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異端者達のメメント・モリ ~冬の始まり  作者: Mr.M
十三章

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115/118

第115話 『ギロチン処刑殺人事件』の真相

時計の針が

コチコチコチと時を刻んでいた。


「どうだ?

 これでも大したことねえなんて、

 呑気なことが言えるか?」

白露は組んでいた腕を解くと、

ベッドから立ち上がった。

僕の頭は激しく混乱していた。

それほどまでに、

白露の話は現実離れしていた。

幻夜は・・。

僕が自転車で

20分以上かかった道のりを、

僅か10分足らずで走り切り、

さらに4階のベランダへ

飛び移っている。

そして。

田村の首に噛み付いた。

それはまるで・・。

「まさか。

 姫が吸血鬼だったとはな」


吸血鬼。


その言葉を聞いた瞬間、

背筋を冷たいものが走った。

僕はコップを手に取って、

ゴクゴクゴクと一気に流し込んだ。

苦みのあるコーヒーの味に、

生臭い鉄の味が

混じったような気がして、

僕は慌ててコップを置いた。

そして。

ゴホンと大袈裟に咳をしてから、

ゆっくりと息を吸い込んだ。


兎に角。

これで。

『ギロチン処刑殺人事件』

の謎が解けた。

なぜ遺体の血が抜かれていたのか。

なぜ遺体の首が切断され、

その頭部が持ち去られていたのか。

幻夜は、

被害者達の首の動脈に噛み付き、

その血を啜った。

そして。

噛み跡を隠すために、

首を切断して持ち去った。

つまり幻夜は・・。

僕はごくりと唾を飲み込んだ。


「・・ていうか。

 兄ちゃんは

 何でそんなに冷静なんだよ!

 幻夜は田村・・先生を殺した

 殺人鬼なんだよ?」

「あんっ?

 そりゃ。

 霊が存在してるなら、

 吸血鬼がいたっておかしくねえだろ?

 それに。

 姫は殺人鬼じゃなくて、

 吸血鬼だぜ」

そう言うと白露は、

「ヒヒヒ」

と笑った。

「そ、そういうことじゃなくてさ・・」

「じゃあどういうことなんだ?

 田村は教え子を脅して、

 手籠めにした挙句、

 殺した糞野郎だ。

 おまけに。

 奴は姫のおっぱいまで

 触りやがったんだぞ」

「おっぱいに関しては、

 よくわからない理屈だけどさ。

 だからと言って。

 田村・・先生を

 殺してもいい理由にはならないよ。

 田村には正当な罰を与えるべき・・」

「だから。

 どうやって、

 奴にその罰を与えられたんだ?

 円の件は、

 事故で片付けられてたんだぞ?」

僕の言葉を遮って、

白露は言葉を重ねた。

「人が人を裁けないのならよ。

 お前は姫に感謝すべきじゃねえのか?

 それに。

 お前に姫を責める資格はあんのか?

 安武マリアを追い詰めたお前に。

 あの女。

 恐らく・・もう立ち直れねえぞ」

僕は何も言い返すことができなかった。


時計の針が

コチコチコチと時を刻んでいた。


「・・そういや。

 ふと思ったんだけどよ」

重苦しい空気を吹き飛ばすように、

白露が軽い調子で口を開いた。

「人ってよ。

 立ったまま両手を水平に広げると、

 十字架に見えるだろ?」

「う、うん?」

白露の言いたいことがわからず、

僕は首を傾げた。

「姫が、

 殺した相手の首を切断するのって、

 それが理由じゃねえのか?

 十字架は吸血鬼が、

 最も苦手とするものだろ?」

白露はそう言うと、

「ヒヒヒ」

と笑った。

僕は小さく溜息を吐いた。

「さあ・・ね」

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