・・うん」
と答えた僕に彼女は
「濡れると風邪引くよ?
この続きはまた今度にしよっ」
と言って、
フッと口元を緩めた。
きっと彼女は、
また僕と話せると思っていたのだろう。
僕もそう思っていた。
こんなことなら・・。
僕はゆっくりと目を開けた。
真っ白い天井が見えた。
「何、黄昏れてるんだよ」
ふいに声がした。
僕は大きく溜息を吐き出した。
「・・あのさ。
部屋に入る時はノックくらいしてよ」
僕はベッドに寝転んだまま、
ぶっきらぼうに答えた。
「バカヤロウ。
ノックってのは、
ドアから入る時にするもんだろ。
俺様は壁から入ってきたんだ」
白露はそう言うと、
「ヒヒヒ」
と笑った。
「・・はいはい。
それより僕は今、
忙しいんだ。
兄ちゃんに構ってる暇はないんだよ」
「へぇ。
俺様の知る限りじゃ、
ベッドで寝転がることは、
暇って言うんだぞ」
「ちぇっ。
わかったよ。
話を聞けばいいんでしょ?
それで。
どうしたのさ?」
僕は視線だけを白露の方へ向けた。
「ヒヒヒ。
実は今日。
偶然、
あの子を見たんだよ」
「あの子?」
「田村の家にいた青い髪の少女だよ」
「えっ?」
僕は思わず飛び起きた。




