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【ありがとう200万PV!!不定期連載再開】競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
ばんえいの騎手

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第八話 家族の反対と瑤子の宣言

夢雪がもうすぐ1歳になる頃、白樺家のダイニングテーブルは重い空気に包まれていた。 

凛花の両親が、娘の話を聞いて顔をしかめていた。


「お前、本気で言ってるのか?」 


父親が低い声で言った。


「高校2年生だぞ。勉強も大事だろうが、ばんえいの騎手なんて……危ないし、現実的じゃない。

 せめて大学に行ってから考えろ」 


母親も心配そうに続けた。


「リン、夢雪ちゃんだっけ?馬の世話は好きにしていいって言ったけど……

 騎手になるなんて、毎日帯広まで通うんでしょう?

 怪我もするし、体力も限界があるわよ」 


凛花は唇を噛みしめ、俯いていた。 


その時、リビングのドアが静かに開いた。


「失礼します」 


瑤子が、優雅な足取りで入ってきた。

 飛田牧場からわざわざ車を飛ばしてやってきた。 


白樺夫妻が驚く中、瑤子は凛花の隣に座り、穏やかだが一切の隙のない笑顔を浮かべた。


「ご挨拶が遅れました。飛田瑤子です。

 リンには大変お世話になっております」 


瑤子は深々と頭を下げた後、すぐに本題に入った。


「リンがばんえい騎手を目指したいと言っている件について、お二人のご意見を伺いに来ました」


 父親が眉を寄せた。


「飛田さん……あなたはリンを焚きつけたんですか?」


「焚きつけた? いいえ」

 瑤子は微笑んだまま、静かに続けた。


「リンは自分で決めたことです。

 ただ、私はその夢を全力で応援すると約束しました」 


母親が不安げに言った。


「でも……高校生の身で学業と両立なんて……」


「両立できます」 


瑤子は即答した。


「高校3年生になっても、週4日以内の訓練に抑えます。

 成績が落ちるようであれば即刻中止。

 帯広への移動は私が責任を持って送迎します。

 怪我の保険、栄養管理、休息のスケジュールもすべて私が管理します」 


父親が声を荒げた。


「そんな、もし失敗したらどうするんですか?」 


その瞬間、瑤子の雰囲気が変わった。 

彼女はゆっくりと立ち上がり、白樺夫妻を真正面から見据えた。


「失敗したとしても、

 私が一生、凛花の面倒を見ます」 


部屋に静かな衝撃が走った。 

瑤子は高らかに、しかし優しく宣言した。


「リンが夢を諦めなければ、

 たとえ騎手になれなくても、

 たとえ怪我をしても、

 たとえこの先どんな道を選んでも。

 私が一生、面倒を見ます。

 飛田家として、責任を持って」 


白樺夫妻は言葉を失った。 

瑤子は最後に、柔らかく微笑んだ。


「ですから、どうかリンの夢を、

 もう少しだけ信えてあげてください」 


凛花の目から、ぽろりと涙がこぼれた。 

父親は長いため息をつき、母親は黙って目を伏せた。 

そして、父親が小さく、でもはっきりと言った。


「……わかった。

 ただし、勉強を疎かにしたら即刻中止だぞ」 


凛花が弾かれたように頭を下げた。

「ありがとう……! お父さん、お母さん!」 


瑤子は満足そうに頷き、凛花の頭を優しく撫でた。


「さあ、リン。

 これから本気で始めるわよ」 


こうして、白樺凛花の現役女子高生としての、ばんえい騎手への挑戦が、正式にスタートした。

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