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第68話 7月9日。金曜日。大安。
朝。
教室に駆け込むと、
教壇には体育教師の佐々木が立っていた。
佐々木は50歳という年齢を感じさせない、
がっしりとした体つきをしていた。
一方で。
丸刈りの頭と整えられた無精髭には、
白いモノが混じり、
歳相応の貫禄を漂わせていた。
教室にはいつもと違って、
張り詰めた空気が漂っていた。
佐々木は教壇に手をつくと、
教室をひと通り見回してから、
重々しく口を開いた。
「田村先生だが。
体調を崩して、
しばらく休むことになった」
僅かに教室が騒ついた。
「ここ最近、
色々とあったうえに、
テストと重なって忙しかったから、
心労が祟ったんだろう」
佐々木はそう続けてから、
手に持っていた出席簿を開いて、
出席を取り始めた。
僕の視線は自然と
空席になっている円の席を捉えていた。
もしかしたら。
田村は円の登校拒否のことで、
理事長に責められたのかもしれない。
それと。
白露が田村の部屋で見たという
肩まで伸びた青い髪の少女。
僕は廊下側一番後ろの席の
剣野の方を見た。
露草色のショートカット。
つまり。
剣野ではない。
ならばやはり・・。
僕はゆっくりと息を吐いた。
ふと隣の席に目をやると、
幻夜が口元に手を当てて、
欠伸を噛み殺していた。




