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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第4章 徴血の行方
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第98話 グリム・タクシーダム

続きです∠(`・ω・´)


最近仕事の移動があって更新が遅れたことをお詫びします。


白い扉の前まで来ると、そこはすごく嫌な感じがした……。


なんて言ったらいいか……。

近付いたら冷や汗がブワッて出るような感じって言ったら分かるか?


もしくは人とすれ違った時、「あ、あの人ヤバい」って感じた時の感覚。

分かるヤツには分かるだろうけど、そんな感じがこの白い扉から出てんだよ………。



「いったいどんな悪いことやってんだよ……」



アルカードを握りしめて、扉の取っ手に手をかける。

覚悟を決めて、またゆっくりと扉を開けた。


うん、強烈なニオイはしないけど、薬品のニオイが結構するな。


なんというか、アルコールのニオイが一番強いんだけど、いそのニオイみたい……他には硫黄みたいなニオイが強い。そして急に寒くなった。


なんか冷蔵庫みたいだ。


そしてここも暗い。

とりあえず電気のスイッチは………あ、あった!


幸い近くにあったから電気を付けたんだけど……俺は早速後悔した。




「な……」




言葉を失うって…こういうのを言うんだろうな。


俺の眼の前に広がっている光景は、透明な分厚いアクリル板で作られた箱の中を()()()()()がいくつもあって、低いモーター音とともに透明なチューブの中をピンク色の保存液がさらさらと流れてる……。



「まかさこれ、全部子どもの内臓かよ……」



真っ先に思い浮かんだのは"臓器売買"だった。


子どもの臓器移植とかって、たしか物凄い低い確率だって聞いているけど………こんなの、人間のやる事じゃねぇよ!!


あまりの凄惨な事実に頭からサーッと血が引く。


童話の巣窟(グリムネスト)って言ったっけか?

こんな奴等に捕まえられてるなんてヤバい!!


ってか、生きてる子なんているのか?


最悪な想像が頭をよぎって助けないとって思った時だった。俺の鼻が薬品類のニオイの中に微細な違うモノを感じ取った!


なんのニオイだ?

俺は確かめる為にニオイのした方角へと歩を進める。

奥へ進むと、なんか手術準備室みたいな所に出てきた。


メチャクチャ嫌な予感がして、その準備室の先にあった扉を蹴破ると、手術台に寝かされている子どもから、今まさに臓器を抜き取ろうしていた医者みたいなのが何人かいた!!




「何やってんだオマエらあぁぁぁぁっ!!」




俺は一瞬でアルカードを振るって、医者みたいなのの頭を破裂させた!



串刺し雷鳴(ツェアパ・トゥネット)!!」



妖魔ですら細胞破裂する技を人間に使っちまったが、こんなクズどもに慈悲じひは必要ねぇ!

子どもの命や尊厳を金に変える連中なんか、死んでも誰も悲しまねぇ!!


血を撒き散らして崩れ落ちるゴミを蹴り飛ばして、手術台の子どもを急いで助ける!



「おい!大丈夫か!?」



声を掛けてみるけど、子どもは反応しない。

息はしているから、多分麻酔かなんかで眠ってるだけだと思うけど、念のために脈拍とか色々見てみる。


俺がかけいの家のなかで一番年長だから簡単な診察なら出来るけど、病院に連れて行ってみないと確実なことは言えない。


お腹にメスとか縫ったあとは無いから、内臓を取り出される前みたいだった。

良かった……。


声をかけた子どもは小さく反応した。

とにかく、子どもの安全を確保しないと!


あとは他にも捕まってる子どもが居ないか探そうと考えた、その時だった!




タンカーが突然大きく揺れ始めた!!




立ってたらそのまま吹っ飛ばされそうなくらいの揺れに、俺は子どもをかかえたまま伏せるようにする!


何だよ、ったく!?


しかもなんかズンッズンッって踏みしめるような音が聞こえてもくる!?

怪獣でも飼ってるのか!?


ものすごくイヤな予感がして、俺は子どもを抱えたまま一気に人骨が置かれているところまで来るが、踏みしめる音が近い!!


そして次の瞬間!!




グシャッッッ!!




金属の壁が紙切れみたいにビリビリに破ってなんか出てきた!?


しかも臭いッッッ!!!

ってかこのニオイ、び扉のあのニオイじゃねぇか!!



悪臭を放ちながら出てきたソレは、子どもの骨が詰められたガラ袋の上に倒れると、なんかバリボリ食べる様な音が響き渡る!



「って、オイオイオイオイ嘘だろッ!?」



さらに破られた壁から同じのがもう2体出てきた!?

追加注文なんかしてねぇんだけど!?


同じ様に子どもの骨に群がる肉塊どもなんだけど、よくよく見てみれば………これ………!!




「考えないようにしてたけど、コレ発狂もんだな……」




どの肉塊も、幾重いくえにも子どもと思おぼしき小さな手や足、顔の輪郭みたいなものがグチャグチャに絡みついてて……それが骨に群がってる……。


あの肉塊は、ここに置いてある骨から()()()()()()()()()()だったと思えば色々納得する。



ホラー映画でもよくあるだろ?


身体をバラバラにされた被害者の霊が、自分の身体を求めて彷徨さまようもんが。


コレはその大量版で、さらに人の手が加えられてるってところか…?



ひとしきり骨をむさぼると肉塊共は俺の方へと顔とおぼしきもの向けてくる。


骨を摂取したからか、人の形に近い形になって立ち上がる。

ところどころ骨が開放骨折してるみたいに飛び出してて、もしアレで殴られたら一撃で致命傷になりそうだわ。


そう思ってると、あの肉塊ども本当に殴りに掛かってきた!!

しかも割と早い!!


子どもを抱えながら横っ跳びで回避するけど、示し合わせたかの様に、左右に肉塊2体が挟み込んで来た!!



一発目はなんとか体をひねって無茶な体勢で回避した。けど、追撃が避け切れない!!


なら……!!




「おらあああぁぁぁぁっ!!」




俺は肉塊のパンチを頭突きで迎え撃った!!


ウオっっ!?(かった)いし重い!!

けどナメんじゃねぇぞ!!


頭の中をスゲェ衝撃が襲うけど、俺は強引に頭を振り抜いて肉塊のパンチを弾き返した!!



ちょっとひたいが切れちまったけど、子どもに怪我は無いから問題無し!

とはいえ、子どもを抱えながらじゃ戦えないな……。



「へっ、ちょっとヤバいかもな………」



敵の数は3。


連携出来るほどに高度な知能を持ってると思う。7メートルくらいの体躯たいくでありながら素早くも動ける。


少し考えて、俺は決断した。



「オルカ、子どもをお前にくくり付けるから、セツ姉さんを見つけ出してそこまで走ってくれ!」



オルカの心境が伝わってくる。



「なに心配すんなよ、生き延びてやるからさ」



オルカも俺の心境を感じ取って、ク〜ンと鳴いた。今頼れるのオマエだけなんだ!


俺の心の声にオルカ覚悟を決めた!!


上着を脱いでそでを子どもに固結びして、準備完了だ!!




「行けっ!オルカっ!!」

「ワンっ!!」




合体を解除して足元からオルカが飛び出すのと同時に、固結びに飛び込む!

オルカにしっかり固定された子どもは、オルカの猛スピードでアッという間に角に消える!


肉塊の1体がオルカを追いかけようとするけど、そんなのは俺がさせねぇ!!



「コッチ見ろやああぁぁぁ!!」



硬く固めた拳を一発お見舞いして注意をコッチに向かせる!

殴られた衝撃で肉塊が倒れ込む!


そしたら他の肉塊が俺を意識し始めた!


獣人(ヴァルガルフ)吸血鬼(・アルカード)状態じゃないから手元にアルカードは無い。だから身体一つでしのぎ切ってやる!!


============================================


タンカーから少し離れた海域かいいきに、一隻の救命ボートから1人の白衣を着た男が漁船へと乗り移った。


ノートPCを小脇に抱えて漁船の中に入ると、そこは釣った魚をスペースが改造されて、防腐処理された機器にノートPCを繋げていく。


そして画面が映し出されると、そこには肉塊の目線から俺との戦闘シーンを記録していた。



「ふむ、感じた魔力とは違う別の侵入者との戦闘か。興味深いですね」



記録していく戦闘を観ながら、俺の喧嘩殺法での肉塊達との戦闘を解析していく白衣の男。



「博士、よろしかったのですか?」

「何がですか?」

「ブレッドウィッチとの戦闘を想定していたとはいえ、イレギュラーとの戦闘でアレを使っての記録は……」

「構いませんよ。どのみち戦闘記録は必要でしたから、その相手がブレッドウィッチだろうとイレギュラーだろうと些細ささいな問題です」



博士と呼ばれた男は助手の様な男からの言葉をそう一蹴いっしゅうする。



「これまで廃棄するか、肥料に加工して売るかしかなかったものをここまでの形に出来たんですよ?

コレをキッカケに更に改良する余地を見出すのも仕事です」



これまでコイツ等童話の巣窟(グリムネスト)は、12歳を過ぎた子ども、もしくは壊れて死んだ子どもを粉砕機にかけて廃棄処分していた………。


だがある時から、アル・クルクスの連中からある妖魔の骨を提供されて、ソレを元に生物兵器を開発した。


着想は日本のゲーム。

1990年代にヒットしたあの有名なゲームだ。


幾重いくえにも失敗を重ねて、そして出来た処女作がこの肉塊。兵器とも呼べない姿形をしているけど、もしコレが完全な人の姿……子供の姿で人の雑踏ざっとうの中に潜ませたらと思うとヤバい。



「まずはデータ収集から始まりますからね。戦車砲には耐えられる仕様ですが、こうやって人外の相手が務まるかは分かりません」

「なるほど、勉強になります」

「ではアナタは記録媒体の複製の準備をお願いします」



備え付けのパソコンに向かって助手に記録の複製を指示する。


助手がキーボードで記録の名前を付けた。



【グリム・タクシーダム戦闘データ】


"女児達の剥製(はくせい)"という意味を付けられた、あの肉塊の名前だった。



「いい結果になってくれよ?」



博士と呼ばれたマッドサイエンティストがほくそ笑んだ。


書いててグロいなぁって自分でも思う。


けど、そんなこんなでもうすぐ100話に近い!

頑張るぞい!


では、今回は以上です∠(`・ω・´)

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