第63話 幻夜の捜査手法
「それよりもさ。
捜査の方はどうなってるんだよ?」
「捜査って?」
幻夜は目を丸くした。
「・・おいおい。
妻鳥を殺した犯人を
見つけるんだろ、探偵さん?
いや。
幻夜は助手なんだよね?
それならいっそのこと。
この件は夜也さんに頼んだ方が
いいのかな」
そう言って僕は
横目でちらりと幻夜を見た。
幻夜が「はぁ」と溜息を吐いた。
「そうそう。
知ってた?
IQが20以上離れると、
会話が成立しないんだって。
自分より知能が低い人間と
会話をすると疲れるのは、
そういう理由もあるのよ」
「えっ?
そうなんだ?
でも。
それが今何の関係が・・。
おいっ!」
僕は勢いよく立ち上がった。
幻夜は満面の笑みを浮かべると、
ゆっくりと足を組み替えた。
「1つ教えてあげる。
お母さんが解決した事件の中で、
難事件と呼ばれているものは、
全部、
私が犯人を特定したのよ」
「へ、へぇ。
それなら妻鳥の事件も、
さっさと犯人を見つけて欲しいね」
僕は皮肉を込めて言った。
「犯人の目星なら付いてるわ」
幻夜が涼しい顔で答えた。
「え、えええっ!
だ、誰だよ!
わかってるなら早く話せよ!」
僕が興奮気味に捲し立てると、
幻夜はふたたび「はぁ」と溜息を吐いた。
そして。
面倒臭そうに髪をかき上げてから、
徐に口を開いた。
「犯人は円響よ」
「はっ?」
つい大きな声が出た。
「えっと・・。
説明してくれないかな?
どうして円が犯人なのか」
「簡単なことよ。
クラス全員に聞き込みをしたの。
『妻鳥小絵を殺したのか?』って。
その結果。
皆、首を横に振ったわ」
「へっ?」
今度は思わず、
間の抜けた声が漏れた。
「ちょ、ちょっといいかな?
それで・・。
円は犯行を認めたってこと?」
「馬鹿ね。
彼女はずっと休んでるから、
話は聞けないでしょ。
あと安武マリアにも聞いてないわ。
苦手なのよ。
ああいう、
画に描いたようないい子ちゃんって。
でも。
安武マリアは
煙草を吸ってないんでしょ?
つまり。
犯人は円響ってことになるわ」
そう言って幻夜は微笑んだ。
僕は開いた口が塞がらなかった。




