表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ありがとう200万PV!!不定期連載再開】競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
401/409

第八話 ばんえい記念観戦 ~頂点の直線~

夏の帯広競馬場は、熱気と興奮に満ちていた。


白樺凛花は美保厩舎の関係者席で、双眼鏡を強く握りしめていた。


大学夏季休暇を利用して、武田師匠、美保晋三調教師、宝田誠とともに本格観戦に来たのだ。


「これが……ばんえい記念……」


今日行われるのは


ばんえい記念(BG1)。

4歳以上オープン、200m直線、最大1000kgの鉄ソリを引くばんえい競馬の頂上決戦。

ファン投票と収得賞金上位の強豪10頭が集う、真夏のグランプリだ。

パドックでは、1000kgを超える巨体たちが威圧感たっぷりに歩いていた。

武田文吉が低い声で解説する。


「今年の中心はオオミノダイヤだ。

現役最強格。通算獲得賞金1億超え、後駆の爆発力と粘りが異常や。

他にもキタノブラックサンダー、ホクショウドラゴン、メジロエターナル……今年は特にレベルが高い。」


凛花は息を飲んだ。


「みんな……すごい存在感……」


ゲートが開いた。


「スタート!」


挿絵(By みてみん)


10頭の巨馬が一斉に重いソリを引いて突進する。第一障害に向かって大地が揺れるような迫力だった。


「うわぁ……!」


凛花の目が釘付けになる。


特に目を引いたのはオオミノダイヤ。


漆黒の馬体に白い流星。

ソリをものともせず、力強く第一障害を越えていく。宝田誠が興奮気味に説明した。


「見て見て、リンちゃん! 第二障害や! あそこで騎手の体重移動が命やで!」


第二障害(約1.8m級)でキタノブラックサンダーが一瞬ソリを止めかけた。


騎手が素早く後方に体重を移動させ、馬の後ろ脚を全力で助ける。

馬の筋肉が盛り上がり、鉄ソリが再び動き始めた。美保晋三が大阪弁で唸った。


「エグいな……。ホクショウドラゴンも粘ってる。あの馬、障害越えてからの『駆け』がえげつないんや。」


場内は熱狂とヤジが混じり合う。


「行けー! ダイヤァァ!!」

「ブラックサンダー、踏ん張れー!!」

「金返せー! もっと頑張れやー!!」


武田師匠が凛花に言った。


「聞こえるか? これが現実だ。

勝てば英雄、負ければ即ヤジ。

客は自分の金を賭けている。

お前がいつかここに立つ時は、このプレッシャーを全部背負うことになる。」


凛花は真剣な眼差しでレースを見つめながら頷いた。


「はい……。でも、それでも素晴らしいです。あの馬たちと騎手が、命がけで直線を走ってる……。夢雪にも、いつかあの中に立ってほしい……! 赤と白の斑模様で、あの頂点を目指してほしいんです!」


最終局面。オオミノダイヤがキタノブラックサンダーを半馬身差で振り切り、ゴールラインを越えた瞬間、スタンドが大歓声に包まれた。


勝ち馬の騎手がソリの上から力強く拳を突き上げる。凛花の胸は熱く高鳴っていた。帰りの車中、凛花はノートに熱心に書き込んでいた。オオミノダイヤの圧倒的な後駆力

第二障害での体重移動の極意

騎手の声かけと馬の耳の反応

観客の期待と容赦ない現実


宝田が笑いながら声をかけた。


「リンちゃん、完全に釘付けやったな。

夢雪もいつかあそこに連れてってあげたいか?」


「はい……! 絶対に連れて行きます。夢雪と一緒に、あの舞台に立ちたいです!」


武田師匠が前から静かに言った。


「その覚悟があるなら、鍛えてやる。ただし、現実は今日見た通り甘くないぞ。」


凛花は窓の外を見つめ、静かに拳を握りしめた。


(夢雪……いつか一緒に、あのばんえい記念の直線を走ろうね。

君の斑模様を、十勝の夜空の下で一番輝かせてみせるから。)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ