表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ありがとう200万PV!!不定期連載再開】競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
396/409

第三話 大学初日と、ばんえいの朝

十勝の4月上旬。朝の空気はまだ冷たいが、太陽が昇ると牧場の雪がキラキラと溶け始めていた。

白樺凛花は新品の大学生バッグを肩にかけ、鏡の前で深呼吸をした。

黒髪ポニーテールにシンプルな白いリボン。

大学指定のジャージの上に軽いダウンジャケットを羽織っている。


「よし……今日から本当のスタートだ!」


学生寮から自転車で20分ほどの十勝農業大学。

キャンパスは広大で、馬術関連の施設も充実している。

凛花は入学式を終え、オリエンテーションで配られた時間割を握りしめながら、農学部馬産学コースの教室に向かった。

教室に入ると、周りは農業や酪農、馬関連を志す学生たちばかり。

凛花が席に着くと、隣の短髪の女子学生が明るく声をかけてきた。


「ねえ、君も馬やりたい系? なんか馬の匂いする!」


「えへへ、バレましたか。私、ばんえい騎手目指してます。白樺凛花です!」


「ばんえい!? すっごい! 私、競走馬の生産管理やりたいんだよね。よろしく!」


初日から周囲の視線を集めつつも、凛花は笑顔で自己紹介をこなした。


講義は「馬の解剖生理学」と「十勝の畜産史」。内容は難しかったが、飛田牧場での実体験が生きて、メモを取る手が止まらなかった。


午前中の講義が終わると、凛花は急いで自転車を飛ばした。


大学からさらに15分、美保厩舎へ。


美保厩舎の敷地に入った瞬間、凛花の表情が引き締まった。


「ただいまー!」

「よう、凛花! 大学はどうやった?」

大阪弁で迎えてくれたのは調教師・美保晋三。

実家が農家3代目の、がっしりした体格の男だ。


その後ろから、JRA元調教師の武田文吉がゆっくりと歩み寄ってきた。


「師匠! 美保先生! ただいま戻りました!」


武田は相変わらずの厳しい目で凛花を上から下まで眺めた。


「ふん。大学と両立など甘いと思うな。午後はここで汗を流せ。

まずは馬房掃除からだ。ばんえいの騎手は、馬の世話から始まる」


「はい! 頑張ります!」


凛花はすぐに着替えて厩舎作業に入った。


重いホースを引いて馬房を洗い、干し草を運び、馬具の手入れ。汗だくになりながらも、顔は生き生きとしていた。


作業の合間に、武田が凛花の横に立った。


「凛花。お前はもう夢雪の世話担当でもある。

午後の自由時間に学生寮に戻って、勉強しろ。

大学で学んだことをすぐに現場で活かせ」


「わかりました……! 」



ふとスマホがブルっと震える。

画面を開くと、



『初日の心拍数と疲労度を記録しろ。データ送れ』


遊馬だ。

「相変わらず鬼やなあ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ